茨城・房総 2002.01.12(土)〜14(月)
今回は近間の旅行なので我々としてはゆっくりと朝7時過ぎに我家を出発。土曜日の首都高速はこの時間だと環状線への羽田方面合流点がいつも混んでいるので下を走って箱崎から乗ろうと行ってみると、どういう訳か箱崎は珍しく至ってスムース、喜んだのは束の間、常磐道が矢和原、谷田部間で事故渋滞10キロの掲示板。こりゃ大変と一つ手前の柏で降りて一般道から谷田部にもう一回乗り直しをしたため1時間のロス。谷田部SAで朝食に蕎麦(ここのつゆは結構美味しかった)を食べて岩間ICで降りて笠間に向かうとちょうど10時。
で岩間は栗畑が続く林の中、前々から気にはなってはいたのだが早い時間で寄れなかった栗菓子と喫茶らしい大谷石蔵造りの店が今日はもう開いているんではと女房が言うので駐車場に入る。駐車場からはちょっと立派で風情ある門構えがあってその奥は広い和風庭園になっている。毎月第三日曜日は骨董市開催の張り紙もある。中を進むと古民家風建物があってそれも店になっているようだが、まずその左手に廻って道路から見えたギャラリー蔵と書いてある大谷石蔵の方を覗いてみるとまだ準備中の看板。戻って和風民家の入口前に戻れば和洋の栗菓子とコーヒー、紅茶、抹茶などのセットメニュー見本が出ていてどれも800円と至って良心的なお値段。是非食べていきましょうと女房のお言葉に従って店内に入ると我々が最初の客で、まずは一回り様子を見回すと立派な古民家の骨組みの空間に置かれている家具や骨董、古民具がまた素晴らしいのにビックリ仰天。聞けば菓子と飲み物セットで承っていますが組合せは自由ですと言うので僕はモンブラン(これは以前にTVで栗だけで作ったというのを見たのと同じ形)とコーヒー、女房は同じくモンブランと紅茶を注文。出てくる迄、嬉しくなって店内土間の間を一周、さらにこれも客室になっている座敷内も覗いて写真を撮る。正月飾りらしい花飾りを見た女房、これもお菓子で出来ているわと感心しきり。主人らしきお爺さんが出てきたのでひとしきりお喋り。横浜からというと今日はどちらまでと聞くので平潟に行ってアンコウを食べると言うと、わしらここらの連中がよく行く宿は保養館、なぜって言うと宿からの眺めが一番良いからとか。確か以前にも港に望む古い3階建の元遊郭というこの宿のことは聞いたことがあって、女房に予約させたらアンコウは宴会にしか出さないというので止めたことがあるが、そんなことは無さそうですね。さてモンブランですが、やはり睨んだ通り、中味まで栗!栗!栗!という代物、女房もこんなモンブラン食べたことが無い、素晴らしい、今日は事故があったお蔭でと変な感激。災い転じてというか、ただでは起きないというかどちらなんでしょう。コーヒーはエスプレッソかカプチーノ、紅茶はポットサービスで3杯分近くと洒落ててお徳。紅茶の器などはややアンティークというのを使っている様子。菓子類はこのほかに栗羊羹などの和菓子もあって、品数は少ないものの和洋があるというのも珍しい。我々がいる間に2組ほど菓子だけを買う客が来ていましたが、どうやら常連のようでした。帰りしなもう一度店内に置かれた物をよく見ると値札が貼られた陶器や漆器があるので主人に確かめると、やや骨董的なものを含めて売物というので、5枚2500円という割安なのに趣のある小鉢皿をついつい購入してしまいました。作り手は益子の人で韓国の金海に行って焼いたものとかでちょっと変わった味があるもの、笠間に行くのにここで買物とは成行きとはいえまあまあと女房は呆れ顔。他にも明治大正の益子焼や瀬戸らしいという値段からすれば魅力あるものがありましたが我慢しましたよ。この周辺で昼食というなら和食はここ栗の家の栗お強セット、洋食なら岩間IC方向に向かって反対側近くにログ風建物のくれそん亭というのがあってこちらはボリュームでも満足できるはず。
栗の家本棟(古民家再生)
隣接の
大谷石造蔵を
喫茶室に
古民家内部にはお宝が
ケーキセット
金海で作った小皿
笠間は芸術の森公園に寄っていこうと、その手前にあるきらら館という陶器屋にまずはこれまた寄道。ここはほとんどの焼物に作家名が書かれているのが良いですねぇ。それとギャラリーは個展が常に企画されているし、もう一つ教えると、奥のカフェ風コーナーではそこの棚にある自分の好きなカップを選んで無料セルフコーヒーサービスが楽しめるのです。お値段もそんなに張らない作家の笠間焼(女性作家が多いのは笠間の特徴で、豪快というより優しい作風が多いのが強いていえば笠間焼でしょうか)が買えると思います。コーヒー只飲みで何も買わずにゴメンナサイで次は直ぐ近くの公園駐車場に車を停め、階段坂道を登って陶芸美術館に行くと今週は常設展のみ。来週からは河井寛次郎展とかで残念でした。この美術館は昨年開館したばかり、県立で安いのと眺めの良いカフェがあるのでお薦めです。また、ここの常設展が立派なのはこれまでの人間国宝になった陶芸家の作品が全て展示されていることです。すぐ傍にはカフェと地元作家の展示と即売をしている建物があり、土産物販売の奥に進むと専用展示場があって定期的に内容を変えているので必ず見ておきましょう。また人間国宝松井康成の作品展示やギャラリーのほか作陶体験施設もありますので急がなければ結構時間を潰せますよ。
きらら館内部
県立陶芸美術館
芸術の森公園笠間工芸の丘
登り窯も作られている
あとはかつら陶芸にちょっとだけ寄って次の楽しみにと今回は値踏みだけにしておき、昼食をとって次へ行こうと話しながら、近くにあるこの前の匠の祭で見かけたシャレた建物のレストラン、チェルキオで試しに昼のランチを食べてみることに。サラダ、メイン(肉か魚を選ぶ)、パン、コーヒーで1200円、デザートを付けると1400円というお手軽メニューを頼む。我々が注文した肉の方は鶏肉の赤ワイン煮でそこそこの味わい、ワインが効いていて悪くはないでしょう。ここの良いのは窓から市街とその向う側の山まで見渡せるロケーションですが、隣地に建物が出来るとどうなるでしょうか。ついさっきモンブランを食べたので女房もデザートは我慢、今日の宿も料理は多いので昼はこの程度にしておくのが健康的ですよ。
地図で見れば北茨城市にある平潟は奥久慈経由で出られるので、山方町にも寄って、僕の好きな舟納豆と直売リンゴでも買っていくことにする。山方町には2,3年前湯の澤鉱泉に泊ってここの丸真食品の舟納豆を買ったのだが、長嶋前監督も大好物でキャンプにも送っていたとか。舟形に包んだ納豆はプレーン、麦入り、蕎麦入りの3種があってこれが旨い。さらに黒豆納豆や青豆納豆などというのもあって値段は黒豆が一番高いが、僕は青豆納豆(450円)の方が好き、これは長嶋さんじゃなくてもタマラン、本当に美味しいと思いますね。舌だけは長嶋前監督並と、こんなことは自慢するようなものでもないでしょうけれど。試食も出来ますから食べ比べてから各種組合わせて多めに買うことをお薦めします。家で冷凍庫に保存できますから。今回はこのあと2泊するので保冷材を買ってアイスボックスに、先客は水戸ナンバーの車なのにどっさり籠一杯買込んでいましたよ。それと昔製造元に立寄ったことのある北茨城のたつこ味噌、安くて旨かったと記憶するのが置いてあった(こういう店が置くのは旨いはずです)ので、ちょうど買置き味噌が無くなったというのでこれも購入。なおここの隣には蕎麦粉を使ったパンやクッキーを製造販売するエビス・ファムコがあって、これも結構美味しいのです。またリンゴや野菜、鮎塩焼きなどはこの近くに直売所があり、大きな水車が目印です。民芸品では一軒だけ地元西ノ内和紙製造販売する紙の里という店があってここのは安いと思います。我家では手漉和紙の照明カバーを買ったことがあって、時々取り替えて楽しんでいる玄関の棚上照明の一つに使っていますがその後はもう作っていないとか。さらに西側は蕎麦で有名な金砂郷でこの前蕎麦まつりに行った町、北に行けば大子町で、ここにも紹介したいものが結構ありますが次回の旅行を計画中なのでその時にしましょう。
かつら陶芸
チェルキオ
舟納豆
丸真食品
さて平潟へと山越えの細い道は知っていましたが念のためとナビでルート探索したのが余計でした。それで示されたのが少し南に戻って日立へ出て北上するルート。全体地図画面ではそんなに大回りの距離を走らないし、山道より早いかなと別ルート探索で調べなかったのが失敗。抜け道ルートを教えないナビの場合は本当に知らない所でそれも地図本で大どころを把握した上で細かい道筋を調べる、という使い方が利口なやり方ですね(これは二日目千葉房総の中央部山中の迷路のような道でも同じで、教え方がいまいちでした)。ナビが教えた道は日立の街道筋などでは結構な混雑にはまる、渋滞情報も地方ではそこのルートに行って始めて分かるようですからVICSがあっても役立たずでした。それで午後5時半過ぎに民宿くろさわに到着。この平潟は何回か冬場にきていますが、アンコウ鍋が売りなところに温泉も出たのは良いのですが、施設の良い宿にはまだお目にかかっていません。手前の五浦には巨大な五浦観光ホテルがあり、海岸に面した岩場の上に建って豪快な景色が楽しめますが、こじんまりしてそこそこの宿はないものでしょうか。この日ちょうどTVでここの港の前にある砥上屋旅館が紹介されていましたがこれも木造3階建ての見るからにクラシックな宿、ただここは塩ベースの鍋で地元のドブ汁の味噌とは違っていてかの神田の老舗いせ源の醤油とも異なるらしく、これにはちょっと食欲をくすぐられました。くろさわは民宿ですから設備を期待してはいけません。ただ実家が魚屋だったというお母さんが作る食事は別注文の鍋まで平らげるのはかなりの大食漢というもの。それに狭いですが温泉は源泉からをそのまま流していて濃くて重い感じがするところが取り得なのです。いつものヤナギカレイの唐揚は暖かい揚げたてが出てきて旨かったし、カサゴの煮付はシコッと締った身に味がしっかり染込んで僕の大好物、焼物はホタテ、刺身はアジのタタキでした。それに酢の物と煮物。これらを片付けてからアンコウ鍋となって、女房はもうかなり腹一杯。さすがに一人では食べきれずで身より旨いゼラチン質のところから選んで食べ、本当は最後にこの汁のおじやで〆たいところだったんですがギブアップ、勿体無かったですねぇ。
民宿くろさわと夕食
朝食は簡単なものですが、味噌汁に口を付けると磯の香りあふれるワカメにビックリ。宿を出掛けに聞けば、ここのお爺さんが直接採ってきたもので今年は少ないので分けてあげられません、近くでも地元産を売っているところは無いんですと。では街道筋の魚屋ではどこがいいか聞くと、お母さんは家族経営で小さい店だがまるいちが地元の鮮魚を置いていると教えてくれた。早速港の風景を見てから6号に出てすぐのまるいちへ。確かにその隣にあるもう一軒と比較するとみすぼらしく見えますね。店にはお婆さんがいて、うちは地元鮮魚だけしか仕入れない、ここは夕方水揚げなので午後4〜5時が一番多くの鮮魚が並ぶ、今ある鮮魚は昨日のものだが築地でも明日にでるもの、うちの刺身は裁いて宅急便で送っても新鮮、お祝いの日は赤い魚がよく出て今日は残りが少ないとかいろいろ自慢しながら説明してくれる。特に土曜日は明日曜の市場が休みなので漁休業となり、日曜昼過ぎにかけて一番鮮魚が無いというのが残念ですね。魚の種類別食べ方、料理方法も教えてくれますからこんな話をしながら品定めするのも楽しいですよ。ちょうど店に運んできたアンコウの大物は16000円の値札、この地のものは質が違うんだそうです。干物なども他ではお目にかかれないメヒカリの開きやカワハギ、ホウボウの開きなどからタラの味醂干やら小鯛や各種カレイの丸干など珍しいものがある。もう一泊あるので鮮魚は無理かなと、でイシモチの丸干、茹でミズタコ、塩紅鮭(これはアラスカ産の半身の真空パック)だけを買うとイカの一夜干を一枚サービス、スチロール箱に保冷剤と共に入れてもらう。このあたり6号線沿いでは地魚ならこのまるいちと、もう一つ地元の人がやや高くても絶対旨いとお薦めの店はますいち海商、後者にはここだけの自家製のアン肝やタラ白子の佃煮などがあってこれは酒の肴にピッタリでかつ生まものに比べると安くてお得、是非買って帰りましょう。
まるいち
鮮魚と干物
大型のアンコウが16000円
この近くの観光ではやはり五浦海岸、一時期日本美術院の修行場となって岡倉天心が瞑想したという六角堂と目の前の海岸風景を見て日本美術を考えるなんて、我々には高級すぎますかね。天心記念五浦美術館もありますが僕はまだ見学していません (その後に立寄れば海を眺める絶景の立地にあってゆったりと展示スペースをとった立派な建物にビックリ、またその近くに公衆温泉天心の湯というのもできていました)。秋なら里美村に抜ける花貫渓谷は紅葉の穴場だそうです、ということは新緑もよいでしょうね。ほかには野口有情記念館や畳美術館などがありますが大したものではありません。逆に福島県いわき方面に脚を伸ばせば車で20分ほどで小名浜があり、ここには最近奇抜な設計の水族館アクアマリンふくしまや観光・物産販売施設いわき・ら・ら・ミュウなどができ、マリンタワーやあの美空ひばりの唄で有名な塩屋岬などもあって半日は十分過ごせるでしょう。とにかくこの辺の海の眺めは天気さえ良ければ素晴らしいものがありますよ。
店先には吊るし切の残骸が
北茨城ICから千葉に向かうのにどういうルートをとるか大いに悩む。時間だけなら大きく東京迄戻って首都高から京葉道のルートか常磐道を那珂湊あたりで一度降り東関東自動車で京葉道を木更津というのが今日の宿富山町の弁天鉱泉へは速そうですが、混み具合が分かりません。地図で一番素直なのは後者ルートで東関東自動車道を富里ICで降りあとは南へ一般道というルート、409号で東金、茂原から木更津方面に向い途中410号で久留里経由鴨川北部に行き地方道で鋸南町の海岸に出るコース、茂原まではまだ通ったことが無い道で面白いものがあるかもということに。お隣県なのに特に南房総へは道路事情が悪くて時間がかるのは覚悟しないといけません。この日はもう走らすだけの旅行、まずは那珂ICで常磐道にサヨナラし那珂湊経由海岸沿いに東関東自動車道潮来ICまで一般道を行く。今回はナビが旧道を教えていたので今まで通らなかった大洗の町中を走る。途中3軒ばかり地元客相手らしい魚屋があって、那珂湊港市場などは大量販売で安いけれど、こういうところは良いネタを少量で買えるんで次回はこちらも覗いていきましょう。今回は足を伸ばせない千倉などでも町の中の魚屋にも新鮮でいい物があると、以前泊った温泉旅館ゆうゆう(漁協が併設のチャイカというレストランと共に経営していた)のオバさんに教えて貰ったことがありました。これは伊豆、湘南方面でも同じですね。
鹿島サッカー場を過ぎて北浦の橋を渡ると反対側は大混雑、それを尻目に潮来から高速に乗り、富里まではそれこそすぐでまたまた一般道へ、でやや混雑した八街に入る。ここは落花生が有名、最も旨いという半立種の本場で通りがてらいくつか看板が見えたが、車が停められそうな店は休日だったりで、駅を過ぎて暫く行った左側、駐車場が広く小奇麗な店構えの酒井清商店というのを見つけ立寄る。殻煎落花生でははねだしくんと名付けた選別で一級品から漏れたやつをパックで売っていてお徳なんだそうです。ほかにはピーナッツの外側にいろいろな種類の味付砂糖をまぶした製品やピーナッツサブレなどというのも置いていてお土産に幾つか買う。おまけで貰ったピーナッツ袋には味噌、チョコレート、コーヒー、砂糖、抹茶、カレーなどで包んだものが入っていて、車の中で食べながらこれもこれも美味しいわ!バカねぇ買う前に試食させてくれればもっと買ったのにと女房。いやこれそのものを売ればいいのにと僕。そんなことを言っているうちにそろそろ昼なんだけどいう時間帯に、東金あたりではファーストフード店が並ぶ新しい街道筋もあったが気が進まない店ばかり、通り過ぎるとその先はなにも無い道といった具合。茂原の手前、大網白里町(あとで町名を知りました)の直線道路に入るとまたまたいくつか店の看板が現れ、今度こそどこか入ろうと見るとちょっと良さそうよとまた女房。宿が和食なんでこういう時は必ず洋風の店を見つけるんです。ドゥオーモという店で駐車場に入るとこれが満車にギョッ。車出し入れに邪魔にならない所に停め、もう1時半近くだから出る客の方が多いだろうとこの繁盛している店で食べることに。看板には素材料理と書いてあるが欧風料理の店、店内はかなり広いのにほぼ満席で成人式を祝う家族らしき組も居る。ランチコースは1480円からでスープが付くと1700円、本日のスープはオニオングラタンスープというので二人ともスープ付きを注文。このコースはスズキのポワレか本マスのムニエルを選ぶのだがもう遅かったのでマスだけとのこと、こんがりペッパーバターソース掛けだそうです。ヒラマサの洋風刺身から始まってデザート、コーヒーまで、値段を考えるとかなりのものでしたよ。素材を看板にしているというのは付合せの野菜類など、良い材料そのものの味わいを生かしていますということですかね。
ここで1時間以上使ってしまったのでもうあとは急ぎに急いでと、茂原から鴨川北部の長狭街道近くにある道の駅兼農産物直売所みんなみの里へ。宮内庁御用達の長狭米(寿司屋御用達でもあるのです)を買うのも目的の一つだったからです。途中の久留里は名水で知られ、造り酒屋が多いところ、時間があればどこかに立寄ってペットボトルに水を汲むのですが今日は無理。以前一人で20l容器10個以上入れて水場を占領している輩がいて、大量に汲むならもっと遠慮して人の少ない時間にしてもらいたいですねぇと捨てゼリフを吐いてやりたいなんていうのがありました。今日は対抗車線の帰り車がこの市内を先頭に延々と渋滞しているのにはもうビックリ、お可愛そうにの一言。南房総は夏と花摘みの冬場は特に混むので走るコースと時間にはよく注意して予定を立てる必要があります。房総の中心部は立派な?田舎の風景が続き、山道では一本道筋を違えると何処に出られるか分からないのでメインの道は限られてしまいます。ナビでも遠くの行く先までは画面で辿れませんからルートを外そうとする時には注意が必要です。我々は時々前に遅い車がいる時だけはイラつきましたが、何とか5時前にはみんなみの里(途中の私設直売所は日没終了ですがここは道の駅ですからまだやっていました)に到着。天然乾燥米は少ないのでもうありませんでしたがここの人らしい親父さんにどの人の米が旨いか聞いて5kg袋を2つばかり買うことができました。どれにも生産者の名前が書かれていますが、2〜300円の値段差があって、やはり高い方が旨いんだそうです。ほかには残り少なくなった野菜類も買って、夕闇に水仙(最近では伊豆下田爪木崎の水仙ばかりでなくここの群落も有名です)の白い花が群がって両側にボッと咲いているなだらかな山間の道を鋸南町保田まで下り、南へ弁天鉱泉に向かえばここでも海岸沿いの国道は帰り車の渋滞でもう大変。皆さん何時頃家にたどりつくんでしょうね。
今日の宿は一日4組の宿泊までというTVには何回か紹介されていた国道沿いの一軒宿。鉱泉は含硫黄カルシウムマグネシウム硫酸塩炭酸水素塩泉の中性泉で源泉温度は16.5℃。ふたつの内風呂は午後7時で男女入替え、もうひとつは海に臨む露天風呂でこちらは5時迄は湯守がいて家族連れ以外で混浴にならないようにしているそうです。それ以降はどうなるのかは聞き忘れました。内風呂は白く濁っているのに露天は無色透明、湯守いわく効能はやはり内風呂の源泉にあって外はあくまで海の眺めを楽しむものだそうです。もう夜で暗い海と遠くの光が多少見えただけでしたが、夕陽の眺めは一番でしょうね。食事は1階の個室で供され、僕が最後にご飯を軽い一膳だけ食べれたというころあいの量。船盛はアワビ、サザエ、イカ、アジ、タイ、ハマチ?、メジナ?と地魚の種類が多くてマグロが無いのがポリシーですかね。酒では冷酒がここのオリジナル地酒5種4合瓶で用意されていて、1合ずつでも出すそうですが瓶でとれば残れば持帰って下さいとか。千葉は腰古井と岩の井というのは知っていますがこちら方面にはあまり名の通った銘柄は知りませんでした。鴨川の酒で辛口(2500円/本)というのをやると吟醸とは謳っていないものの香りの勝った酒でした。今日の料理の中ではこの酒に合うアワビの肝煮がちょっぴりの量でしたが美味しかったですね。ここの名産品枇杷の果実食前酒から始まって正月イメージの前菜風盆、小サザエ壷焼風、カマス塩焼、茶碗蒸、天ぷらと蕎麦、お造り、的矢カキ、ご飯にはお吸物、里芋煮と漬物、イチゴという昨日の田舎風に対しお品が良ろしいという食事内容でした。
次の日は実はこの旅行中に親戚の不幸の報せがあって、午前11時からの葬儀に浜松まで行かなければならなかったので、午前4時起きでまず家に帰り、着替えて新幹線7時半新横浜発のスケジュール。それで昨日はみんなみの里に廻ったのです。本来なら今日が房総ドライブ、花や農産物を仕入れ、浜金谷に新しくできたザ・フィッシュという海産物直売所に併設された海の見えるレストランで昼の和とイタリアンのバイキング料理でも食べ、鮮魚はそこか保田で買って帰ろうという予定だったんですが。宿からの帰り道、釣に行く車はもう結構走っていますし、餌を売る店ももう開いています。昨夜の混雑がウソのような空いた道をナビが教える有料道路優先ルートでアクアライン経由約1時間半で我家に到着してしまいました。でも茨城と千葉のセットはもう止めましょう。千葉は房総だけにして勝浦の朝市を組込む一泊旅行も面白かったですね。そういえば朝市の名物母ちゃんが作った背黒イワシの小さめの目刺は絶品だったなぁ。
店データ
栗の家 岩間町土師 1285 0299-45-5124
きらら館 笠間市笠間 2258 0296-72-3109
チェルキオ 笠間市笠間 2642・5 0296-70-1242
丸真食品(舟納豆) 山方町山方 473 02955-7-3337
くろさわ 北茨城市平潟 343 0293-46-2971
まるいち海産物商 北茨城市平潟 1067・1 0293-46-0420
ますいち海商 北茨城市関南町仁井田198・1 0293-46-0875
ドゥオーモ 大網白里町仏島 137・3 0475-73-7222
みんなみの里 鴨川市宮山 1696 0470-99-8055
弁天鉱泉 富山町小浦 487 0470-57-2111
五浦、小名浜、奥久慈 2005.2.25(金)〜27(日)
茨城方面への旅には、一つに冬場の味覚3月まで旅館で供されるアンコウ鍋を食べたいということがあって、今年も昨年より早めの2月に北茨城と奥久慈を回ってきてしまった。
昨夜に横浜でも雪が降って関東北部や茨城はかなり積もって水戸は14cmの積雪という朝のニュース、東北道や外環道は通行止め区間もあるとかで、今年はスタッドレスに履き替えてはいるものの凍結していたら危ないとゆっくり出掛けることにする。
コースは第一日目の旅館以外は馴染みのところばかり。常磐道は岩間ICで降りてまず栗の家に立寄れば雪のためか門扉は閉まったままに女房はガッカリし、それではと昨秋匠のまつりに行けなかった笠間の勝手知ったるところを巡り、友部のワイルドで気に入りのソーセージセットの昼を食べそのまま北茨城に向い曇り空で景色も良くないからと美術館は翌日回しにして、早めにその近く温泉施設のすぐ裏にあるこじんまりした旅館長浜荘に一泊が第一日目。翌日はこの季節でも本当に冷たい風がやや吹く中、青空には恵まれて9時半開館の五浦美術館を皮切りに景色とコーヒーを味わってから福島県小名浜に北上してら・ら・ミュウで食事、すぐ近くの水族館アクアマリン福島を見物してからまた北茨城に戻り、地元で評判のますいち海商で日持ちするものだけ買込み花貫渓谷経由で山越え、里美の農産物直売所に立寄ったあとはまた一山小さいのを越えて水府の岩倉鉱泉に寒いからすぐ温泉に浸かろうと二日目も早めに到着。最終日は大子町に大回り、袋田の滝は凍結していないらしいのでパスして市街にまで直行し麻呂宇土の菓子、家久長の特吟葉度を買込んですぐ南に逆戻り、JA大子直売所で三宝食品の生湯葉などを仕入れて山方町では紙の里の和紙、舟納豆、蕎麦パンなどを順次いつものように買物などしてからひとっとびに那珂湊まで足を伸ばして鮮魚類を購入し、さらに隣の大洗の海鮮森田で食事してから一気に帰宅という旅程。これまでに詳しく書いていないところだけ箇条書きしておきましょう。
・長浜荘
ここは昨年通りがてらに五浦美術館のすぐ手前、海に臨むロケーションの良さそうな場所に一軒だけでひっそり建ち、しかも温泉施設天心の湯の背後ということでもし温泉旅館でなくてもすぐ前の施設を利用すればよいことだしということで予約した。泊ってみると遠めで見た外観以上に古びた宿ながら部屋は民宿より広く、思った通り目の前は海で朝日が昇るのを眺められるのが良いところ。トイレは冬場には入るのをためらうような寒寒した昔風タイル張床の共同使用というのも料金からはしょうがないか。ただ旅館というだけに一つだけのタイル張の風呂は大きめで24時間入浴できるというが残念ながら温泉ではない。我々はさっそく道路側に隣接してある天心の湯(平日600円)に入ったがここは平潟と共通の塩化物泉で、露天風呂には美容に良いと講釈書がある地元の陶土にもなる粘土を溶かし込んだ泥湯が珍しい。サウナのオンドルの湯は専用ガウンかタオルを着用するように表示していて借りるのに300円とは頂けませんね。自分でタオルを持込んで入っちゃいましょう。あとで宿の女将のお婆さんに温泉をひけばと言えば、配管その他を一切新規にしなければならないので1000万円かかるという見積に諦めたとか。それなら天心の湯のすぐ背後の宿の駐車場敷地に簡単な浴室離れだけを造ったらとか、それも無理なら午後6時からは平日400円と安くなるそうなので24時間入浴を止めて寝る前の一風呂ぐらいをサービス券で出したらどうですかとも提案しておいた。この宿はかなり古く、設備も部屋内に洗面を設けたぐらいの改装だけとこの近辺はちょっと近代的ホテル旅館と格差が大きく、お値段も含めて中間が無いのが難点、定宿となるところがなかなか見つからない。今回の宿はロケーションと夕食の内容とボリュームでは○、しかしその量にはとても食べきれずで勿体無いやら残念でした。焼魚のノドグロは今まで食べたなかでは最も大型、刺身は鯛とホッキ貝の舟盛とアワビとウニとバイ貝の皿に活クルマエビ2匹の踊り食い、焼ホタテに焼イセエビ、タコの珍味合え、この季節目玉のアンコウは共酢と地元定番のドブ汁鍋にうどん付とこれはもう途中降参必至、これを全部平らげてさらに御飯まで食べた客が相撲取じゃなかったなんて信じられません。もし次回に行くことがあったらノドグロなどは初めから帰ってからたのしむからと持帰りにしてもらいましょう。それから天気が良い朝は是非早起きして、対岸の小名浜と右手間近にある岩陰の間に配された太平洋となる青々とした海から太陽が昇るところを眺めるのをお忘れなく。
夕食
朝食
朝日
・天心記念五浦美術館
以前は茨城大学附属の小さな美術館が天心旧居の敷地一帯の中にヒッソリとあったような記憶があるが、六角堂からはやや北の太平洋を望む景勝地に新たに立派な美術館が建設され、当然の如く日本画、日本美術をテーマに企画展示をしている。建物は珍しいプレストレストプレキャストコンクリート造で、木組風に丸や角のコンクリート部材を各所に見せているのは岡倉天心を現代風に意識しているのでしょう。常設ゾーンは天心の生涯から五浦の生活や遺品や書簡などが展示され、その奥にある大展示館の今回の企画展は院展となっていた。この他に映像ホール、資料コーナー、体験講習室、ミュージアムショップなどがあり、ロビーに続く空間には眺めの良いカフェや廊下の一部を海側に窓を広く切り取って小名浜側に開けた眺望を眺められる休憩コーナーなどもゆったりと設け、これで500円というのは嬉しい限り。確か笠間の陶芸美術館も常設展示は300円だったし、茨城県は頑張っていますねえ。
・アクアマリン福島
建物全体がガラスで覆われた奇抜な形の水族館は入場料1700円で化石とその生残りの魚たちの展示からスタートさせ、日本の川や湖沼の魚、熱帯の湖沼の魚類などの展示が特色で、海獣類、大海槽、その他珊瑚礁や深海の魚などはどこでも定番で同じようなのもの、ここでは海獣の芸は無くて食事時の説明がショーになっている。ここだけで成功したというサンマの水槽やいわき市の魚である深海のメヒカリの水槽はここで初めて見た。
・ら・ら・ミュウ
いわき小名浜のフィッシャーマンズワーフ狙いの施設で鮮魚や海産物を扱う店が駐車場側1Fにズラッと並び、屋内には1Fはお土産と食事処、2Fは食事処と展示施設が設けられている観光客目当ての一大拠点。観光バスがひっきりなしにやってくる。水族館とは小型船舶停留海域を隔てて向かい合っている。食事処は勿論のこと魚料理店が多いが回転鮨、ラーメン、中華料理、洋食などの店もある。メヒカリが生で食べられるのはいわきだけとか、しかしこの魚は唐揚や天ぷらが旨いと店の人は言うが僕は絶対塩焼を薦める。深海魚は白身だが脂が多いのが特徴、その中でもメヒカリは最上級で、昔は僕の故郷の浜松でも遠州灘で獲れたやつを七厘でジュウジュウいわせて食べたものだ。サンマより上品な脂が乗った味はとても美味しくて僕の思い出の味、その頃はさらに嬉しいことに安かったようだ、でも今は結構いい値段になっている。
・海鮮森田
那珂湊の魚屋で一番の人気店森田がやっている回転すしと海鮮料理の店で、入口を入って待合場所から中庭を挟んで左右に分かれる配置となっている。那珂湊の鮮魚売場の隣にも回転すしがあるがこちらの方が落着いた雰囲気で食べられ穴場と思ったものが、最近は広く知れ渡ったようで混雑する上に観光バスの予約も取るようになったらしくさらに輪を掛けて休日の昼時はそれこそ客々で一杯となってしまい、入る時間を考えざるを得なくなった。客回転は回転すしの方がよいので混雑時はそちらに記名して待ちましょう。
2006.1.26(木)〜28(土)
直前21日の雪が残る中を奥久慈から北茨城の平潟を回る前回とは逆巡りの旅をまたまた冬場にしてきました。コースが逆でも立寄り先はやはり同じところがほとんど、でまだ書いていないところだけを箇条書きしておきます。
・砥上屋
平潟港を望む木造3階建ての昔からの旅館で、このあたりのアンコウ鍋がどこもドブ汁なのにここだけが塩仕立スープというので一度はどんなものか食べたいと予約して泊まっってみました。宿のパンフレットには全8室でも予約は3組のみとあったが、金曜日に泊まったのだが平日でもアンコウの季節はその3組一杯のようで、さすがにTVでよく紹介されているだけのことはありそうですね。外観は改装して奇麗に見えますが、内部はやはり古ーい木造なので我々2階の部屋だったので3階客が歩けばギシギシと天井が鳴るという代物、階段は急で年寄りには大変、廊下とは襖仕切で若い人には不安というそれはそれは由緒正しき日本のお宿であります。ただトイレは洋式に改装、風呂も温泉を引く際にやや新装したと思われるものの狭いのは否めません。1Fはやや広いものの奥まった場所で眺めゼロの場所、2Fは狭いながらも道路側で港が見えるようになっていて、男女が夜と朝で入替わり、夜の明かりで外から見られるのを心配するであろう女性は朝が2Fとなっていた。また歩く音が宿泊客に迷惑ということでしょう、入浴時間は夜10時まで、朝は6時半からとなっていました。さて肝心の食事は空いている別室に用意され、アンコウ鍋は肝がいっぱい上にかかったやや透明スープの中で例の七つ道具を豊富な野菜とともに煮込むというもの、最後に雑炊にしますから鍋が終ったら連絡してくださいと。やはり想像していた通りドブ汁より品良くかつアンコウの肝の味が引立って美味しいという鍋で、神田いせ源の醤油仕立風とも違っていて僕の好み。女将にあとで聞けば、何でもドブ汁は味噌でゴマカスからアン肝が少なくてもいいけれどこちらはタップリ入れるそうだ。ただ、野菜が多いので女房と二人では全部は食べきれない、最後の雑炊は厨房に持帰って残り物を出してから作って持ってくるようになっているのは皆さんご同様なんでしょうね。ノドグロの塩焼、アン肝のポン酢、お造り、タコのカルパッチョ風、タコと里芋の煮物などなどで腹一杯、雑炊は僕だけが1/3ほど食べたもののギブアップ、美味しいんだけれど残念至極。冬はこのあたりタコが多いんでしょうか、お造りを含め夕で3品、朝にも刺身になっていましたがこれは聞き忘れました。朝食で特筆ものは大根と合わせた魚アラの煮付けで、煮汁をずっと継ぎ足して作っているらしく我が家庭の味とは別ものの次元、深い味があるのにショッパいということは全く無い。アンコウもだけれど朝のアラ煮も旨かったよと帰り掛けに女将に褒めればやはり継ぎ足しの煮汁という話、そのあと続けて夏場は岩ガキが美味しいですからその時期にもどうぞとシッカリ宣伝のお言葉。でも夏場は僕は信州方面に行っちゃうし、岩ガキは日本海側も有名だし太平洋側ももっと近い銚子もあるからわざわざ泊まるんならやはり冬がいいですね。この辺りで魚を買うのに何処がいいか質問すれば、やはり家族だけでやっていて地元の魚を扱うまるいちを推薦していた。ちょっと北に走れば小名浜のら・ら・みゅうがあるじゃない、あちらはどう聞けば、そちらは少しは安いけれど目が利けばねと注意してくれましたよ。
夕食
朝食
アンコウ鍋雑炊
・納豆について
さすが茨城は納豆の本場、岩倉鉱泉の朝食では水府産の久米納豆が出たので聞いてみれば、この近くは山方町の舟納豆は有名ですけど全国区は小川町のおかめ印納豆タカノフーズ、この村は久米納豆で切干大根入りやヒジキ入りなど珍しい納豆を作っていますという返事。この他にも大子町には昔は大粒大豆だったを謳う旭納豆本舗、県都水戸には水戸天狗納豆の笹沼五郎商店や元祖天狗納豆などがあってどれも売れているということはそれぞれの贔屓客が居るということでしょう。茨城に来たら手当たり次第に買って帰って自分の好みを選び出すというのはどうですか。
店データ
・長浜荘 北茨城市大津町五浦 2082 0293-46-2665
・天心記念五浦美術館 北茨城市大津町椿 2083 0293-46-5311
・アクアマリンふくしま いわき市小名浜字辰巳町 50 0246-73-2525
・いわき ら・ら・ミュウ いわき小名浜字辰巳町 43・1 0246-92-3701
・海鮮森田 大洗町磯浜町吹上 5612 029-264-6550
・砥上屋 北茨城市平潟町 141 0293-46-0418