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大阪市生活保護交渉

 
2012年12月7日 大生連

  2012年12月7日、大阪市福祉局生活福祉部保護課との交渉を行いました。 武市課長代理をはじめ、4人が対応。大生連からは18単組105人が参加。平野区の助言指導、天王寺区の違法な廃止決定などについて大阪市の保護行政の是正を求めました。

《扶養義務》

扶養義務/扶養照会の文書に生活保護利用者の住所を記載するな

【 北 】 扶養照会に照会先の住所、氏名を明記することはやめて。その後、しょっちゅう金を借りに来るようになって困っている。個人情報と人権を守れ。

【大阪市】 扶養親族照会の様式は施行細則に則り、使用している。調査については平成17年度実施要領の改正で重点的扶養能力対象者が扶養の対象と、しぼりこんだものに調査をすることなった。しかし、聞き取りをしないとだれが対象なのかわからない。音信不通も含めて聞き取る。そのなかで扶養のお願いをすることになった。

《違法な保護開始前の就労指導》

「助言指導書」による、保護開始前の就労指導はするな

【平 野】 総合就職サポートに入らない失業者に「助言指導書」を乱発している。

【大阪市】 保護決定実施上の指導指示として「要保護者が、自らの資産能力その他扶養、他法等利用しうる資源の活用を怠り、又は忌避していると認められる場合は、適切な助言指導を行うものとし、要保護者がこれに従わないときは、保護の要件を欠くものとして、申請を却下すること」と実施要領に示している。

【平 野】 申請したその日に(口頭による指導もなしに)出している。どういうことか。(自立サポート支援事業には行かず、自分で職を探すと言っている人に)なぜ、申請したばかりで「活用を怠り、忌避している」と言えるか。それは「指導」の域になっているのではないか?

【大阪市】 大阪市は実施要領にそった「助言指導」を行っている。決定後の「指導」とは違う。「助言指導書」を出すにあたって、稼働能力、仕事の探し方は個別事情がかかわるものと考えるので、一律機械的に出すことは不適切と考える。そういう取扱いがあるとすれば指導する。平野区と話し合う。

【平 野】 パソナに入らない人には自動的に助言指導書を発行する。「活用を怠り、忌避している」と判断できるのか。

【大阪市】 初日に忌避しているか否かを判断することは、個別で異なる。

【淀 川】 相変わらず助言指導書が出され、従わないと保護決定にかかわってくると。そのため、保護決定まで1ヶ月かかっている人がいる。助言指導の通知は全区で出されているのか。

【大阪市】 全区、通知にもとづいてやっている。

保護開始前の手持ち金もない人の就職活動はおかしい

【 北 】 手持ち金は保護費の半額程度が認められているが、それは保護が決定するまでの2週間の施最低生活費。食べるために必死。(就職活動をする金もない人の)「助言指導」はまちがっている。改善せよ。気持ちの余裕のない時に「働け、働け」と言わないで。パソナに入らないと、交通費も支給しない。就労支援に入らない人にも交通費を支給せよ。差をつけるな。

【大阪市】 保護の申請中であってもできるだけ早く、よりよい条件で就職できるように就労を支援することが市の主旨。今は相談に来られた方でも、就労支援を使ってもかまわないということになった。履歴書の書き方などは聞いている。面接のアドバイスなど有効なものもあるので就労支援を勧めている。

【平 野】 所持金なしで申請にたどり着いている。食べるのも精いっぱい。まず保護を決定してのちに就労指導をすべき。平野区では最低「週2回ハローワークに行け」と指導している。求人誌、携帯による求職活動はカウントしないとも言っている。つなぎ資金として1万円貸してくれるが、2週間食べるのもやっと、求職のための交通費など捻出できない。

【大阪市】 不適切であれば指導する。

【大生連】 助言指導は保護の開始要件か。働く意志の解釈について手持ち金のない人に助言指導をすることは合理的な事か。指導するのなら開始後にせよ。

【大阪市】 出来る範囲で努力していることを報告してほしい。

大生連】 「手引き」でも示されているが、手持ち金がないのは窮迫ではないのか。

大阪市保護課、平野区の「助言指導書」の乱発の是正を約束

【大阪市】 指導できるのは保護が開始され被保護者になってから。決定に至っていない方には助言の範疇になる。自分のも近くで求職の努力をしていれば、区の方も承知していることと思う。制度そのものは変わらないと思うが、求人状況が変化している。窓口に来られる方が、仕事を探しても不採用の通知をもらって疲れ果てた状態でこられると現場からの報告で聞いている。自立支援の担当が「働くように」と対応したことについて、話をする。

【大阪市】 平野で回数を示して行かないと却下の可能性があると言うのは不適切。組織的に一律に機械的に行うことは無理が生じる。話をする。

【大生連】 平野の交渉でどの法律にもとづいて「助言指導書」を出しているのかと聞いたら、生活保護法第4条、補足性の原理、稼働能力を活用していただくと言った。大生連は稼働能力の活用については3つの要件があると答えた。4条のどこに助言指導のことが書かれているのか、27条で書かれている就労指導は被保護者だけ、開始前の人は被保護者ではありませんと。区の回答は不正確だと言ったら、課長は「不正確ではありません」と。指導できるのかと聞いたら「助言です」と不正確な回答をした。根拠の法律はいっさい示されなかった。「週1〜2回働けと法律のどこに書いているか」と追求したら答えられなかった。この件については厚生労働省に問い合わせをしている。回答後、再交渉を。平野や淀川での「助言指導書」は撤回を求める。

【大阪市】 再交渉の件は了解。平野、淀川で一律、機械的であれば指導する。

自立支援サポート事業/民間委託のパソナの「就労指導」の実態

【平 野】 パソナの紹介するところに行ったが、仕事が合わなくて1日でやめた。始末書を書けと言われた。市はそのように指導しているのか。

【平 野】 就労支援でパソナに入った人は「毎日ハローワークに行け」と言われている。面接まで行かないとカウント(評価)しないと。

【大生連】 民間業者に保護世帯に対して指導指示の権限はあるのか。

【大阪市】 指導指示ができるのはケースワーカーです。法27条にもとづいて行う。

《天王寺の違法な廃止決定について》

意味不明な保護の廃止理由

【ポッセ】 文書指導も、弁明の機会も与えられず保護を廃止決定。その後、決定は撤回されたが、@天王寺の対応について大阪市はどう考えているか。A保護課は保護法第1条にもとづいて廃止が出来るといわれたが、正しいのか。B適正化チームの尾行行為の根拠は?適正化チームの仕事の内容と行動指針について。
※NPOポッセ京都は学生を中心とする生活保護や労働相談などを支援する団体です。大生連も加盟する「働き方ネット」に参加され、一緒に行動しています。

【大生連】 廃止理由が78条にもとづいている。これは意味不明。居住実態がないとして尾行されたが、(生活保護を廃止された)Aさんは家賃をきちんと払っている。保護の廃止決定が撤回されたとは言え、余りにもズサンだ。

(保護法第78条)

不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせたものがあるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。

大阪市、生活保護法第78条では保護の廃止はできない

【大阪市】 具体の中味まで全部聞いていない。確認する。指導指示違反によって廃止するのであれば、口頭、文書指導がなく廃止はあり得ない。78条にもとづいて廃止は出来ない。生活保護の廃止になるのは、26条の保護の必要がなくなった時と28条の立ち入り調査を拒否した時と62条の文書指導に従わない時。78条で万が一、不正があったとしてもそれだけで廃止出来るものではない。1条はまったく関係ない話。適正化チームの仕事が尾行と言ったのであれば、それはうちの仕事の範疇ではない。不適切なので、天王寺の担当を指導する。保護課がうちでやれると話しているのは、実施機関の調査の権限を超えるものではない。役割がついて業務をしているが、担当のケースワーカーと業務が変わるわけではない。適正化チームが各区に配置されたのが、今年の4月からで、秋には全区配置。仕事の中身は三本柱といっている。@不正受給の調査、A告訴、被害届の手続き、必要な場合に警察と調整して告訴する。B実施機関の実施水準の向上。

【当事者】 私が厚生労働省に疑義を申し出なかったら、廃止されていた。天王寺区や大阪市内で起きていたら、怖い話だ。

適正化チームによる尾行は常態化しているのか?

【ポッセ】 適正化チームの仕事がほぼケースワーカーと同じ仕事と言われたが、それならなぜ配置したのか。天王寺区では適正化チームはケースワーカーではないと言われた。また、尾行は「行動確認」と言われた。また、大阪市の「適正化マニュアル」にもとづいて行っていると言われた。

【大阪市】 適正化チームは担当のケースを持っていない、実施機関は組織としてやるので、警察の捜査など組織として出来ないことまですることはない。全区に配置した背景は不正受給件数が23年度約3300件に。(3300人ではない)と増えている。全体から言えば2%弱とごく一部の人が不正受給をしている。一部ではあるが、報道では大きく取り上げられて、生活保護を受けている人がみんな不正受給をしているようにみられる。私たちも困ったことだと思っている。制度を守るためにも、信頼を回復するためにもやるべきことはやらねばならないと考えている。ケースワーカーを一人増やしたら解決することでもないので、昨年末に浪速、西成で先行し、今年全区に配置した。初めは不正受給への対応だったが、どんどん摘発すると言うより、不正の原因を調べて、ある意味初めのところを調査し、申告を促せば、不正受給にならないケースもあると思いますので、新規の時の調査力を強めて、不正受給を防止したいというのが、本来の主旨です。きちんとした「マニュアル」にもとづいて仕事をするようにとの研修はしていない。4月にいっせいにスタートした際には「ケースワーカーの業務の範囲を超えるものではない」と時間をかけて研修した。

【ポッセ】 天王寺区の適正化委員だけがやったことなのか? 天王寺区は組織的にケース会議を開き、行動確認の決定を下したと言っている。他区でも確認しているか。 (会場から=西成もあるやろ)

大阪市 尾行を指示していない

【大阪市】 ケースワーカーの出来る範疇なので、尾行とか張り込みなどは業務の範疇にはないと説明している。また指示もしていない。警察OBは今は民間のかた、大阪市の非常勤嘱託職員です。ケースワーカーと同じ仕事ではない、補助的業務になる。警察の捜査権を持ってきているわけではない。区保健福祉課の保護課が出来る範囲の調査しかできない。適正化チームには正規職員の係長、ケースワーカー経験のある嘱託職員、警察官OBの3名がひとつのグループ。告訴や被害届の際の調整や調査さきのアドバイスを受けている。
平成23年度不正受給は3300件に。年々増えている。しかし15万世帯中3300で2%弱。一部だが全体が疑いの目で見られる。浪速、西成で先行した。(23.11月)不正の原因を調べることが目的で新規の調査力をつよめ、不正受給を抑えたい。

【大生連】 天王寺区は本庁の指示もなく、勝手にやったのか。処分もありうるか。

【大阪市】 回答する立場にない。

【大生連】 重い病を抱えている方を師走の寒空に放り出すようなことはするな。

《過払いの資力の発生日について》

【淀 川】 労働裁判で賠償金が入り、保護費の返還を求められた。過払いの資力発生をどの時点で取るのか?

【大阪市】 個別になるが、年金は年金受給権開始日、交通事故の賠償金は交通事故が発生した日、債権整理で払いすぎた分が返ってきたりした場合、返還費用などを払い残ったお金が入った時点です。多重債務支援のプログラムをつくった時に、大阪市が弁護士会と相談し、「本人の手元に入った金額」で行こうと整理した。区にはQ&Aで指導している。

《居宅生活移行支援事業》

【 北 】 友人宅に居候をしている人が友人宅を居住地として申請に行った。「施設に入れ、それができないなら通所して」と言われた。応じないと保護は認められないのか。

【大阪市】 本人の同意が前提です。居宅生活移行支援事業の通所の気持ちがないことを伝えてもらったらよい。

《淀川区で医療抑制》

ワーカーが、ジェネリック医薬品を使えと「指示」

【淀 川】 区外の病院に行っている人に区内の病院に変わるように指示している。ジェネリック薬品を強制された。保護利用者には医者を選ぶ権利もないのか。

【大阪市】 区外から区内に転院するような指示は本庁からは行っていない。本人の了解なしにジェネリック薬品を出すことはない。国からも、大阪市も通知は出ていない。

【淀 川】 これまで、大きな病気を患ったが、タクシー代などの移送費が出て助かった。しかし、先日、交通費を請求したら、「市からはタクシー代は使うな」と言われていると。

【大生連】 国も大阪市も指示していないというが、実態として出ている。現地の調査と合わせて、大阪市がやめるよう指導すべきだ。

【大阪市】 毎月受診している医療機関であれば、まとめて市から医療券が送られる。個別に区から送られるものではない。

(返還の免除 第80条)

保護の実施機関は、保護の変更、廃止又は停止に伴い、前渡した保護金品の全部又は一部を返還させるべき場合において、これを消費し、又は喪失した被保護者に、やむを得ない事由があると認めるときは、これを返還させないことができる

《保護費の返還》

【大 正】 保護費が余分に振り込まれていたために、その保護費を毎月1万円ずつ返還しろといわれ、無理といったら最低でも月5000円を払えと言われた。これを80条で返還免除にならないか。また、保護費を銀行振り込みにしてほしい。私と同じ条件の友人(この人も毎月返還を求められている)は初めから銀行振り込みになっている。なぜか。

【大阪市】 80条には該当しない。詳細は事実確認して次回に回答する。

《老齢加算、一時金を復活を求める参加者の声》

  • 今でも保護費が足らないのに、これ以上引き下げられたら困ります。消費税増税もやめてください。生きていけない。みんなの苦しみを知ってください。
  • 月末まで何とかやりくりしている。無駄なものは絶対に買わない。できるだけ安いものを懐と相談しながら買うので、とても疲れてしまう。引き下げに断固反対です。少しでも、収入を得ようと新聞配達のアルバイトをしたが、重みに膝の靭帯を痛めて、かえって医療費の負担をかけてしまった。
  • 医療費の一部負担に反対します。我慢して病気が悪化する。かえって医療費が増えるのではないか。現在、がんの転移で治療中、一部負担が導入されれば、治療が出来なくなる。
  • 病気を抱えているので、一部負担は困る。今でも、保護費が足りなくて困っているのに反対です。
  • 老齢加算を復活して!過去にお世話になった人の冠婚葬祭をしたい。特に御参りはちゃんとしたい。お花の一本、お線香のひと束もあげ気持ちを伝えたい。
  • 余裕がないので、知人友人の葬儀に出られない。本当につらい。
  • テレビでの生活保護バッシングに肩身のせまいつらい思いをしている。
  • 基準引き下げを言うが、一度月13万円で生活してみてください。家賃、光熱費、食事代などで精いっぱいです。引き下げは絶対にやめてください。これ以上の引き下げは「死ね」と言うこと。引き下げより、1万円引き上げて。
  • 基準引き下げ、一部負担と国は私たちを殺す気ですか。
  • 交渉に参加したのは2回目、指導の名で本人が嫌がることはやめて。福祉の方と一緒に自立が出来るような援助をしてほしい。天王寺の事例のような尾行なんて許されない。年金や労働者の賃金が低いのであって、保護費が高いわけではない。老齢加算、一時金を復活して。
  • 70歳を超えたら4000円も引き下げられる。老齢加算、一時金を復活して。

【大阪市】 基準引き上げについてはみなさんの思いをお聞きし、反映させていくようにしたい。一時金については復活困難。

2012年12月19日 大生連

 2012年12月19日、大阪市福祉局生活福祉部保護課と2回目の交渉を行いました。
武市課長代理をはじめ、7人が対応。大生連からは17単組95人が参加。助言指導書、西成区の医療問題、医療の適正化などについて是正を求めました。

保護費の返還(生活保護法第80条)

【大 正】 過払いがあったので、保護費の返還を求められた。最低でも月5000円を払えと言われたが、無理だ。80条で返還免除にならないのか。また、保護費を銀行振り込みにしてほしい。

【大阪市】 大正区に確認した。月々の返還額については個別で対応する。振り込み方法も個別の事情による。Aさんの場合は緊急援護資金を借りていたので窓口対応をした。返済が済めば振り込み方法を変更できる。返還の80条の「やむをえない事由」には該当しないので免除にはならない。

【大 正】80条の「やむをえない事由」が漠然としている。納得いく回答をしてほしい。

【大生連】 80条返還免除の条件は何か。

【大阪市】 各区の実施機関が決めることです。

【大生連】 現地でも話し合っていく。

(返還の免除 第80条)

保護の実施機関は、保護の変更、廃止又は停止に伴い、前渡した保護金品の全部又は一部を返還させるべき場合において、これを消費し、又は喪失した被保護者に、やむを得ない事由があると認めるときは、これを返還させないことができる

労働組合の加入について/思想信条の自由について

【大阪市】 (平野の件)収入がないのに労働組合費の引き落としをされていた。ケースワーカーは思想信条に踏み込んだものではなく家計を心配したとのこと。

【大生連】 生活保護を利用していたら、労働組合、生健会、宗教に入ることはできないのか。

【大阪市】 保護の利用の如何を問わず、行政が思想信条について指示することは間違い。 保護費の自己決定権については、やりくりについてお話をすることはあるが、具体的にこちらから指導することはない。

平野区の「助言指導書」の乱発について/局として指導すべきだ。

【平 野】 パソナが紹介するところに行ったが、仕事が合わなくて1日でやめた。始末書をかけと言われた。市はそのように指導しているのか。

【大阪市】 平野区では該当する事案はないという回答だった。

【平 野】 平野の課長は就労支援に入らないと不利になり、週2回の求職活動を目安としていることを言っている。(11月30日平野の交渉で)そのことを局として平野区に指導したのか。

【大阪市】 近々行く予定にしている。

【大生連】 区の回答を聞いたうえで、局とも再度やり取りをさせてほしい。(局は了解)

【大生連】 全生連を通じて厚生労働省保護課に聞いた。保護課は「口頭の指導抜きに文書指導はありえない」「保護が開始するまでは指導はできない」と回答された。@平野では口頭の指導も何もなく、いきなり文書で指導し、助言指導書を出している。手続き的に正しいのか。A文面で「週に2回行け」「助言指導書に従わなかった場合は保護の却下も含めて検討する」ことは正しいのか。

【大阪市】 厚生労働省の保護課長が言われたとおり、「申請を受理した後、保護が決定するまでは指導の対象ではありません。助言指導書は法27条の文書指導ではないという位置づけ。だら、その前に口頭の指導が必要とは考えていない。」
 平野区が一律に機械的にするとそういう仕組みにしているとすれば非常に問題が大きい。文書も一律機械的に出しているとすれば不適切かと思います。それについては話に行く。

【平 野】 課長代理の答えから判断すると、平野は間違っている。文書も一律に出されている。受付窓口の係長は「システム」といっている。局として指導してほしい。

就労指導の強要はやめて

【鶴 見】 保護の利用中の人にも総合就職サポート事業の押し付けがある。@仕事を選ぶ、A労働条件、B仕事が合わない場合やめる権利をそれぞれ選択出来るはず。その選択権は本人にあるはず。鶴見区では話し合いの中で「いずれも強制はしない」と言われた。だから本人も納得してサポート事業で求職活動をすることになった。

【大阪市】 本人の同意のもと、選択ができる。

【大生連】 @サポート事業に入らず、自分で探すと言う場合、不利益になることはないか。A稼働能力は保護の開始要件になっている。就労の場・就労する能力・就労する意思の3つが問わるが、就労の意思とは具体的に何を示すのか。

【大阪市】 口頭にせよ、文書にせよ指導指示は生活保護の主旨目的を達成するためにするもの、それが脅しのようなやり方であってはいけない。しかし、最終的に文書指導をして従わない場合は停廃止もあることを記載することもある。本人が脅しと取るような指導指示は本来の指導指示とは違うので、ケースワーカーにも伝えていきたい。
総合就職サポート事業に参加することは生活保護の決定に直接リンクするものではない。
稼働能力の意思は厚生労働省の通知以上の指針はない。何回行ったらと意思があるとかないとかの区切りはない。局として区切りを示したものはない。本気でできるだけ長く働けるところを探さないといけない。ケースワーカーがついて回れないので、プロの総合就職サポート事業にお願いしている。ハローワークや求人開拓、面接の仕方、履歴書の書き方などの助言をしてもらっている。意思は明快に目に見えないものなので、判断は難しいと思っている。

就労強要、各区の実態/生活できる賃金と雇用の確保が課題だ

【此 花】 ケースワーカーから最低賃金×週5日×7時間以上は働くようにいわれた。また、収入のある人にも9時〜5時で働けと指導。それは正しいのか。

【住 吉】 現場では「何でもよいから働け」、「いくらでもよいから働け」と指導している。ハロ―ワークや求人誌は情報が毎日変わるわけではないのに、求職活動を強要している。本庁はそのようなやり方であってはいけないというが、指導を徹底してほしい。

【 港 】 病院の先生に働ける状況ではないと言われているが、掃除の仕事で月3万の収入。なぜ仕事に行くかと言えば、次の仕事をさがすのが大変、ケースワーカーは「月3万だったら足らん、もつと収入をふやせ」と言う。

【平 野】 求職活動でハローワーク偏重になっている。求人雑誌や携帯サイトではいけないのか。以前はそれで求職活動と認めていた。いつから変わったのか。局が通知を出したのか。

【平 野】 乳がんの手術をした病み上がりの人(59歳)に「軽労働可」の意見書が出た。「働 け」とケースワーカーの就労指導がきつい。本人はノイローゼになりかけている。本人の症状も状況も聞かずに、やみくもに就労指導してもいいのか。

【大生連】 民間業者で指導権限もないのに踏み込んだ指示をしているが、それは正しいのか。

【大阪市】 その人の状況に応じた就労指導になる。離職されてどれくらいになるのか、その間が長かったらフルタイムは難しく、短い勤務時間からはじめるのでもいいし、その間が短かく、本人がやめた時のペースを希望するなら、フルタイムで探したらいいと思うし、ケースワーカーが各自の状況に応じた指導ではなく一律にやれば、それは稚拙な就労指導。就労指導の姿勢について伝えていかなければいけない。
委託先の業者が生活保護の指導をすることはあり得ない。担当から業者に注意をさせていただく。平野の件では、医師の判断(軽労働可)が=就労の判断ではない。稼働能力の判断は、医師の判断を参考にしながら総合的に実施機関が決めるもの。

【 北 】 市の清掃の仕事をしていた人が時給1000円になり、社会保険も完備し、生活保護から自立することができた。「働け、働け」というだけでなく、正規の生活ができる雇用の場を行政としてもっと広げてほしい。委託業者の一件の成功報酬と年間件数と総額を教えてほしい。

【大阪市】 総合就職サポート事業の業者に払っている総額については後日資料を送る。就職の数だけではなく、定着を支援していくこともお願いしている。一定期間、一定数が就労したら別途支払いをする仕組みにしている。いくら就労支援を強めても雇用の場が増えないと、ひとつのパイを奪い合うことにもなり、現場でも先行きを考えているところ。生活保護、障害者、高齢者などの福祉分野と雇用の関係、労働分野が別の省庁でまじりあわなかったが、最近は交流が深まっている。「福祉から就労」ということでハローワークで支援していただいているし、ハローワークの意識改革もお願いしている。しかしハローワークがどれだけ頑張っても仕事をつくるわけではないので、仕事の数が増えなければと思う。行政が条件の良い仕事を提供できればいいが、仕事の委託についても特例で契約できなくなったので、価格の競争もあり、低賃金や労働条件につながっていると思う。

【大生連】 @いきすぎた就労指導については経験不足を看過してはいけない。平野区はいきすぎた就労指導を組織的にやっている。大阪市も組織的にすすめているのかと思われるので、改めてほしい。A金もなく、精神的に余裕もない保護の開始前に就労指導をするのは非合理的。指導の前にまず保護の決定をしてほしい。Bパソナ、アソウに就労指導の権限がないことを徹底して。実態無視の就労指導は誤りで、保護決定ののちに指導すべきと文書で指導を徹底してほしい。

【大阪市】 個別の事情もあるので、一律に文書指導は難しい。きちんとした就労指導ができるように、申請段階の方であれば適切な就労支援ができるように研修したい。

転居について/制限したのは厚労省

【鶴 見】 2万円の文化住宅に住んでいる。風呂もなく共同トイレ。糖尿病が悪化し、足が悪くなり杖をついている。吹き晒しの中、外のトイレに行かねばならない。転居したいと相談したら、実施要領の項目に沿わないから転居できないと言われた。医師の意見書に転居が必要と書いていなかったから認められないと言っている。本人の実態でなく、医師の意見を優先するのか。

【平 野】 市営住宅に当選した。マンションの家賃42000円から市営住宅家賃27000円に下がった。しかし、家賃が安くなるだけではダメと言う理由で転居費用が出なかった。当選前の住居に住んでいた期間が短かったら転居費用は出ないのか。そういう運用をしているのか。市が出したQ&Aには居住期間については書いていないのに、なぜ認めないのか。

【大阪市】 敷金の個別案件は区で判断する。項目は国が限定的なものと示している。昔は14項目ぐらいで「その他」があった。なんにでも使える「その他」の部分が何の説明もなく、急になくなり、裁量の範囲が大きかったものが限定的になった。状況については項目に当てはまるかどうかケースワーカーが事情を聞いて会議などで判断する。鶴見区の判断は個別のものになる。Q&Aは実施要領を超えるものではなく、あくまで大阪市の実施要領の中で仕事をする。

【 港 】 以前は市営住宅に当選したらケースワーカーが「おめでとう」と言っていた。今は転居指導をしていなかったから、当選しても転居費用は出せないと言う。

【大阪市】 生活をトータルで判断して公営住宅に住む方がよい場合は支給して差し支えないと言うことでQ&Aを出した。

公的貸付について/実態とあっていない、改善を

■緊急援護資金・つなぎ資金について

【都 島】 保護決定の間、つなぎに更生援護資金を貸してくれたが、2週間夫婦ふたりに1万円しか貸してくれなかった。しかも、妻は清掃の仕事にいくので、往復300円の交通費が必要。もっと貸してほしい。

【大阪市】 更生援護資金は民生・児童委員連盟が独自で貸している制度。詳細については答えかねる。原資は共同募金です。

【大阪市】 緊急援護資金は市の制度で、10万円を限度に必要最小限の額を貸し付けている。

【 北 】 最高5万円しか貸してくれない。生活保護が決定するまでのつなぎとして、民生委員を通さずに貸付をしていたが、最近はすぐに貸してくれない。

【大阪市】 生活保護のつなぎ資金はケースワーカーがすでに調査をしているので、民生委員の調査は省略している。

【 港 】 緊急援護資金は上限50000円しか貸してくれない。生活保護のつなぎは更生援護資金で5000円しか貸してくれない。つなぎでも、区によって金の出所、金額も違う。その違いは何か。

【城 東】 いっさい、つなぎ資金を貸せないと言われた。他の行政区はどうなっているのか。

【大阪市】 区によって違う。一律ではない。

【● ●】 納骨をするのに3万円かかる。生活保護世帯にも貸付を利用させてほしい。

【大阪市】 生活保護を受給中は対象外です。制度が変わったわけではない。今までは民生・児童委員と役所窓口の話し合いで決定や金品貸付業務をしていたが、行政が出すお金と違うお金(更生援護資金)を触るなと言うことになり、民生・児童委員の窓口で対応するようになった。公金の取り扱いがきびしくなり、各区とも徐々に変わっている。大阪府の社会福祉協議会が生活貸付資金でつなぎ資金を出すと言うのが、国が通知している本来のやり方です。しかし、実際に手元にお金が入るまでに1ケ月かかると言われるので、大阪府のつなぎ資金を利用する人はいないと思う。緊急援護資金でつなぎ資金を利用できるように要綱を変えてもらった。制度としてなくなったかと言われることについては確認する。一時扶助で当てはまらない部分も多く、現状では生活福祉資金の貸付の一部に福祉事務所の意見書をつけて借りることはあるが、基本的には貸付はない。納骨に限らず、家電製品の購入など、大変だとは思うが少しずつ貯めて対応してほしい。

【大生連】 200円とかわずかな手持ち金しかない方が申請している。保護の決定は2週間かかる。その間、どうやって生活をしたらよいのか。取扱いの違いがあってはいけない。保護費が低いので、緊急の需要に対応できない。保護世帯が借りれる制度をつくってほしい。

【大阪市】 要望は受け止めたい。

■生活福祉資金

【東淀川】 エアコン設置の手続きが大変。簡素化して。保証人の源泉徴収も取られるし、調書や印鑑登録も取られる。無理をいって保証人になってもらった上に手続きが大変で肩身の狭い思いをした。

【大阪市】 大阪府生活資金貸付でエアコン購入のための貸付をしている。貸付決定に当たっては府の社会福祉協議会が行っている。手続き等の要望については府社協に伝える。

医療の締め付けについて

【 港 】 病院で「今月は心カテーテルをやったから点数足りるかな」と言われた。大阪市は医療抑制の基準を設けたのか。また、眼内レンズの入れ直しの必要な人に実費になると言われた。

【大阪市】 生活保護の医療扶助は国保療養給付の例による。保険適用の範囲内です。点数の上限が決まっているものではない。眼内レンズについても保険給付の対象内であれば適用できる。眼内レンズ以外のところ(保険給付外)で実費を必要とすれば、それは個別の事案になるのでわかりかねる。

西成区医療「確認証」問題

【大生連】 西成区での効果はあったか。医療抑制につながったのか。

【西成区保健福祉課長代理】 確認制度を8月から実施した。効果の検証はこれからです。事後請求の医療券の平均枚数は平成23年度3892枚から→24年度4〜8月2796枚で確実に減っている。扶助費は検証中。

【大生連】 減った理由は何か。

【大阪市】 途中の段階なので比較できる資料がないが、大きく減っているわけではない。医療を受けるときに医療券を持たずに行って、病院が月末に「誰それさんが医療券をもたずに受診したので、医療券を送ってください」と役所に電話で請求してくる、事後請求枚数が大きく減った。確認証制度で、ケースワーカーに医療券と意見書をもらって指定医に受診するシステムになった。医療券の発行のやり方が適正になったといえる。

【大生連】 西成は医療券をもたずに病院にかかっている人が多かったと言うが他区ではどうか。通常、生活保護利用者は医療券をもって受診しているのではないか。

【大阪市】 医療側も受診する人もルールにのってきたかなと思う。

【大生連】 医療券はなくし、いつでも使える保険証を出してほしい。

【大阪市】 国の改正も必要となり本市単独での実施は困難。

【西成区保健福祉課長代理】 確認証では常時受診する医療機関を記載している。診療科目ごとに一医療機関としているが、医学的必要性から複数ケ所の選択も可能。医師の診断にもとづいて別の医療機関での手術も可能。

【大生連】 課長代理は夏の交渉時に、私たちが「確認書」導入に反対したとき、「生活保護世帯は国の税金で生活しているから」と言われた。あれはどういう意味で言ったのか。

【西成区保健福祉課長代理】 そういうつもりではない。

【大生連】 だったらどういうつもりか。

【西成区保健福祉課長代理】 回答なし。

【大生連】 1950年(昭和25年)5月20日の厚生事務次官通知(注)には、現在の生活保護法は、戦前の救貧法的色彩を廃して生活保護利用者の権利性を明記している。それと無差別・平等の原理だ。西成区だけ差別的な扱いをすることは憲法や生活保護法を否定している。なんで保護世帯が劣等処遇に甘んじなければならないのか。

【西成区保健福祉課長代理】 回答なし。

【大阪市】 西成区だけでなく医療費の適正化を進めているが、必要な医療を制限するものではない。

【大生連】 納得できない。「確認書」の撤回を求める。再度、話し合いたい。

(注)「生活保護法の施行に関する件」1950年(昭和25年)5月20日の厚生事務次官通知

(旧法は)法制上の不備欠陥が認められ、殊に新憲法の精神に立脚して真に国民の最低生活を保障するためには、この制度の根本的再編を必要とする(略)旧法は、救護法における所謂(いわゆる)慈恵的な救貧思想を一応脱却していたのであるが、未だに完全に救貧法的色彩を拭し払(ママ)得るには至らず、殊に憲法25条に規定されている生存権保障の精神が法文上明確となっていなかったので、新法においては、国が国民の最低生活を保障する建前を明確にするための保護を受ける者の法的地位を確立し(略)要保護者の権利との法的関係とを明確化する(略)要保護者が正当なる保護の実施を主張し得る法的根拠を規定した

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