GIH 岐阜産業調査研究会会報
No.111 2017年4月2日発行
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第119回研究会
日時:2017年2月18日(土)
場所:岐阜大学地域科学部 地講義室
2017年2月18日(土)岐阜大学地域科学部 地21講義室で第119回定例研究会を
開催しました。
@エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』における産業革命概念
「産業革命」の概念が最初に使用されたと思われるエンゲルスの『イギリスにお
ける労働者階級の状態』における「産業革命」の概念を紹介、検討しました。
産業遺産を産業革命の遺産と考えるならば、産業革命の概念を考えねばなりま
せん。産業革命の概念を最初に用いたのは、ブランキという説もありますが、少
なくとも、産業革命の概念を最初に広く普及させたのは、エンゲルスの『イギリ
スにおける労働者階級の状態』でしょう。
エンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』は、エンゲルスが工場を経
営している父の仕事の関係でイギリスで過ごし、そこで見た労働者階級の悲惨な
生活を報告したルポルタージュです。産業革命の概念ばかりでなく、今日では世
界最初の公害告発の本としても知られています。
その冒頭部は、紡績を中心とした技術の進展を描いています。当日は、そこの
部分に焦点を当て、玉川寛治氏の『「資本論」と産業革命の時代』などを援用し
つつ、エンゲルスの議論を紹介、検討しました。エンゲルスは、まず、紡績業が
ジェニー紡績機(ジェニーはかつて発明者ハーグリーブスの妻あるいは娘の名と
言われていたが、玉川によるとそうではなく、エンジンがなまったもの)からミ
ュール紡績機(ミュールの名は馬とロバをかけ合わせたラバの英語から)への進
展を描き、その結果、工場のある町の人口の急増から、織物、染色、鉄道、製鉄
など多様な業種に影響を与えたことを分析しています。こうした分析の手法は大
いに学ぶべきかと思います。
本自体は、その後、児童労働を含む労働者階級の労働の実態、生活の実態、居
住地区の不衛生さ、公害などが描かれています。この点も大いに学ぶべきかと思
います。
A産業遺産を扱ったテレビ番組を録画したものを視聴しました。
B昨年、参加者がそろわず、中止になった東濃地方の産業遺産の調査につい
て、4月に実施しようということになりました。詳しくは、第120回の案内を
ご覧ください。
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