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新国立劇場バレエ団
「 Ballet the Chic 」





「セレナーデ」( Serenade )


 「遅れてきた者」を踊った厚木は非常に美しかった。NYCBでは、先日 2010年の引退が発表されたバランシン最後のミューズ、ダーシー・キスラーが よくキャスティングされていた役だが、私は群舞のダンサーの間を縫って登場 する厚木を見た瞬間、キスラーを彷彿とした。
 もちろん照明は周囲より一層強くあたっているのだろうが、同じ衣装に 同じ髪型をした女性ダンサーの中で、ひときわ玲瓏として月光の女神の ようだった。
 ワルツ楽章での中村とのデュエットも良い。
 倒れながらまとめていた髪を下ろすところで、うまく解けず、ちょっと ハラハラした。(踊っている途中で全部下りました)

 「黒い天使」は堀口純。羽ばたいて、男(森田)を連れ去るシーンは・・・、 難しいでしょうね〜。

 「ロシアの踊り」は、寺島ひろみがリード。あと4人のダンサーの名前は 発表なし。(せめて有料プログラムには書いてほしいです)

 全体として、この作品の持つイメージである移ろいやすさや儚さなどが、 よく表現されていたと思う。下手をすると、バタバタしている だけの印象を残してしまうが、今回はそれを感じなかった。



「空間の鳥」( Bird in Space )

 バレエ団の登録ダンサー、井口裕之の振付作品。
 12人の男性ダンサーが、上半身裸で下半身は足首まである赤い大きな腰巻 という姿で、力強く踊る。(舞台上を駆けまわるので運動量が凄い!) その いでたちと不断の音楽とで、修行僧の荒行のようだ。
 これが、振付家がインスパイアされたと言う「デミアン」の一説「鳥は卵の 中から抜け出ようと戦う」の表現だろうか。

 紅一点の真忠久美子は、ワンショルダーのユニタード。女性は「全体性」 だそうで、善であり悪であり、生であり死・・・。むつかしい・・・。

 途中で舞台上から白い大きな布がヒラヒラ〜と落とされ、(強い照明が あてられ、目に痛かった)、あれが殻を破った瞬間なのかしらん?(← あんまり理解できてません・・・)



「ポル・ヴォス・ムエロ」( Por Vos Muero )

 これは面白かった〜。古楽を使い、衣装も中世の宮廷ドレス風なのに、 踊りはすごいスピーディ。振付も宮廷舞踊からはかけ離れた現代舞踊。 そのギャップにまずときめいた。
 仮面や香炉など小道具の使い方も心憎い。

 何回でも観たい、と思わせる現代作品って貴重かも。



「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」( Push Comes to Shove )


 私は初見。名声のある作品なのだけど、今回の公演を見て、やや古臭いな〜、 と思ってしまった。これは衣装デザインのせいだとは思うが・・・。
 前の演目の「ポル・ヴォス・ムエロ」より初演が20年早いわけだけど、 これほど年代の隔たりを感じるものか。「セレナーデ」が「プッシュ・・・」 より40年ほど遡るのに、いまだに清新な印象を保ち続けているのは、やはり すごい事なのだと実感する。

 この作品を振り付けられたバリシニコフがどう踊ったのか知らないので、 今回のマトヴィエンコが良かったのかどうかコメントできないが、回転の 妙技は素晴らしかった。

 厚木は、「セレナーデ」とはまた違った印象で、こちらでもオーラを放って いた。

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