G I H 会 報 
  No.96    2014年5月20日発行

第103回研究会の報告   第103回研究会は、4月19日(土)岐阜大学地域科学部「地11」教室で行った。今回は「岐阜の産業遺産」のパネルづくり作業が中心で、6枚のパネルの割付を行ったが、パネルが 出来上がらなかったので、続いて5月17日(土)の運営委員会の後、再度パネルづくりを行った。遅れましたが、そのパネルづくりの件を今回の会報で報告します。なお完成した パネルは次回の例会で披露し、参加者に鑑賞してもらうことにしました。 1.「岐阜の産業遺産」パネルづくり 始めにパネルづくりについての提案と展示についての相談があり、5名で作業しました。パネルの大きさはB1、全部で6枚。その内1枚は産業遺産とは何か、展示の意義や内容 全体の説明とし、他の5枚は地域別に写真とキャプション(全てふりがなを付す)を貼り付けることにしました。完成したパネルは、いろいろな場所に展示をお願いするつもり ですが、先ず岐阜県図書館に展示する事を試みることにしました。5枚のパネルで地域別に紹介する主要な産業遺産は下記の22件を選択しました。会報での産業遺産の説明は遺 産の展示場所と遺産が果たした役割などの説明で、パネルに記載のキャプションではありません。キャプションと写真は次回の例会で展示するパネルをご覧下さい。なお、飛騨 地域の産業遺産紹介は残念ながら、今回は出来ませんでした。 岐阜地域−4件 @ 水車・発電機:岐阜市鏡岩の「水の資料館」の側に展示されている明治40年アメリカ製水車・発電機。岐阜電気が小宮神発電所で初めて水力で発電し岐阜に73年間送電。 A ロボット水門:岐阜市御手洗の忠節用水分水路にある水門で、形状からロボット水門と呼ばれている。忠節用水に流す水量を調節し、余水を長良川に戻す役割。 B 特種堤:岐阜市忠節から金華山ふもとまでの長良川左岸に造くられた石積み堤紡で、上部に畳みをはめ込む構造になっている。現在、忠節橋から金華橋の間で見られる。 C 五六閘門:瑞穂市牛牧の五六川流末に現存する明治40年に造られた人造石工法の樋門。下流からの大水の逆流で上流に洪水が生じないよう、逆流を止めるための樋門。 中濃地域−4件 @ 旧美濃橋:美濃市上有知の長良川に大正5年に架けられた全長116mの日本現存最古級の吊り橋。現在は歩行者のみ通行できる。平成15年、国の重要文化財に指定された。 A 長良川発電所:美濃市立花の長良川右岸に名古屋電灯(株)が明治43年に建設した赤レンガ造りの水力発電所である。設備改修までの70年間、水力発電の役割を果たした 明治40年ドイツ製旧水車・発電機が発電所のわきに展示されている。 B 古川自家用発電装置:郡上市美並高砂の古川茂樹宅で大正9年から57年もの長い間、自宅の電灯や精米などの電力として使用された発電装置。役割を終えたこの発電装置 は「美並ふるさと館」に展示された。平成13年美並村の文化財となった。 C 北濃駅の転車台:郡上市白鳥町の長良川鉄道終点北濃駅に明治35年のアメリカ製転車台が保存展示されている。越美南線時代の大正9年から蒸気機関車の前後方向変換に 活用された。日本現存最古級の転車台で、平成17年国の文化財に登録された。 東濃地域−4件 @ 大田橋:木曽川の美濃加茂市と可児市間に大正15年に架けられた鋼製3連のトラス橋で全長217mある。現在も国道248号線の道路橋としての役割を果たしている。 A 飛騨川の白川橋:JR高山線白川口駅前の飛騨川に大正15年に架けられた吊り橋で、日本橋梁(株)製全長115mの橋である。現在は白川町の所有で、自転車と歩行者のみ 通行できる。平成10年国の文化財に登録された。 B 八百津発電所:名古屋電灯(株)が明治44年に完成させた発電所(当初は木曽川発電所)で、大正6年放水口発電所を増設し八百津発電所となった。木曽川初の発電所で、 発電所建物・水車・発電機・放水口発電所などは 平成10年国の重要文化財に指定された。 C 大井ダム:大井発電所で使用する大量の水を貯めるため、恵那市奥渡の木曽川に大同電力(株)が大正13年に完成させたダム。木曽川を堰き止めた日本最初の高堰堤ダム。 西濃地域−4件 @ 旧揖斐川橋梁:現在は大垣市の歩道橋として使われているが、東海道本線の鉄橋として揖斐川に明治19年に架けられた最初の鉄橋で、国の重要文化財に認定された。 JR東海道本線で揖斐川を渡る時、電車の窓からその橋梁が上流側に見える。 A 国産初の縦軸水車:元西横山発電所で水力発電発に使われた大正4年製の水車が揖斐川町東横山の「道の駅」に展示されている。発電所解体時に水車の縦軸がスクラッ プにされて残っていなく残念だが、国産初の縦軸水車であることが貴重である。 B 貨車用車掌車2輌:JR大垣駅南側の旧大垣貨物駅跡に展示されている車掌車(車掌車とは貨物車の最後に連結される車輌のこと)。貨物車の最後尾には車掌が必要で、 車掌車内部には2組の机と椅子・ストーブ・トイレが設置されている。 C 羽根谷の砂防堰堤:オランダの技術者ヨハネス・デ・レーケの「治山治水」技術の考えによって明治25年に造られた石積みの堰堤で。山の土砂が下流の揖斐川に流れ込む のを防ぐ役割をした。国の有形文化財に登録されている。 西濃地域の排水機−6件 @ 旧五三排水機:養老町大巻の五三川流末の五三排水機場跡に展示された大正12年製横軸両吸込渦巻形ポンプ。養老町五三地域の湛水防除の役割果たした。 A 旧福束排水機:安八郡の新福束排水機場屋外に展示された大正13年製横軸3連両吸込渦巻形ポンプ。福束輪中の湛水防除の役割果たした。 B 旧鵜森排水機:大垣市入方の輪中館西側に展示された昭和10年製横軸軸流形ポンプ。大垣輪中地域の湛水防除の役割果たした。 C 旧福江排水機:海津市歴史民俗資料館の中庭に展示された昭和2年製横軸両吸込渦巻形ポンプ。高須輪中地域の湛水防除の役割果たした。 D 旧脇野排水機:脇野排水機場の前に展示された大正15年製横軸両吸込渦巻形ポンプ。今尾・脇野地域の湛水防除の役割果たした。 E 中須川排水機:安八郡輪之内町の安八排水機場の外に展示された昭和17年製横軸軸流ポンプ。安八郡輪之内町の中須川流域の湛水防除の役割果たした。 2.次回の予定 @  完成したパネルの鑑賞 A  第19回総会 B 「岐阜の産業遺産」DVDづくり(再検討)   提案 大田 博行 会員 第104回研究会の案内をご覧下さい。 午後1時半から、県図書館で。
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