信楽でいい温泉見つけた!鰻湯に入って白焼買って

近江・伊賀・浜松

2002.5.3(金)〜6(月)

 信楽、伊賀でも5月連休には定例の大きな祭とは別に陶器市が開かれているのでそれらを中心に、前回の秋の紅葉が良かったので今回は新緑はどうだとばかりに4連休を利用してまたしても大遠征。前回秋の3連休より1日多いのを利用して琵琶湖周辺の長浜と彦根にも寄ろうと、これは去年の5月にも丹後から廻って立寄ったのですが多少消化不良だったものですから再度と、でもここら辺はもう四度目になるんですが。それに中京以西への旅行では最終は浜名湖あたりに一泊して楽に帰るというパターンはこれもお決まりになりましたね。

 大型連休の渋滞を予想して午前3時起き、半前には出発としていたのですがやや遅れて我家を3時50分に出発。都筑ICから東名高速に入ればもう結構乗用車が走っている。本当にここ数年前からは皆さん出が早くなりました。でも順調に岡崎あたりまでは走ったんですが、交通情報ラジオは名古屋周辺は大垣IC先頭にもうかなりの渋滞、手前は豊田あたりから断続渋滞と流されている。そりゃもう7時となれば名古屋地区から行楽に出るマイカーの渋滞に合流するのはあたり前、断続渋滞は我慢して行くも名古屋ICから先は30kmの渋滞の表示に市内は逆に空いているだろうと一般道に逃げ出す。案の定市内はスイスイで混雑の先頭は大垣ICというのでその先はマシだろうとナビの案内で向かう。名神に乗れば木曽川あたりで小さな事故でやや渋滞したもののそこそこに走れ、北陸道分岐、長浜ICで降り、駅西側の私営駐車場に予定を遅れること1時間程の10時半過ぎに到着、やれやれ。もし京都方面に向かっていれば八日町付近も渋滞が続いていたようで、最初の目的地をここにしていて良かったですねぇ。

長浜黒壁スクエア付近の町並

曳山会館

 長浜はやはり黒壁スクェア、大通寺の門前町から発展し残った黒っぽい古い建物が集中している一郭で、ここ自体は三度目ですが、いつ来ても観光目玉に恥じないところ。旧北国街道が入口でレトロな街並の中、長浜ガラスを初めとして観光客を惹きつける店々が工夫を凝らして並んでここだけが賑わっています。まず入口付近の店を流し見しながら11時を過ぎたので、こういう所は昼時は混雑するし今朝は自動車の中で持参のありあわせを食べただけだったこともあるし、さらに見て廻る時間をなるべく多くしたいしで、早めにかつ短時間でとカフェレストラン洋屋という新しい店に入る。ここの洋食は至ってごく普通の内容、ちょっと奥まった和風の露地風庭の先にあって、食事よりおしゃれなカフェで一休みという使い方のほうが似合っている。さて店のほうですが特に僕が足を止めたのはまず骨董屋の西川、この手の店としてはやはり大きく今回は2Fも覗いてみましたが、古民具、道具類まで揃っていて品揃えが豊富です。でもいいものはやはり高いですからこの値段では目の肥やしにするだけ。もう一つは古い陶磁器でコーヒーもどうぞという宇根屋という店、ここは漆器に輪島あたりの良い品を揃えていました。ガラスでは黒壁ガラス館前の作家オリジナル作品を置くグラスギャラリー・マヌー、デザインなど優れたものが目立ちましたがなんと安曇野ガラス作家ものが混じっているのです。女房が行った店は好きなトンボ玉などのギャラリーサンライズKoKo、現代作家の作品を販売していますが人物模様などが奇麗に入った高級品は1個3万円以上とやはりそれなりのお値段。さらに古布衣の長浜屋、古い着物地を洋服に仕立てた最近中年女性などに人気の品物でこれまた安いものではありませんが、その種類が豊富で自分でも多少は作る女房は勉強になるんだそうです。

洋屋

古布衣の長浜屋

ガラスギャラリー
  マヌー

また初めて曳山会館に入ってみましたが、ここの山車は今まで見たなかでは一番大きく見事なもの。前面が本当の舞台になっていて、4月14〜16日に行われる秀吉が再興した八幡宮のお祭りには境内に勢揃いして子供歌舞伎奉納が演じられるとのこと。常時2台が展示されボランティアの説明員が熱心に講釈、さらにその微笑ましい様子が映像シアターで見られます。屋台の金具は近くの鉄砲鍛冶の村としても名を馳せた国友の職人によるものとか、秀吉はそれが欲しくてここに城を作ったという説明や、京都とここに2分割され屋台の見返幕になっているゴブラン織の説明などこの時代の日本人のやらまいか(浜松の方言です)精神に感心させられましたよ。ここでは1Fに喫茶と食事ができるコーナーがあり、入場料を払って見学した人は一割引とのこと、おりしも食べているのを覗けば近江だけあって牛の肉じゃが風の皿は旨そうなやつでしたねぇ。知っていたらこちらの方にしたのにな。またここの名物はのっぺうどんだそうですがどんなものなんでしょう。さらに冬場は鴨料理の旨い店があると聞き及んでいます。まだまだ楽しみがありますね。

 駐車場に戻る途中駅前にスーパーがあったので、常滑で買って旨かった名古屋地区で作られている献立いろいろ味噌がこのあたりならもしやと探しに入る。やはりありましたよ、7パックあったので全部買占めてしまいました。

 ということで次は彦根、ここは10年以上前に城の北側の藩主庭園の玄宮園の中にある八景亭という江戸時代建築らしき建物に泊ったことがある。この庭園の整備を請負った人にその代わりに屋敷を自由に使って良いということになっていて、宿泊させているのだそうですが、もう建て付けが悪くて寒々する屋敷内、宿泊は一組だけにしているのか我々二人だけ、そこに初老に入ろうかという世話係の仲居さんが一人。さすがにこの時ばかりはなにがしかの心付けは出しましたです、はい。池を望む広い座敷でポツンと我々だけで食事、殿様もこんな風に孤独だっただろうかとこれはまた貴重な体験をさせて貰いました。その時の朝食中に池の向う岸に青鷺の姿がと仲居に教えられ優雅なものと思ったのがなんと、今回駐車場から佐和田門に歩けば、お堀内側の大木の上はその鷺の巣が一杯で何羽も泊っているのにはビックリ、ズームで写真に収めてしまいましたがこんなにいたんですかね。最近は川が奇麗になったのか、白鷺などもよく見かけるようになりましたね。

譜代井伊家の現存天守閣

鷺のコロニー

 次に訪れたのが数年前のこの連休で、佐和田門近くの駐車場では骨董市が大規模に、続く多聞櫓の中では見事な山野草展が開かれていて印象深かったので、昨年は6日の帰り掛けに立寄ったのですが5日迄で終ったあとのまつり。今年はということで来てみたのですが、骨董市の方は一番離れた大手門側の駐車場の一郭にテントを2列に並べて細々としたものに様変わりしているのにガッカリ。でも山野草展の方は前より数は少なくなっていましたが見事なものが見られました。ここでもいろいろな野草苗が安く販売されているのでお好きな御仁には嬉しいでしょう、この展示会は10月にもあるそうでまた別の草花が楽しめるはず。

 あとは井伊家により最初に町割されたという場所に数年前完成した夢京橋キャッスルロードなる観光商店街を一歩き。ここでの女房のお目当てはまず和菓子でその店はキャッスルロードを少し外れた所にあり、たねやは近江八幡で洋風ケーキから始めた店だそうですが東京のデパートなどでは和菓子屋のイメージ、ここは和洋菓子の販売と喫茶室にパン工房も加わって繁盛している。もう一つは和菓子のいと重で、こちらも全国に名の通った店、首都圏では売っているのを見たことがありませんが、一度だけ大山豆腐祭の際に饅頭屋良弁の全国和菓子サービスで見かけて知りました。キャッスルロードでは近江牛料理の伽羅、鮎のきむら、ワインレストランのたすとヴぁん、招福猫グッズの招福本舗などが有名のようです。特に招福猫については江戸時代初期は直孝公の豪徳寺の逸話、鷹狩の折に招猫に誘われその猫を可愛がっていた和尚の寺に立寄り雷雨難を免れたという話でそれぞれに幸運を呼んだ招福猫児の人形が生まれたとかで、ここ井伊藩はその因縁深き土地なのです。

キャッスルロード

たねやの外観と和菓子店内部

そんなこんなブラブラしているうちに時間もよろしいようで、国宝の天守閣や博物館、直弼の埋木舎などは今回はパスして信楽の宿に向かう。

 信楽近辺は一箇所の交差点だけで街道筋が渋滞するので、車1台やっとの道を抜け6時に今日の宿、小川亭に到着。初めての旅館なのだが、サライに信楽焼作家ものの器で料理を出すという記事を読んで今回予約したのです。和風小奇麗な宿で最近大浴場と食事用和室個室を増築したばかりとか。また主人が料理人とは僕の好きな条件に加え、さらに思いもかけず温泉なんだそうでこりゃ儲けもの。予約での電話応対もとても丁寧で期待できそうよという女房の予感は当りでしたね。風呂は新旧信楽焼タイルが見事な浴室で朝には男女入替りになります。特に旧風呂の方の陶板タイルは蛇口台まで立体に作ったもので必見ものですね。泉質はナトリウム炭酸水素塩塩化物鉱泉で特に新しい方は鰻湯というようなツルツルヌルヌル、濃そうな感じがいいですねぇ。増築時に屋上に貸切露天風呂を2つ作ったそうで、明るい時間なら50分1500円は入る価値ありではないでしょうか。

小川亭

夕食

 さて食事は新築の和室で季節のもの中心に、暖かいものは順じ仲居さんが運んでくる料理屋スタイル、けっして量は多くて腹一杯というのではありませんが、最後軽くご飯で締めてこの位が適当でしょう。料理毎に器が全て変わり、だれそれ先生の作と説明がありましたが苗字だけでは同姓の作者も多く(これはどこの産地にも言えます)あとから陶器屋で買おうとするとまごつきますよ。でもここ旅館の玄関には使ったのと同じ焼物が売られていて作家名もありますから再確認できます。いや最初に見ておくべきだったですね。それら主人が選んだちょっといける焼物は存外安い値段ですので気に入ったものはここで買ってしまいましょう。あとで町中の陶器屋にあるとは限りませんから。宿の主人に聞けば、本当に気に入ったものを買うなら展示館などで好きな作家を探しその窯元に行って買うのが良いと、僕らのやりかたが認められました。是非作家マップを産業展示館などで手に入れてから廻りましょう。

 翌朝は朝風呂に入ったあと朝食、味噌汁は瀬田蜆でしょうか、たっぷり貝が入っているのが嬉しい。ここでもコンロ以外はご飯茶碗まで昨夜と違う器で供されるのです。精算時昨日からの器全部はありませんでしたが名前と作品をチェック、その中から酒器片口とぐい呑を購入。ぐい呑は谷井直人作、そういえばどこだったか忘れたが東京で信楽直人窯の器が気に入って、信楽に行ったら買おうと思っていたのを思い出しました。自分が気に入ったものというのは変わらないものですね。片口は上7割に白釉粉引が掛かり、ヘラの削り模様が力強いもの、でも昨夜これで呑んだ原酒は辛口過ぎで僕はアルコール度が高ければもっと旨口の味の出る酒の方が良かったのですが器は気に入りました。先代は中小企業経営で内閣総理大臣表彰されたとか、宿そのものも気に入って女房とここも常連になっちゃおうかなと。

朝食

信楽、伊賀での買物

 昼前まで車を置かして貰い街中の陶器屋と駅前のこの周辺の店が出店している窯出市(陶芸の森手前でもやっているそうでが同じようなものと宿の主人が言うのでこちらだけに)を廻る。このあと前回見られなかったミホミュージアムに向かう道筋、作家窯を訪ねようというのでここでは安い出物だけを目当てにする。結局いつも家で同じものを使っているので魚用長角皿を5枚、同じ店で2枚だけの半端物の緑釉が気に入った小皿、さらに花入にも使える焼締片口があまりにも安いのでプレゼントにもと3個を都合3700円だけで市は切上げ。忠六苑の焼締はさすがに素晴らしかったのですがやはり高いのでまたお預け、変わった形の花入で女房も気に入ったものがありましたが今度の楽しみにしておきましょう。まだ大御所の窯を見終わっていませんですしね。

駅前陶器市

信楽伝統産業会館

ミホミュージアムへの道筋には現在の第一人者春斎窯、宿の器では出たものの販売品が無かった神崎宗昭、先代が文化財級の楽斎窯がある。ここでは各々が登り窯を持っているのにはさすがと感心しきり、ちょっと裏に廻ると民家の間にあって、でも焼くときの煙はどうなんだろうと心配してしまいました。土管製造で大型窯業工場の高い煙突がある常滑のように目立ってということはありませんが、ちょっと裏に廻ればこういう風景がみられるんです。春斎窯は街中の店で小振りな花器が60000円、宿の主人が今一番高い作家というので次回覚悟を決めてから行こうと様子だけ見ましたが、普通の家構えで展示場もその中らしく玄関は閉められかなり入りにくい感じ。神崎宗昭の窯はお休み、で結局楽斎窯で息子光三のぐい呑1個だけ3000円均一というので多めに灰を被ったやつを購入、ついでに花入などの値段を聞くと小さい物は20000円とか、こちらの方はまだ安いですね。ちなみに春斎はここの先代の弟だそうで、光三は甥になるんですかね。次回には上田直方窯を含め、一流どころを腹を据えて廻りましょうかね。

春斎窯

 ミホミュージアムは熱海のMOA美術館の分かれとかで、宗教法人秀明会が山全体を敷地に宗教施設と共に建設したもの。昨日全国各県からの観光バスと何台もすれ違い、天理教の帰りかなと思っていましたが、どうやらこちらの方だったんですね。駐車場近くの到着ロビー風建物からさらに800m先の上に登ったところに美術館はあって、電動カートが往復していますが歩いても10分程。でも行きは登りの坂道がキツそう、両側に植えられた枝垂桜でも咲いていたら歩くのも良いでしょうけど歩くのは下りにしましょう。熱海はトンネルの中をエスカレーターで美術館入口へというのに倣ってか、ここもトンネルがあってその先は異次元の世界へという仕掛で斜長橋が現れ、前方に美術館の建物が見えます。建物は向う側下り斜面に沿って低く建てられているので大きく見えませんが、中に入れば豪華さにビックリ、窓からは山の景色、さらに変わった形状の宗教建築らしきも遠望できるのです。館内の常設展示は紀元前はるか古代から中世までの中近東から中国の古美術が中心。今回の企画展は永青文庫、細川家の名宝で中国と日本の茶人趣味の美術品を中心に由緒ある家筋に相応しく信長書状なども、東京にあるのに見に行っていませんでしたので良い機会でした。商、殷などの青銅祭時器などは根津美術館で見たのと同じようなものがありましたが、国宝、重要文化財、重要美術品のオンパレード、このランクは時代の古さとは別なのと女房の質問に、そりゃ希少性、歴史上の位置付、美的価値などで決まり、古くても沢山出土しているものは何の指定も無いよと知ったかぶりをちょっぴり。2フロアに渡って全部見るのはかなりの量に足早で周りまた来ようやと、ここは建物、風景、美術品と1000円の入場料は安いといえますね。

で昼もかなり過ぎて腹も減るものの館内のカフェレストランはまだ待つ人の列で、ここを出て取付道路を下りきった入口近くにある田代高原の郷でうどんと鰊そばをそれぞれ注文。安くあがった分は前回売切れで買えなかっためちゃうまいお茶のじゃむなるものを購入、外では花苗が1ポット50円と安いので調度植替時期で来週にもと思っていたので幾つか買込みました。

 次は伊賀丸柱の長谷園で行われている窯出市に向かう。例の土鍋かまどさんがお目当てなのです。信楽と丸柱はちょうど益子と笠間みたいな関係、いやもっと距離もですが作風も近いように思います。ともに古代に琵琶湖湖底に溜まった土が陶土になっているとか以前に聞いた。長谷園の4棟の販売建物への手前から若手個人作家らしきが自分達の作品を並べるテントが続き、バラエティがあるのと安いのとで楽しい市です。さらに山野草、花苗、グリーンボールなども販売、レトロな洋風木造建築の中はカフェが設けられ、食べ物テントや地元物産販売までありでここも賑わっていますねぇ。長谷園の奥には江戸時代から昭和40年頃迄使われた大きな登り窯が残され、その前では忍者手裏剣投げゲームなんて子供の遊び場所も考えている。この窯出市3日間だけは3合炊かまどさんが通常10000円を7000円、でみると4000円の値付けのものがある。なんでも釉薬が蓋の中にも少し入ったなどのB級品だが炊き方は変わらないというので中でも出来の良いやつを選べば、これはほとんどA級に近いと、美術品じゃないんだからこれは安い買物をしました。長谷園は土鍋以外でも結構いい焼物がありますよと少し宣伝してあげましょう。あとは若手テントの中で女房が気に入った何にでも使える猪口、何種類か模様付けが違うものがありましたが、雰囲気の良い2個だけ購入、ケチですねぇ。最後には雨がポツリということで今日の宿はまたしても赤目温泉へ。雨は今晩だけらしくいい時に降ってくれます、洗車なぞ一切しないマイカーはホコリだらけ、これで奇麗になるぞ。

 昨秋の赤目温泉は人工ラドン風呂、で今回の宿はその時こじんまりがいいなとみた赤目館。さっそく10室の旅館としては大きめの風呂に行けば風呂場に例の保健所の成分表がここも無い。聞けばやはり温泉ではありませんでした。ここで温泉があるのは巨大旅館の対泉閣ともう少し手前に降りた山水閣のみだと。赤目温泉を名乗るならどれも温泉だと遠方の客は思うでしょう。予約時にうちは温泉じゃありませんとは聞かなきゃ言うはずありませんものね。予約の電話応対はこちらはぞんざいだったわよと言うとおり、食事なども取り立てて書くようなものではありません。大広間で給仕はお婆さんたち、もう手際の悪いこと、ちぐはぐの連続、失礼ながら毎日やっていても年は争えないんでしょうか。でも一泊10000円ではこういう観光地では文句も言えませんかね。ここは川に面するロケーションだけが取り得でした。

 翌朝は雨もあがって6時少し前には赤目渓谷の新緑は如何にと散策に出かける。入口の料金所は9時からで早朝は素通り、先客はこの時間はさすがにほとんど居ない。今回は前より先、2ヶ所ある奥の方の茶屋がある百畳岩と姉妹滝まで往復1時間20分を早足で歩きましたが約2/3近くまでは進めたでしょうか、大汗をかきました。旅行では夜の酒は少ないし、早寝早起でさらに歩きの運動まで、普段では考えられないような健康的生活になりますね。宿に戻って風呂で汗を流し、これまた出汁の素を入り忘れたらしき薄い味噌汁にビックリして朝食を食べ、室生寺のシャクナゲを見ようと出発。

 室生寺に入る少し手前、街道筋の道の駅の直前隣には何とかふれあい市なる産物直売所があって、筍やウドなどがあまりにも安いので帰りは明後日だけれど買っておく。インパチェンスの苗もやはり50円というのでこれも買う。我々の旅はこういう所にちょくちょく寄道して買いあさるのが常なのですが、これも旅の楽しみで面白いんですから。この近くには4月は枝垂桜とシバザクラ、5月は花菖蒲という花園があるそうで、看板が出ていましたが先を急ぐのでパスし室生寺へ。今年は季節が早くて心配した通りで盛りは過ぎて大型株の花はもう終り、奥の院の方はまだ少し見られましたが満開に巡り合えず残念でした。今回も頑張って上まで登って景色を眺め、懸崖作りのお堂の回廊に休んで風にあたり汗を静め、少し笑う足を引きずり階段を下ることに相成りました。この階段一気に登るのは日頃から相当鍛えていなければ出来ませんから試してみてください、自慢できますよ。ちょうど今は山菜のシーズンで門前町に戻れば旅館を兼ねた有名料理屋がいくつかあって声がかかりますが、山形西川町の出羽屋の山菜尽であまりにもと閉口したことがあって、こういうものは家でちょっと料理してぐらいが適当ですかね。

 室生寺から戻り国道に出る手前右手に入った場所に、来掛けに見かけたやまがという葛切の看板を掲げる茅葺民家の店、奥の院まで登ったご褒美に是非にと女房も言うので、ではと立寄る。女房は葛切1300円、僕は甘いのはご免と抹茶に葛焼のセット900円を頼む。あとで気がついたがこの店はサライで紹介されたことがあったはず。やや耳が遠くなった初老の主人が僕が食べた葛焼の説明。同じ葛根を使うが葛切とは製法が違い、それを焼ける迄3年かかったとか。甘さはトウモロコシなどの穀類の甘さだけで味付しているそうがだこれがまた優しく不思議な味と食感。葛切も腰が強くて甘さ控え目で美味しかったそうですよ。昔は救荒食だったのに今や高級食品となった葛は結構お値段の張る甘味材料なのですが、他にはこのような食べ物は無いですね。それにやや骨董っぽい器は聞けば有田に特別注文したものとか、結構凝っているんですよ、これが。帰り際これから名阪を走るというと主人の忠告、最近覆面パトカーが7台も増強され、あのビュンビュン走っている車を先頭だけでなく後続車まで捕まえているから気をつけてと。ご忠告に従い捕まらずに済めば安い一休みになったでしょうかね。

 という訳で11時半前には室生の店を出て今回も阿山町農事法人がやっているモクモクファームに向かう。離れた駐車場からシャトルバスの送迎は前と同様なのだが、今日の駐車場の車の数は秋の3倍以上。ファームに着てみれば人人人、やはり子供に日は大変な混雑ですねぇ。同じ食堂で昼にしましたが、さすがにこの日は名前を書いて順番待ち、でも20分程度で食べられれば良い方でしょう。ここのハム、ソーセージはやはり旨いですよ。園内を一回り、ミニブタ追い子供レースやミニブタの子供だましの芸などにぎやかにやっていて、微笑ましい限り。本日はジャンケン大会で色の違うシールの人とジャンケンして勝ったら取って5色集めるとお土産が貰えるんだそうで、家族連れヨチヨチ歩きの坊やが家族分4食背中に貼っているのを見かけ、僕の緑色が無かったのでポンと貼り加えてあげたら喜んでいました。あまりの賑わいに早々に退却、ここでも花苗は50円と横並びに安いんでまたまた追加購入、また伊賀米銘柄ごーひちご(これは昨秋新米時の値段より格段に安く5kg1500円になっていた)やハッサクミカンも安かったので重いにも拘らず買込んでバスに、でも座れたからよかったけどね。

 最後の宿泊地浜名湖に向かうこの日は東名など帰りのピークで30km以上の渋滞のラジオニュース、ここら辺も特に料金所手前は2km以上の渋滞情報がナビに。特に亀山IC手前の渋滞が長かったので久我ICで降り亀山まで一般道に出れば1号線に出る交差点があの伝統的建物群保存地区の関宿で、西の追分駐車場に思わず入って街並を眺めることに。

 ここから1km以上タイムスリップしたような街並が続き観光商売の店は一軒も無し。建物は信州上田の東、海野宿に比べる軽快な感じで平入りの家々が並ぶ。水路もここは有りませんが西の方向には鈴鹿の山が正面に見えるのがいい風景。観光客が少ないなと思ったらこの東端の国道沿いには道の駅関宿があり、旧街道の東に伸びるもっと細い道筋には店が並んで人があふれているじゃありませんか。観光客は賑やかなそちら側だけに集中しているんですね。でももう時間が無く、混雑したらもっと遅くなる恐れもあったのでまたの機会と切上げ。

 亀山ICからは一部渋滞があったものの比較的順調に走る。入ってすぐに亀山手前の渋滞で横に居た磐田西高等学校県道部のバスが前を行くのに出会う。こちらは一遊びしてきたのにご苦労さんと追抜き、心配した名古屋付近もスムースで三ケ日ICで降り一般道に。細江町は気賀駅前、もう6時なのにまだ客が10人程も並ぶうなぎの鶴見で明日の営業時間を確認して国民宿舎奥浜名湖荘に入る。

 宿に向かう坂道の入口付近には浜名湖料理で有名な料理旅館吉野屋もあり和風風情のある建物、次回はここに泊るのもいいかなと。そう言えばここ奥浜名湖の隣町引佐町にある龍潭寺は彦根の井伊家の菩提寺で小堀遠州作という庭園で有名、そのあたり井伊谷という土地の豪族で井伊を名乗り後に家康に仕えるようになったのです。寺といえばこのあたりには臨済宗の一方の本山奥山方広寺(もう一つは京都妙心寺派)、平安時代の庭園遺構が残る磨伽耶寺、浜納豆で有名な大福寺など多少は名が知られているの古刹がいくつか点在しています。浜名湖の国民宿舎3ヶ所はここで全部泊ったことになりました。設備と展望そして料理の総合点ではかんざんじ荘、ぜひ温泉というのなら紅竹、国民宿舎の老舗のここは眺望と料理が自慢のようでロビーと食堂は改装され奇麗になっていて悪い感じはありません。風呂は四季ごとのハーブ風呂で今はコンフリーとか。宿泊部屋はかなりの年輪が感じられ、TVも一時代前のリモコンなし、トイレもついていませんが休前日でも一番高い蟹付料理コースを頼んで9800円という安さは合格点でしょう。

奥浜名湖荘からの眺め

夕食

朝食

 特別料理では冬はスッポン料理を最初に始めたし、この時期は伊勢海老料理だそうですが、頼んでいる客はいませんでした。夕食の量も適当でしょう、でも酒がここの地酒花の舞では無かったのは残念です。翌朝の内容も塩鮭にワカメの味噌汁は地元浜名湖の魚干物やアサリを使った方が喜ばれるんじゃありませんかね。最後の日は帰ってから夕食は家で作ろうと早めに動く。

 まず最初は予約できないという鶴見の白焼(タレつきはありません)を買いに8時40分に行けば我々はもう10番目。待つ間に店の人が肝を袋詰したものを今日はサービスと平ダンボール6箱も置く。後の叔母ちゃんが焼くのは大変だけど煮るのならと作り方を教えてくれたので3袋も欲張って貰っちゃいました。でも10袋も取って行った輩もいましたよ。叔母ちゃん曰く、この店は裏の清水の湧く池で締めるので皮がとても柔かくて旨いと評判とのこと、以前知人から送ってもらって美味しかったんですよ。

白焼の持帰りだけでいつも行列、それもみんな沢山買うし送るしで待つ時間が長くなるため駐車場も広い。この町の長者番付にも乗るんだそうで、それで玄関棟の軒瓦の中心には立派な金色の家紋が入っているのですか。気賀のもう一つの名物はみそまんじゅうということも聞きましたが地元の人との話は面白いものです。白焼は鰻1匹丸ごとで、大きさで500〜700円、それに前日の残りがサービス品となって4〜5枚入った包み2000円。40分程も待って600円の手頃なものはもう売切れなので650円と550円を3枚ずつにサービス品1パック、タレもその分だけ買って館山寺のフラワーパークにこの時期ならと向かう。

市制70周年記念事業で作られたそうで、大きな公園といったものですが、寒い季節にここにということが多く僕も初めてです。5月はバラ苑が真っ盛り、花菖蒲園の方は今年はもう見られるかと思っていたのですがどういうわけか別の池では咲いているのに大集落の方はまだ開花していませんでした。おりしも浜松の山野草会が苗を100円からと安く販売中で、家の庭に地植えしても大丈夫な種類を教えて貰い、安いから枯れてもいいやのノリで1個サービスの5種類も買って、帰れば仕事になるのにね。

 11時半前に最後の買物場所を静岡だけは先に抜けておこうと清水を選び、駅南にあるいつもの河岸の市に向かう。

 最初にフジショウで女川産銀鮭を一本買いして切り分けて荒塩して貰うよう頼む。その待ち時間を利用して腹ごしらえとおがわに廻ればもう行列に、で向かいの寿司、海鮮のまぐろや・やす兵衛はまだ席が空いていたのでこちらに入る。ここは隣接の魚問屋が持帰り寿司と共にやっていてにぎりもメニューにある。僕は磯盛丼1000円、女房は上にぎり1500円を注文、ここでも室生と同様亭主より高いのを注文して平気なんですかね。出てきたものはおがわみたいな派手な厚切りではありませんがかなり旨いし、蜆の味噌汁はお代り自由というのも嬉しいじゃありませんか。食後には今晩のおかずにと刺身用にミナミマグロの小ブロックとヒラメの表腹側1/4、掻揚用に今獲れている生サクラエビ、あとは朝干したアジの干物、釜上シラス、アサリなどを仕入れて鰻と共にアイスボックスを一杯にして家路に。

上にぎりと磯盛丼

 長連休の最終日はこのところいつも空いていて今日も東名高速は至ってスムース、午後3時半には我家に到着。まだ早かったので、庭に山野草を植込み、玄関先の鉢植えの植替えも3鉢も済ましてしまいました。ヒラメ薄造りとマグロ刺身、鰻肝の浮袋取り(水の中に漬ければすぐ分かります)は僕の分担、これに山菜ウドの天ぷら、サクラエビ掻揚、アサリ味噌汁、よく食べる倅には鰻白焼と御馳走一杯。で僕も暫く少なかった酒量が一気に元に戻りました。

追記
 次の日は説明書通り白焼を一度茹で、タレを何回か付けて焼き、蒲焼で食べましたが本当に皮が柔かくそんじょそこらの料理屋以上の味でした。また湯こぼしして生臭さを消し、蒲焼のタレと同じくミリン、酒、醤油、砂糖だけで煮た肝煮の方も僕が子供の頃、親父が串焼で除去していた苦い胆嚢部分をとらずに煮るのはどうかなと心配はしたのですが、多少は苦味はあるもののまずまずの味、量が多いから冷凍にもしておけば暫くは酒のつまみは大丈夫でしょう。

店データ
  西川             7号館             0749-65-5050
  グラスギャラリー・マヌー  6号館            0749-62-6363
  黒壁ガラス館        1号館             0749-65-2330
  サンライズKoKo     13号館             0749-65-4563
  長浜屋           長浜市元浜町 14・23    0749-62-8202
  たねや 美濠の舎      彦根市本町 1・2・33     0749-24-5511
  いと重             彦根市本町 1・3・37     0749-22-6003
  小川亭           信楽町長野 876       0748-82-0008
  MIHO MUSEUM    信楽町桃谷 300       0748-82-3411
  やまが            室生村大野 2369      0745-92-3355
  モクモク手づくりファーム 阿山町大字西湯舟 3609 0595-43-0909
  国民宿舎 奥浜名湖    細江町気賀 1023     053-522-1115
  吉野屋            細江町気賀 904       053-523-0004
  鶴見             細江町気賀 10181     053-522-0527
  河岸の市          清水市島崎町 146     0543-55-3575

戻る