保護費の返還(生活保護法第80条)
【大 正】 過払いがあったので、保護費の返還を求められた。最低でも月5000円を払えと言われたが、無理だ。80条で返還免除にならないのか。また、保護費を銀行振り込みにしてほしい。
【大阪市】 大正区に確認した。月々の返還額については個別で対応する。振り込み方法も個別の事情による。Aさんの場合は緊急援護資金を借りていたので窓口対応をした。返済が済めば振り込み方法を変更できる。返還の80条の「やむをえない事由」には該当しないので免除にはならない。
【大 正】80条の「やむをえない事由」が漠然としている。納得いく回答をしてほしい。
【大生連】 80条返還免除の条件は何か。
【大阪市】 各区の実施機関が決めることです。
【大生連】 現地でも話し合っていく。
(返還の免除 第80条)
保護の実施機関は、保護の変更、廃止又は停止に伴い、前渡した保護金品の全部又は一部を返還させるべき場合において、これを消費し、又は喪失した被保護者に、やむを得ない事由があると認めるときは、これを返還させないことができる
労働組合の加入について/思想信条の自由について
【大阪市】 (平野の件)収入がないのに労働組合費の引き落としをされていた。ケースワーカーは思想信条に踏み込んだものではなく家計を心配したとのこと。
【大生連】 生活保護を利用していたら、労働組合、生健会、宗教に入ることはできないのか。
【大阪市】 保護の利用の如何を問わず、行政が思想信条について指示することは間違い。
保護費の自己決定権については、やりくりについてお話をすることはあるが、具体的にこちらから指導することはない。
平野区の「助言指導書」の乱発について/局として指導すべきだ。
【平 野】 パソナが紹介するところに行ったが、仕事が合わなくて1日でやめた。始末書をかけと言われた。市はそのように指導しているのか。
【大阪市】 平野区では該当する事案はないという回答だった。
【平 野】 平野の課長は就労支援に入らないと不利になり、週2回の求職活動を目安としていることを言っている。(11月30日平野の交渉で)そのことを局として平野区に指導したのか。
【大阪市】 近々行く予定にしている。
【大生連】 区の回答を聞いたうえで、局とも再度やり取りをさせてほしい。(局は了解)
【大生連】 全生連を通じて厚生労働省保護課に聞いた。保護課は「口頭の指導抜きに文書指導はありえない」「保護が開始するまでは指導はできない」と回答された。@平野では口頭の指導も何もなく、いきなり文書で指導し、助言指導書を出している。手続き的に正しいのか。A文面で「週に2回行け」「助言指導書に従わなかった場合は保護の却下も含めて検討する」ことは正しいのか。
【大阪市】 厚生労働省の保護課長が言われたとおり、「申請を受理した後、保護が決定するまでは指導の対象ではありません。助言指導書は法27条の文書指導ではないという位置づけ。だら、その前に口頭の指導が必要とは考えていない。」
平野区が一律に機械的にするとそういう仕組みにしているとすれば非常に問題が大きい。文書も一律機械的に出しているとすれば不適切かと思います。それについては話に行く。
【平 野】 課長代理の答えから判断すると、平野は間違っている。文書も一律に出されている。受付窓口の係長は「システム」といっている。局として指導してほしい。
就労指導の強要はやめて
【鶴 見】 保護の利用中の人にも総合就職サポート事業の押し付けがある。@仕事を選ぶ、A労働条件、B仕事が合わない場合やめる権利をそれぞれ選択出来るはず。その選択権は本人にあるはず。鶴見区では話し合いの中で「いずれも強制はしない」と言われた。だから本人も納得してサポート事業で求職活動をすることになった。
【大阪市】 本人の同意のもと、選択ができる。
【大生連】 @サポート事業に入らず、自分で探すと言う場合、不利益になることはないか。A稼働能力は保護の開始要件になっている。就労の場・就労する能力・就労する意思の3つが問わるが、就労の意思とは具体的に何を示すのか。
【大阪市】 口頭にせよ、文書にせよ指導指示は生活保護の主旨目的を達成するためにするもの、それが脅しのようなやり方であってはいけない。しかし、最終的に文書指導をして従わない場合は停廃止もあることを記載することもある。本人が脅しと取るような指導指示は本来の指導指示とは違うので、ケースワーカーにも伝えていきたい。
総合就職サポート事業に参加することは生活保護の決定に直接リンクするものではない。 稼働能力の意思は厚生労働省の通知以上の指針はない。何回行ったらと意思があるとかないとかの区切りはない。局として区切りを示したものはない。本気でできるだけ長く働けるところを探さないといけない。ケースワーカーがついて回れないので、プロの総合就職サポート事業にお願いしている。ハローワークや求人開拓、面接の仕方、履歴書の書き方などの助言をしてもらっている。意思は明快に目に見えないものなので、判断は難しいと思っている。
就労強要、各区の実態/生活できる賃金と雇用の確保が課題だ
【此 花】 ケースワーカーから最低賃金×週5日×7時間以上は働くようにいわれた。また、収入のある人にも9時〜5時で働けと指導。それは正しいのか。
【住 吉】 現場では「何でもよいから働け」、「いくらでもよいから働け」と指導している。ハロ―ワークや求人誌は情報が毎日変わるわけではないのに、求職活動を強要している。本庁はそのようなやり方であってはいけないというが、指導を徹底してほしい。
【 港 】 病院の先生に働ける状況ではないと言われているが、掃除の仕事で月3万の収入。なぜ仕事に行くかと言えば、次の仕事をさがすのが大変、ケースワーカーは「月3万だったら足らん、もつと収入をふやせ」と言う。
【平 野】 求職活動でハローワーク偏重になっている。求人雑誌や携帯サイトではいけないのか。以前はそれで求職活動と認めていた。いつから変わったのか。局が通知を出したのか。
【平 野】 乳がんの手術をした病み上がりの人(59歳)に「軽労働可」の意見書が出た。「働
け」とケースワーカーの就労指導がきつい。本人はノイローゼになりかけている。本人の症状も状況も聞かずに、やみくもに就労指導してもいいのか。
【大生連】 民間業者で指導権限もないのに踏み込んだ指示をしているが、それは正しいのか。
【大阪市】 その人の状況に応じた就労指導になる。離職されてどれくらいになるのか、その間が長かったらフルタイムは難しく、短い勤務時間からはじめるのでもいいし、その間が短かく、本人がやめた時のペースを希望するなら、フルタイムで探したらいいと思うし、ケースワーカーが各自の状況に応じた指導ではなく一律にやれば、それは稚拙な就労指導。就労指導の姿勢について伝えていかなければいけない。
委託先の業者が生活保護の指導をすることはあり得ない。担当から業者に注意をさせていただく。平野の件では、医師の判断(軽労働可)が=就労の判断ではない。稼働能力の判断は、医師の判断を参考にしながら総合的に実施機関が決めるもの。
【 北 】 市の清掃の仕事をしていた人が時給1000円になり、社会保険も完備し、生活保護から自立することができた。「働け、働け」というだけでなく、正規の生活ができる雇用の場を行政としてもっと広げてほしい。委託業者の一件の成功報酬と年間件数と総額を教えてほしい。
【大阪市】 総合就職サポート事業の業者に払っている総額については後日資料を送る。就職の数だけではなく、定着を支援していくこともお願いしている。一定期間、一定数が就労したら別途支払いをする仕組みにしている。いくら就労支援を強めても雇用の場が増えないと、ひとつのパイを奪い合うことにもなり、現場でも先行きを考えているところ。生活保護、障害者、高齢者などの福祉分野と雇用の関係、労働分野が別の省庁でまじりあわなかったが、最近は交流が深まっている。「福祉から就労」ということでハローワークで支援していただいているし、ハローワークの意識改革もお願いしている。しかしハローワークがどれだけ頑張っても仕事をつくるわけではないので、仕事の数が増えなければと思う。行政が条件の良い仕事を提供できればいいが、仕事の委託についても特例で契約できなくなったので、価格の競争もあり、低賃金や労働条件につながっていると思う。
【大生連】 @いきすぎた就労指導については経験不足を看過してはいけない。平野区はいきすぎた就労指導を組織的にやっている。大阪市も組織的にすすめているのかと思われるので、改めてほしい。A金もなく、精神的に余裕もない保護の開始前に就労指導をするのは非合理的。指導の前にまず保護の決定をしてほしい。Bパソナ、アソウに就労指導の権限がないことを徹底して。実態無視の就労指導は誤りで、保護決定ののちに指導すべきと文書で指導を徹底してほしい。
【大阪市】 個別の事情もあるので、一律に文書指導は難しい。きちんとした就労指導ができるように、申請段階の方であれば適切な就労支援ができるように研修したい。
転居について/制限したのは厚労省
【鶴 見】 2万円の文化住宅に住んでいる。風呂もなく共同トイレ。糖尿病が悪化し、足が悪くなり杖をついている。吹き晒しの中、外のトイレに行かねばならない。転居したいと相談したら、実施要領の項目に沿わないから転居できないと言われた。医師の意見書に転居が必要と書いていなかったから認められないと言っている。本人の実態でなく、医師の意見を優先するのか。
【平 野】 市営住宅に当選した。マンションの家賃42000円から市営住宅家賃27000円に下がった。しかし、家賃が安くなるだけではダメと言う理由で転居費用が出なかった。当選前の住居に住んでいた期間が短かったら転居費用は出ないのか。そういう運用をしているのか。市が出したQ&Aには居住期間については書いていないのに、なぜ認めないのか。
【大阪市】 敷金の個別案件は区で判断する。項目は国が限定的なものと示している。昔は14項目ぐらいで「その他」があった。なんにでも使える「その他」の部分が何の説明もなく、急になくなり、裁量の範囲が大きかったものが限定的になった。状況については項目に当てはまるかどうかケースワーカーが事情を聞いて会議などで判断する。鶴見区の判断は個別のものになる。Q&Aは実施要領を超えるものではなく、あくまで大阪市の実施要領の中で仕事をする。
【 港 】 以前は市営住宅に当選したらケースワーカーが「おめでとう」と言っていた。今は転居指導をしていなかったから、当選しても転居費用は出せないと言う。
【大阪市】 生活をトータルで判断して公営住宅に住む方がよい場合は支給して差し支えないと言うことでQ&Aを出した。
公的貸付について/実態とあっていない、改善を
■緊急援護資金・つなぎ資金について
【都 島】 保護決定の間、つなぎに更生援護資金を貸してくれたが、2週間夫婦ふたりに1万円しか貸してくれなかった。しかも、妻は清掃の仕事にいくので、往復300円の交通費が必要。もっと貸してほしい。
【大阪市】 更生援護資金は民生・児童委員連盟が独自で貸している制度。詳細については答えかねる。原資は共同募金です。
【大阪市】 緊急援護資金は市の制度で、10万円を限度に必要最小限の額を貸し付けている。
【 北 】 最高5万円しか貸してくれない。生活保護が決定するまでのつなぎとして、民生委員を通さずに貸付をしていたが、最近はすぐに貸してくれない。
【大阪市】 生活保護のつなぎ資金はケースワーカーがすでに調査をしているので、民生委員の調査は省略している。
【 港 】 緊急援護資金は上限50000円しか貸してくれない。生活保護のつなぎは更生援護資金で5000円しか貸してくれない。つなぎでも、区によって金の出所、金額も違う。その違いは何か。
【城 東】 いっさい、つなぎ資金を貸せないと言われた。他の行政区はどうなっているのか。
【大阪市】 区によって違う。一律ではない。
【● ●】 納骨をするのに3万円かかる。生活保護世帯にも貸付を利用させてほしい。
【大阪市】 生活保護を受給中は対象外です。制度が変わったわけではない。今までは民生・児童委員と役所窓口の話し合いで決定や金品貸付業務をしていたが、行政が出すお金と違うお金(更生援護資金)を触るなと言うことになり、民生・児童委員の窓口で対応するようになった。公金の取り扱いがきびしくなり、各区とも徐々に変わっている。大阪府の社会福祉協議会が生活貸付資金でつなぎ資金を出すと言うのが、国が通知している本来のやり方です。しかし、実際に手元にお金が入るまでに1ケ月かかると言われるので、大阪府のつなぎ資金を利用する人はいないと思う。緊急援護資金でつなぎ資金を利用できるように要綱を変えてもらった。制度としてなくなったかと言われることについては確認する。一時扶助で当てはまらない部分も多く、現状では生活福祉資金の貸付の一部に福祉事務所の意見書をつけて借りることはあるが、基本的には貸付はない。納骨に限らず、家電製品の購入など、大変だとは思うが少しずつ貯めて対応してほしい。
【大生連】 200円とかわずかな手持ち金しかない方が申請している。保護の決定は2週間かかる。その間、どうやって生活をしたらよいのか。取扱いの違いがあってはいけない。保護費が低いので、緊急の需要に対応できない。保護世帯が借りれる制度をつくってほしい。
【大阪市】 要望は受け止めたい。
■生活福祉資金
【東淀川】 エアコン設置の手続きが大変。簡素化して。保証人の源泉徴収も取られるし、調書や印鑑登録も取られる。無理をいって保証人になってもらった上に手続きが大変で肩身の狭い思いをした。
【大阪市】 大阪府生活資金貸付でエアコン購入のための貸付をしている。貸付決定に当たっては府の社会福祉協議会が行っている。手続き等の要望については府社協に伝える。
医療の締め付けについて
【 港 】 病院で「今月は心カテーテルをやったから点数足りるかな」と言われた。大阪市は医療抑制の基準を設けたのか。また、眼内レンズの入れ直しの必要な人に実費になると言われた。
【大阪市】 生活保護の医療扶助は国保療養給付の例による。保険適用の範囲内です。点数の上限が決まっているものではない。眼内レンズについても保険給付の対象内であれば適用できる。眼内レンズ以外のところ(保険給付外)で実費を必要とすれば、それは個別の事案になるのでわかりかねる。
西成区医療「確認証」問題
【大生連】 西成区での効果はあったか。医療抑制につながったのか。
【西成区保健福祉課長代理】 確認制度を8月から実施した。効果の検証はこれからです。事後請求の医療券の平均枚数は平成23年度3892枚から→24年度4〜8月2796枚で確実に減っている。扶助費は検証中。
【大生連】 減った理由は何か。
【大阪市】 途中の段階なので比較できる資料がないが、大きく減っているわけではない。医療を受けるときに医療券を持たずに行って、病院が月末に「誰それさんが医療券をもたずに受診したので、医療券を送ってください」と役所に電話で請求してくる、事後請求枚数が大きく減った。確認証制度で、ケースワーカーに医療券と意見書をもらって指定医に受診するシステムになった。医療券の発行のやり方が適正になったといえる。
【大生連】 西成は医療券をもたずに病院にかかっている人が多かったと言うが他区ではどうか。通常、生活保護利用者は医療券をもって受診しているのではないか。
【大阪市】 医療側も受診する人もルールにのってきたかなと思う。
【大生連】 医療券はなくし、いつでも使える保険証を出してほしい。
【大阪市】 国の改正も必要となり本市単独での実施は困難。
【西成区保健福祉課長代理】 確認証では常時受診する医療機関を記載している。診療科目ごとに一医療機関としているが、医学的必要性から複数ケ所の選択も可能。医師の診断にもとづいて別の医療機関での手術も可能。
【大生連】 課長代理は夏の交渉時に、私たちが「確認書」導入に反対したとき、「生活保護世帯は国の税金で生活しているから」と言われた。あれはどういう意味で言ったのか。
【西成区保健福祉課長代理】 そういうつもりではない。
【大生連】 だったらどういうつもりか。
【西成区保健福祉課長代理】 回答なし。
【大生連】 1950年(昭和25年)5月20日の厚生事務次官通知(注)には、現在の生活保護法は、戦前の救貧法的色彩を廃して生活保護利用者の権利性を明記している。それと無差別・平等の原理だ。西成区だけ差別的な扱いをすることは憲法や生活保護法を否定している。なんで保護世帯が劣等処遇に甘んじなければならないのか。
【西成区保健福祉課長代理】 回答なし。
【大阪市】 西成区だけでなく医療費の適正化を進めているが、必要な医療を制限するものではない。
【大生連】 納得できない。「確認書」の撤回を求める。再度、話し合いたい。
(注)「生活保護法の施行に関する件」1950年(昭和25年)5月20日の厚生事務次官通知
(旧法は)法制上の不備欠陥が認められ、殊に新憲法の精神に立脚して真に国民の最低生活を保障するためには、この制度の根本的再編を必要とする(略)旧法は、救護法における所謂(いわゆる)慈恵的な救貧思想を一応脱却していたのであるが、未だに完全に救貧法的色彩を拭し払(ママ)得るには至らず、殊に憲法25条に規定されている生存権保障の精神が法文上明確となっていなかったので、新法においては、国が国民の最低生活を保障する建前を明確にするための保護を受ける者の法的地位を確立し(略)要保護者の権利との法的関係とを明確化する(略)要保護者が正当なる保護の実施を主張し得る法的根拠を規定した
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