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月夜の番人 

−5−

まりあ 「良かった・・・ガク。・・死ぬかと思った」
ガク 「どうして?」
まりあ 「・・・だって・・。ごめん。ガク。ちょっとだけ、このまま胸を貸してくれる?
     ・・ちょっとだけ泣いてもいい?」

ガク 「え?」
僕の返答を待たず、まりあは僕の胸にしがみつき、わんわん泣き出した。

僕は、まりあを抱きかかえ、豹柄のソファに座り、泣き続けるまりあを、ずっと抱きしめた。
一時間ほど経ったろうか。まりあは泣き止んだ。・・と、無防備に眠っていた。


(何て可愛い寝顔なんだ)
と、感動しつつ、僕は抱きしめながら、ずっと寝顔を見守った。
(何て贅沢なひとときだろう)
恋焦がれた”まりあ”が無防備な寝顔で僕の腕の中にいる・・・。
そして・・、どのくらい時が過ぎたろう。・・・まりあが目覚めた。

まりあ 「あ、ガク・・」
ガク 「オハヨウ・・」
僕は、まりあにキスをした。

まりあ 「あ・・いきなり私ったら泣いちゃって・・・ビックリしたでしょう?
私もびっくり・・。ずっと我慢してたから・・。連絡しなくて、ごめんなさい。
ガクの事・・、知れば知るほど、遠くの存在に思えて・・。私の存在がちっぽけに思えて・・。
会ったら、もっともっと好きになりそうで怖かったの。
だから、絶対会っちゃいけない!って思って・・。でも、今日のガクの声聴いたら、ビックリして・・。
もう会えないかもしれないって思ったら・・・」

ガク 「凄く嬉しかったよ。」
まりあ 「あの・・これ・・」

まりあは、皮ひものペンダントをコートのポケットから出し、差し出した。

まりあ 「ガク。アフリカに行くんでしょ?このお守り、持っていって?」
ガク 「あ、ありがとう・・」
まりあ 「小さい頃パパからもらったの。アフリカにいた頃、
ある部族の長老にもらったらしいのね。病気と猛獣の魔除けのお守りなの・・」

ガク 「パパからもらった?じゃ、形見の品じゃない?もらえないよ」
まりあ 「お願い。もらって?」

まりあの目は真剣だ。

ガク 「ありがとう。じゃ、遠慮なくもらうね。そのかわり・・・」
まりあ 「え?」
ガク 「僕のお守りも、もらってくれる?」

そう言いながら、僕はオニキスのブレスレットを手首からはずし、まりあの手首にはめた。

ガク 「まりあもこれで大丈夫。」・・まりあの腕を僕の胸にあて、そっと抱きしめた。
まりあ 「・・・ありがとう・・」

まりあが笑った。
今日のまりあの表情はクルクル変る。今笑ったかと思えば、今度は、どぎまぎとした顔に変った。

ガク 「どうしたの?」

まりあは真っ赤な顔をして、恥ずかしそうに言った。

まりあ 「今日の私、本当に変なの。こんな、おっちょこちょい、今までした事ないんだよ?」

そう言うと、コートの前を少し開けて、すぐ閉じた。
僕は声を押し殺して、クククっと笑った。・・まりあは・・コートに下に、下着しか付けてなかった。
一瞬見てしまったキャミソールとパンティに目がクラクラした。
僕の欲求不満も限界だっ。


まりあ 「だって・・ガクから電話もらった時、もうベットに入ってたんだもの・・。」
ガク 「でも、お守りのペンダントは忘れなったんだね」
まりあ 「それを渡すことしか頭になかったの・・。早く渡さないとガクが死んじゃう気がして・・」
ガク 「まりあが来なければ、ホント死んでたかもしれない・・」

僕はあふれる欲求を抑え、静かに静かに、ゆっくりと・・まりあと溶け合った。



ガク 「初めてだった?」僕は優しく問いかけた。
まりあ 「・・お願い。そう言うこと言わないで」・・、まりあは真っ赤な顔で言った。
ガク 「どうして?」
まりあ 「どうしてって・・すごく恥ずかしい。あ・・」 まりあのお腹が鳴った。
ガク 「何かお腹に入れようか」

僕はスタスタとキッチンに向かい、冷蔵庫からバナナと牛乳を取り出し、バナナジュースを作り、
まりあのベットに届けた。


ガク 「どうぞ」
まりあ 「わ〜、ありがとう」

にっこり笑い、僕を見た。・・まりあの視点が下がったと当時に、
また、真っ赤な顔をして、まりあが呟いた。


まりあ 「ガク。・・・何か着て?」
ガク 「何で?僕の部屋なのに」
まりあ 「でも・・・目のやり場に困るわ・・。で、あの・・・Tシャツか何か貸してくれる?」
ガク 「どうして?」
まりあ 「どうして・・って・・。おトイレに行きたいの」
ガク 「どうぞ?」
まりあ 「だから・・・」

まりあは、シーツにくるまり困り果てている。僕は仕方なくクローゼットからTシャツを取りだし、
まりあに差し出した。


ガク 「せっかく僕の部屋にいるのに・・。そのキレイな体に何か付けるなんてナンセンスだ・・」
ブツブツ言ってる僕の手をすり抜け、まりあはベットから降りた。



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