G I H 会 報
No.100 2015年1月20日発行
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第107回研究会の報告
第107回研究会は、2014年12月20日(土)に県図書館研修室1で行いました。最初に、プロジェクターで大田さんより滋賀県で保存
されている蒸気ポンプ見学の紹介を、続いてDVDづくりについて報告されました。次にHP改訂案について広瀬さんから提案があり
ました。最後に小西さんからJR東海道本線米原近辺の橋梁の調査報告がありました。その内容の概略は下記をご覧下さい。今回の研
究会参加者は6名でした。
1.日本で最初に利用された蒸気ポンプの紹介 紹介者 大田 博行
滋賀県豊郷村は平地で米作に適していたが、米作の水量には恵まれながったので、明治43年、豊郷村の砂山池と龍ケ池に揚水機場が
つくられ、地下水を蒸気ポンプで汲み上げて水田の灌漑に利用されていました。大正12年に動力は電力に替えられたが、当初の蒸気機関
によるポンプは百余年前、日本で最初に利用された蒸気ポンプで、豊郷町の宝物として豊郷町の八幡神社内に保存されました。その後、
若干修復され現在は旧豊郷小学校に移設展示されましたが、誰でも自由に見学できます。瀧ケ池揚水機場から勢い良く吐き出される水は、
今も幾つかの水路に分流し水田を潤しています。
2.「岐阜の近代産業遺産」紹介DVD作成についての中間報告 報告者 大田 博行 会員
DVDに収録予定の写真(プリント)のデジタル化はほぼ完了しました。今後はこれらの説明文をテロップとして作成する作業に入ります。
また、ディスク容量に余裕があれば動態の映像(ビデオ)も一部有りますので、ご紹介出来ればと考えています。収録にあたっては改訂中
のホームページとの整合性も必要だと思いますので、試作をお見せしながら皆さんと検討を進めたいと思います。
3.「岐阜県内の産業遺産」HP改訂案 提案者 広瀬 泰正 会員・高橋 伊佐夫 会員
産業遺産って何?<現存する岐阜県内の近代化初期の産業遺産を見る>
2014年改訂前の産業遺産には岐阜県内の江戸時代に造られた産業遺産や戦後の現代産業遺産も含んでいたので、改訂ホームページでは
産業の近代化に役だった「近代化初期の産業遺産」で、「現存」の近代化初期遺産に限定して掲載した。なお遺産の現存を視点に合併後の
新地域の名称に変えて紹介した。newとあるのは展示場所の変更、展示方法の変更等によるもの。oldとあるのは写真が古くなったので代え
たいもの。その他付け加えたいものの検討は今後研究会例会でなく、検討会などを開いて行っていくことになった。
●岐阜市
@小宮神発電所の旧水車発電機new A忠節用水の取水口 B忠節用水の第2樋門C忠節用水の分水樋門 D忠節用水分水路の逆水樋門
E長良川の岐阜特種堤F岐阜市の旧汚水処理用ポンプ G消防用蒸気ポンプ車old H入船用水堰I旧常盤トンネル JD51形蒸気機関車new
K鏡岩水源地の旧ポンプ室newL鏡岩水源地の旧エンジン室new M忠節橋new Nモ513型電車new
●大垣市
@旧鵜森排水機new A消防用蒸気ポンプ B鐘紡の赤レンガ倉庫 C日本合成の水化塔(一部) D西濃鉄道の市橋線 EC11形蒸気機関車new
F時第一発電所 G東海道線の揖斐川橋梁new H揖斐川第2橋梁橋台
●中津川市
@大井発電所の大井ダム
●美濃市
@美濃橋new A美濃町線旧美濃駅と車輛new B長良川発電所C長良川発電所の旧水車・発電機
●羽島市
@旧逆川排水機 Aアーク式映写機
●美濃加茂市
@電動式転車台new A太田橋 B佐見川第2発電所の旧水車・発電機new
●海津市
@油島千本松締切堤 A木曽川下流の背割堤 B旧福江排水機C金廻四間門樋(金廻逆水留樋門)old D旧脇野排水機 E羽根谷の巨石堰堤
●養老町
@五三排水機new A笠郷組合閘門new
●安八町
@樽見線の揖斐川橋梁
●輪之内町
@旧中須川排水機 A旧福束排水機new
●揖斐川町
@西横山発電所の水車ケーシングnew A西横山発電所の発電機newB東横山発電所の取水堰堤 C東横山発電所の取水口newDイビデン東横山発電所 E西横山発電所の堰堤と取水口
●池田町
@マルアイ石灰の土中炉new
●瑞穂市
@五六閘門(牛牧閘門) A天王川伏越樋 Bねじりマンボnew C長良川鉄橋
●郡上市
@手動式転車台new A古川自家発電装置
●八百津町
@旧八百津発電所資料館 A八百津発電所の水車・発電機(3組)B八百津放水口発電所 C放水口発電所の水車new D放水口発電所の発電機E落合発電所の励磁用発電装置
●白川町
@上麻生堰堤 A白川橋
●高山市
@19648号蒸気機関車new Aキ132号雪かき車new
B茶屋野発電所の旧発電用水車old C天神発電所の取水口
●飛騨市
@神岡鉱山の土第一発電所 A神岡鉱山の除滓鍋 B神岡鉱山鹿間工場
4.JR東海道本線 今須峠〜柏原駅〜近江長岡駅間の 供渠(レンガ作り隧道)について
報告者 小西 利雄 会員
工事完了:下り1900(明治33年)2月 上り1901(明治34年)12月
[今須隧道]
[野 瀬](伊屋川) 国道21号を峠越え「柏原東」信号を右折しすぐ左折すると旧中山道の柏原宿を
430`430b 通る街道になる。字野瀬で宿場の東はずれ。伊勢湾台風のとき野瀬の屋並みは床上まで浸水した。
JRの線路で水の行き場が無かったせい。伊屋川と枝川のレ
[枝 川](枝川) ンガ拱渠が排水路の役割を果たせないほどの大雨だった。
430`162b 平成の改修により枝川は補修され歩道も設けられた。野瀬拱渠はむかしのまま。
JR柏原駅 柏原駅のプラットホームに430`のキロポストがある。
430`b 柏原駅はレンガ拱渠めぐりの出発点となる。中山道の宿場風景が展開する。
宿場から自動道が右にカーブする。道なりに2`ばかりで次の「甲坂の尻」拱
[甲 坂の尻](架道橋) 渠になる。すぐそばを走る東海道本線の線路をくぐりぬけ、天野川堤防に上」
431`790b る。幅:3.1b、長さ13.5b、アーチ円環と長手積み側壁は色変わり煉瓦が混
じり、西日を浴びると見応えがする。丁寧な造りである。駅から1.8`地点。
[乙 坂の尻](水路) 150bくらいで総レンガ造りの拱渠にであう。宿場を流れる水は天野川に流
431`920b れる。幅が1.4bと推定した。静かに水が流れている。丁寧な造り。列車が
通ると一風景であろう。
[中野 B](水路) 次は500bほど行くと清滝踏切となる。この踏切寄りの伊吹山の展望がよろし
432`646b い。列車撮影の場所でもあるよう。水路の拱渠はせまい水田の余水を集めて
線路をくぐるらしい。25000図では3aの地点。
[清滝 B](水路) 線路と低い山並みが迫る場所に、高圧線が通っている。電線の下あたりに水路
433`397b の拱渠がある。線路わきの黄色の防護柵を目標に、藪をわけて近づく。呑み口
は補修されたらしく函渠で「清滝橋りょう」と記されている。銘板はない。暗
渠内はわずかに通れる。側壁:切り石四段積み、坑門も石積み。吐口はすぐ落
差工になり足場は悪い。
[前 淵](歩道) ゆるい坂路をくだりはじめると間もなく、地図にも道路の線が線路をくぐって
433`963b いる「前淵(歩道)」が見える。JR東海本線には多くの歩道の拱渠があるが、
前淵拱渠は幅:1.4b、高さ:160aで一番小さな歩道である。近くの
倉庫に来合わせたご夫婦が「自転車を押して通れる」とおっしゃった。
[甲 向田 B] 300bほどで次の「甲 向田 B」になる。前淵拱渠と同じサイズで同じく
434`267b 坑門は切り石積みだった。「東の方に何本かあるスギ木立が神域で、そこから
ポンプアップしてこのあたりの田んぼに引き水している」とおっしゃった。
[大井架道橋] 今回の東海道本線の拱渠めぐり(滋賀県)の終点は近江長岡駅になった。大井
架道橋はいまでは近江長岡駅のプラットホームの下にある。
支間5.05bの桁橋だった。
本報告は107回の研究会で配布した報告を要約した。JR柏原駅からほぼ5キロの間に八基のレンガ拱渠があり、
線路に並行して自動車道路がある。こちらにドライブされたとき、脇道して覗いてください。
5.「たたき工法」のビデオ鑑賞
昨年12月13日(土)に岐阜市長良の松尾池付近の砂防堰堤の調査が実施されたとき「たたき工法」が話題になった。
長良に在住の田中さんが「たたき工法」のビデオを是非見たいと研究会に参加されましたので、大田博行さんの
紹介により、一緒に参加者でそのビデオを鑑賞しました。
6.次回(第108回)研究会について
次回の研究会は2015年2月21日(第3土曜日)の予定です。会場は、岐阜県図書館2階の研修室1です。
内容は別紙第108回案内をご覧下さい。