またまた静岡の穴場の鉱泉で宿2軒を比較

2004.1.17(土)〜18(日)

 またまた静岡油山温泉にぶらりと出かけ、もう一軒の宿、元湯館の方に泊ってきました。こちら元湯館はTVでも紹介され囲炉裏で食事が売り、ここ続けて2年間始めにこちらに予約を入れても満室とかでダメだったのが、今回は正月と3連休のあとということもあって空いていて直前でも予約がとれた。主人が料理人でさらにイワナ養殖もしているなどTVではかなり期待できそうな話に、生憎の雪空を物ともせずにやや遅めの8時半に我家を出発。東名高速では大井松田から裾野までチェーン規制で南側旧下り線通行だけになっていてさらには一部区間が工事で一車線と道中結構時間がかかって、工事していなかった登り側通行にすればもっとスムースなのに公団さんは何を考えているんですかねと女房が怒るまいことか、こんなだから民営化しなければいけないんですよ。

 11時も大分過ぎたので清水ICで降り昼は河岸の市で食べることに。さすがこの日は空いていて12時少し前で例のおがわに待つことなく入る。今回は刺身定食1000円なりを注文し分厚く切られたマグロを頬張る。で相席の夫婦連れを見やればその奥方は鰻丼800円を食べながら鰻を頼んだのは私だけみたい、でもこんなに安いのに柔かくてタレも甘すぎずでとっても美味しい、マグロのお刺身もちょっとだけど付いているのも嬉しいとはしゃいでいる。こんなのを見ると浜松出身の僕でも次回はと思わずそそられるじゃありませんか。

刺身定食

 買物は明日と市を出たもののこんな天気ではと、まずはここのところ2回続けて展示替えクローズで空振りした登呂遺跡内にある市立芹沢_介美術館に今度こそはと向かう。この美術館は白井晟一設計の建物もこじんまりながら素晴らしく、展示品も静岡市出身の人間国宝で民芸運動にも活躍した型染めの芹沢作品を中心に、作者本人が世界各地で自分の目で収集した民芸品など見事なものがあってかなり見応えがある。でもいつ来ても来館者が少ないのはどうしてでしょう、やはり場所が不便だからでしょうか。僕ら夫婦は個人作品だけの美術館ではここと酒田の土門拳記念館は建物と展示ともどもに好きなんですがね。登呂遺跡も僕らが小中学校時代には日本有数の遺跡として教科書には必ず載っていて遠足などで訪れたものですが、今はもっと前の縄文遺跡で大きなものが発見され話題になってこちらも霞んできたようで、観光客がほとんどいませんものね。せいぜい美術館の方をもっとPRしたらどうでしょう、お役人さん。

 見終わって次は丸子にある駿河匠宿という施設に向かう。この施設は数年前にできたもので、漆器、陶芸、染、竹細工、指物、ショットブラストなど体験できる施設が中庭を取り巻くように配され、有料工芸館や販売棟、食事処などもある。体験は要90分程度のものが多いようだ。今回はざっと眺めるだけで、駿河の工芸は徳川家光が市内に今も威容を誇る浅間神社造営をするため各地の職人を集めたことからは始まったということだけを勉強させてもらいました。この周辺は弥次さん喜多さんも食べたとろろ汁で有名な丁字屋が街道筋にあるほか、北側奥には宗祇の弟子で今川家の連歌師匠だった宗長が晩年を送り、月が峰から吐き出されるようだと名付けた吐月峰なる旧跡もあるなどかなり江戸以前を感じさせる趣が残る。匠宿の裏手には西洋アンティーク家具を扱う一角にそれらで造作したレトロなカフェレストランや民芸と喫茶の古めかしい和風家屋の和楽なぞという店もあった。またこの時期にかなりの客がアイスクリームを食べている森のミルク牧場なる店もあったりでまだまだ楽しめそう、これで駐車料金1回400円さえ取らなければ立派なのにね。

登呂遺跡

芹澤旧居

芹澤美術館

駿河匠宿

 そうこうするうちお時間もよろしいようででやや早めに宿に向かう。前回泊った油山苑の奥、行き止まりの位置に今日泊る元湯館はある。宿の建物は何回か建て増ししたようで宿泊棟は玄関からかなり長い登りの廊下を進んだ年寄りにはつらそうな最奥に2階建て8室ばかり。木造でやや古風になった部屋はそれでもバストイレが付いてかなり広めで、2階からの眺めがよくて桜のシーズンは狙い目と睨んだ。浴室と囲炉裏の食事処は玄関からの廊下の最初の棟に上下になっているのでこれも部屋から遠くて何回も往復するとなるとえらいこっちゃ。また露天風呂が無いのはこんな珍しくも雪が降ったという時に雪見風呂としゃれ込むわけにはいけず残念至極。風呂は男風呂の方が大きく18℃という源泉が常に岩からチョロチョロ流されていていい感じ、でも女風呂は男風呂に合わせて温度監理しているため熱くなり過ぎるんだそうです。女房曰く、客が少ない時には貸切スタイルにすればよいのにと文句を言ってましたよ。

 さて食事の方ですがこちらも猪鍋がメインで囲炉裏の炭火でグツグツというのはいいですねぇ、味噌が煮詰まってもしょっぱくならないのが不思議不思議。その他もかなり手が込んだ料理が最初から全部並べられているのはその量からも圧巻ではある。でもそうなると案の定で天ぷらやサワラ粕漬焼などは冷えていることに相成ってしまう。今夜の客は3組で5人だけと客数が少ないのに、いつもが忙しくてこの手でやっているのかもしれないけれど何とか融通できないものでしょうかね。唯一鍋以外に温かかった茶碗蒸などウニが入ってうまかったのにと惜しまれます。養殖しているちう自慢のイワナはなぜか出ませんでしたがそれも冷たくなったのを食べさしているのかな。さらに置いている日本酒が伏見の酒というのは頂けません、近くの藤枝、岡部、焼津の旨い地酒を置くべきだとよーく仲居さんに言ってやれば、よくお客さんによく地酒ですかと聞かれますからその通りですよね、女将に伝えますと、でも忘年会など地元客も多いらしいこの宿はよその酒のほうが良いのですかね。事実次の朝には別の広間で昼の団体客用らしき料理の膳あつらえをもう開始していましたものね。

元湯館

夕食

椀物の蓋をとって

 翌朝食はこちらも立派な塩鮭はもう冷えているというのは本当になんとかならないでしょうか。囲炉裏にはガスコンロで湯豆腐、あとはご飯が欲しくなるやや塩辛いおかずが多くてご飯2杯までで平らげるのに苦労してしまいました。という訳でお値段はこちらは休前日で12000円と安いのは立派、でも全体に手が届いていない感じがするのはこのお値段から仕方ありませんか。やや料金が高めでも温かい食事が順じ出され、量も程好くで良いという向き、また露天風呂に入りたいという人には油山苑、安く腹一杯、一部冷たくても色々な料理をという向きには元湯館といったところでしょうか。特に年寄りには油山苑の方をお薦めします。

朝食

 宿を出て安倍川沿いを少し下って走ると右手に農家の店なる看板の直売所を見つける。今回始めて立寄れば野菜や切花などが存外安いほか、ここらあたりも本山茶といえる地域らしくビックリするぐらい安いお茶を地元用として売っている。これが帰って飲んでみればこれまたビックリの味の出方に、次回は普段用にもっと買いましょうと女房 (但し次の新茶の時期を迎える前だからで、普段はそんなには安くは売っていませんので念のため) 。

 さて今回の魚の買物は焼津にして、真っ先に鷲尾商店に行けば昨日の雪で鮮魚の入荷が無いとはこちらも残念至極と相成り、少しだけあった鮮魚の中から立派なレンコダイを鯛飯にしようと選ぶ。あとは南マグロの小ブロック、カツオと鮭の生り節、サクラエビとシラスの釜上、アジ干物とサバ醤油干、鮭フィレ、カツオやビントロの甘辛煮、アオサと塩ワカメなどを買込んでまた静岡に戻る。昼は徳兵衛なる回転寿司が道沿いにあったので入ってみれば、やはりこういう土地柄には独特のネタがあってなかなかのものに腹も満足。ここで食べちゃうと三崎港近くの回転鮨はちょっと惨めな感じになってしまうというのが女房の感想でした。最後はこれを建てるためにと全国から職人を集め、駿河工芸匠の発祥となったという浅間神社にまだ1月だしでお参りしてから家路につく。

 途中東名富士SAで浜松の夜のお菓子ウナギパイが買いたいと立寄れば、なんと楽座前で2年程前からやっているという骨董市に出くわす。ささやかなものではあるもののこんなサービスエリアでと嬉しいこれもビックリ。ざっと冷やかして回れば古民具ガラクタ類を並べるところに黄瀬戸風の尺はあろうかという大鉢がちょっと欠けがあるものの3500円の値札。やはり瀬戸は趣きが良いなでさっそく目をつけ傍にあったこれも3500円という炬燵櫓で珍しく炭火入れも付いたものと比較しながらどちらにしようかと思案顔を装えば、二つなら6000円の声に両方買っちゃいました。お土産買うのに富士SAにしなければ無駄遣いしなかったのに女房の声に、今回は最後にいいことがあったねと意気揚揚と帰りを急ぐ僕でした。

浅間神社

富士SAからの眺め

炬燵台に花を生けて鉢を置く

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