LosT wiNTer

room 8

私が描くのは日々の小さなことがほとんどだ。自分が気に入って買ったもの、出会った綺麗な石畳。旅先の路地。珈琲の湯気が立ちのぼる景色。そればかりを書いている。祖母は私の小さな話―しかも、季節は決まって冬―をいつも楽しみにしていた。先に訪れた商店街から程近い祖母の家でカフェオレを飲みながら書いたこともあるし、祖母のいる風景がそのまま一つの物語になったりもした。


LosT wiNTer room8より抜粋