諏訪 2001.8.13
諏訪周辺も温泉あり、美術館あり、酒や味噌ありで、さすがに諏訪神社の総元締のお膝元やはり観光地として合格点を与えてよい場所、また湖近くは護岸堤防で風情はあまりありませんが遠く眺めるんであれば良い景色ではあります。この諏訪では毎年8月15日に日本一打上げ数が多いという花火大会がありその準備をしている時期、花火ならぬその準備如何にとへんな理由を付けて出掛けてみました。
まずは諏訪大社とは上社と下社があり、さらに上社は前宮と本宮、下社は春宮と秋宮の4つがあってそれぞれが別々の場所に建てられ、7年毎寅と申の年に行われる有名な御柱祭はこれらに各2本の計8本の大木を山から曳きだし、建て替えるもので、一度は見物したいと思っている祭です。社殿には4箇所を全てに行ってみましたが、本宮と秋宮が風格では上なんでしょうかね。特に秋宮は旧中山道の宿場町が続いており、今も和風温泉旅館が並び、本陣は跡だけですが脇本陣を模して復元したまるやは表側が趣味の良い民芸品売場でその奥が喫茶室、でここに来た時はいつも覗いてみます。
実は4年ほど前、ふらっとこの店に入って女房がいろんなものを見ている間こっちは中をぐるっと一回り、ひょっと見上げた白壁に一枚の藍染めのタペストリー風の布、なんと筒画きの家紋入りではあるがお目出度い鶴亀と松竹梅の赤も入ったとても状態の良いやつ。値札が付いているから売物だと付けられた値段を見ると4万円、すぐに女房を呼んでこんな所で欲しかったものがこりゃ掘出物と即座にこれ買いますと。愛嬌のある女将が家はこういう商売をやっているのでこのあたりの人が売ってくれないかと時々こういった物を持ってくるんですと。ここに掛けたもの以外もう一枚預かっているはず、まあこちらの方が柄が良いと思いますがそっちも見てみますかというのでそちらも買ってしまおうかとはい!お願いしますと僕。奥から戻った女将、今お父さんと険悪になって、これは売るなだって言い出したからすぐ引き返しちゃったと、即座に現金を出して品物をこちらの手に、うちは旅館もやっているので泊りにもきて下さいの声に機会があったらねとそそくさと店にサヨナラ。で、次の年にも行った時、去年あった筒画きみたいなの今日は無いのと声をかけると、はっとした顔であれを買われたのはあなたでした?と。そう僕です。ああ買われてしまったわと女将、買ってしまったねと僕、私、ああいうものの価値が分からないものだから、その道が好きな方の間では物が少なくなって高価なんですってね、でも分かる人に買って貰ったんだからと嬉しいお言葉。もうこんなめっけものは出てこないでしょうが、まあここに寄った時は何か買っていってあげましょう。
秋宮
下諏訪宿の鍵の手あたり
でもこの旅館、長野県内の古民家再生で名をあげた設計者になるもので、その後にTVや雑誌にも採りあげられ、女将の顔も出ていました。名旅館といえばこの宿の脇道側斜め向いにはライフに乗ったというみなとやがあって、老夫婦二人のもてなしが有名ですが、あんまり先の予約は自分達のこの先がもう分からないのにお受けできませんとかといっていた話の記事をなにかで読んだ。秋宮にお参りし、狭い範囲ですが昔の面影が残る街を散策、公衆温泉の児湯200円にでも入って土産に新鶴本店で名物塩羊羹を買って、時間があればさらに春宮にも行って少し歩いて万治の石仏なるユーモアあふれたお姿も見て、で次は上諏訪にも行きましょうかね。
駅のホームやデパートの上階にも温泉がある湯量豊富な上諏訪ではまず駅北側の道を東に行くと造り酒屋や醤油醸造蔵などが並ぶ一郭があります。酒蔵は濃い味系の有名な真澄(吟醸7号酵母採取の蔵)、独特な味わいの麗人、柔かい口当りの横笛、辛めの舞姫などが100mぐらいの間にあって、どこでも直接買えます。この辺は昔の街道だった雰囲気が残っています。
湖側の方に出ると美術館のオンパレード、北側から草分け的存在でガレなどのアールヌーボーのガラス工芸品を展示する北澤美術館、服部セイコー先代社長の収集した東洋美術のサンリツ・服部美術館、最近出来た細密素朴画の原田泰治美術館、アールデコのガラス工芸ルネ・ラリック美術館などなど、いずれも湖を望んで眺めの良い休憩所やカフェが用意されています。
ルネ・ラリック美術館内部
湖畔には名物公衆温泉が二箇所、間欠泉を吹き上げるセンターは水着着用、もう一つが昔は女工さんのための風呂だった片倉館、レトロな洋館も一見の価値ありですが風呂も千人風呂と称して底は砂利敷で深さも立っていなければならないような大きな浴槽で、中で歩けば足の裏を砂利が刺激して、酒の飲み過ぎで肝臓を傷めているはずの僕なんか痛いのなんの。ついでにお土産というのなら間欠泉センター客用駐車場の北隣にタケヤ味噌があって、お買い得品を販売しているはずです。
ぐるっと湖を半周すると湖に面する各旅館は駐車場の上を観覧席にして入場料を取る準備がほぼ終わっています、ここの老舗は布半だそうですがさすがに良い場所を占めていました。
諏訪での食事は駅近くでは昔はカウンターだけの小さな洋食みさわによく行っていましたが、場所を換えて客席数も多くなってからはやや足がにぶり、最近は高島城の目の前にあるフランス料理かわら亭の方が多くなりました。昼は定番メニューセットですが、その中の鴨のコンフィを注文すれば、これにサラダ、スープ、パン、デザー、コーヒーで1800円、もう一品メインをふやすと2500円となります。みさわの方はハンバーグ、鶏のカチャトーレ風など味付はしっかりしていて、カウンター時代はその調理の手際の良さに感心したものです。ほかには行ったことはありませんが蕎麦では登美本店、鰻は古畑、和食の仙岳、フレンチの999匹の羊などが人気店だそうです。高島城近くのパスタ、ピザのベティーライオンは一度だけ行きましたが若者向きですね。また東京方面への帰り道旧20号を諏訪ICに向かう途中にはでいだらぼっちというスペイン風料理の店があって、存外旨かったと記憶しています。また下諏訪の方では鰻の小林がかなり有名でしたね。
こちらに一泊する旅行なら蓼科に登りヴィーナスラインで素晴らしい眺めを堪能して白樺湖方面か松本方面に足を伸ばすコースを加えるのがお薦めです。我々は今日はこのまま軽井沢へ帰るので、また下諏訪に戻って秋宮前から142号で和田峠の有料道路で山越えし、和田村では物産直売所に寄りる。ここにも温泉はあるんですが、今回はその先の立科で権現の湯(含銅・ナトリウム・カルシウム・塩化物泉)に初めて入ってみました。露天風呂からの眺望も良く泉質もまずまずのもの、女房とまたここを通る時には立寄ろうかと。あとは佐久を抜けて軽井沢へで、朝8時過ぎに出て夕方5時頃帰るという一日の旅行記でした。
<店データ>
・かわら亭 諏訪市高島 1・23 0266-57-1150
・タケヤ味噌 諏訪市湖岸通 2・3 0266-52-4000
・ルネ・ラリック美術館 諏訪市大字豊田 2400・7 0266-57-2000
・北澤美術館 諏訪市湖岸通 1・13 0266-58-6000
・サンリツ服部美術館 諏訪市湖岸通 2・1 0266-57-3311
・原田泰治美術館 諏訪市渋崎 1792・375 0266-54-1881
・片倉館 諏訪市湖岸通 4・1 0266-52-0604
・宮坂醸造(真澄) 諏訪市元町 1・16 0266-52-6161
・まるや 下諏訪町立町 3304 0266-27-5151
・新鶴本店 下諏訪町横町木の下 3501 0266-27-8620
・みさわ その後に再び移転