LosT wiNTer

last room

少しずつ。

少しずつ、日没が遅くなってきた。入口に「閉館」のプレートを下げる午后五時には闇に閉ざされていた空が、最近はまだ桃色の光を西の天に残している。葉を落とした木が淡い空に映えて影絵のように浮かびあがった。まんまるだった月が欠けて少しふっくらとした三日月になり、枝の先にぶら下がっている。指でその輪郭をそっとたどった。冬がもうすぐ終わろうとしている。


LosT wiNTer last roomより抜粋