まんぷくさんでお腹もまんぷくまんぞくさん

2001.8.25(土) 上田

 軽井沢から車で約一時間の上田(信州で最も気候的暮らし易い所だそうです)、ここは少し南西に入った信州の鎌倉の名もある塩田平から別所温泉には名所や温泉が多いことで名高く、隣接した町にも青木や丸子の温泉郷とかいくつかの古刹があって僕がよく通って行く所なので、旅につきものの美味しいものも含めて紹介したいものが一杯ある。でも今日は飯田に遊びに行った帰りに夕食をということで女房と二人で立寄った店だけを紹介する。

 さて、お目当てはこの前7月に吊フックなどの手作り金物も置く無垢材家具のみなとで教わり昼飯でシェフのオリジナル料理が美味しかったとんかつのまんぷくさん。この店は先代が始めたとんかつ屋なのだが、今の2代目はフレンチを本格修行した、知る人ぞ知る料理人(例の鉄人坂井シェフと並んだ写真があった)で、隣の上田第一ホテルの和食処写楽やそのまた隣のラーメン屋こうや(コッテリとアッサリが選べる)も経営している実力派である。店のメニューにはとんかつ、フライ以外はほとんど無く、黒板に本日のお薦めが4種類程度、ほかに昼のサービスセットメニューなどが書かれているだけ。でもそこに△△のテリーヌとか○○のリゾットなどちょっとばかりおやっと思わせる料理があるんですよこれが。もちろんどれも美味しいのだが、直接シェフに相談すればフレンチ中心に和洋中、なんでもお任せで実に旨い物が食べられるということを地元の名物家具店主から聞き、この前の昼に電話まで入れておいて貰って行ったのが大正解だったのだ。

少し遠出の帰りということもあって確実な時間を予約しておくことも出来なかったのでこの前と同様、有合せの材料でお任せしようと夜7時頃猫グッズが飾られた店を訪れた。若い女性店員がメニューを持って来たので、実は前回大将の丸ナスのミルフィーユ仕立が旨かったので今度もメニューに無いものをお任せで出してくれるようお願い。怪訝な顔をしたのでシェフを呼んで貰いこの前はとても美味しかったので今度もとややお世辞を。あそうでしたねと嬉しそうに思い出してくれて、今日は丸ナスは無いが適当に見繕って良いのならと、一人3000円程度の料理を頼んだのです。何が出てくるか分からないのも一興だし、前回の料理内容を考えれば間違いないだろうと踏んでのことだ。廻りの客も馴染が多いらしく、一組の子連れ客も常連のようでいろいろお薦めメニューを注文しているらしい。

まんぷく入口

そこで本日の3000円お任せコースの内容は

マヨネーズソース敷き野菜に甘エビ乗せ(甘エビ刺身も洋風になって)
トーストに自家製生サラミとポテトサラダ盛(トーストとポテトもこんな食べ方が)
伊勢エビのお造り(これは完全に和食、ワサビ醤油で)
蟹肉とミソ入り洋風茶碗蒸(材料を聞いただけでもでもこれは旨そうでしょう)
伊勢エビ半身のグリル、バジルソース(やや小振りで単純な味付で仕上げ)
ラムチョップロースト(ほど良いレアな焼加減、臭み無く甘いソースで) 
ヒレとんかつにおろし大根と野菜ドレッシング和え
   (定番とんかつも一風変って、ヒレはもう柔らかくて旨いこと)
御飯と味噌汁
バニラアイスとマンゴープリンのカップ(全て自家製)
デミタスコーヒー

以上に僕だけハウスワインの赤を2杯(ブルゴーニュ風、勿論あとの運転は妻任せ)、〆て2人で6600円、二人ともそれこそ店名どおりのまんぷくまんぷく、ああ美味しかったの女房の声、これだけの料理が2人分とはいえ、他の客も4組入っている中、タイミング良く供されるのだ。さて皆さん、安くてシェフのセンスの良さが光るこの料理は如何ですか。またこれらの料理の器も高級ではないがかなりセンスがあるものが使われているのです。オープンキッチンが見えるテーブル5つとカウンター席、約20人程度のそれこそ普通のとんかつ屋さん、その土地で聞いてこそ知ることができた名店でした。次回は数日前に予約して本格フレンチをお気に入りワイン持参で味わいたいですねぇ。

 ちなみにラーメンのこうやはコッテリとアッサリが選べます。写楽の方は本日のお弁当がお得だそうです。またまんぷくでフレンチのお任せコースを頼むなら是非予約しておくことをお薦めします、というのは大将が何かの仕入や勉強で遠出して留守ということもあるからなのです。

若い人に人気のこうや

上田第一ホテル内の和食 写楽

追記

 上田でいくつか目ぼしい店をあげると、イタリア料理ではやや郊外の高台から市街の夜景が見られる席があるボンデール(この姉妹店で中心部にあるボンソーレはやや落ちる)、中心部はパパオルソがよいだろう。蕎麦では最近はおお西が評判が良いようだが高い。昔から有名な刀屋はかの食通池波正太郎もよく訪れた店、ここで大盛を頼もうものなら蕎麦の特大モンブランで唖然、味は田舎の太くてモソッとした感じで評価はどうですかね、人によって分かれるでしょう。国分の茜屋はまずまずの信州蕎麦、老舗やぐら亭も復活した。刀屋の近くには前山寺に倣ったくるみおはぎが味わえる喫茶刀花がある。ここは前の女性経営者の跡を刀屋の娘が引き継いだとかでお寺に行かなくても地元の名物が食べられる。フランス料理ではこれも老舗の葡萄屋があってソースはパンにつけてきれいに平らげるように言われるはず。カレーのべんがるも有名だが普通の味、その向いの福昇亭の焼そばは独特で安くあげるにはお薦め。別所の壺屋姉妹店の蔵屋は洋風料理を手軽に、スペイン居酒屋のエル・ビノの方には行ったことは無いがまず間違いなく旨いと思う。土産を買うならみすず飴で有名な飯島商店のここだけで買える各種ジャム。素材を活かした逸品でお値段もこれなら本当にお買得、お土産に喜ばれること請合い。あとは農民美術の栄屋工芸展、骨董屋は真田屋など。

 旅情緒を味わうには上田城だけでなくふらり細い道に入って歩けば表通りでは気がつかない街並が所々に現れる。昔の北国街道など案内書でも頼りに裏道に入って下さい、驚くほど古い建物が並び江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気に浸れること請合い。ちなみに上田の東の端(大屋駅の東)を東部町に入った所には海野宿(戦国の豪族海野氏の本拠でかの真田十勇士の一人海野六郎はその子孫)があって良くぞこれだけ昔の街並が残ったものだという伝統的建物群保存地区があります。江戸時代は宿場(出格子になった数軒の家は昔の宿だった建物のはず)、明治以降はお蚕生産、そして戦後は上田に通勤するサラリーマン宅としてそのまま住み続けたおかげで奇跡的に残されたとか。20年前は訪れる人も珍しかったのですが最近は電柱を取払って修景され観光客がかなり見られるようになってきました。それでも今も住民が居住していてまだ店は少なく静かなもの、道路中央には用水が流れ、堅格子と卯建(本卯建と壁卯建の2種類があります)が上がった建物が数百mに渡って並ぶ様は見事です。夜に灯りをつけて雰囲気を出し伊豆の踊子のロケをやっているのに出くわせたこともありました。その東端にある白鳥神社はあの雷電為衛門が江戸相撲谷風一門の関取を打ち負かせた興行場所だったそうで今も土俵があります。そのまたは東側は18号から入る道が整備されて広い駐車場ができましたがこうなると有料になってしまうんですがね。是非一度は御出掛けを、なんて別に上田市からワイロなど貰ってはいませんけれどね。

みなと先代収集の時計

ボンデール

飯島商店

市内柳町

修景なった海野宿の佇まい

2002.6.14(金)〜16(日)

 まんぷくの主人はまたまた今の斜め前に桜庵という店をオープンしたと。こちらは自分だけが取仕切るために作ったとかで、家具はもちろんみなとのもの、夜だけの予約制でコース5000円からとか。でも昼なら予約しておけばまんぷくの方で創作料理を頼めるでしょう。とはこれまたみなとの主人からの情報。シェフは今でも週一回は東京へ料理の勉強に出ているし、折をみて全国を食べ歩き研鑚を続けている由、そんな時はつるんで一緒に行くんだそうでなんとも羨ましいではありませんか。でもシェフは鉄の胃袋を持っているらしく一日中食べ続けられるそうで、ついていくのも大変かもしれませんね。そうとなれば料理の鉄人というのも鉄の胃を持ったシェフのことだったんですかね。

 そのあとの内緒話では今後にも鮨屋の計画(2003年に李白がオープン、さらに浅間サンロード沿い東部湯の丸IC近くのとんかつ倭らくは揚物以外のメニューも多くまんぷくの店内をモダンハイカラにした同経営の店)もあるそうで、さらには東京への出店を狙っているらしく益々楽しみになってくる話ですね、これは。また別途のおまけの話ですが、家具のみなとの先代は古時計のコレクターで、集めた何十という時計が2Fにありますから是非見ていきましょう。たまたま遠くから見学予約があったということで時間合わせしたところに出会わせたら、時報で一斉に鳴り出し壮観というかうるさいというか、本当に見事なものでしたよ。これでもまだ展示しきれないコレクションがあるそうで、一分野に集中すればこんなになるんですかね。

季寄せ 桜庵

鮨 李白

 ということで、6月のワールドカップ中にアメリカ留学中の長女が2年半ぶりに帰ってきたので息子を加えて一家四人で急遽旅行をということに。山形の例のコースと思ったのですがもっと短い方が良いと娘が言うので行先は信州に決め白骨温泉に一泊、娘は7年ぶりという軽井沢にもう一泊、その二日目の夜にその桜庵で食事という久しぶりの家族全員旅行を計画しました。ワールドカップ中の観光地は普段でも客足が落ちるのにさらに泊り客が半分以下に減っていると新聞に書いてあったのに、人気の宿はさすがですね、義妹が草津の温泉料理旅館つつじ亭以上に気に入ったという仙仁温泉岩ノ湯はもう満室というので、交通公社で探して貰って白骨の泡の湯をとったのです。白骨は10年程前にいくつかTELして最後に空いていた宿に泊れば大外れ、15000円もとっておいて民宿並、人気の上にとはこのことかというのに懲りて温泉ならここから引いている乗鞍高原でもよいかとついぞやその後は近づきませんでしたが、今回は親子4人だけの旅行はもう最後かもと高い宿を奮発したのです。

 朝6時に出発してまずは松本に、9時過ぎには中心地に到着、いつも駐車させるデパートは開店前なので、開館記念展というのは力を入れているだろうと新築なった美術館に寄ってみる。メイン展示は日本における2001イタリア年最後の催しというダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロのルネッサンス三大巨匠素描展、それに山笑ふ−岳都からの美的好奇心という山をテーマにした国内大家の作品を集めた絵画展の二つで、こういう機会でないとこんなにまとめて見ることは出来ないものが見られました。街中は中町通と周辺のいつもの我々のブラリ歩きコースに松本城まで足を伸ばし、娘が美味しい蕎麦が食べたいと言うのであの翁で修行したという浅田で昼、もう少し腹の足しにとチーズケーキとコーヒーを半杓亭というおなじみを廻り、さて!とお次は早々と宿に向かう。というのも良い温泉にタップリ浸かるのもありますが、何と言っても今日は日本がワールドカップ予選通過を賭ける対チュニジア戦、3時半キックオフのテレビ観戦もしたかったものですから。途中の沢渡は上高地の観光客がマイカーを駐車、バスやタクシーに乗り換える所ですが、ここの湧水は乗鞍周辺で一番美味しいということを高原側で聞いていたので、道路沿いに山の水と表示してある水栓から絶えず吐き出されている水をペットボトルに汲む。こんなことをしているのは僕だけでしたけれどね。

 細い山道を入れば途中大型バスなんぞが1台前方にいてすれ違うのに難儀しているのに出くわし、白骨温泉中心部の奥の林道側に少しばかり進んだ所にある宿にギックオフぎりぎりに到着。確か以前泊った宿はもっと先の乗り鞍高原に近い側にあって気がつかなかったのですが、中心地やここは硫黄、硫化水素の臭いがあたり一面に漂って、いかにも温泉という感覚。乗鞍高原ではこんなに硫黄の臭いは無かったので、長い距離引き湯すると疲れて劣化し駄目になる、やはり源泉近くが一番ということは本当なんですね。入ると湯の中の泡が肌に纏い着き文字が書ける程というので泡の湯と名付けられたという温泉を持つ宿は道路を隔てて小梨の湯笹屋と2軒だけが並ぶ。手前本館は木造3階のレトロなものですが玄関としてのみ使っているだけのようで(その後のTVで旧館を使っての映像があったが)、宿泊室は奥に建てられた新館で結構立派なもの。通された部屋は4人なのでここの大きなタイプ、玄関廊下風の設えがあって3畳の次の間に12畳の和室と広縁、バストイレ付き。温泉にきて普通の風呂というのはどういう種類の客を考えているのでしょうかね。さすがにテレビは大型が備え付けられワールドカップが見られる今日はバッチリではありました。が、僕なんぞはこういう山深い温泉は鄙びた木造の一軒宿、心尽くしの持成しと素朴ながらも味わい深い食事なんていうのが本当は好ましいんですがね。でも今日は娘達と一緒だしでこれは若い人にはいいでしょう。それでも浴室は木肌葺に石を載せた昔ながらの別棟を維持し守っているようだし、混浴の大露天風呂は湯の花がこびり付いた3ヶ所の太いパイプ口から温泉が涛々と流れ落ちている様はこれぞ温泉というもの。ここの湯は含硫黄カルシウム・マグネシウム炭酸水素塩泉(硫化水素型)でPH6.38、泉温39.3℃、効能が高く、じっくりと入っていられるという温泉好きにはまさに嬉しいかぎり。内湯は洗い場まで全て木造で、大きい方は源泉から出たばかりの湯の花が浮かぶ無色透明のヌルッとした湯、隣の小さい方は乳白に白濁しやや加温した湯、始め透明な湯が空気に触れて時間が経つと白く濁ってくるんだそうです。さらに小さ目ながら白濁した露天風呂が男女それぞれにある。新館ロビーから見下ろせる大露天風呂は個人経営の宿では相当に大きい広さ、男女別の着替場から直接6段の階段を降りて入浴でき、女性はタオルを巻いて入れるのです。パイプからは無色の湯が落ち中は乳白色、温めなのであたりの木々を眺めてゆっくり長々と浸かれば極楽々々とはこのことでしょう。足元や中に配された岩の肌は湯の花がベットリ着きヌルヌルして滑ること、風呂から出ても肌は次の日まで硫黄の臭いが残る、さぞ効きそうですねぇ。肝臓病、糖尿病、高血圧、動脈硬化、飲泉で痛風リューマチに効能とは正に僕達からの世代には有難い、ピッタシの温泉。露天風呂には外来客は午後1時45分までに上がって下さいとの看板、入るだけでも来てみる価値大の温泉です。ワールドカップの前半は見ないで風呂に行けば案の定ただ一人で大露天風呂を独り占め、結構々々、今日は酒も控え目にして健康に過ごしましょうなんて心掛けまで変ってしまうんですこの風呂は。さて宿の食事は懐石処という小さく仕切られた掘り炬燵風になった畳敷きコーナーが並ぶ場所で、今日のお品書きには全13品だとか。高い分だけお造り、信州牛ステーキ、タラバガニなど良い食材を使っているのですが、かなり大人数を作るだけに味わいでは今ひとつで残念ですねぇ。すべてに良ければ10日前では予約が取れるとは思いませんからこんなものですかね。翌日の朝食では前日にご飯かここの温泉で炊いたお粥かを選ぶようになっていて、おかずは鮭のホイル蒸や厚焼玉子などと普通の旅館よりワンランク上というように見せていますが、これも好みの問題があるのでは。僕なんかは本当に旨い塩鮭や干物類と納豆に旨い味噌汁という方が御馳走なんですけど。でも温泉は極め付けで素晴らしいものでしたからまず良しとしましょう。

ロビーから見る泡の湯

夕食献立

朝食

 二日目は安曇野か諏訪かと考えていましたが、曇り空でアルプスの眺めはダメなので子供達が小学校以来という諏訪廻りで上田に出ることに決め宿を出発。塩尻峠越えで下諏訪は秋宮の駐車場に停めて御柱を見せてから近辺を散策。次は上諏訪で昼を洋食みさわでと行けば店名が変っていてどうやらゴルフ好きの主は茅野豊平に移ってしまったらしい。昨年なにかでゴルフプロ級のシェフが洋食屋を開いたというのを見たことがあり、おなじ名前でしかもひらがななのでおやっと思ったものですから、きっとそうでしょう。それで今回も高島城前のかわら亭で昼をとり、周辺にいくつかある美術館の中から女房が好きで見せたいという原田泰治美術館に行き、さらにルネ・ラリック美術館のガラス販売コーナーを見て下諏訪に戻り、御柱の木落し坂を車窓から見させながら和田峠経由北上、我々も初めての武石村うつくしの湯で一風呂浴びてから上田に向かう。うつくしの湯はまだ新しい公衆温泉で、残念ながら循環湯ですが、泉質はカルシウムナトリウム塩化物泉で蒸留残存物は6070gという特に塩分が多いやけど、切傷、慢性皮膚病に特効がある温泉とか。

原田泰治美術館
ルネ・ラリック美術館

松本美術館

浅田の蕎麦

 さて上田の桜庵は道路側は黒塀で仕切って玄関までの小さなスペースを設け和風踏石のアプローチを取って演出。店内は天井コンクリート面も真っ黒に塗り全体黒を基調にした中に右手奥に伸びるみなとの無垢材カウンターは9人がゆったり座れ、左手は個室風に2室と少しばかりのテーブル席という配置。古材や時代箪笥で内装にアクセントを付け、みなとにあった鉄や流木のオブジェを飾り、シェフに加えてソムリエ風を含め5人の若手店員も皆男性でこれまた黒のユニフォームとかなり気どりましたねぇ。前日予約すればカウンター席でも良いですかと言われた通り、どうやら満席らしい。席に着いてしばらくで若手が準備するカウンター内にシュフ登場。カウンター越しに我々を見るなりちょっとビックリした風にこれはこれはどうもいらっしゃいませと。みなとさんの紹介で以前いらしたんでしたねと話すのに、今度もみなとでこの店のことを聞いたので是非と思ってやってきましたよと、ちょっと恩着せがましく少しばかりお世辞っぽく返事。まだ1年も経たないはずなのにこの繁盛振りは大したものではありませんか。ワインはボトルでは3000円代から8000円代を並べ、更に上のグランヴァンまでも、で今日は初めてなので最低の5000円のコースだし、食事より高いのはということで僕の好きなカベルネ・ソヴィニヨンで4600円というのがあったので、カルフォルニア、ナパヴァレーのベリンジャーというのを頼む。食事には重過ぎない程度で果実味豊かなカルフォルニアらしいこのワインは、我家のハウスワイン、イタリアのファンタネル社アドリアロッソを品と香りを高めた感じでまずまずの味わいでした。あとで知ったのですがこのベリンジャーは各種コンクールで常に評価が高く、本家ワイナリーのものはかなりのお値段であるにもかかわらず入手が困難とか。この時のワインはその系列のワイナリーで生産されたものであったらしい。
 

さて肝心の料理ですがコースメニューの内容は
  前菜    ホウレンソウのソティー土手中心にエビミソ入りマヨメーズ
                       真丸ズワイカニクリームコロッケ乗せ
         トーストパン台にスモークサーモンとヤリイカのタルタル風乗せ
  副菜   洋風茶碗蒸にズワイ蟹ミソ餡懸け、蟹肉乗せ
  中休め  引き湯葉、ナス、インゲンの和風煮物小碗
  メイン   真鯛とホタテに野菜、ジャガイモのブイヤベース
                       中に一面フライパン焼サフランライス
        仙台牛バラ肉(脂肪削ぎ落とし)ビーフシチューに
                       クリームソースパスタ合わせ
  ご飯   エンドウマメとジャコの炊込ご飯、シジミ味噌汁、香の物
  デザート バレンシアオレンジのシャーベットにイチジクムース、ゼリー寄せ
  コーヒー

とまあこんな内容で僕でもかなり腹一杯、これを小柄な娘も宿の料理より10倍以上美味しいとペロリ平らげるとは。息子は洋風茶碗蒸にはこれは絶品、シチューのソースとクリームソースが混ざった濃厚さに旨い旨い、親父との旅行には気乗りしなかったけどこれを食べるなら軽井沢にきてもいいよだと。女房も二人でワインを楽しめるわと運転手役に息子を連れて来るのに大いに乗り気、さかんにたまには一緒にと口説くことでした。ここは本当に創作料理でジャンルに拘らない美味しさ追及の内容、料金はこれに消費税がつくだけ、東京ではいくら位になるんでしょうかね。本日の客は女性だけのグループが2組、カップルが1組、3世代らしき家族が一組、仕事の同僚らしきが1組で満席。途中フリで訪れた客が2組断られ、さっさと食べてさぁっと引上げるのが常の我々が帰る直前に来て待っていたこれも女性だけの幸運なグループが玄関の所で待っている。もうこんなに人気がある様子では本当に予約しておかなくてはいけませんね。あとは1時間足らずで軽井沢の小屋に帰り、ワールドカップの決勝トーナメント、イングランド対デンマークの後半戦を見ながらもう少しワインを飲んでぐっすり眠る。

 翌日は旧軽銀座を一巡り、その後はプリンスショッピングセンターと何か欲しい物があれば買ってやろうという親気分。アメリカが性に合っているなどとぬかす娘は実質的であれば安い方が良いという性格、アウトレットで安いものばかりを選んで買物、昼前には家路に着く。アメリカはハンバーガーはあるがレストランはステーキばかりで日本風のハンバーグが食べたいと言うので都内は高井戸のEATで遅めの昼食をとる。ここはこの近くに住む友人に関越からの帰り駐車場があって旨いレストランがこの辺りにないか聞いたら教えてくれた店、その後テレビでも紹介された由ですが2時過ぎでも食べられるのが重宝。店の名前も直接的だし、メニューにはア・レなぞというのもあって、客が他人の食べていた旨そうなあれを頂戴と言ったのをメニュー名にしたという愉快そうな親父がオーナーで、地元に馴染んだ様子がよく分かる店です。
 ということで父親の日が最終日となり、すっかりお父さんをしてきました。今度帰ってきた時もまた行きましょうねの声にアメリカで仕事が決まって帰れればねの冷たい娘の返事にややがっかりの女房、いや心の中では感謝しているはずですよ。いい温泉に美味しい食事、それに安い買物とまあまあ良かったんじゃありませんか。

追記 2
 平成16年8月に桜庵に寄れば、以前より安い設定メニューとなり、単品メニューもいくつか作り、ワインもやや手軽なものが用意されていた。今回は平日ということもあって客は地元の常連らしい感じの男連中で6割ほどの入りで、マスターの直弟子が一人で料理していた。その日の本日のコースは3700円で前菜は和か洋、次はスープ又はジュレ(洋風茶碗蒸でトッピングを蟹とフォアグラから選択)、メインは肉(黒毛和牛のビーフシチュー)か魚料理(鯛のポワレ)、パスタはその日の2種類からチョイス、あとはデザートにコーヒー又は紅茶と以前の5000円のコースに匹敵する。シェフのお任せコース5250円は要予約となっていて本日コースよりさらに上ならそれこそどんな内容か、食材準備が必要だそうでこちらはマスターが直接手掛けるのでしょう、それを知らずに行った我々はそちらは食べられずでちょっと残念でしたね。

店データ
  まんぷく        上田市中央 2・6・14       0268-24-8100
  くいものや写楽    上田市中央 2・6・13       0268-21-1500
  こうや          上田市中央 2・6・12       0268-22-8421
  桜庵          上田市中央 2・7・4        0268-23-4868
  李白          上田市中央 2・5・15       0268-23-2256
  刀屋          上田市中央 2・13        0268-22-2948
  エル・ビノ       上田市天神 1・3         0268-26-0077
  福昇亭         上田市中央 2・9         0120-242-086
  蔵屋          上田市中央 4・8         0268-25-7400
  ボンデール      上田市御所 115・12       0268-25-3886
  パパ・オルソ      上田市中央 1・2         0268-28-5700
  葡萄屋         上田市中央 2・1         0268-27-1141
  飯島商店       上田市中央 1・1         0268-23-2150
  家具のみなと     上田市中央 6・1         0268-24-3710
  真田屋         上田市天神 2・2         0268-22-2317
  刀花          上田市中央 2・13・28      0268-21-1466
  泡の湯         安曇村白骨温泉 4181      0263-93-2101
  EAT           杉並区高井戸西 3・7・10     03-3334-6486

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