G I H 会 報 
  No.98    2014年9月10日発行

第105回研究会の報告    第105回研究会は、予定通り2014年8月23日(土)に岐阜県内の産業遺産 見学会として実施したことを報告する。次に当研究会で作った「岐阜の産 業遺産」を岐阜県図書館と共催で8枚のパネルで展示したことを紹介する。 3つ目に岐阜大学学生の「岐阜の産業遺産」見学状況を紹介する。 1.「大垣の産業遺産」を再調査して
報告 広瀬 泰正・橋 伊佐夫  8月23日(土)は雨の心配もあったが、予定通り見学会として産業遺産の 調査を行った。いろいろな事情で参加出来ないとの連絡があり、2名で取 りあえず過去に調査した大垣方面の産業遺産が保存されているのか、無く なっていないか、下記の5件を5時間かけて再調査した。今回の調査で、 無くなった産業遺産が2件ありびっくりしたが、新たに産業遺産の存在が 発見できて大変よかった。以下にその5件の調査の概略を報告する。  @大垣市林町のオ−ミケンシの自家用火力発電所建物は、4年前の見学   会の時にはまだ現存していたが、完全に解体されていた。  A大垣市西崎町の日本合成化学工業(株)大垣工場内に保存展示されてい   た昭和5年ステンレス製円筒形の水化塔(日本初の酢酸製造装置)は今   も社内の庭に大切に保存展示されていた。  B大垣市室村町の旧鐘紡繊維(株)大垣工場(現:三甲テキスタイル(株))   大垣工場に大正3年造られた赤レンガ倉庫が100年経った今も現存し使   用されていた。工場内には20年前の見学時に大正11年イギリス製の消   防用蒸気ポンプ(蒸気機関で水を送る機械、ウォーシントンポンプ)が   あった。今回工場を訪問したところ、現在も残っており何時でも使用   できる状況に整備しているとの事だった。  C大垣市南市橋町に昭和5年頃敷設された西濃鉄道市橋線の廃線が16年   前には残されていたが、その後レールと枕木が撤去され、線路跡だけ   残っていた。  D河合石灰工業(株)が大垣市赤坂町の金生山のふもとに明治13建設した   土中炉(石灰岩焼成炉)が20年ほど前には現存していたが、なくなって   いた。河合石灰乙女坂工場と同様な土中炉が池田町市橋のマルアイ石   灰工場にあると、地元の方から教えてもらい、早速マルアイ石灰市橋   工場へ行ってみたら、工場の一角に大きな土中炉が5基残されていた。   市橋工場に勤務されている人の説明では、何時設置されたのかは分か   らないが、昭和53年頃まで使用していたとのこと。市橋工場の土中炉   解体はまだ考えられてはいないとのことでした。現存しない河合石灰   の土中炉に代わる新たな貴重な近代化産業遺産の発見だった。 2.岐阜の産業遺産展示会の紹介
 GIHとして初めて岐阜県内に現存する産業遺産の写真パネルを作り、岐 阜県図書館2階の「企画展示コーナー」で展示した。展示期間は7月20日(日) から8月30日(土)までの40日間。岐阜県図書館は今年創立80周年となるの で、80周年の記念事業の一つとして「岐阜の産業遺産」のパネル展を岐阜産 業遺産調査研究会と共催で実施できないかとの依頼があり、GIHとしてあり 難く承諾した。テーマは「岐阜の産業遺産展示会」とし、10枚のパネルで GIH会長あいさつ・図書館館長あいさつ・「産業遺産ってなに?」の説明文、 26件の産業遺産を写真で紹介し、産業遺産が保存展示されている場所もパネ ルで紹介した。紹介した産業遺産は明治時代に作られた東海道線の旧揖斐川 橋梁や大正時代に作られた大井ダムなど産業の近代化に貢献した県内の主要 な施設や機械装置などです。夏休みの小中学生の自由研究や産業遺産に関心 ある人の見学に少しでも役に立てばと期待しての展示会です。展示終了後、 県図書館記念事業企画担当者の話では、小中学生の見学だけでなく、岐阜県 の小中学校社会科職員の会6回目研修会として約40名の教職員が見学され、 また各務原市と瑞穂市の国語の教職員も約40名ほど見学されたとのことでした。 その事を聞いて、今回のパネル展は一定の成果があったと評価できる。

(2014/07/30)パネル展紹介の中日新聞記事


図書館に展示されたパネル展の写真

    3.岐阜大学学生の産業遺産調査に協力して  今年度から、GIHとして岐阜大学3年生の必修科目である『地域学実習』 のテーマ「産業遺産の調査」に協力することになった。その第1回が2014年 7月20日(日)に実施された。学生12人が車3台に相乗りし、鏡岩水源池に保 存の旧ポンプ室と旧エンジン室、岐阜の町に初めて電灯を灯した旧水車・発電機、 長良川左岸の忠節用水ロボット水門、忠節特種堤と忠節橋、瑞穂市の五六閘門、 東海道本線の初代揖斐川橋梁(イギリス製)・2代目のアメリカ製橋梁跡 (橋台)・現役の3代目日本国産橋梁、揖斐川町東横山の国道303号線「道の駅」 に展示された国産初の縦軸水車、イビデン東横山発電所など10ヵ所を5時間 ほどかけて案内し見学した。 4.次回(第106回)研究会について
 次回の研究会は2014年10月11日(土)にしました。会場は、第100回時に お世話になった岐阜市靭屋町の「空穂屋(国の登録文化財)」にしました。  内容は別紙第106回案内をご覧下さい。 5.研究会での報告依頼について
 研究会での新たな産業遺産の報告は最近少なくなりました。研究会で多 くの方にご報告頂けることを望んでいます。報告を希望される場合、研究 会当日でなく、開催日の一ヶ月前に研究会の案内をつくりますので、一ヶ 月程前には「報告テーマとその内容の概要」を事務局までお知らせいただ けると有り難いです。また、産業遺産見学のご希望があれば、その見学先 もお知らせいただけると助かります。宜しくお願いします。 
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