会津周辺は懐かしさがいっぱい

会津・奥会津   2002.09.21(土)〜24(月)

 昨年と同じ時期、同じ宿に2泊3日の旅行、但し泊まる順序が逆になって昨年行った新潟側には回らずに会津だけを小回りして帰るコースを計画していざ出発。それで前回に加える話とこの周辺の見所などをを箇条書きしておきましょう。

・定番まことに久しぶりの源来軒と初めてのはせ川のラーメン   

 早朝4時出発で白河で今回は国道294号を北上、喜多方8時到着と同時に朝一番はまこと食堂でのラーメン朝食。そのあとも定番の清川で太左衛門酒を買って水汲み、この酒蔵には3つの井戸があるそうで、売場前の蛇口は一番浅く、奥の方にあるのが一番深いというのでそちらで汲ましてもらう。女杜氏の父親らしき親父さんにラーメンの美味しい店を聞くと、有名店以外では松食堂、とんかつ栄などを挙げ、清川推薦のラーメン店を入れたマップをくれた。ついでに最近ラーメン通の本にも乗ったはせ川のことを聞くと、最初はタクシー運転手の溜り場で、観光客にラーメンの美味しい店の案内というと昔は源来軒だったのがここは駅近くで、もっとメーターがあがる遠方のこちらに案内するように仕組んだとか、それがどんどん旨くなったんだそうだ、なるほどね。因みにこの店は老麺会に入っていないので駅前観光案内所で聞けばラーメンマップでこの辺とだけ教えてくれただけであとはそこら辺に行って聞いて下さいだと。この日は駅近くの煉瓦という喫茶店で美味しい水出コーヒーで朝食後の一服。ラーメン屋が店を開けるのが多くなる10時を待って、女房を駅近くの漆器通り(区画整理で数年前にできた通り)に残し、それではと久しぶりの源来軒にいけば、さすがにここの手打麺もなかなかと満足して賞味。そのあと弥右衛門酒の北方風土館、製麺のはすぬまを巡るうちかのはせ川が開店の11時となり昼もラーメンでいこうと郊外の店を来訪。10分過ぎであったがもう行列ができ駐車場は満車で路上駐車がずらり。開店時はいつもこの状態だそうだが、先に注文して外で待ち、呼び入れられて暫くでラーメン出来上がりという方式で流れは良いのです。ここは喜多方では珍しい塩がメインでお値段も500円と会員店より50円安く、和風出汁が利いたスープで腹にはまだ源来軒のが残っているものの一気に食べてしまい、タクシー運転手お薦めの新旧のラーメンを腹で一緒にしてしまいました。さすがに腹一杯になって天気も良いし腹ごなしにもと裏磐梯五色沼散策路4kmの往復でもしようかと次に向かう。少しは健康的な旅も組入れ、その後は猪苗代に下りて朝も早かったことだし悠ゆ亭に早めに入ってゆっくりするとしましょうというわけ。

源来軒のラーメン

はせ川の店舗
  と塩ラーメン

 五色沼遊歩道は片側の駐車場から反対側まで徒歩で約1時間、健脚ならば1時間半あれば往復できます。

・悠ゆ亭

 悠ゆ亭は前回に同郷というので話がはずんだので覚えていてくれ、同じ時期だと料理内容はほぼ同じですけどと。古い歌の文句、毎日同じコロッケばかりじゃなし、年一度ぐらいなら同一メニューでも美味しいんだからいいじゃないですか、僕なんか喜多方では毎回まことの同じ中華そばを食べているんだからと返事。ウェルカムコーヒーを飲んで一番目到着の風呂でゆっくり、あとは部屋でゴロゴロしながら宿にあった観光案内雑誌を見ればこの宿の紹介がそれぞれに載っていますねぇ。
 ここの食事は全員が一緒に夫婦が作りながらを戴く方式なので、5室の客の風呂が一巡するまで待つことになり、今日は夜7時半過ぎからの食事、どうしても遅くなるのは我慢しましょう。それだから客同士お互いが配慮してこそこの宿を楽しむことができるということを肝に銘じておく必要があります。またそのための主人の気配りも大変でしょうね。こういう宿ですからお子様はご遠慮くださいとか。
 今回女房が気が付いて言うには、全体が和の民芸風造りに洋の置物が混ざるのと洋風コーヒーカップなどは変えた方がいいわねぇと。和洋取合せでも一人のセンスで集めると不思議とマッチングすることもあるのですが、夫婦二人さんのこういうものの趣味だけは違うんじゃないのかなと思いました。でもそれぞれに個性があって愉快に過ごせるし、お値段からも本当にお値打ち。帰りがけ山菜料理も評判らしいし次回は季節を変えて来てみたいと言えば、是非そうしてくださいとの薦め上手。でも我々はその時期時期で行く所と宿がほぼ決まっているので組替えが大変と言えば、ここから一泊で行けるか郷里の静岡でいい宿があったら教えてくださいと逆にきかれてしまった。この宿もかなり高ランクですよ、でも温海温泉や寸又峡温泉だったら次回に良く行く宿のTELなどメモしてきますよ言いながらサヨナラを。(次のときに和洋の混在理由を聞けば浜松の自宅で奥さんがイタリア料理店をやっていた頃の店内飾りだったんだそうでした)

悠ゆ亭の外観と内部

・桐の三島町で隠れた手わざの品、ヒロロ(カラカヤという植物の方言)で編んだバック類

 悠ゆ亭の女将に昨年買ったくるみの籠バッグを見せたら、私は柔らかいバッグが好きなのでこれを金山で買ったと見せてくれたのが今まで見たことがないしろもの。しかし買ったのが金山の市街というのは間違いで、さっそく行ってみて会津川口駅の売店の叔母さんに聞けばそれは三島町ではないかと。そういえば街道筋の三島町の道の駅に数点展示販売していたんだけどかなりのお値段だったので作っている所なら安いのではとやってきたのに。この際戻ってみようと宮下駅近くの旧街道筋らしき分かれ道の家並み(市街といっても駅周辺の人家のやや密集した地域)に入れば中にいくつか赤い手形が描かれた小さい看板、手わざの店とでているのでこれだなと。でもヒロロを売っている店はあいにくお休み。近所の人に聞くとこのあたりでヒロロはここだけでそうで、道の駅より安いかとわざわざ探してきたのにガッカリ。店の前には手わざの店のリストと地図のパンフレット、これから行く昭和村に通じるかなり辺鄙な山道らしき中の二集落にヒロロを作っているらしき店の名がある。これを越すのは大変そうなのと金山は玉梨の豆腐ドーナツがお目当てだったこともあり国道252号から400号に入り昭和村に回ってから村境に近い間方地区の数軒を訪ねようかと、ここまで探したんだからまだ執念執着をし通してやろうと決す。途中の金山の奥には以前若夫婦が都会から戻って継いだばかり初々しい頃の秋に泊ってキノコが旨かった宿で、今でも案内葉書がくるので気には掛けている玉梨温泉恵比寿屋がある。当時で休前日一泊15000円が今は12000円ぐらいと値下げしているし、秘湯を守る会に入っていて嵐山光三郎も紹介していたりで評判がよいのでまた泊ってみようかと考えているのだが。何より秋のキノコシーズンは狙い目だからまたここもルートに加えようかな。そこを通り過ぎればすぐに豆腐茶屋で例のドーナツをお土産に買ってすぐに昭和村に入る。さて昭和村から目的地への山道は林道で狭くクネクネの細い道、途中は2台擦れ違っただけであったがやれやれと集落まで、山越えは距離は少なくても時間は思いの外かかるもの。やっとのことで旗が立てられた3軒を訪ねるとどれも山間の古い農家そのもののという佇まいの家。昔から自分達の必要で手作りしていたのが今になって人気になってしまったというのが本音なんだろうと思いますが、パンフでは3軒ともヒロロをやっているようになっていましたが、アケビ籠や山ブドウ籠が専門とかで一軒だけがやっていました。そのお婆さん、自宅で細々やっているだけなので今は注文が多過ぎて何年も待ってもらっているから頼まれてもすぐには受けられないと。出来上がっていた8点ほどを見せてもらうと、このバックは皇后様、こちらは雅子様がお買上げと同じ型とかの説明をはじめた。値段を聞くと山ブドウ籠以上になっているらしく、皇室御買上が値段を吊り上げたのではとこれまたビックリ。今回は縁がなかったかと、これならやや高めでも道の駅で買っておけば良かったかなと後ろ髪を引かれつつ昭和村に戻り、からむし織の里に立ち寄れば今回もくるみ籠の実演中。昨年買った女房の手提籠を見せながら菅家さんというお爺さんと話せば今回はさらに高くなっている様子でこれは昨年買っておいてよかったねと。でヒロロの話をすればここにも一つだけまだ残っているよと。やや小振りのバックながら1万8千円とか、大きいのは3万円以上していたそうで女房は使い勝手がと難を言うのを買ってやるんだから今回はこれで手打ち、大型は次回の楽しみにしようやということに。僕は優しい亭主だなぁ。

玉梨豆腐茶屋

ヒロロのバッグ

・季の郷湯ら里

 季の郷湯ら里の専属従業員は都会ホテル風にスマートなのは感心するほどですが、アルバイトの人や近在の一般客は地元丸出し風のアンバランスが面白い。昨年聞き忘れた本館の湯が無色透明なのは、むら湯の源泉と同じなのだがタオルが茶色くなるほどなので鉄分除去ではなく鉄分が酸化しないで他の成分と結合するような処理をしているとか、そんな成分があるのでしょうかね。夕食はメインが前回とは違って鶏のグリル料理のほかはほぼ同じ。夕食時女房は持参のくるみ籠バックをハンサムなレストランマネージャーに高価ないい籠ですねと誉められ、中の袋は結城紬で私が縫ったのと自慢してご機嫌でしたねぇ。次の朝は今回も餅つきがあり、朝食のバイキングはやはり欲張ってあれもこれもととればもう腹一杯、年を考え健康第一でと二人で反省しきりでありました。でも前回は無かったと思う南郷トマトのジュースは今まで飲んだことがない生トマト!トマト!という味わいでこれはお薦めです。

客室棟廊下

夕食

朝食バイキング

・南郷村、舘岩村

 宇都宮までは南郷村から田島中心部には向かわず伊南村を通り、桧枝岐に向かう道を右折して舘岩村経由で会津西街道に出ていく。途中南郷村はトマトと幻の酒花泉、舘岩村では伊南村の豆腐屋が作ったそれこそ硬い田舎豆腐やキノコを売る村のコンビニ、曲家集落がそのまま残る前沢地区、巨大無垢材が豊富に揃うきこりの店(この店は家具から木造建築も手掛け、手作り通信を発行し、各種手作教室や大木伐採見学会などのイベントも行っている真面目な店で、無垢材は僕が知る限り一番安い)などがあり、それぞれお薦め。特に前沢曲家集落の一群は見事な民家が残り今でもそのままに居住しているのが立派の一語と感心する。昔は直接集落内に入って居住者に迷惑をかけるような感じだったためか、入り口の国道沿いに駐車場を設けてしっかり料金をとるようになったがこれは止むを得ないですね。またこの村には国道から南に少し入るのですが木賊温泉と湯ノ花温泉という鄙びた温泉があって、どちらにも素朴な共同浴場があり、入浴料は確か200円だったと思います。また伊南から舘岩の手前で桧枝岐の方に行けばスノーシェッドが続く途中にあって気をつけないと通り過ぎてしまうのが公共の温泉と宿泊施設小豆温泉、ここは夕食が中華料理の宿として有名だが我々は立派になった公衆温泉だけに入ったことがあるだけ。会津高原駅を過ぎれば会津西街道に出てキノコ、野菜を売る小屋が並ぶ場所。多少は目ぼしいものがないかと立寄りますが、大抵は何も買わずであとは一路宇都宮に出て餃子をお土産にして家路に急ぐことに相成ります。

からむし織の里

駐車場に停めて橋を渡り前沢集落へ

きこりの店

・桧枝岐

 平家の落人が開いたという桧枝岐には4年以上のご無沙汰だが、その前には4回ばかり続けて訪ねている。この村は山里の生活そのものを残して、名物裁蕎麦と温泉、さらに尾瀬への玄関口の一つとして観光で活路を開こうと努力しているようですが、全て地元資本で運営し外部からの資本は入れないとは見上げたもの。もう一つは年一度演じられる桧枝岐歌舞伎が有名で、その舞台は悪縁を断ち切るという裁ち婆の石像が迎える神社境内で素朴そのもの、客席は土の上直にというのが嬉しいじゃありませんか。最初訪ねた時は山間の細長い土地であるからかお墓が道路に沿って続き、車で走る我々の方を向いて並ぶ様が異様に感じられたものです。またここに住む家々の苗字は星、橘、平野の3姓がほとんどというのにもビックリ、さらに橘姓の墓の家紋はあの平家の揚羽蝶、これには誰しもなにか伝説的なものを感じるでしょう。ここはこれらの雰囲気と蕎麦料理を楽しんで、尾瀬沼までのハイキングを楽しむというのが一泊旅行の定番でしょうね。僕が2回目から続けて泊まったのは丸屋新館という宿、姉が裁蕎麦の店を、妹がこの宿をというもので桧枝岐ではやや高めですが、部屋数が少ないのがまず良いところ。もちろん蕎麦は併設の店から打立て茹立てが戴けますし、この一品という鴨の和風シチューが旨いのです。我が女房は桧枝岐の名物料理はっとうが大のお気に入り。はっとうとは蕎麦粉を練って平べったい楕円形の餅状にして餡子をまとわせたもので、あまりの旨さに庶民には御法度にしたからはっとうの名がついた由、そんな甘いものは女子供に任しておきましょうや。最初に訪れた時に泊まった別の宿では蕎麦料理の数々に腹一杯で音を上げた程、山の幸とともに適度にたっぷりというのがこちらの宿はまた良いのです。
 一度は7月20日前後の土日に泊まり、天気予想が外れて梅雨明け前の晴れ間にめぐり合い、行くつもりの無かった尾瀬に是非と宿の女主人に進められ普段着のままいざ出陣。駐車場からのバスには普段よりかなり少ないというものの皆さんはハイカーの出で立ちの面々ばかりのその中に普通の靴に傘を片手というのは我々二人だけ。沼山峠から尾瀬沼までの往復、急な坂の昇り降りを行きは1時間ちょっと、帰りの方が昇りが多いものの道のりに慣れて前のハイカーを追い抜き追い抜き50分ほどと、周りから見れば変てこな姿をしていながら健脚を披露してしまいました。ニッコウキスゲはまだのシーズンでしたが湿原高原の山野草の可憐な花々を最盛期には想像できないほどガラガラに空いている木道を歩きながら楽しめました。ここなら一泊でも来られますからまた計画しましょうかね。

・大内宿

 昔の会津西街道の宿場町だった大内宿は、幹線道路から外れたため、今でも民家がそのまま残ってそれは見事なもの。やや南に傾斜する道路の両側に奇麗な小さな水路が流れ、両側に古い民家が並んで今は民宿や土産物、蕎麦屋などの店となっている。夏場に訪ねた時などトマトが流れに冷され、買い求めてガブリとやればヒヤッとして旨いのなんの。水路が流れるところなど信州の海野宿は中央1本の小川ではあるが同じ情景、但しこちらはほとんど全てが茅葺というのがなんとも風情があっていいじゃありませんか。以前は国道を南下して湯野上から北に戻る道しかなかったのですが、最近会津本郷から直通する道ができて便利になりました。会津地方はこのような昔ながらの村落が結構残っているのも魅力なのです。水路といえば鯖街道熊川宿でも同じく中央に生活用水として流れて川に注いでいたなぁ。こういう風景はよくぞ残されていたものとどこでも感心しきりになってしまうねぇ。そういえば川が街中を流れるというのは温泉街にも多くて、特に山形の銀山温泉や兵庫の城崎温泉は宿が両側に建ち並ぶ中央を水路が走り、橋が何箇所か架けられ外灯や柳の木が配されているなんて風情がありましたよ、今ではいずこも電柱が撤去されていることは勿論でしたけれど。銀山温泉などは最奥に滝まであるんですよ。

春の大内宿

店データ
 ・まこと食堂         喜多方市月見町 7116     0241-22-0232
 ・はせ川           喜多方市大字大荒井 6    0241-24-5180
 ・バッグの泉テル      三島町市街
 ・きこりの店 おぐら    舘岩村熨斗戸 544        0214-78-5039
 ・丸屋新館         桧枝岐村字居平 638     0241-75-2024

戻る