カタクリを見に行ってとんでもない買物

相模湖周辺   2002.03.31(日)

 前日はここ数年桜の季節恒例の我家におけるワインを楽しむ会。朝方にプロが仕入れる生麦市場にヒラメやカンパチを買出しに行き、それをさばく料理など多少は僕も手伝うがほとんどが女房の手作り料理で9人の客の腹をみたすのに朝早くから大忙し。暖かいものは順じ出すし、最後は後片付けがあるので女房には美味しいワインもほとんど飲ませずで大いに働かせることに。当然僕はしこたま飲んで酔っ払うので終わってそうそう夕方には寝ちゃうんですね、これが。それでご機嫌取りにと翌日は城山町のカタクリの里から津久井、相模湖をドライブし、最後は藤野町営のやまなみ温泉にでも入ってこようかと出掛ける。この周辺は我が神奈川県にあるのに不思議に訪ねたことが無く、近いしそれ程でもという先入観みたいなものがあったんですね。それで犬の散歩と市長選挙(こういうのにも女房は妙に真面目なのです)を済まして9時には出発。

 行きは順調にR246からR16経由で橋本手前から分かれ城山町川尻のカタクリの里手前の駐車場に10時15分頃には到着。駐車場はあとで分かったんですが目的地すぐ傍にもあって、我々は10分ほど歩く一番手前に入ってしまったようです。スミレやヤマブキ、シャガなどが咲く小道を行けば、背景に結構広そうな斜面のある農家の入口で300円を払い入場。見たところこの前に行った両神村の節分草の300円より見応えがありそう。ここは自分の裏山に西洋産のカタクリを自分達で植え、今では神奈川の花の名所100選にもなっているそうであるが、カタクリは花が咲くまでには8年かかるそうで、大したもんじゃないですか。見物客がゾロゾロ登る中に混じって行けば、紅色のカタクリと福寿草(原種の一重のやつ)、アズマイチゲなどは先週が見頃だった様子。でも黄花のカタクリはこれから見頃だし、岩ウチワ(大型花の方の種類)、ヒトリシズカ、一輪草、二輪草、イカリソウ、ショウジョバカマなど、また少しばかりだけれど森の女王シラネアオイまでが見られ、個人の山野草苑としては都賀町の花之江郷の入園料とも比べてしまいましたがこれも立派。その他に花木も沢山あってどれにも名札が付けてあって分かりやすく、これだけ見られれば確かに新聞にも出るはずです。ここは秋まで各種の山野草が楽しめそうで、その時々で入場料金を変えるのでしょうか。日本の山野草は高山植物のコマクサなどは別にして、総じて湿った所を好む植物が多く、ここの斜面も適度に湿気ているんだそうです。尾瀬のような湿原はさらに水を好む植物の宝庫だし、箱根湿性園もそうですね。近年額片が下に反り返った西洋タンポポばかりが増えているのは開発で土地が乾燥してきているからだそうで、湿気させれば日本タンポポがまた勢いを取り戻すそうですよ。もう一つ都会で山野草が育たないのは都市化現象により夏場の夜の気温が高いからで、昼間いくら暑くても夜が涼しければ大丈夫ということも聞きました。ここはすぐ近くまで都市化してきていますが、まだまだ都心からみれば環境は良いようです。一周して降りてくれば売店で岩ウチワや黄花カタクリなどを売っていましたが、これはこの前の里美村などと比べると数倍のお値段。我々はいろんな所で値段を見ているのでこちらだけは素直には買えませんね。

福寿草とカタクリ

岩ウチワとショウジョウバカマ

黄花カタクリ

シラネアオイ

 さて出口から出て道路の反対側をなにげなく見るとリサイクルセンター、掘出物ありの看板に、ちょっと寄ってみようかとフラフラと入る。仮建風店舗の前、最初に目に入ったガラクタや電動工具中古品などに普通のリサイクル屋かと。でもと店内に入れば、ステンドガラスやアールヌーボー風のランプ類が安い値札、でも僕はこういうものは買いません。その隣にちょこんと置かれた手回しコーヒーミルを見ると、これは外国製の陶器で染付風の絵がかかれたもの。安ければ買っても良いのはこのくらいかなと女房と話しつつ次ぎの部屋に入ると、ここには和骨董のコーナーで古民具や陶磁器、和箪笥などが置かれている。家具類などは金具に古い物を利用した再生品だが、奇麗に作られていて値段は安い。陶磁器の方は明治以降の伊万里が多くこちらはそこそこの値段がつけられている。その中でなかなか良い雰囲気の階段箪笥の値札を見ると195000円とは、隣の水屋箪笥や飛騨地方に多い厚板天板台が特徴の長火鉢の値段と比べてもかなり割安。主人と話せば、3分割されていて全部で7段階段、両側から使え、さらに二つの段箪笥の一方を逆にして重ねれば真四角にもう一つの箪笥と同じ高さに並べられるというすぐれもの。どういう使い方も出来そうで、新しいものを中に使って作り直してあるとはいうものの、外見の風格からは4〜500000万円と言われても納得の品。思わず現金で、直接すぐ持って帰るからと値段交渉。新品で作っても相当なお値段のはず、普通の安売り中古品ショップではこいうものはさすがにありません。180000で手打をしましたが、この大物ではそんなに値切るわけにはいかないでしょう。最近は老後もあるのに無駄遣いしないのと言っていた女房も、私の家計からは払わないわよ、立寄るんでは無かったわ、と言いながらの多少のポーズはしてみせてはいましたが積極的反対はなし。僕が車をとって来るあいだに、しっかりと先ほどのコーヒーミルをサービスで手に入れニコニコ。値段を聞いたらあれは高くて6000円だけどこの際奥さんにあげるよと言わせ、しっかり確保していました。おかげで後部座席と荷物スペースを一杯にして、長い袴台座が車の発進、ブレーキで動くのを女房に押えさせての以後のドライブ。帰れば肩が凝ったの文句にまぁ多少はご苦労さん、2階に運び上げるには息子と一緒に僕がやりますよ。この前の岩間の買物で仕舞場所の文句を言われ捨て台詞を書きましたが、瓢箪から駒、どでかい箪笥一棹分以上の収納場所が思いもかけず確保できましたよ。

階段箪笥とコーヒーミル

 箪笥を積込むまで思わぬ時間が取られ、近くの美味しいと教えてもらったやな川という釜飯屋に行けば、立派な造りの店の前の広い駐車場が12時過ぎでもう満杯。待ってもいられないので途中手短に寄れる所で昼飯をとることにして先を急ぐ。積んだ箪笥に負担をかけぬよう慎重運転で多少曲りくねった道を進めば、これがなんと山道は桜が今真っ盛り。それも新緑がうっすらもやっと出てきた間に雲が連なるように咲き続き、桜一色の公園などのハデさとは違い、これがまたなんとも風情もあるなぁと感じさせられる風景。今まで山桜が混じったところは多く見ているが、より目立つソメイヨシノらしき桜がこういう風に控え目に植えられながらも華やかに浮き立っている山の風景というのも良いものですねぇ。今までどうしてこんな近くというの知らなかったのでしょう、来年からは予定にいれましょうとは女房のお言葉。ここから津久井湖、相模湖と確かに見所がまだまだありそうで、秋の紅葉も良さそう。ここからすぐ近くの奥多摩にかけては近間の行楽として手軽だし、もっと来ることにしましょうかね。

 途中、相模湖近くのラーメン屋で簡単に昼を済まして最終目的地は藤野町営のやまなみ温泉には2時少し前に到着。初めて来てみれば、これがナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉の源泉は泉温41.8℃、PH9.33という本格的温泉で湯船から流し出しているようです。室内大浴槽に加えて前面に庭が拡がる露天風呂や小さいながらもウェットサウナがあり、さらに源泉そのままらしき温めの岩風呂も隣合せにあって気に入りました。皆さんよく分かっていて温めの方にじっくり浸かっていますね。露天風呂の前庭の桜はちょうど満開、花にはメジロならねヒヨドリが集まって啄んでいましたが、高台にあるので邪魔なものが目に入ってこずほのぼのしてついつい長湯。まったらとくつろぎアクビする、つくづく小市民なんだなぁと実感してしまう自分がちょっとばかりなさけない。玄関先には農家のお爺さんがネギ、コマツナを売っていたので、一緒にあったミニオダマキの鉢300円とともに帰りがけに買い求めました。

津久井湖周辺

城山町の奥

やまなみ温泉の外観と露天風呂

 3時過ぎにはナビに従って城山町経由で戻ったのですが、R16が混んでいるという情報で教える道は赤くなっていないのに相当な混雑にもうウンザリ。R246に出てからはナビ情報を無視して抜道に入らず行けばそんなには信号待ちも多くなくそこそこに流れている。結局我家には6時半過ぎとなってしまいましたよ。ナビに今いる地域ではメイン道路以外の周辺道路渋滞情報は充実していないということがハッキリ分かるように表示する工夫はないものでしょうかね。

 でも今日は思いがけずも立派な階段箪笥と風情ある桜が儲けものでした。で、めでたくおしまい。

<追記>
 次の年には11時半にやな川にいけばちょっと気取った料亭風で法事客などが集まっていましたが、日本料理と釜飯の店。普段は釜飯が950円からのお品書き看板が外にありましたが、この時期の週末は込合うからか釜飯はセットメニューで1800円となっていて、その他もメニュー限定のコース料理。座敷に通されると先客は一組のみ。釜飯セットの内容は蕎麦や煮物、香の物、フルーツなどがついて、中でもフカヒレと蟹のスープは結構美味しかったのでこれなら1800円は納得。我々の部屋は5組の卓がその後すぐに満席、帰りに会計のカウンターには現在40分待ちの掲示に聞けば、席はあるのだが釜飯を炊く窯場が間に合わないんだそうです。それなら他のコースは高いものだけにせず、釜飯無しで同じ値段ぐらいの定食を用意すればいいのにね。
 時期的には都心の桜が終わりがけぐらいがここらは見頃、都心より1週遅れが満開でしょう。でもカタクリの里は群生する赤い普通のカタクリはその時期だとやや遅く、次週だと数は少ない黄花カタクリが主体となるはずです。また津久井湖付近は桜見物の車が混むので往復するならルートを変える工夫をしておいた方が良いですよ。

店データ
    やな川(和食)     城山町川尻 4483         042-782-2326
    ハックルベリー(洋食)城山町城山 4・2          042-782-7700
    城山かたくりの里   城山町川尻 4307 ハローダイヤル03-5777-8600
    やまなみ温泉     藤野町牧野 4225・1        0426-86-8073

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