GIH 岐阜産業調査研究会会報 
  No.112    2017年6月9日発行

第120回研究会 東濃地域産業遺産調査 日時:2017年4月22日(土) ―風穴と石積み砂防堰堤―    2017年4月22日土曜日、田口会員の案内で、東濃地方の産業遺産の調査を実施しました。
今回の見学会は、以前、計画しながら、風邪などで出席者が集まらず、中止となってしまった見学会を延期して
実施したものです。 今回は、中津川周辺の<風穴>と<石積み堰堤>を調査しました。   風穴は、養蚕業関連の産業遺産です。カイコの卵を低温で孵化を遅らせ、孵化の時期を制御するため利用した、
地下に冬にできた氷で低温が保たれている洞穴のことです。
風穴の利用で、養蚕が1年中可能となり、生産量を大きくアップすることができたようです。
周知のように、生糸生産は日本の近代化を支えてきました。
生糸は、1950年代まで、たとえば、横浜港の輸出額のトップでした。
生糸の輸出で得た外貨で日本の近代化が推進されました。
それが「ああ野麦峠」の悲劇も生みましたことは言うまでもないでしょう。  また、石積みの砂防堰堤もいくつか見学しました。
一つは、ユーグリーン中津川GCのすぐわきにある(南側)砂防堰堤です。石積みですが、
規格化されていない石が用いられていました。築造年代等は不明だそうです。
 今日、多くの産業遺産の有効性が疑われていますが、その中でも最も疑われているのが治水関連で、
砂防堰堤も効果に疑いの目が向けられています。けれども、今回、見学した石積み砂防堰堤は100年近く
持ったものであり、全く無効とは考えにくいのかもしれません。
その有効性は、今後、様々な角度から学問的に検証していく必要があると思われます。
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