遠州で干芋、常滑で陶器、こりゃ変な取り合せ

遠州・常滑   2001.12.22(金)〜24(日)

 ここのところ数年、冬場は雪を避けてということで、遠州の干芋なぞを仕入れてさらに足を伸ばして六古窯の一つ常滑あたりで陶器を漁る旅を飽きずに続けている。今年も前もって電話で芋を注文しておいていざ出陣。

 朝6時頃に出発、東名高速は8時ちょうどに日本坂トンネルPで蕎麦の朝食をとり菊川ICで出る。遠州灘方向に南南西に進み、吉岡弥生記念館(東京女子医大創業者)、高天神城跡(武田信玄が徳川側の先方砦として攻略した)、開運の土井酒造場近くを通り過ぎ、大東町役場近く海側の畑の中にある田中商店へ到着。

この店は元は酒屋だったものが、元気の良いお母ちゃんが干芋製造販売を始めて当ったらしく、僕は三越で販売していたラベルでここを知ったのです。それまでも毎年磐田の台地の方の農家で仕入れていたのだが、こちらの方が値段は高いものの品物がよかったので乗り換えてしまいました。ここで1kg真空パックを角棒型、平切型、丸のままなど3種類20kg以上買って次は150号を少し西に行った大須賀町にあるサンサンファームなる地場物産直売所に廻る。

サンサンファーム

田中商店の干芋作り

 実はここの開店時間に合せて出てきたんでして、いくつか面白い食料品が買えるのです。ここの奥の施設で製造し11月から売り出されるよこすかしろなる砂糖、地元栽培のサトウキビの絞り汁を煮詰めて作ったもので、お値段は張りますが、煮物などに普通の砂糖にちょっぴり加えてやると味のコクがぐっと増すこと請合い。次はここで品種改良したというトムトムという少し小振りのトマト、糖度が格段に高く値段も一流、それとよく似たもっと安いものでもトマトがこんなに甘いのと認識を改めますよ。このトマトを原料にしたアサバソースは隣の浅羽町(浅羽町の名鉄パディ内にあるどんどこあさばという地場産直売コーナーの前田さんちのトマト150円/個は甘いことこの上ない、またここ直接加工の豆腐や福田港マルトミ水産のシラスなども扱っている)で製造していますがここにも売っています。味噌、醤油も昔ながらの製造法を守る糀屋と栄屋醤油醸造があって、特に後者が作る3年2回仕込の甘露醤油は味わいの強いもので、よこすかしろと合せて煮物に使ったらどんなことになるか、一度試してみなくちゃいけませんね。その他に砂地畑特有の落花生、山芋やエビ芋などもここの名産、またここから磐田にかけて生産される温室マスクメロンは日本一の品質で3500/ケで販売していました。あとは干芋を始めとする地元産品の加工品や手作り菓子類などから近在の産品浜松浜納豆や掛川の葛湯、遠州灘の海産物や天然塩、それに農家直売野菜(園芸苗花も)もあって結構拘りの食材が手に入ると思いますよ。

 それに今回はあとに旅行が続くので寄りませんでしたが、さらに西の福田漁港には鮮魚直売所福田水産が一つあって、かなりの種類の鮮魚が割安で手に入るはずですし、周辺はシラス干の製造直売所がいくつかありマルトミ水産が有名のようです。

 で袋井あたりから高速に乗れば速いのですが、前回日曜で買えなかったこれもちょっとしたほかに無い味の味噌煎餅を買って行こうと、浜松は千歳町に昔からある井口堂に寄り道とは、我ながらまあ余計なことをするもんですねぇ。

 浜松西ICから岡崎IC、そして1号線で豊明に入って右折、三崎町高鴨にあるジャンジーノで昼食にこのシーズンのお薦めメニューにあるカキのエスカルゴ風のグラタンを食べようと立寄る。泊りの旅行では宿は和食なので昼はおおかた洋にするようにしていますが、今日もこれに海の幸パスタとマルガリータを注文する。ここは以前豊田ICから昼頃通りがかり偶然見つけた店で、女房はカキ料理が好きでこのエスカルゴ風を真似て家でも時に作るようになったのだが、オリジナルはニンニクとスパイスがより効いていてもう少し勉強する必要がありますね。

井口堂

ジャンジーノ

 豊明からすぐ名古屋市の緑区に入るとあの桶狭間の古戦場がある。その看板を過ぎてまもなく右折して1号と平行する細い道沿いは有松という古い町並があって格子戸の家が何軒か昔のまま残されている。実はここは絞り染が有名で、有松絞りまたは鳴海絞りと呼ばれ、この手のものとしては比較的に安く、絞会館もあって実演と直売もしているので是非寄っていって下さい。古い町屋のうち2軒ほどは絞り染製品を商っているので見学がてら覗いて見るのもよいでしょう。我々はこれも地元であそこが一番といった久野染工場の自宅兼展示室を必ず訪ねる。ここはヨーロッパを中心に柄見本を送って注文生産で生地として輸出しているところで、残った生地で多少の服を置いている程度の店。道路から少し奥まって、外からはまったくひっそりして店とは思えない普通の家で、工場は別にあるのだそうです。ここのお婆さんがいつも応対してくれ、1年に1回だけとはいえ遠くからよくぞといってくれてかなりまけてくれるんです。で今回はその生地見本があったのを女房は見せてもらった中の一点、グレイに格子状に蛍絞りと言うんだそうですが、絞りが配された麻にこれはステキ。この生地は残りが少しだけあると聞き是非それが欲しいと、2m30cmだけあってブラウスにするんだと、お婆さんと二人で作り方まで話に花が咲き、まあ女同士いい歳こいてきゃぁきゃぁと、男にゃ分からんですねぇ。無駄遣いしないと言ってたってやはりこういうものにはつい衝動買いするんです、僕が買うのはもっと考えて悩んでいるんですぞ。

有松絞り会館と絞り染

古い町並

 というわけで、あとは東海市経由で常滑に自動車専用道で快調に4時頃到着。この前来た時日曜は休みだけど横浜からならと見せてくれた小西洋平窯に土曜日のうちにと訪ねるとこれが留守。しかたなくもう時間も少ないからと駅名鉄ビルの第三セクター物産情報センター展示室で何か展示会をやっていないかと行ってみると、来年すぐ近くに出来る施設に引っ越すとかで品物を梱包しまい込み中。しょうがない焼物は明日まとめて見てまわろうと宿に向かう。常滑は空港建設に伴って道路拡幅など各所で工事が進められ変貌が激しそうですね。さて坂井温泉の近く、ねのひという銘柄の盛田酒造がやっている食の館は10:00から16:00までなので時間が合わず寄ったことはないが、食事が中心らしいがなにか別にありそうな雰囲気、1年に一度ねのひ祭というのをやっているそうだ。この盛田はあのソニー会長で亡くなられた盛田昭夫氏の家なのです。

 旅館は湯本館といって夏は海水客で賑わう目の前が道路を挟んで海というロケーションで、当然ながら海の幸がドカッとでてくるのがたまらん宿、ここでも毎回ご飯までは届かない、魚、魚、魚という内容。このシーズンは名古屋方面から忘年会を兼ねた団体客もあるようです。本日は魚以外の動物性蛋白源は鴨肉のロースト風が2キレだけ、その他も茶碗蒸、天ぷらの野菜、お新香、デザートイチゴぐらいがちょっぴりとで、あとは茹でワタリ蟹、車エビ塩焼、カサゴ塩焼、カワハギ煮付、鯛と甘エビ・コチ?の刺身、大伊勢エビとヒラメ、ミル貝のお造り、焼カキ、エビ天ぷら、アサリ味噌汁などなど。夕食は部屋出しでゆっくり2時間弱、もうさすがに満腹で食べるのに疲れるというので応援した女房分は少し残してしまいました。酒はやはりねのひでやや薄味あっさりというものです。この宿の良いところは家族経営らしく安いことと、ベタベタした接待が無いところ、そのかわりあっけらかんとするほどなのは仕方ありません。また温泉といってもナトリウムU鉄塩化物炭酸水素塩鉱泉という風呂は区切られた半外部に2坪強の広さの浴槽で鉄分で真っ赤、そのまま出るとパンツが茶色に汚れるほどなので、大浴槽の普通の風呂で洗い流してからでることになって温泉の本質からは外れてしまいます。また海水客シーズンは海から上がって濡れた水着で館内に入るのでしょう、そこはかとエレベーターや部屋の浴室(海水客用なのかトイレ以外にバスユニットが各室に付いています)など、臭いが気になるのがやや難点ですが、この内容で休日前13000円は我慢しましょう。

湯本館と夕食

 朝食は食堂で普通のものですが、マグロ、イカ、アジのタタキなどその時で異なりますが必ず刺身がつくのもここらしいのです。 翌日の朝は宿の裏手の細い道を登った小脇公園で行われている朝市に寄って野菜を買って行く。宿で聞いて来たのだがもう少し南に行った武豊IC付近では鮮魚も売る朝市があるとのことだがもう一泊するのでこちらの方に。ここは8:30から販売開始で客は近くの地元の人達ばかりのようです。ここには喫茶室もあって、買物を済ましたおじちゃんおばちゃん達が中京地区らしく例のモーニングを食べながら世間話で席は一杯。僕らはコーヒーだけ飲んだのち(あとで市内の喫茶店の外のメニュー値段表を見るとモーニング420円、コーヒー450円の値段に?、コーヒーだけ頼んだ方が高いのかな)展望台があったので天気も良いしで、常滑の海に2005年に開港するという中部国際空港の埋立島を遠く見物、思いのほか速い進み具合に名古屋は侮れないぞと変に感心すること。そういえば開港は愛知万博に間に合わせるためとのことだが、その会場は瀬戸、両方が愛知県の焼物の町というのもなにかの因縁ですかね。なおこの公園の一角にはオートキャンプができる施設があり7〜8台のキャンピングカーが停まっていました。

朝食

水平線に中部国際空港工事が遠望できる

 常滑はもう5度目でINAXの世界のタイル博物館や便器展示館(ここは芸術的?和便器の展示と昔の土管窯跡を使った展示室の耐火煉瓦表面がビッシリガラス状になっているのが見もの)などもう見ているのでそれらはパス。まず昨日留守だった小西陶房を10時頃訪ねると作陶室で年賀状を書いている最中、コンチワまた来ましたで中に招き入れられる。年賀状は全て手描きの絵入りだそうで宛名は独特の字体で筆でスラスラ、さすがですね。そういえば部屋には自作俳画風短冊が飾られています。自作の茶注 (急須というのはどこから出来たか分からないが茶を注ぐというこの字が本当とまず面白い話から)で美味しいお茶を戴き話が面白くついつい小一時間も長居。この人は今年2月にNHKのやきもの探訪にも出演紹介された土物を得意とする作家。自分が作る常滑の良土は親から受継いだもので自分の代までは十分あるとか、茶注は部品が多く熟練迄が大変、中の小さな穴まで手で一つ一つやるのは人間国宝の山田常山さんと自分ぐらいになってしまったとかは前回聞いた。部屋にはこの前の朱泥とは違った穴窯で焼いたという自然釉(真焼と名付けていた。穴窯は電気で焼く朱泥のように計算は出来ないし3日3晩も火との格闘で大変だがそれだけ出来上がりが楽しみとか、でも量は焼けないし高くなるのはあたり前です)の徳利とぐい呑がいくつかある。これらぐい呑はこの前買ったものよりかなり大きめ、これでぐいぐいやったらさぞ酔っ払いそうと言うと、この位大きくないと酒飲みには面倒なのだそうで、わしは毎晩この大きさのやつで楽しんでいると。それで自然釉のかかり方が面白く土が常滑特有の赤みが強いぐい呑8000円を購入。昨日留守だったのは半田で小西洋平陶芸教室の生徒作品のチャリティー販売をして午後はそちらに行っていたとのこと。じゃあ今日の泊り浜名湖へは半田経由にしてそこに寄って帰りましょうと窯元を辞す。

 常滑に来ると必ず歩くのが陶磁器会館をスタートとするやきもの散歩道、ABの2コースがあってAは2km、Bは4km、よくまあこんな細い道ばかりというくねくね曲がった小路道(三河ナンバーのアリストが迷い込んできてどん詰まりで立ち往生、バックで戻るのに大汗、少し助け船してあげましたが道を地元の人に聞かないと出られないでしょう)を歩けば、多くの窯元や古い大型登り窯があったり、黒い焼板壁の家並みから突然展望が開けると窯元の耐火煉瓦煙突が突如現れたり、歩く道々の各所には土管などで出来た擁壁や舗装など、なにか郷愁を誘ってまたいかにも焼物の町といった風景は今まで廻ったこの手の町では一番ではないでしょうか。今回はAコースだけにしましたが、このコースの最初の方にある若手作家の金太郎窯、質素に釉薬を使ったものをやっていて安目のものが多いのですが、ここは作品よりも商品展示をしている場所が昔の大窯の中で、このガラス質ビードロの壁の雰囲気は是非味わっていって下さい。最近は常滑も土管と茶注の赤というイメージとは離れた釉薬を使ったさまざまな焼物がでてきています。かの洋平さんは常滑で白釉や織部風はないよな、土物では京都に近く磨かれている信楽と越前は学ぶべきところがあるな、丹波は民芸風だな、益子などは美術学校を出た若手で優秀なのが窯を築いているし東京に近いというのは強いよ等と言っていました。僕は常滑の金属的味わいに色を加えたデザインものなどは悪くないなと思いますが、やはり他所の真似、亜流は間違いだと思いますね。

小西陶房

 焼物の道の終点でもある陶磁器会館には山田常山とその弟子達のコーナー、その他の作家物コーナーなどもあって有名ところはまずまず見られますが、買物するには展示が詰込み過ぎでもう一工夫とスペースが欲しいものです。ここで買っても東京の市価より安いでしょうからじっくりと品定めして下さい。

朝市広場の喫茶店内

焼物の道周辺の風景

旧土管窯内を店舗にした金太郎窯

 あとは車で市街を少し出てセラモールなる問屋団地では10数店が直売しており、概ね市価の3割引程度で買える。ここでの大手は方円館、作家物が揃っているほか、一角にあるギャラリーでは必ず誰かの展示即売会が開かれている。僕は今回山田絵夢(常山の次男でこの人もやきもの探訪に出演し、模作を頼まれた魯山人の葉型皿を手にとってなじんでいるうちにこれだ開眼した由と話していた)の湯冷まし用片口風小鉢、釉が全くかかっていないのと雑器の小品ということでか、花入の10万以上、銘々皿の2〜3万に比べ6000円(実際はその70%に消費税)というので思わず買ってしまった。ここには他に山弥という常滑らしくないものも多く置く店では、鵬志堂のマグカップや癌でもう亡くなってしまったという人(店の人もあの人は旨かったのにねぇと)の常滑茶注のデザインを使った面白いコーヒーカップを買ったことがある。あとは一軒だけ店の奥裏に見切品と一緒に奥さんが集めてきた骨董的なものを置くところがあって存外安いと思います。付け加えると、常滑の陶器祭は8月第四土日に冷房の効いた競艇場客席内で行われるそうで、一回は来てみたいですね。

 昼食時間になってきたがそのまま半田に向かい、何処か駐車場のあるレストラン風の所があれば寄ってからチャリティー会場に行こうと常滑をあとに。で途中は田舎道で何も無いまま半田市街、市役所隣の中部電力ギャラリーの展示会場に直行と相成ってしまった。会場は小規模なものですが洋平先生いわく、最近は素人の人の方が邪念を持たずひたすらで、プロのように小細工してやろうとして逆に嫌味になることもなくて上手なんだそうです。確かにまあまあの出来栄えではありませんか、値段もぐい呑500円などと安いので数点をチャリティーお買上。会場にはやきもの探訪のビデオが流され、それを見やりながら奥をみると先生が上着に帽子姿、朝の作業着から人が違ったようで最初には気づかずでした。

でこれはこれはこれはと挨拶するとビールでもうご機嫌のご様子、薦められましたが運転があるのでこれは残念でした。

TV内の洋平先生

 浜名湖へとナビに入力して再出発、簡単に食べられそうな所がないので昼はもういいかと話しながら市街を出て少し走った先の交差点の赤で停車、ふと脇を見た女房がすぐそこにあるのはレストランらしい、玄関前にメニューの黒板があってちょっとシャレているわと。で右車線にいたけど左車線に車が来ないのを幸いにそのまま店のパーキングへ90度直角に曲がる。2時数分前で急いで女房は降りて入店、僕が入った直後に黒板を店内に片付けていました。滑り込みセーフ!といったところですね。店内はまだ10数人ほど居ましたが食事は済んでいる様子、これなら出るのも速いなとメニューを見ると、ランチはパスタランチ1000円、その他は1500円、後者はステーキか白魚のパイ包焼、でパイ包焼を二人とも注文。そう言えば数年前初めてここに来た時地元の人に聞いてステーキが旨いという森牧場、今回も大看板が立ち半田牛というのもあるらしく確かに美味しかったのですが、最近の狂牛病のことや昼でもコースのみ4000円からというので今回ははなから見送りにしました。さて料理はカキのチャウダー風ポタージュスープ、サラダ、パン、それでメインのパイ包焼は魚の上にウニと蟹肉を乗せてあり、ソースはサフランソースで付合せ野菜添えといった手の込んだ一品、完全にフランス料理で品良く仕上られ、これにコーヒーがついて1500円はお値打ち。女房はプラス200円でデザートにクリームブリュレ迄頼んで美味しい美味しいと大満足でありました。旅の途中こういう大当りというのは嬉しいものですね。店名ギグルというのは横文字に強い女房に聞くと笑う時のゲラゲラという意味だそうですが、僕らは品よくニコニコとして、次に来た時も寄りましょう。

ギグル

 半田は酢醸造のミツカンや地酒の国盛などもあって(知多半島は何故か醸造所が多い)、特に酢の博物館は誰も居なくて勝手に見学コースを一周したことがありますがなかなかの施設で、工場全体の風景と共に一度は見学しておくといいでしょう。ちなみにここでの一番大きな立派なビルも隣接するミツカン本社で、市役所などはバブルの時にも建て替えずの古い建物のままなのは逆に立派だと変なところに感心してしまいました。

 帰り方向も岡崎から乗って、今回は浜松西ICから戻るという時間的には短いルートで今日の宿、国民宿舎かんざんじ荘に急ぐ。というのは前回、風呂に入るとちょうど夕陽の沈む素晴らしい眺めに遭遇し、今回もと思っていたからだ。急ぎに急いで宿には16:30ちょっと前、途中夕陽が沈んでいくのと競争しながらなんとか到着。受付をそそくさ済まし、部屋にはいれば素早く服を脱ぎ散らかして風呂に直行。見れば小さい丘陵の上に低く横たわる雲の中に上端がまさに沈み込んでいくところ、やっと沈み行く最後の場面が見られたなと湯に浸かって浜名湖の景色を眺める、となんと雲の下丘陵との間が空いていて再び夕陽が現れもう一度5分間ほどのショータイム。我ながらなんて心掛けが良いんだろうと女房に自慢してしまいました。この場面には他にはもう一人だけとは、こんな見事なショーが終わってから入浴にくる人が多くなってきましたが、皆さん知らないんですねぇ。ちなみに館山寺温泉にあるこの宿はこの周辺でも一番高い標高100mという若草山の頂上、ロープウェイ駅の目の前にあって温泉が引けず普通の風呂なのですが、この眺望だけは一級品なのです。夜には浜名湖を挟んで東名高速三ケ日SAが目の前にあって、浜名湖を渡る高速道路は西に行くテールランプの赤、東へもヘッドランプの明りが並んでこれらの夜景は客室からも見えて綺麗ですよ。この車の列の渋滞を尻目に風呂でゆったり、良い眺めでご満悦、ザマー見ろとまでは言いませんが何か得した気分になりませんか。ここでは前回二人でプラス5000円だったかと思うがスッポン一匹の特別料理を頼んだものの、食堂内では我々だけ、刺身はまずまずでしたが鍋の方は期待ほどでは無く、今回は一般料理だけにした。スッポンの時にはつかなかった天ぷらなどがあって、カサゴ唐揚や焼カキ(これは昨日より身が大きく詰まってやはり浜名湖の貝類は旨い)、鰻蒲焼など結構美味しく、量もこの位あればもう十分、最後にご飯に蒲焼を乗せて戴き腹一杯になりましたね。で酒はこれも奥浜名湖の花の舞の生でありました。ちなみに国民宿舎ということもあって子供連れの客も多く、子供用食事は小さい子とその上の二種類用意しているようです。ちなみに料金は休前日も平日も同じで、特別料理を頼まない基本ベースは11500円です。

頂上の館山寺荘とロビー内部

夕食

東名高速三ケ日IC方面

夕陽を望む

朝食

 朝食は昨夜とは席が変り、海が見える窓側と反対の壁側を入替えていました。サヨリの一夜干がメインでアサリの味噌汁はお代り自由、サラダはバイキング、今朝もご飯は二杯半食べてしまいました。

 9時過ぎにチェックアウト、素晴らしい天気に浜名湖の眺めを写真に撮り、今日も降りてすぐの8時半開店の喫茶ラ・メールでコーヒーを飲み、先月同様評判の良かった新居カネ吉しらす加工所の釜上げシラスと舞阪丸三堀江三郎商店のシシャモを買い求め国道1号は市内を通らないルートで浜松ICから最終目的地、仲卸業者が直売する河岸の市を目指す。

ラ・メールからの眺め

 清水ICを降りて12時には河岸の市へ、でまずは食事をとおがわに行くともう行列、ほかの店もほぼ満杯なので買物しながら5店ばかりの飲食店の様子を覗って空いた所があれば入ろうということに。市場内には鮮魚とマグロを扱う店が多く、これに塩干物だけを扱う店が加わり食事を含め総計21店、この中には八百屋と菓子屋(あくまで地元客相手で観光用土産の安倍川餅などは売っていません)と豆腐屋が一店づつ混じってコの字型通路の両側に並びます。生サクラエビ、本マグロの各部分切り合せ、カンパチの背側、タタキ用アジなどの鮮魚に豆腐屋でゴマ豆腐や生麩類などの珍しいものを一部は冷凍すれば正月用にもってこいと買い込む。あとは干物というところでおがわの前を見ると存外捌けるのが速い様子で列が減っている。女房を列に付けて車に戻って買った物をアイスボックスに詰め込み、戻ってさらに場内一周、あとから干物を買う店を決めておがわに行けば、ちょうど店内へで、カウンターは親父一人が調理する目の前の席に。メニューは丼物専門で親父は柵取りした本マグロ(トロ、鮪、鉄火の3種と書いてあった)を俎板の上に並べ、次々と注文に合せて柵から豪快に厚切りして隣の女性が用意した酢飯の上に並べ、これも奥で用意したアサリ味噌汁とお新香の乗ったお盆ではいお待ちどさん。こりゃ速いわけだ。で女房は赤身の鉄火丼800円、僕は次郎長丼なるマグロ3種とイカ、甘エビ、イクラが乗った1500の豪華版。1500円はウニイクラ丼もあって、最も高いのは駿河刺身定食の2000円、乗ったネタは丼を覆い尽くす。確かに旨いのですが、醤油を漬けるのに大き過ぎて小皿に入らないんです。もう少し薄く扱いやすくして貰えると有難いのですが、そんな手間をかける時間はありませんというような繁盛ぶりでこては仕方ないやとしましょう。ここの名物を食べて、油が乗って丸々したアジの干物、サバの醤油干に加え塩鮭は銀鮭のこれも頭が小さく見えるほどのやつが2750円というのがあったので一本買い。2枚卸ししてもらうには30分ほどかかるというので自分で帰ってから裁くことに、食事前に買って頼んでおけば良かったな。

 今回の旅行は全て終了、今回は天気に恵まれて富士山の眺めも最高とご機嫌で、さあ早く帰って今晩の魚料理を作らなくては。今回も厚木を過ぎて2箇所で事故、一箇所は一車線が塞がって3時半のナビ予定が結局4時過ぎ、本当に連休は事故が多く、それも高速のこんな所でなんでというのが多いんです。敵いませんね。

河岸の市

おがわ

次郎長丼

 後日談として、年が明けて年末に三崎で買った三浦大根を昆布出汁で煮て、常滑のスーパーで買った献立なんでもみそという八丁味噌ベースの調味済み味噌をかけて食べるとこれがまた美味。赤目温泉で赤味噌を旨く調味したかけ味噌が美味しかったのを覚えていて、常滑も名古屋圏で味噌汁が赤だしだったのでスーパーで味噌コーナーを探索。東京ではちょっと見かけないこういう調味料になったものが幾種類かあって、その日特売の一番安いのを買ったのだが、コクがあってこれはいろんな料理に応用できそう。旅行中にはその土地のなにかがないか、土産物屋だけでなくデパートやスーパーの食品売場もチェックすべしです。三浦大根も柔かくて厚く切って煮るから旨いのはもちろんですしね。

 もう一つ常滑で今回買った明治期の壺に、これも年末両神村で仕入れたボケと南天を生けて正月飾りとしたものが、七草過ぎてからボケの蕾が多く開いて見事になってきました。去年買った欄間の片割れを面白半分にかけた居間から和室に続く襖戸の前、壺の台にはこれも10年以上昔に買っておいたアンカに乗せてこりゃいいわと一人悦に居る僕。写真を見てください、ね、いいでしょう。

由比付近からの富士山

常滑にも新しい風が?

常滑  2002.12.21(土)〜23(月)


 平成14年の12月の3連休にも常滑に行ってみると、焼物の散歩道のコースが一部変わっていて、古い木造建築の内部を旨く改装した拘りが感じられる陶器屋やオシャレなカフェ、食事処,、ファッション雑貨店が新たにできている。店内の案内パンフを見ると隣接の半田や武豊からの進出という店もいくつかあった。今までこういう店が無かったのも不思議だったのですが。いずれも若い女性が中心に運営していて、やはり陶器の町には女性の感性が合うのでしょうかね。

 また登窯公園脇の市営資料館では地元作家物を4ヶ月毎に入替え、作家が付けた価格で依託販売している。これはかなり安めで、気に入ったものがあれば一般陶器屋よりお得だと思います。鯉江廣作藻塩焼の茶注にこれはいいねと言えば、資料館の女性がお客さんは結構たくさん見ておられるようですねと。茶注の会というのが常山門下を中心に結成されていてそれらの作品は常滑でもいいものなんだそうです。数年前常山門下展で見て買った壺花瓶の作者村越風月も入っていて、以前より値が上がっているようなのは嬉しいですねぇ。ここは市営なので儲けは考えていないんですなどの話や常滑の陶芸事情などを聞いているとこの館内から周辺にふっくらしてそれはと見えないノラ猫が何匹かノソノソ。どうやらこの女性から餌だけは貰っているらしく、我々にもオネダリ風のニャァ〜で擦寄ってくる。僕は猫好きではありませんので無視、無視ですが猫好きの方は旅の興が増すかもね。公営施設ではほかには観光プラザが常滑焼展示を兼ねたSERAを併設して駅前の高架下に移転新オープンしていました。ここでも作家の期間展示等をしていて各作家の作品が数多く揃い、しかもややお得な値段で買えることができるので是非立寄ってみましょう。今回は鯉江敏弘展、来週からはかの村越風月さんとか。

 もう一つやはりはずせないセラモールでは一軒だけ店裏の倉庫の一部に古い物を置く店、今回は魅力的な木綿縞地の古い布なども加わっていたがこれはかなりのお値段。明治の手描山水染付平鉢の絵柄が違うやつそれぞれ1個ずつ合計3400円だけを買っておく。

 また常滑に行く前にやはり有松に立寄れば目的の久野染工場はまさに片側から解体工事中。はてどうしたもんだろうと中を覗うとまだ住居側には人の影、お婆さんが最終の片付け、荷まとめ中。今回はなにも見られないねとガッカリしたところに、その場に残っていた綿製テーブルセンターの大小3枚を持っていってとの嬉しいお言葉。自分で4代目の歴史ある建物が解体されるのそれは本当に嘆いていました。見れば大きな梁木や一枚板が上下に入った引戸など壊してしまうのはもったいない限り。残してまたここに新たに建てる時に再利用したらとしばし話込む。自分が持ってきた長持が2階に4つもあるけど新しく建てた国道側の工場には2つだけしか置けないのでどうしようかなどのお話に、弱みにつけ込んだように譲ってなどとはこの際は言えませんでしたね。我家にスペースがあれば本当は欲しかったのですが。

 今回も昨年とほぼ同じコースで回りましたので以上が追加のお話、さらに帰り道の最後、魚の買物はICから近いからと久しぶりに焼津にしてみました。ここは鮮魚店は少ないのですが鷲野商店だけはイキの良い駿河湾産物を置いているのはかって知ったるところ。本業はマグロだがこの日も大きいタチウオと大振りな真アジがお薦めだと店のおばあちゃん。その後話を続けてここより東の方の客は魚が分からない人が多いので説明してやらないの、あんた何処と。横浜だと言えばそれじゃぁ話しても分からないわねというので、俺は浜名湖育ちで魚には詳しいんだと逆襲。あんた男前だしそれなら良いこと教えてあげる、マグロと塩鮭だけはプロに聞いて選んで貰いなさいよだと。うちは信用が第一、評判落としたらいっぺんに客が離れしまうからいい品しか置かないとのたまわれる。その気風気に入りましたと時鮭も一本4800円で買ってしまい、次に来た時に味がどうだったか教えてねに、またねの返事で帰路につく。こんなのも旅の楽しみだから止められませんね。

<追記>
 常滑坂井温泉湯本館はその後平成15年2月22日TV東京の大都会から1時間の温泉旅館という番組で紹介されてしまった。なんでも愛知県温泉認定第一号だそうで先代と今の親父の顔は初めて見た。やはり地の魚を使って主人が料理という僕の好きな旅館、どこからTV局は情報を得たんだろう。その番組でも地元の小魚料理が一番と思って出していると喋っていい味だしていたあのホッペの赤い田舎丸出しのお母ちゃんに会いに行って下さい。でも丸出しなんて面と向かって言ってはダメですよ。

<追記2>
 焼津と清水の魚センターにはその後もちょくちょく買出しに寄道していますのでもう少し詳しく記しておきましょう。まず焼津ですがここにはおさかなセンターとは別に魚港前に焼津魚協直販所ヤイヅツナコープがあって、こちらは一店舗内にマグロを始めとして鮮魚以外はほとんど揃っていて便利だし、お値段もセンターより安いのが魅力。特に解凍ミナミマグロの本日のお買得はやや小さなマグロからの小振りブロックながら赤身と大トロが1パックに入ったものがあって帰ってすぐ食べるにはお薦め。さらに冷凍生サクラエビなどもここが一番安かったし、マグロやカツオ調理済み加工品からエビ煎餅などまでをまずこちらで仕入れ、次に静岡の名物産も揃うIC近くのおさかなセンターに回りましょう。ちなみに直売所は朝7時からでセンターは9時からなので焼津黒潮温泉(塩化物泉)などに泊った場合などは是非この順序で回ればバッチリですよ。センターではまず生利節の川直でパック入りではないその日に出荷されたものを買ってください。大きな半身は1500円ぐらいだと思いますが、賞味期限10日迄には楽々平らげてしまうこと請合い、小さいのは650円ぐらいからあります。我家ではタマネギ、キュウリに生利節をほぐして混ぜ、ポン酢かドレッシングで食べるのが定番、旨いのなんの。さらに秋からの鮭シーズンに最近やり始めたという同じ製法で作った鮭燻製風があって、これは村上岩船港鮮魚センターのマス一夜干しに匹敵する旨さ、1匹から背と腹の4本に分けて色合いも魅力的に作られたものが、大きさ別で1000〜1300円位と安くこれまた買わずにはおられない。その隣のカネキュー水産の干物は自家製でまだ生のままのような濡れ艶の開きで冷凍物よりこれもお薦め。さらに例の鷲野水産は朝に小川港の市場で仕入れたタチウオやアジ、カサゴ、ウマヅラなどなどの鮮度抜群かつ大型なものが揃う。家では包丁で切り分けるだけに調理してくれますから裁くのが苦手の方でも安心。冬場には刺身用天然ブリなども狙い目、マグロなどもよく説明してくれますからしっかり相談して買いましょう。ここの刺身類は冷蔵庫で3日は大丈夫だそうですから多めに買ってもいいですよ。30センチクラスの大型真アジで1000円程度、僕は自分で裁くと言うと店のお婆さんもそれが一番とお褒めのお言葉。家に帰って腹からワタを取り出せば油のノリがバッチリでしかもシッカリした手触りに思わずニンマリ、皮を手で剥けばビリッと音がして力を入れてもなかなか剥き難いのも新鮮な証拠、3000円以上はする大型タチウオだけは3枚におろしてもらって家では下側に皮を残しながら薄造りする。タチウオだけは揚がったその日にうちだけしか生では食べられない貴重品とか。ウマズラも普通と違う大型な種類でキモもタップリ、とこんなことを書いておくと皆さんすぐ買出しに行きたくなるでしょう。

<追記3>  2004.12での追加事項
  大東町の中心部に入って役場方面に東進し、いつも干芋を買う田中商店のある横道に右折するちょっと手前の左手にJA遠州がやっている夢美咲ミナクル市という施設があって、こちらは地元客中心なので観光客なども多いサンサンファームよりやや安いかもしれません。ここの小振りトマトも本当に美味しいし、今回あった花苗などでは消費税込ビオラ63円、パンジー73円、ケース売りならさらにお徳と東京では考えられないお値段でしたから大量購入するなら他の産品買出しも兼ねてドライブというのはどうでしょう。よこすかしろや遠州のその他の名産を多く取り揃えるのはやはり大須賀町のサンサンファーム、その隣には日本一大きいイチゴ畑をもつ赤頭巾ちゃんのおもしろ農園なるものがあり、そこのアイベリーはやはり大きくて人気があるらしい。ついでですから全部回っちゃって、さらに拘りの食材なら浅羽町のどんどこ浅羽まで足を伸ばしましょう。
 焼津には僕が小学校低学年の頃の思い出が一つ今も強く焼きついている。親父に連れられ藤枝で別珍、コールテン生地で通学服を作ってもらいに行った帰りに焼津港近くにある親父知り合いの薬局に立ち寄ってお茶をいただいていた時のこと。屈強な中年と若者の3人連れが来店し、太平洋の真中で物凄くピカッと光ったのを見たあとに振ってきた黒い雨に頭からぬれてから、髪の毛が抜けてしょうがないんだけれど何か効く薬がないかと頭をかきむしりながら抜け毛を見せているのに出くわした。薬局店主も首をかしげるだけでさぁそういうのに効く薬は分からないと返事していたのを思い出す。あれが有名な第五福竜丸の水爆実験被災だったのだということをあとになって新聞記事になってから知ったのだが、何か印象が強くてあの時の船員の風貌までもうおぼろげながらもまだ記憶の片隅に残っている。そんな遠洋漁業の町焼津ではやはりマグロが第一番となるのはやむをえませんか。そんな焼津お魚センターで唯一駿河湾鮮魚を扱うマルマン鷲尾商店にまた立寄ってみればオッカサンは相変わらず横浜人の悪口を言い、あんただけは別などとぬかしながら隣地に海鮮磯料理のまるまんという店を開業していたから食事もしていってと宣伝をする。小川港その日水揚げのこんないい鮮魚があるんだからこれを使って料理屋もやったらのお客さんの薦めで始めたそうで、旨い海鮮丼800円という壁書看板を出していた。次回は昼時を狙って食べてみようかな。追加紹介する店としては、この前TVで削り節やシラスが美味しいと人生の楽園に出ていた小林商店は場内二ヶ所ほどあるその場で鰹節削り加工している店の一軒で、あの何ともいえないいい香りを漂わさせていましたよ。全般に場内にも海鮮食事処が増え、9時の開店直後から寿司を食べている客が結構見られましたが、旅館泊りでなければ遅めの朝食にここで旨いものをという手もありそうですね。
焼津にはまだそんなに有名ではありませんが塩化物温泉が湧いていて、市内駅近くに温泉自噴の旅館や船員保険組合宿泊施設があったり、大崩方面の海の眺めがいい場所には大型観光ホテル旅館や簡保の宿が建っている。山の幸が売りの静岡油山温泉の冷鉱泉と違ってこちらは湯温42℃以上と本格的な温泉で食事はやはり海の幸が中心、漁港焼津のイメージが強すぎてピンと来ませんがじつは温泉の穴場で、最近2回ばかり安い市内の方の宿に泊ってみました。この周辺で市街地に近い温泉は数少なく、静岡市のほかには藤枝の志太温泉に建物が文化財に指定された潮生館が、さらにやや藤枝北部に行けば瀬戸川上流に日帰温泉施設の瀬戸谷温泉ゆらくがある程度。従って焼津は貴重な本格派温泉といえるのではないでしょうか。焼津には評判の高い地酒磯自慢がありますがその酒造りにはこの地の良質な伏流水が使われているとか、海に近いのにそんな良い水があるとはちょっと不思議な気がしますが、温泉の方はやはり海水が入った塩化物泉のショッパイ湯で納得です。市街の宿では老舗の料理屋だからお魚が美味しかったでしょと鷲尾商店のオッカサンが言っていた蓬莱館。鉄骨ALCの3階建ての1階は宴会場、2、3階に12室の客室というこじんまりした旅館で、夕食は隣接の料理店で供される。お値段は休前日で10000円位から、南マグロを自慢にしているようで12000円からは中トロになるそうですが、浜名湖の魚育ちの僕はマグロにはあまり感激しない輩なのであくまで地の魚の方が旨いと思います。料理店側にある自噴の温泉は一つだけでそんなに大きいものでなく家族風呂として交代で入るスタイル。無色透明42℃で毎分375リットルの湧出量という湯は浴槽底からブクブク豊富に湧き上がり、ややぬるめで気持ちが良い。飲泉も出来るそうで、浴室内の看板掲示に湧き上がっているところを掻き分けて飲んでくださいとは、なんとおおらかな、本当にそうするのとでも言うほかありませんね。塩分があるので血圧が高い僕は止めておきましたが一番風呂でなくても皆んなそうして飲むんでしょうか。通風、リウマチ、糖尿病、便秘、胃酸過少症に効能があるそうです。もう一つ市街のこのすぐ近くに船員保険保養施設のやいづマリンパレスという鉄筋コンクリートのホテルスタイルの宿もあって、船員だけでなく誰でも利用でき、一泊二食付で7000円代という安さは嬉しい限り。こちらの温泉はやや鉄分で黄色がかったカルシウム・ナトリウム塩化物泉、蓬莱荘よりやや高温でさらにショッパくてもっと塩分が濃い湯。こちらは飲泉はできませんが塩分効果であったまりポカポカの湯、外傷や火傷にも効くのは勿論です。すぐ近くなのに湯の色や成分が違うのはどうしてなんでしょうか。いずれの宿も料金が安いですから腹一杯食べきれない程というような食事内容ではありませんが、温泉療養ではこれが本当でしょうから良しとしときましょう。豪華にいきたい向きには静岡側の山の上に建つ大型観光ホテルの駿河湾や富士山を眺める部屋で、なるべく眺めが見える明るい時間帯を十分にとって、温泉と料理を堪能してください。

 清水は南側から三保への入口近くのしみず鮮魚センター、駅南方にすし屋横丁もあるエスパルスドーリームプラザの売店コーナー、駅近くにある河岸の市と3箇所が競い合っている。しみず鮮魚センターは通りがけに見ただけだが規模は河岸の市とほぼ同じ、ちょうど日曜の午前中だったが人の気配がなかったので素通りしてしまった。おそらく日曜休みのようなのでここは地元客だけが相手でしょう。エスパルズプラザは観光客が中心で、売店コーナーの規模は静岡の名物産も揃うので海産物店の数では他よりやや少ない。この中では地元客と観光客両方を狙うのは河岸の市、食べ放題の回転寿司も2Fに出来ているので寿司食べ放題と焼津お魚買出しツアーなどの観光バスが寿司はこちらと寄っていくようになった。一般客は10時以降からとなっていて、焼津より規模が小さくてさっと全体を見てから目ぼしそうなものを選べるのと鮮魚を扱う店が多いのが良いところ。食事もおがわややす兵衛など安くて旨い店が揃う。どちらも1000円あれば新鮮な刺身類がタップリと乗った丼物や定食が食べられますが、ちなみに一番高いのはやす兵衛の大トロにぎりで大きな8カンに味噌汁が付いて3000円となっています。その他の飲食店はさらに安く、時間が無いとなれば寿司弁当、丼物弁当などにすればなお安上がり、地元密着で観光客も混じるというのがいいですねぇ。ここで面白いのは豆腐と練物では一店だけの上野、オリジナル商品でちょっと珍しい豆腐のタコ焼風など結構旨いし、各種練物はおでんでもそのまま食べてもいいし、さらにここらでは珍しい生湯葉などもあるなどお薦めの店、是非試食して品定めしましょう。
 それで焼津と清水の両方をハシゴするなら大崩海岸の道をお薦めします。焼津から清水に向かえば真正面に駿河湾越しの富士山を眺められ絶景!絶景!天気が良ければ是非このルートでドライブしましょう。買物抜きでも価値ありの風景で、くれぐれも見とれて事故を起こさないように御注意を!とも付け加えておきますよ。

市営資料館

常滑セラ

小西洋平の茶注と穴窯ぐい呑

山田絵夢の湯ざまし

今回常滑での購入品

朱泥のイメージが強いが最近はいろいろな焼物が

ヤイヅツナコープ

鷲尾商店

川直商店

 直近の焼津宿泊で翌日は焼津の二箇所で魚を買ってから静岡の芹澤_介美術館に今回も立寄れば、芹澤が収集した仮面展がメインテーマで日本、アフリカ、ジャワ、中南米などとよくもこんなにという数が展示されていました。次回は椅子の収集品展示とかで、大家はかなりの収集マニアだったんですね。もう一つ今回は日曜日に初めて行って知ったんですが、美術館の裏に蒲田から移築した自宅兼仕事場の一部が日祝だけには公開されているのです。木造2階建て和風民家といった佇まいで、主が使った民芸箪笥や椅子、机、素朴で趣のある置物、さらにキリムやアフガンの絨毯などが当時のままに配され、そのセンスは流石と感心、再認識して帰ってきました。我々夫婦の趣味の大先達だったんですねぇ、やはり何か波長が合うところがあるのですねぇ。

大崩海岸

ヤイヅマリンパレス

芹澤_介美術館

移築された旧居

店データ
 田中商店          大東町新川新田 74        0537-72-2526
 サンサンファーム     大須賀町大渕 456         0537-48-6368
 井口堂           浜松市千歳町 25・3        053-452-0780
 ジャンジーノ        豊明市三崎町高鴨 5・13     0562-93-3911
 久野染工場        名古屋市緑区有松町往還北 117
      新工場      名古屋市緑区有松町境松 4・21 052-621-1041
 湯本館           常滑市坂井西側 1          0569-37-0006
 小西洋平          常滑市奥栄町 4・3          0569-35-5147
 陶磁器会館        常滑市栄町 3・8           0569-35-2033
 セラモール         常滑市金山山上砂原 27     0569-43-7111
 ジグレ            半田市浜田町 1・68        0569-24-0722
 かんざんじ荘        浜松市呉松町 1768        053-487-0257
 ラ・メール(浜名湖なんだろうミュージアム)
                 浜松市館山寺町 1891       053-487-2510
 カネ吉 しらす加工所    新居町新居 2715         053-594-1823
 丸三商店 堀江三郎    舞阪町舞阪 2037          053-592-0465
 河岸の市          清水市島崎町 149          0543-55-3575
 焼津さかなセンター    焼津市八楠 4・13・7         054-628-1137
 漁協直販所ヤイヅツナコープ
                 焼津市中港 2・6・13         054-629-7388

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