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イリヤより愛を込めて

神威楽斗というひとへ

わたしはあなたを愛さない
ただ、この世に光のあることを
喜ぶだけ
あなたの肌から放たれた白い光の粒子が
幾つもの媒体を経て
わたしの網膜に焼き付く
その奇跡を思うだけ

わたしはあなたを愛さない
ただ、この世に歌のあることを
喜ぶだけ
あなたの身体を起点とする甘やかな波が
風となってこの街を駆けわたり
わたしの脳髄をゆさぶる
その圧倒的な力にひざまずくだけ

わたしはあなたを愛さない
ただ、わたしに心が与えられたことを
感謝しよう
たとえ全ての信号が途絶えて
この世が闇と静寂で満ちたとしても
心はいつも感じている
あなたの存在を感じられる

あなたはあまりにも遠く
わたしはあまりにも無力で
あなたはすべてを導き
わたしは仰ぎ見るだけ

わたしはあなたを愛さない
だから

ここにきて
キスして

         イリヤという女より