LosT wiNTer

room 6

灰色の空と、私の小さな影。しばらく歩くとなだらかな坂になり、防風林の先の海が見えてきた。強い潮の香り。開ける視界。砂浜と海。海。誰もいなくて、ただ寄せては返す波。私は吹きつける海風を全身に受けてその海を見つめた。ゆっくりと砂浜へ踏み出して、さらさらと危うい粒子の上を進む。北の水辺。しばらくそこで対峙する。髪が風に絡んで舞い上がった。


LosT wiNTer room6より抜粋