オガ炭の性状

       一、オガ炭を語るときまず最初に、一般の市販オガ炭が
        何故四角形かを話します。
        種類のコーナーに写真を掲載しましたが、
        今この四角形のオガ炭を炭火料理店の炉で
        燃焼している所を見ると、一目で人工原木の
        炭と分かるでしょう。
        炭はやはり丸の方が格好いいと思いませんか。
        四角形や八角形にしているのは意味があるのです、
        人工原木オガライトを作る時
        スクリューで一定量ずつ安定してオガ粉を送って
        行くためにはシリンダーを形状物とする必要がありますし、
        特にスクリュー先端部で固まりかけた品物が回転し、
        スリップし硬いオガライトが出来ぬくいのです。
        丸のものを作るにはスクリューの出が少しテーパー(丸状)
        より引っ込んだ状態にする必要があるでしょう、
        たとえ丸状のオガ炭でも、中心穴があるとかまぼこの
        竹輪のようで、爺にはどうしても違和感があり、
        穴のないむくな炭の方がいいと思いますよ。
        ホームページのトップページに載せましたが、
        今一度写真を記載します。

     
 この写真まるで自然原木の
 炭に見えるでしょう。
 穴がないと中心穴のある
 一般の市販品と燃え方が
 違うのですよ。
 穴があるとそこからガスも出、
 炭の両端がどうしても
 温度が高く、焼きムラも
 出来るのです。
 日本の食文化の一つと言って
 良い焼き鳥や鰻の蒲焼の
 職人さんが中心穴のある炭
 で満足するのでしょうかねえ?

         炭火焼肉店で、無煙ロースターで、お客さんが自分で焼く
         ところでは、どんな炭でも良いかも知れませんが、
         職人さんが使用するには、やはり違和感を
         抱かせない炭が良いのと違いますかねえ。
         また高級感を出す炭火料理店でもこの穴なしオガ炭の
         方がいいでしょう
     
     二、オガライトという人工原木を作る時、自然原木の一部と言っ
        ていい、オガ粉(木粉)が磨り潰され、自然原木が持って
        いる導管(水、栄養分を隅々まで配分する管)が無くなって
        しまいます、この事は大変大きな意味を持っています、
        炭は多孔質で、表面積が非常に大きいとの事は御存知
        でしょう。この孔の、導管部はマクロ孔で、オガ炭には、
        これがありません。
        細胞壁にあくミクロ孔はありますが・・・
        燃料としてオガ炭を使用したときの長短所を述べます。
       
        長所 マクロ孔がないので、ここに空気、水分が貯まる事
            がなく、自然原木の炭では、時には爆跳、
            いわゆるハゼルことがありますが、
            オガライトは、
爆ぜる事がありません
            爆ぜるということは、なんらか(高温処理による
            カリ(k)分のガラス化等)で、この細孔が塞がれ、
            殆んどが中に貯まっている水蒸気爆発と考えて
            います。

        短所 自然原木の炭にある細孔(マクロ孔)の中は、
            決して真空状態ではなく空気を包含していますか
            ら、燃やすと、この空気による、炭自身に
            保温能力がある事になりますが、
            残念ながら、オガ炭には、
            マクロ孔が有りませんから、自然原木の炭に比べ、
            少し保温能力が落ちることになります。
            この事は、オガ炭を燃やした時に、
立ち消え(最後
            まで燃え続けない事)いわゆる一人旅が出来ない

            という、燃料用として、やっかいな問題をおこし
            かねないのです。
            オガ炭が四角形等の形状物凸にし、スリップ防止
            し、硬質品を作る事を書きましたが、
            爺の開発した炭は、溝を付け、凹形状として、
            回転スリップ防止としていますが、
            ただ単に硬質品を作るためだけに、溝が付いて
            いるのではありません。
            炭が燃えるのは表面からで,出来るだけ表面積を
            多く、なるよう、また溝部で、連れ火になり、上の
            保温性を出来るだけ持たせるためにあるのです。
            溝を付ける事は、紀州備長小丸にある、熱収縮に
            よる細かい縦ヒビ、大きな縦割りがヒントです。
            現在穴なしオガ炭を販売していて、一度もこの問題
            でクレームがついたことがありませんから、
            現状で良いとも思っているところですが、
            昨年の中国備長全面輸出禁止を受け、よ〜し、
            やってやろうじゃないか自然原木の備長に負けな
            い、人工原木の備長を作ってやろうじゃないかと、
            早く炭表面全体に火が廻るよう、また保温性をもっと
            持たせてやろうと、より深溝付きにと、今まで、
            販売してきた穴なしオガ炭より細身の炭(小丸)を
            開発しています。
            原木オガライトを細く、かつ深い溝を付ける事は、
            機械構造上難しい事ですが、やっと、
            こうすれば出来るというものを会得しました。
            問題は、機械強度、耐久性で、製造しながら調整し
            なければならないでしょう。
     
     三、燃焼試験データー
       @練炭メーカーさんでの燃焼試験
        穴なしオガ炭が出来、販売、取引をお願いしに最初に
        行った練炭メーカーさんでの
        試験データーを載せる事にします。
        この時のオガ炭はまん丸な形状のもので、溝付きでなく、
        原木オガライトも現在の物と比較すると、
        少し柔らかく硬質オガライトではなかったですが、
        その後燃焼テストをしたデーターがないのであくまで参考で
        すが載せる事にします。

        試験方法
         4種の炭の比較試験です。
          紀州備長炭
           VM1.4% FC96.1% Ash2.5% 7840cal/g
          鈴長炭(爺の炭)
           VM2.6% FC95.9% Ash1.5% 7850cal/g
         各木炭700gを、着火器に入れ10分間プロパンガスコンロ
         で燃焼させた後、
         煙突をつけて、さらに10分間放置する
         6号練炭燃焼コンロの底に金網を敷き、その上に火起こし
         した木炭を置き、二次空気孔に温度計をさし込み、
         コンロ中心での温度を測定した。

        結果の考察
         備長炭と加工炭(爺の穴なしオガ炭)との燃焼具合は
         殆んど変わらない
         普通木炭との比較では、備長炭、加工備長炭の方が、
         長い時間安定した燃焼を示す。

        測定グラフ
              


        A最近、爺の炭に興味を持たれた燃料店の方からの
         メール報告
          
          NEW紀州備長の燃焼試験を終えました
          驚きました
          正直言って
          こんなに品質の高いものとは
          思ってもいませんでした
          初めに小丸を燃やしました
          私が試験した中で、国内外(各種オガ炭)を含めて
          いままで1,000℃を超えたものはありませんでした
          高くても950℃でした
          NEW紀州備長小丸は1,010℃まで上がりました
          また太いほうは
          900℃以上の持続時間が40分以上も続きました
          いままで最高でも20分程度でした
          灰も1.3%とかなり少量です

          高い評価を頂きました

     四、活性炭試験
       爺の炭の性質を知るため公立機関での活性炭試験
       データーを記載します。
       人によっては、オガ炭には孔がないと言われる方が
       おられますが、前述したように
       マクロ孔はありませんが、ミクロ孔はありますよ。
             
       炭A,炭Bは同じ穴なしオガ炭でAは水浸前、Bは水浸後の
       もので、水に浸すことによってどの様に変わるか
       比較試験をしたものです。
       phの減少はミネラルの流失だと思うのですが、
       この比較試験で注目すべき点は
       表面積が水に漬けるだけで、倍近くに増加している事
       でしょう。

       細孔径分布図
             

             

     五、精錬度
       炭の性質を調べる器具として、木炭博士として知られてい
       た、岸本先生らが開発された、
       精錬計があるのは御存知でしょう。
       白炭は電気を通しますので、これを利用し、電気抵抗を
       測定し、その度合いで
       簡略的に炭がどの様な性質かを見るものです。
       精錬計は、測定した電気抵抗値の指数を表示したもので、
       抵抗値そのものの値ではありませんが、
       触針を炭にあて、簡単にどの程度の炭なのか
       判断出来る器具です。
       爺の炭を精錬計で診ると、針は振り切ります。
       メーターの最小値は”0”ですから電気抵抗値は100乗Ω
       以下即ち電気抵抗値は1Ω以下となります。
       実際に炭を約3mmの厚さに切り、ミリオーム計で、クリップで
       挟み1cm間の値を測定すると20mΩ前後となります。

       もう一つ、炭の硬度を測定するのがありますが、
       爺は測定した事がありません。
       紀州備長炭はチンチン炭といわれるくらい、澄んだ金属音が
       します。
       残念ながらオガ炭は、鈍い金属音はするのですが、
       紀州備長炭程の澄んだ音はしません。
       でも、けっして硬度が低いのでなく、オガ炭は木粉を
       連続的に接続し、炭化したものですが、
       繊維がありません。
       澄んだ音がしないのは、この繊維がないからだと、
       理解しています。
       しかし、白炭製造の、最後の窯だし作業は、誰もが
       指摘しているのを聞いたことがないのですが、
       爺は、一種の
焼きいれ作業だと思っています。
       鉄でも炭素「C」の含有量が低いと、焼きが入らず、
       浸炭作業をする必要があります、
       要するに、炭素「C」は、大変重要なファクターです。
       爺の炭はCが96%ほどです。
       炭素鋼と炭では、FeとCが逆転した無機質という一つの
       ライン上に並ぶ物質と捉える事ができるのでは・・・
       鉄に焼きを入れるに、約1,000℃に熱します、白炭製造も
       窯の温度は約1,000℃以上にもなります。
       真っ赤になった鉄を急冷時は水に、また油に、
       空冷にとしますが、白炭は灰を被せ、空気を断ち
       冷却します、急冷だと思いませんか、
       温度体系といい、作業といい、本当に似ていますよね。
       だからこそ、あんな硬い炭が、あんな金属音がするんだと
       考えるほうが、説明が付くのではないでしょうか・・・

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