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 その2. ANOTHER WORLD
「ローマの休日」篇(by tulip)

新曲「ANOTHER WORLD」を聴きながら空想を広げ、
「ローマの休日」をイメージしつつ・・・、
今回は、シナリオ本風に書いてみました。


ともちゃん作の「ローマ休日」flashもお楽しみください

 
   迎賓館。アン王女を迎えるための歓迎セレモニー及び祝賀パーティー会場。
    目玉のイベントとして、国外のアーティストを招待してのパフォーマンスを企画。
    そこにはGacktの姿もあった。

  (控え室)
  アンは、ばあやにドレスを着せてもらいながら、ぼやいている。

アン王女 「パーティー。パーティー・パーティー。パーティー!!!
      もう、パーティーなんか大嫌い!」

ばあや 「王女様、そう、おっしゃらないで・・。頑張ってくださいまし。
     今晩のパーティーが終わったら、しばらくお休みじゃないですか」


アン 「でも、帰ったら、すぐ結婚式の準備でしょ?・・・

  
好きでもない人と、どうして結婚しなきゃいけないの?

ばあや 「王女様・・」


アン 「一日の予定が全て決められてるなんて!
私の意思なんて、
   入る隙間もないじゃない。
こんな暮し・・・もう嫌!」

    アンは声を上げて泣き出した。 



    パーティー会場。
    アン王女は、笑顔で挨拶を終え、パーティーは始まった。
    クラシックバレエ、民族舞踊など、国外アーティストが次々とパフォーマンスを繰り広げ、
    Gacktの出番。Gacktは王子の衣装を身にまとい、ピアノソロで静かに奏で始め・・
    後半は予定していなかった楽曲を加え、大音響で熱唱。
    意外なパフォーマンスに会場は湧き・・、バイオリンの音色で静かにGacktは退場した。
    主催者側は、Gacktの予定外の行動に激怒し、攻撃態勢でGacktに向かった・・・
     が、それより先に、アン王女がGacktの元に駆け寄った。

アン 「素晴らしいパフォーマンスでした!今まで聴いたどんな曲より素晴らしかったですよ。
   あなたの歌声を聞いてたら、鳥肌が立ちました。」


Gackt 「ありがとうございます!」

    静かに、そう言うとアンの手をしっかりと握りしめた。

アン 「本当にさっきの演奏、心揺さぶられました。
    
自由で開放的で・・。何でも出来そうな気持ちになれますね。」

Gackt 
「自由になりたいんですか?」

アン 「・・・なりたいわ」


Gackt
 「じゃ、自由になろうか?」

    そう言うと、速攻Gacktは会場を見渡し、アンと体系の似たウェイトレスを見つけ、
    アンとそのウェイトレスをレストルームに通した。

Gackt「早く!着てるものを交換して!」

    ウェイトレスは・・、アンとGacktのただならぬ雰囲気に圧倒され、
    言われるがままに、アン王女に変装した。
    アンは、物凄い速さでウェイトレスに変装し、布ナプキンに口紅で走り書きした。

    
 ”少しの間、ローマの休日を楽しみます。騒がないでください”


    ウェイターに変装したGacktとウェイトレスに変装したアンは、
    驚くほど簡単に脱出に成功した。
    ローマの夜は、シンと静まりかえり、緑の匂いが心地よく・・
    空を見上げると、優しい月が二人を見守っていた。

アン 「お腹が空いたわ」

Gackt 「じゃ、ハンバーガーでも食べようか?」




    Gacktは、ハンバーガーショップに行き、
    ハンバーガーとコークを1個づつ注文。

Gackt 「あと・・ハンバーガーのハンバーグだけ、一つください」

    と・・Gacktは、マガジンラックから、、週刊誌を取りだし、読み始めていると、
    ある記事に目が止まった。

          
”アン王女、来月結婚!”

    その記事を見たアンは、さっとGacktの手から雑誌を奪い取り、ビリビリと破いた。

アン 「私の人生は、私が決めるわ!」

    Gacktは速攻・・とがらせたくちびるの、アンにキスをした・・。

                破り捨てたMagazine  汚れなき魂
                映画のようなOneScene 貴方なら安心




     バーガーショップを出たGacktとアンは、
     以前、Gacktがローマに来たときセッションした
     古い小さなグランドピアノのあるバーに行った・・。


Gackt 「マスター。いきなりだけど、今日、ここで演奏してもいい?
      お金はいらないから、上に泊めさせてほしいんだ」


マスター 「久しぶりだな〜、Gackt。無料で演奏してくれるなら、
       うちも助かるよ。部屋は自由に使えばいいさ」




    翌朝・・・、アンは小鳥の声で目覚めた。
    窓辺でGacktが小鳥を手に乗せて、パンの粉を食べさせていた。

アン 「うわ〜、凄い!私もやりたいわ!」

Gackt 「どうぞ!」

    アンの手にパンの粉をのせる。

アン 「小鳥さん!早く来て?」

    ところが・・・しばらく待っても、小鳥の来る気配はない・・。
    Gacktが微笑み、フォルセットで歌い始めた。
    すると、1羽の小鳥がアンの手のひらに舞い降り、エサを食べ始めた。
    アンは驚きと喜びの表情で、Gacktを見つめた。


Gackt 「どこに行きたい?」

アン 「髪を切りに行きたいわ!」



    ローマの街を、一般市民と同化した二人が、駆け巡る。
    そして、たまたま目に止まった美容室に入り、
    細かなGacktとアンの注文に美容師を困らせながらも、アンは髪を切り、
    ジュラードをほおばり、ローマの街を自転車で駆け巡った。

    だが、カフェでお茶を飲み始めた頃、Gacktは、
    黒服の男達が遠方からこちらを見ている事に気がついた。


Gackt 「アン。後ろを見ないで、さり気なく、あのタクシーに乗ろう」
 
    急いで二人はタクシー乗り込み、Gacktは、運転手に言った。
    「ANOTHER WORLDまで・・」

                「よそ見しないで・・・」貴方と二人で
                今この世界へさよならを告げて
                ゆけるなら何処までも遠くへ

                誰よりも遠くへ
                夢なら醒めないで
                この空の向こうへ
                「you can see the another world」

                街並みはMossgreen  傷ついた魂
                砕け散るTaxi  貴方は美しい


    逃避飛行劇のラストは銃弾戦か、心中か・・?追い詰められたGacktとアンだったが、
    Gacktは静かに言った。


Gackt 「アン。ここで心中するのは簡単だけど・・・。この素晴らしい思い出を胸に秘めて・・
      遠く離れた場所で永遠に愛し合う・・って言うのもロマンチックだよね。」


    大事な人を亡くしたような、あまり淋しげな表情のGacktを見ながら、
    アンも吹っ切れたように呟いた。

アン「・・・そうね。貴方と過ごした一日は永遠の一日だったわ。
   素晴らしい休日をありがとう!」

    アンとGacktは、一生分の長く熱いキスを交わし・・、アンは車から出て行った。

            言葉を交わして
            「泣かないでDarling・・・」
            愛しい痛みに優しく抱かれて
            逃げるならどこまでも遠くへ

            優しい顔をして
            貴方は泣かないで
            笑った顔を見せて
            you can see the another world」

            たとえどんなに傷ついても

            あなたが側にいたから




     アン王女の権限で、Gacktは何の罪にも課せられず、無事、帰国した。

     そして、アンは決められた人と結婚。
     でも、今のアンには何の不満もなかった。
     ローマの休日と言う一生の財産を心の宝石箱に入れたから・・。
     豹柄のヒモパンツと共に・・・。
         
                                      by tulip 2001.9/11

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