G I H 会 報 
  No.89    2013年1月13日発行

第96回研究会の報告    第96回研究会は、12月15日(土)に岐阜大学地域科学部の講義室で行いました。最初に 「木曽三川の背割堤について学ぶ」というテーマで 学びあいました。次に 高橋伊佐夫 会員より「背割堤の第6回ワークショップ」への参加報告を、その次 小西利雄会員より 「中津川の石器館と産業遺産見学会」について 報告していただきました。今回の参加者 は9名でした。 記 1.背割堤の産業考古学的価値について                    まとめ 稲生 勝 会員  前回の研究会で、背割堤は、産業遺産であり、文化財として登録するように働き かけていくことも考えられるのではないか、そのためにも、そのきちんとした評価 が必要なのではないかという提案があり、とりあえず、背割堤について、みんなで 調べてきて、発表し合おうということになりました。そして、今回、ほぼ参加者全 員がそれぞれの視点から多くの論点が語られました。背割堤が造られる以前のこと、 宝暦治水との関連、背割堤建設による強制移住のこと、デレ―ケのこと、現在のモ グラによる破堤の危機のこと、遊水地による洪水防止(ちなみに会場となった岐阜 大学の柳戸キャンパスの地ももともと遊水地でした。現在もキャンパスのまわりに は遊水地となる堀があります。)と 急いで水を流すことによる洪水防止があること など、紹介しきれないほどです。非常に多くのことが語られ、充実した研究会にな りました。むしろ、時間が足らないほどでした。  結論的には、背割堤が文化財として十二分な価値があるだろうということを否定 するような論点は見られませんでした。が、背割堤は、これまで、私たちの研究会 が保存を訴えてきた産業遺産によくあった、「ほっとけば壊される」というもの と は考えにくく、今後も研究を続ける時間は有るだろうと思われる(甘い考えでしょ うか?)こともあり、もっと研究を深めていこうということになりました。  技術的な問題はもちろん、政治経済的な背景、文化的な背景、など、さらに視野 を広げる必要もあるでしょう。また、宝暦治水との関連は、明治期の日本版産業革 命における江戸時代と明治時代の連続と非連続の問題にもからむでしょうし、それ は、産業遺産とは何かにもかかわる問題です。  文化財に登録されるか否かを問わず、その利用のありかたも考えられねばならな いでしょう。さらには、関連する多くの産業遺産、船頭平閘門や千本松原、ポンプ などとどう関連付けて利用していくのかも考えねばならないでしょう。もっといえ ば、産業遺産とは呼びにくい助命壇、水屋など洪水の被害を想像させる遺産との関 連も考えたいところです。 2.(仮称)桜堤サブセンター・木曽長良背割堤ワークショップに参加して                  報告者 高橋 伊佐夫 会員 見出しの第7回ワークショップが 11月15日(木)に開催された。今回は、「使い やすい公園プランを考えよう!」のテーマで、9時から16時まで、愛知県江南市の 「フラワーパーク江南」で行われた。午前中は、これまで6回のワークショップで 話し合い集約したゾーニング案を基に、さらに使いやすい公園プランづくりについ て話し合われた。  午後はフラワーパーク江南の「フラワーパーク友の会」の方から、公園の運営に 参画されている話を1時間ほど聞いた。フラワーパーク江南は国営公園で、地域と の関わりを重視し、地域の人たちでワークショップを立ち上げ、何回も会合をもち、 地域の人々の要望を基に、建設された経緯のようだった。その後、フラワーパーク 友の会がつくられ、公園の運営・管理に協力しているとのことでした。フラワーパ ーク友の会の会員は、現在103名(ボランティア)で、花壇の手入れや イベント開催 どに協力しているとのこと。  午後のワークショップでは、桜堤サブセンターに地域が関われそうな件について 話し合われた。集約したゾーニング案は「国土交通省」に提出されるとのことでし た。その話を聞いて、桜堤サブセンター公園づくりのワークショップは、羽島市が 企画したワークショップだと思っていたが、勘違いでした。国土交通省より委託を 受けた羽島市建設部土木監理課が「フラワーパーク江南」と同様、地域との関わり を重視したワークショップをつくり、羽島地域の人々の意見を聞いて、羽島市民が 使いやすい公園施設の案をつくり、その案を「国土交通省」に提出する会合だった のだと気付いた。私は国が建設する公園の施設であっても、ぜひ公園内に「展望タ ワーの設置」と「排水機の展示」をゾーニング案に入れられることを期待した。 3.中津川の石器館と産業遺産を訪ねて    報告者 小西 利雄 会員  11月26日(月)見学希望者4名で中津川市上野の田口憲一さん生家宅に開設され た「石器館」と中津川の産業遺産を見学しました。その内容を 10頁もの資料をも とに報告していただきました。その内容の概要は添付資料(2頁分)をご覧下さい。 4.次回(第97回)研究会の月日と会場   次回研究会は、2013年2月9日(土)、岐阜県図書館2階の研修室1で行います。   研究会の内容は、同封の第97回研究会案内をご覧下さい。  <旅足発電機の「銘板」展示の紹介>  2011年1月、八百津発電所の発電開始から100周年を記念して、八百津町 に電力供給への役割をした工事用旅足川発電所の説明看板が発電所資料館内 に展示された。1985年7月に旅足川発電所で使われた小水力発電装置は解体 されて実物は存在しないが、解体時に現地を見学したとき頂いた発電機の「銘 板」が会員の竹中美喜夫さん宅に長年保管されていた。その「銘板」を資料 館に持参したら、工事用旅足川発電所の説明看板の側に「銘板」も展示した ので、どうぞ見学して下さいとの連絡がありました。  <中部産業遺産研究会のパネル展と講演会の紹介>  中部産業遺産研究会が「名古屋のまちづくりを支えた鉄道網」のテーマで、  名古屋市都市センターを会場に、2013年1月22日〜2月3日までパネル展を開催 し、1月27日(日)には特別講演会が開催されます。詳しくは同封のチラシをご 覧下さい。会員でなくても自由に見学し、講演会にも参加できます。
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