国鉄・JRの台車
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貨車台車編(その3)
3.高速貨車用台車 2006/1/10 加筆修正
高速貨車用台車は1930年に開発されたTR24に始まります。
設計では最高運転速度95km/hとされましたが、実際は85km/hで運転されたようです。
1959年、最高速度は85km/hで運転するチキ5000形コンテナ車用のTR91を試作し、TR63として量産されました。
1964年に100km/hで運転する高速貨車の開発にあわせTR93、94が開発され、TR94を量産化したTR203が1966年に登場しました。
同じ年に85km/hで運転する物資別適合貨車用にTR95Aを試作し、TR207として量産されました。
1968年にTR207をコロ軸にしたTR211がTR63の後継となりました。さらにレサ5000形用にTR216が開発されました。
1970年にはフレートライナー用として最高運転速度95km/hのTR99が開発され、TR223として量産されました。
1985年にはTR63のブレーキ装置を改良し95km/hで使用開始しました。
JR貨物発足と同時にブレーキ装置を改良し、TR223で100km/hおよび110km/h運転を開始しました。
1987年には110km/hで使用可能な新設計のFT-1が開発されました。
3-1 TR24 2005/11/19 加筆修正
TR24は宅扱急行列車に使用するために作られたワキ1形式とともに開発され、当時旅客用台車でも採用されていない一体鋳鋼製側枠を採用した先進的な台車です。
さらに軸ばね、揺枕吊り、つなぎ梁を採用するなど、旅客用台車とほぼ同じ構造をもっています。
最高運転速度は95km/hで設計され、旅客急行列車との併結が可能にしましたが、貨物列車では85km/hで使用されたようです。
実際に95km/hで走行した例は超特急「燕」を牽引したC51の水槽車(後のミキ1)があります。
この台車の派生として、蒸気機関車の炭水車用台車があります。
流線型で登場したC55の炭水車にはじめて使用しました。
走行性能もさることながら、積空差の大きい炭水車に軸ばねと枕ばねを持つ構造が向いていたのだと思います。
このTR24がほかの台車 −旅客用、貨車用含め− と脈絡なく登場していることが以前から謎でした。
最近の調査で、このお手本となる台車の資料を発見しました。
当時の国鉄は、新しい技術を米国から導入していました。
たとえば、TR23形台車はペンシルバニア鉄道の2D-P2形式台車をお手本だといわれています。
そこで、TR24についても同じではないかと推論を立て調査したところ、やはり同じペンシルバニア鉄道にそのルーツを見つけました。
R50/R50A形急行冷蔵車に使用された2D5P3型台車がお手本ではないかということがわかりました。
この台車は特殊構造で、側枠は鋳鋼製、軸距は5ft-6inch(1981mm)、軸箱にばねを持っています。
ブレーキは抱合わせ式です。ただ枕ばねには揺れ枕吊りはありません。
参考にして設計されたことは想像に難くないと思います。
台車形式 揺れ枕 製造初年 主な使用形式 記      事
TR24 鋳鋼 S5 ワキ1
TR24 鋳鋼 S9 チキ1500 S13以降組立式揺れまくら化
TR24 鋳鋼 S12 ワキ1、ワムフ1 基礎ブレーキ装置両抱式
TR24 鋼板溶接組立 S17 ワキ700
TR24 鋳鋼 S23 ワキ1、レキ1
ペンシルバニア鉄道 2D5P3形
1917年 Railway Mechanical Engineer より
TR24 チキ1500形式 1566 西名古屋港 1976-10
積空差が大きいため枕ばねを親子板ばねにし、さらに軸ばねも積空でたわみが異なるようにしている。
TR24 抱合せブレーキ ワムフ100形式 102 1977-2 TR24 ワキ1形式 324 会津若松 1976-7

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