匠のまつりは骨董まつりでもあるんです

2001.11.3(土) 笠間・金砂郷

 笠間と益子は5月連休と11月のこの時期には陶器市をやっている。特に笠間の方は春は陶器中心だが11月の匠のまつりは骨董店の出店テントも多く、加えてこの近辺が花崗岩の産地なので石屋も作品を展示販売(ストーンフェスティバル)していてかなり面白い市になっているのです。あたかも品質が良いことで有名な常陸蕎麦の産地金砂郷では新蕎麦のまつり、これは出掛けてみないわけには行かないでしょう。

 あんまり早く行ってもやっていないし、遅ければ高速が混むしで見計らって朝6時に出発、多少首都高速は渋滞しだしたが、あとは順調、岩間ICで降りて8時半にはまず第2会場の笠間稲荷(伏見、豊川と並ぶ3大稲荷)近く、骨董市の方に到着。店は9割方開け始めたところで客はまだまばら、30程度のテント店が並ぶ会場をやや侘しく廻りだす。というのは、2年前来た時は工芸の森公園で陶器、石の祭と一緒の会場でそれはにぎやかだったんですが、殺風景小さなこれだけの会場ではというのがまず第一印象。何で分けちゃったんだと聞くと、一緒だと骨董の方が人気があって、陶器屋の売れ行きが悪いんだそうで嫌われて場所が去年から変わったとか。つまらんやつが多いですね。

匠のまつり
  第二会場

 という訳でぐるぐるっと2回りして目ぼしい物はあんまりないなと、そんな中でも数点はと興味あるものをめっけ。で買った物は見た目には上布風だがやや絹も入っているのか手触りはやや柔かさがある細かい絣模様の古着(滋賀の方の業者から仕入れたとか)、女房が羽織ってみて少し裾を詰めてやれば洋服の上からこのままでも着れるわと1枚購入。

もう一つは笠間では人間国宝松井康成(練込でどうしたらあんな模様が出せるのかという作品を作る)に次ぐ伊東東彦の大皿ほか3点を計100万円の値で最前部に展示しているテント、奥に感じの良い赤の地に女性の図案風の絵があるので聞くと二科会の大沢昌助作というリトグラフ、寝室のフックが一箇所空いていたのでちょうどよいと買ってしまった。

 こんなところで10時前には第1会場の芸術の森公園の方に行く。市街から公園へ行く坂道ギャラリーロード沿いには真新しいシャレたレストランやカフェが数軒出来ていて、こういうのを見ると女房は次に来た時はこんな店に寄ってみたいわ是非予定に入れておきましょうなどと。笠間は日動美術館近くには前々からちょっとおしゃれな雰囲気のレストラン、ジャスパーやポーム・ド・パンなどがあったがそういう土地柄なのかな。会場近くの駐車場はもう間もなく満杯という盛況、陶器屋や個人作家、石業者、地元農産物や食べ物などのテントが広場一杯に配置され、中央のアトラクション舞台では地元の祭のお囃子が演じられている。匠の祭りという訳は陶器だけでなくこのあたりは花崗岩の産地で石工も盛んだし、さらに骨董市や一部木工も加えているから名付けたんだろうから全部同じ場所でが本筋、でも僕もやっぱり骨董の方に6割の比重(陶器3、石1)になってしまいますがね。ここも何回か来ていますが、自分の好みというのは変わらないものです、ちょっと良いなと中に入る店は概ね毎年同じ。今回も目についたのは柊・土工房、小久保勝司、玄眇窯、柏陶園、外山亜基雄など。笠間に来るといつも寄るかつら陶芸は東南アジア雑貨などを並べ陶器はあまり置いていませんでしたし、きらら工房は白地のものだけしか出していませんでした。ここから学んだ益子焼が浜田庄司により民芸という形に特徴が出来ているのと比べると、ここ笠間はこれが笠間焼という典型は無いように僕は思いますが多様なところが逆に魅力で、やや女性的な感じの焼物が多くて益子より品が良いように感じられます。陶器市としての魅力は値段や規模など多治見の方が上ですが、石や骨董を加えての面白さがありますから、この形式をより生かす工夫をすることはあっても、つまらない商売根性は無くして下さいというのが今回の僕の印象でした。今回は陶器では特売品の変り皿5枚と花崗岩のフラワーポット入だけしか買いませんでした。

芸術の丘

匠のまつり

第一会場

ねこ工房

石のコーナー

 なおこの眺めの良い公園内工芸の丘には県立陶磁器美術館(ここは入場料も安く開館展ではこれまでの人間国宝の全作品展が行われました、また喫茶室もあります)や地元作家作品展示即売所、陶芸教室や登り窯などが整備されており、陶器市の時に限らず立寄りたい所です。もうひとつこの日は流鏑馬があるそうで、道路の片側に山砂を入れ交通規制していましたが、鎌倉や三浦海岸でも見られるなんとか流の同じ面々かなと思いつつ先を急ぐことに。

 それで今日のもう一つの目的、常陸蕎麦の名産地金砂郷の新蕎麦秋まつりで蕎麦を食べようと12時前に笠間を出て、1時前には役場近くの駐車場に車を入れる。ここの蕎麦まつりはかなりローカルな感じでそんなには遠方客は居ないようで、こじんまりした祭会場にあくまで蕎麦が中心、蕎麦道具店までが販売をしている。ほかのテントでは地元産品(僕の大好物、大子町三宝食品の生湯葉、麻呂宇土のチーズケーキや山方町丸真食品の舟納豆も見つけました)販売やシルバーグループの竹細工、小さなフリーマーケットなど、公民館内では子供蕎麦打ちコンクールや趣味の作品の展覧会などあくまでささやかなものでした。蕎麦は地元や周辺の町の店や同好会など中心に10店舗のテントで、もり、けんちんそばが全て400円と量からするとまあ結構なお値段。3店だけ食べてみましたが、第6代蕎麦打名人が打っていたいばらぎ蕎麦の会(同好の士の会で名誉顧問は会津桐屋の店主唐橋宏とか)のもりは蕎麦、汁とも申し分ない旨さ、隣のテントの山都(こちたは唐橋氏の出身地)は細い蕎麦は風味、コシ文句なしだが汁は化学調味料が強く今一つ、金砂庵のけんちんは蕎麦のコシがもう一歩だし刻みネギが強くてやはり蕎麦は冷たい方が美味しいという結論となりました。食べた所のスタンプを貰って3箇所以上食べたら一回抽選でお土産とか、一人で8店なんていう輩が居ましたが朝から居つづけにしてもねぇ。それに10店全部だと4000円にもなってしまいますよ、次回からは量を少なめに値段も下げて多くの種類をというサービス精神を期待しまーす。1時間ほどで帰ろうという我々には蕎麦湯も飲むとこの量でも3杯でもう十分でしたが、本当に旨いものは少なめでがまたいいんですかね。このあと車で5分ほどの所にある地下天然水を沸かす、金砂の湯(500円、金砂庵はここに併設している店です)に入ろうかとも用意して来たのだが雨が降りそうで遅く帰るのもと取りやめ、もう一つの目的那珂湊で魚を買って帰ることに。

 ナビに従って約1時間ほどで那珂湊に到着、ここには何でも売っている大型5店舗(森田が一番繁盛しているようです)と干物類や少量の鮮魚のみの小型店、回転寿司や魚料理店が漁港前に集まり、値段は関東では一番安いと思います。ただし、今が旬のサンマなど少なくても10匹単位、安く買おうとすれば一箱単位(40匹入り1500円など)と大量に買わせるようになっているので、ご近所さんへのお土産にバラまいてやっちゃおうかなのノリで買うのでしたらお買得です。この日は一番小さいタラバガニ1.3kgが1500円、目光500円/20匹、マグロ大型柵2切1000円など、雨が降ってきたので客足が落ちると値引開始、ついつい買い過ぎてしまうんですねこれが。こんな風で自分で裁かにゃならない魚を沢山買い過ぎると帰ってからが大変なのです、いつも反省。

 4時には家路に、北関東自動車道が那珂湊まで伸びて道路条件は非常に楽になっていますが、首都高速が相変わらずで、向島で降りて昭和通に出て五反田経由で日吉まで3時間、午後7時に帰宅、それでも何箇所か廻った割には早く帰られましたね。

店データ
    ジャスパー         笠間市笠間 980       0286-72-7778
    ポーム・ド・パン       笠間市笠間 2698       0286-72-3333
    かつら陶芸         笠間市下市毛 47       0286-72-6688
    丸真食品          山方町山方 473       02955-7-3337
    三宝産業有限会社 ゆばの里
                    大子町塙 734         02957-2-8551
    金砂の湯          金砂郷町上宮河内 321   0294-76-9919

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