大生連サブロゴ
もどる
大阪府生活保護交渉

 
2013年12月2日 大生連

 大阪府生活保護交渉一日目は12月2日に行い13単組70人が参加しました。
生活保護基準引き下げ後の交渉で、今まで以上に苦しい生活実態が各自から出されました。 大阪府会議員堀田文一さんが激励に駆けつけられました。

 

【大生連のあいさつ】
 岸和田裁判では完全勝訴した。今、改悪されようとしている生活保護の法案と真っ向から対決する内容だ。改悪に風穴をあけるもの。生活保護基準引き下げに対する審査請求が全国1万件を突破した。戦後最高の数で、保護利用者が怒っている証だ。  裁判は勝利したが、原告は約4年かけて、苦しい思いで裁判を闘った。裁判をする前に大阪府に審査請求をしたが、その時に心ある裁決をしていただいたらこんなしんどい生活をしなくてもすんだのではないかと思わざるをえない。最低生活を維持しつつ、自立ができる生活保護制度であってほしい。

【大阪府のあいさつ】 
 生活保護世帯は平成21、22年度に比べ平成23、24年度は伸び率が鈍化傾向だ。25年は高止まりで215万人。就業数、完全失業者数で改善しているが、非正規労働は増えており、10月現在37%。若い人、働きざかりに非正規の割合が多く問題があると思う。この国会で生活保護法「改正」案が成立の見込み。しかし保護が必要な方には保護を実施するという基本的な考え方は変わらない。参議院特別委員会でもこれまでの取扱いに変更がないように周知徹底するようにと決議された。平成26年度にむけ法改正に伴う施行が予定されている、府としても動向に注視している。

10単組176人分の「私の要求」アンケートを提出

●物価はすでに上がっている。来年は消費税も上がる。保護基準は下げられる。保護基準は元に戻して。

●ふだんでもギリギリの生活。先が見えず、不安。生活保護法改悪に反対。年寄りいじめするな。

●扶養照会がきびしい。頼める相手があれば先にその人に頼んでいる。多くの方は「死ぬか」「福祉にいくか」と迷っている。福祉事務所に行くのに決心がいる。3日に1回程度の入浴しか出来ない生活をしてみてほしい。申請書をくれないので、泣き寝入りしている人もいる。「申請書はカウンターに置いてほしい」

●築50年の住宅。昼でも真っ暗、消防車も入れないので、ストーブが使えず、エアコンの使用のみ。毎月の電気代が高く生活費に食い込む。

●国会議員会館のいすが16万円とテレビで放映していた。私の1ヶ月の生活費はいす一脚かと唖然とした。

交渉で出された事案

法定期限を守れ

【寝屋川】 寝屋川市は法定期限を守らない。決定まで1ケ月を超えることもある。1ケ月どうやって食べたらよいのか。

【大阪府】 遅延の理由を付記しなければならない。監査で指導する。法定期限は監査の重点項目だ。年末、1、2月の繁忙期の遅延率を出し、遅延率の高いところには指導する。遅延理由としては預貯金調査や資産調査の結果が遅いというのが多い。扶養照会は遅延の理由に殆どなっていない。

【大生連】 14日たって扶養照会が福祉事務所に返ってこなくても遅延の理由にはならないですね。

【大阪府】 返ってこなくても他の要件が満たされていれば保護の開始になります。

 

扶養照会

【門真守口】 Aさん(保護を利用して4年くらい)は、突然にケースワーカーから「姪に援助してもらえないのか」と言われた。姪などの三親等親族まで扶養義務があるのか。

【大阪府】 扶養義務者の把握はするように指導している。しかし、姪は重点的扶養義務者ではないので、照会は行かない。何等かの特別の理由があったのではないか。

【大生連】 扶養義務が優先すると誤認させるので、扶養照会の用紙に「扶養は生活保護開始の要件ではない」と但し書きをすべきだ。

【大阪府】 扶養義務照会は申請が受理されてから調査している。本人の同意をえて、聞き取りで照会する。

【大生連】 扶養は任意なのか、強制なのか。

【大阪府】 扶養能力の照会は必要。そのために聞き取りもしていく。

【大生連】 優先なのか、前提なのかをわかりやすくしてほしい。

【大阪府】 実施機関によるとしている。意見があったことは認識している。

 

大阪府内でも8市が同様の文書を送付

【大生連】 扶養義務が生活保護の前提かのように各地の市町村が生活保護申請者の親族に生活保護法違反の「通知書」や「調査書」を送付していたことが日本共産党の小池晃参院議員の国会質問で判明し、大阪府内でも8市が同様の文書を送っていたことが18日、府議会決算特別委員会で明らかになりました。(朝日新聞などの報道より)

【大阪府】 国の11月8日付通知にのっとって府下を調査した。「前提となっている」という文書を改めるように是正を指導した。扶養能力は親族間で能力と意思がある場合は可能なのでふまえてやっていく。

 

就労指導

【門真守口】 Bさんは働けると思われる方。1日2件就職活動をするように言われ、用紙も渡された。

車の保有・活用とその他された事案

【枚方交野】 車の保有と活用について 周知徹底をしてほしい。

【大阪府】 車の保有については国の通知で示されている。個別の対応を説明している。

【柏 原】 実施要領でも改正されているのに単車の保有が認められない。

【大阪府】 理由があると思うので個別にお聞きしたい。

【吹 田】 補聴器も医療器具として認めてほしい。

【大阪府】 治療材料に含まれていない。福祉事務所で検討してもらう。

【八 尾】 病院に予約するために500円かかる。

【大阪府】 必要な医療であれば給付されるはず。

 

岸和田裁判の前に行った審査請求について

【大生連】 岸和田の審査請求について裁決が間違っていたこと、「3日に1日の就職活動では不十分」などの裁決は適正だったと思われるのか。府の上部には責任ある回答と謝罪を求める。

【大阪府】 裁判の判決と岸和田市の控訴について重く受け止めたい。事例については監査等できっちり周知したい。今後につなげていきたい。

次回に、私のひとことや生活実態のアンケートへの感想と個別案件の回答も求める。

 

 二回目の大阪府交渉は
 来年1月10日です。打ち合わせは日赤会館で、交渉は大阪府庁で行います。
お間違いのないようにお願いします。

 

▲ページトップへ
2014年1月10日 大生連

 

小口生活資金の対象を広げよ

【大阪府】 対象は駆け込み資金の時とほぼ変わらない。対象は幅広に運用していない。

【大生連】 疾病、賃金未払い等の「等」はなにを指すのか。

【大阪府】 対象には自営業の方の給料の遅配も含む。生活福祉資金は平成14年から制度改正がされたので、そこでカバーされている。

【大生連】 貸付対象が疾病と給料未払いだけで良いのか。以前は危篤などの場合も利用出来た。府民・市民との合意を反故にし、要項をいつから変えたのか。準ずる場合としての事案も示されてきたはずだ。  

【大阪府】 制度を改悪したとは思っていない。小口生活資金の平成24年度の実績は申し込み318件で貸付は299件。

【大生連】 小口生活資金は低所得者対策の一つ。厳しい経済状況の中で借りにくくなっているのが現状。対象を広げてほしい。個別に話し合いもさせて欲しい。(了承された)

【寝屋川】 生活保護世帯のエアコン貸付は、基準がきびしいので連帯借受人になれる人がいない。府で借受人の基準を緩和して設定して欲しい。年金受給者は保証人になれないと言われた。府下の利用者数は何件か。

【大阪府】 エアコン貸付は平成23年度(7月より実施)申請10 貸付決定9 平成24年度申請14 貸付決定14 平成25年(12月末段階)申請14 貸付決定13。

「私のひとこと」アンケートについて感想

大阪府は各項目を集計し、感想を述べられた。

【大阪府】 世帯数は単身世帯が多く、高齢、70歳以上が多い。苦労されている実態が切実に示されている。食事を中心に電気代の節約や風呂の回数を減らす、台所で顔を洗ってすませるなどさまざまな節約をされていた。所得保障については本来国が責任を持つべきだが、大阪府としては保護世帯の実態を踏まえ、保護制度がより良いものになるよう国に意見を上げていく。

《前回からの積み残し》

【寝屋川】 決定が法定期限を超えることについて、遅延理由が書かれていない。是正を指導して。

【大阪府】 12月10日〜13日に監査した。遅延理由を書く事、決定までの間、生活が守れるようにと、指導した。 

【大阪府】 守口の事案、吹田の補聴器、柏原の原付の件は具体を聞いていないので、現地に確認していない。

【大阪府】 自動車の保有については国通知を確認した上で、個別案件に対応していただくように、指導員会議で説明している。タクシーは公共交通機関ではないことも説明する。

 

扶養調査について

【大阪府】 長野市で扶養が保護の要件のように照会する文書が送られていた。厚生労働省から、長野のような誤認させる文書を使っているところを確認するように通知が来た。府下8市が該当していた。すべて改まっていると報告は受けている。
特別な事由とは一律には答えにくい。相対的扶養義務でも行き来があり、援助の実態があれば照会をかける。金銭的な扶養だけではなく、精神的扶養も含めて、照会を求めている。照会を強要していないと思う。

【大生連】 明治28年の民法のままでは都市部では家族構成も核家族化し、無理がある。

 

岸和田市の審査請求と裁判結果について

【大生連】 本人が数百円しかなく、求職活動をしても仕事につけなかった。大阪府は岸和田の実態をよく見ずに審査請求を却下したのではないか。

【大阪府】 稼働能力については、国の局長通知があり、3点ある。1、2、3で判断するよう書かれている。処分庁の岸和田市が本人と妻の求職活動をみて、積極的に行っているとみることはできないとした。そういう決定を否定できる反論の理由がなかった。結果として府は棄却した。府は補正命令も出している。4ヶ月で13回、妻は4ヶ月間に9回とかで、すべて不合格。稼働能力を有していたが、活用する場なかったと本人は主張。妻は5年前から膝に水が溜まっていると申し出をしたというが、岸和田市は申し出を受けていないという。本人と妻は健康で就労の意思があって、求人状況から見ても就労が期待できる、二人で就労したら、最低生活の維持が可能であると岸和田市が判断し、保護の要件を満たさず、却下した。他の制度活用として、社会福祉協議会での離職者支援資金制度や社会貢献制度を紹介したが、本人たちは消極的だったと記載されている。審査請求の過程で、口頭意見陳述を行った。窮状は述べられたが、市が主張している就職活動を積極的に行っていないということに対して本人の反論が具体的につくされなかった。
 これらのことを鑑みて、府は岸和田市の却下処分通りに棄却した。府は与えられた双方からの判断材料の中で精査して決定した。再審査請求の採決も国は処分通りに棄却した。「解釈と運用」でも「採決が完全になされるものとは断言し得ない。」としている。これでよしとするものではない。今回の稼働能力の有無について、厚生労働省は基準を示しているが、地裁の判断がありまして、能力の程度についても考慮する必要があると、一歩踏み込んだ、行政に厳しい判断がくだされた。
 採決の結果とは異なるが、司法の判断で示されているし、我々もこれを真摯に受け止め、今後の生活保護行政に生かしていきたい。国も生活保護の改正と合わせて、稼働能力確認の項目で、稼働能力の判断基準について「@.稼働能力があるか否かについて、年齢や医学的な面からの評価だけでなく、そのものの有している資格、生活歴、職歴等を把握分析し、それらを客観的かつ総合的に勘案して行うこととしている。A稼働能力を活用するか否かの評価については、真摯に求職活動を行ったかどうかをふまえて行うこととしているが、これは求職活動の実施状況を具体的に把握した上で、そのものが実施機関において、評価された稼働能力を前提として、その能力に応じた評価を行うことが必要であり、一律に決められるものではない。」と12月の会議で改めて示されている。府もこれをうけ、12月20日に査察指導員会議を開催し、個別の事案について国の通知で示されている稼働能力の判定が適切に行われるようお願いしている。府も適切に行っていく。

 

年末の「私のひとこと」アンケートについて感想

●いろんなものが値上がりしている。期末扶助も二人で8000円下げられた。

●就労指導受けている。ハローワークに行っているが、なかなか仕事がない。一つの仕事に17〜18人も申し込んでいる。岸和田裁判は他人事ではない。

●基準引き下げはただちに撤回して。

【大阪府】 生の声を聞き、実情は理解した。厳しい中でご苦労されていると感じた。一円単位の生活をされている。こういったことを理解したうえで生活保護行政をしていきたい。

基準引き下げについて

【大阪府】 国において生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費の実態を世帯員の年齢や世帯人数、居住地で比較検証した結果、適正化が行われた。検証した時期はデフレ傾向が続いていたでもあり、均衡をはかるために見直しが行われたと示されている。

【大生連】 物価指数が下がったというが、生活に必要なものは下がっていない。下がったのはパソコンや液晶テレビなど。こういったぜいたく品をひっくるめて、物価が下がったから、保護費を下げるとは、ひどい論法だ。逓減率も以前は4人からだったのに、2人世帯からになっている。人数が増えるほど下がる。期末一時扶助も下がるし、全体的に下がる。現場からも基準引き下げはやめてと意見を国にあげてほしい。

【大生連】 670億円の引き下げ、科学的根拠のない引き下げはただちにやめよ。憲法25条を守れ。

カウンターに申請用紙を置き、申請権守れ

【大生連】 申請をする前に事情を聞いて、必要な方に渡すというのは恣意的だ。窓口での追い返しにつながる。申請をしたい人には無条件で渡してほしい。

【大阪府】 相談を受ける方も、その方にどういう制度が有効かを判断するため、事情をお聞きしている。相談の時点では人権侵害になるようなことは聞いてはならないと、監査を行うに当たって十分助言等をしている。申請意思があると確認した時は必ず申請書を渡す。渡した後に、制度に則った正式な調査を行うよう周知徹底を図っている。調査を行うのは申請後です。

【大阪府】 扶養義務は保護の要件ではないことは確認している。法定期限を超える場合は遅延理由を聞いている。その中で、扶養照会を理由に決定が遅れているというところはない。だから、保護の要件ではないことが徹底されていると考えている。しかし、扶養義務者がどこにおられるかは把握すべき。緊急連絡先の確保からも必要なので、扶養義務調査は行っている。基準は明確には出ていない。実施機関も困っているところもある。

密告制度について

【大阪府】 大変な事情で利用している人がいる半面、制度を悪用している人もいる。5市がホットラインを実施。密告制度が良いのかどうか疑問が残るところだが、実施機関として判断され実施されたことなので、府は可否について言えない。保護者のプライバシーに関わることなので、取扱いについては注意が必要。真に生活に困っている人に情報が届くように呼びかけてほしいとも伝えている。

【大生連】 5市はどこか?尾行・張り込みは保護法のどの条文で実施しているのか。ケースワーカーも夜を徹して、時間外も行うのか。そのための予算があるのか。人権上、どういう問題があるか。

【大阪府】 尾行張り込みは保護法の調査権限が根拠。警察OBは国の補助金で配置している。府の子ども家庭センターは警察OBを配置していない。

【大阪府】 ホットラインについては国に対して疑問を問いかけている。個人情報の問題もある。無条件でよいとは思っていない。悩ましい話。福祉には捜査権はありません。生活保持義務関係だからと漫然と扶養を求めていない。年金生活で扶養ができない方などもいる。扶養の仕分けは必要です。

【大生連】 保護法28条3項で「立ち入り調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」としている。ケースワーカーと警察OBが夜を徹して尾行・張り込みをすることは違法ではないか。

【大生連】 大阪府は平成19年3月23日付けで「保護の相談における窓口対応等の適正化」についての事務連絡を各福祉事務所に出された。7月の改定時に市町村で正しく運用されるように下記の件について文書で通知を出してほしい。
@扶養が保護に優先する扱いは誤りである。A決定前の就労指導はしてはいけない。B申請権は守ることの通知を文書で出してほしい。また、付帯決議を徹底してほしい。

【大阪府】 付帯決議は実施機関に説明した。4点を整理して通知を出すことは検討させて。改正されていないので、通知は必要かと思う。

▲ページトップへ

 全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)
〒550−0002  大阪市西区江戸堀 2−7−32−304
電話:06−6447−5105