STREETS - SAVATAGE

  1. STREETS
  2. JESUS SAVES
  3. TNIGHT GRINS AGAIN / STRANGE REALITY
  4. A LITTLE TOO FAR
  5. YOU'RE ALIVE / SAMMY AND TEX
  6. ST.PATRICK'S
  7. CAN YOU HEAR ME NOW
  8. NEW YORK CITY DON'T MEAN NOTHING
  9. GHOST IN THE RUINS
  10. IF I GO AWAY
  11. AGONY AND ECSTASY / HEAL MY SOUL
  12. SOMEWHERE IN TIME / BELIEVE

 91年発表のSAVATAGEのコンセプトアルバム。コンセプトアルバムではPINK FLOYDのTHE WALL、QUEENSRYCHEのOPERATION::MINDCRIMEなど、割と精神世界(オカルトではなく哲学的な)がテーマだったりすることが多いような気もするけど、このアルバムはそういったテーマではなくて、アルバムタイトルにもある通りオペラのような感じです。ストーリーは、ニューヨークの下町に現われたD.T.JESUS(D.T.ジーザス)と言う挫折したミュージシャンが出会う街角の風景といったところかな。

 ジーザスは自分がおかれた現実との間に隔たりを感じ、全編を通して救いを求めている。過去に縛られて現実にうまく対応できてない人って割と多いけど、その傾向あり。ジーザスと言えば人を救うものだけど、ここでは本当は一番救われたいのは自分自身。そんな感じがします。

 と言ったような性格のストーリーです。いい意味でアメリカンロックやアメリカンハードロックとはかけ離れた音です。バンド的にもキャリアは長いけどヒットチャートに上るようなバンドじゃないし。アメリカのバンドなのにアメリカ臭くないところがいい感じです。このバンドの核は何と言ってもギターのクリス・オリヴァ(弟)とボーカルのジョン・オリヴァ(兄)のオリヴァ兄弟。特にジョンはアルバム中ではピアノも担当して、どこか哀しい音に胸が締め付けられるし、クリスのギターもどこかもの悲しさを帯びていて、むせび泣くようなソロは一聴の価値ありです。


 何と言っても楽曲がいいからこれだけの作品を作れたわけだけど、ジョン自身薬物中毒で苦労してたみたいで、ジーザスの世界観は、ヒントはポール・オニールのものらしいけどジョンそのもののような感じがします。感情移入って言う点ではQUEENSRYCHEよりも凄いと思う。この長さのアルバムで飽きさせないのは凄いです(大体70分ぐらい)。


 何と言っても12の後半のBELIEVEが名曲です。アルバム後半の盛り上げかた、SOMEWHERE...~BELIEVEでの結末、この喜怒哀楽のすべてが絞り出されているような美しさは圧巻です。9のGHOST IN THE RUINSでのクリスのギターソロは、ギターという楽器の限界を超えてるような音を出してます。ギターが語りかけてきます。あまりにも美しすぎます。10のIF I GO AWAYでも込み上げてくるものがあるし。個人的にはだけど、過去に存在したすべてのバンドのギターソロの中でもトップクラスのソロだと思います。本当は曲の一つ一つがどうのこうのじゃなくって、アルバムを聴け! って感じです。

 その後しばらくして、ジョン・オリヴァは作曲活動(ポール・オニールと共に舞台音楽へ)に専念するためメインメンバーから外れることになります(ソングライターとしてSAVATAGEと作業は続ける)。しかしその後、クリス・オリヴァが自動車事故で死亡。ロック・ミュージシャンと死が結びつく最後の人だったかもしれない。こういった芸術的な音楽や感情表現をする人って、どういうわけか不条理の波に飲み込まれていく。命を削って曲を書いているのかもしれない。その後バンドは新メンバーを入れ、ジョンと共にクリス追悼のアルバムを製作。10年後に聴いても色褪せることのないアルバムです。

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