平成19年6月      こころ元気研究所 鎌田敏

嗚呼、講演旅情

~ホントにホントに不定期のきまぐれ旅日記でございます~

【平成19年6月28日】 岐阜県海津市

黎明、即起したものの…
おやおや、身体がだるいゾ。長旅の疲れか。
すると心もだるくなる。心身一如。

梅干に熱いお茶。しばらく座す。深く呼吸する。
首を左右上下に曲げ始める。腕や背の伸びを始める。動くところから徐々に動かしていく。すると心も徐々に動き出す。心身一如。真向法もどきで身体全体を伸ばす。立ち上がり、深い呼吸を行なう。吸い込み、肛門を締める。吐き出し、肛門を緩める。両手振り運動、腿上げ運動、しこふみ、その他色々…。そして最後は○○と○○を行なう。これは秘密。神棚の水を替え、礼拍手礼。
すでに身体のだるさなど微塵も無く、心も爽快である。

この日も建設会社様での安全大会講演。
開会時より会場一番前に設けられたゲスト席に座る。
途中、安全標語表彰があった。
僕が気に入ったのが、佳作受賞された
 「無事帰宅 誰もが望む 宝物」
でした。命が宝、安全意識を高める源はこれにつきると思う。

【平成19年6月27日】 宮城県石巻市

早朝、ホームライナーで名古屋へ。
「のぞみ」で東京。「はやて」で仙台。
埼玉の大宮の次が仙台である。仙台、近い!
仙石線で石巻へ。車窓より、松島の海などを眺める。
石巻の駅に立つ。風が気持ちよい。
この日、岐阜は33度。朝から蒸し暑かった。
まさに避暑の気分である。
暑さという物理的刺激から生じるストレスを古人は色々と工夫を以て対処してきた。
風鈴、金魚鉢、打ち水、すだれ、浴衣、屋形船、町家の坪庭、京都の川床などなど…。
「粋」なコーピング(ストレスへの対処法)である。「知恵」である。「風流」である。
ストレスは人間の進歩向上・創造・生成化育の原動力という一面を持ち合わせていることを忘れてはいけない。
人間関係や将来への不安などの心理的刺激から生じるストレスにも「粋」に対処していけたら素敵なのでしょうね。
まぁ、これがなかなか難しいが…。しかし、人間だもの、色々と「知恵」もあろう。「知恵」が、「見識」「胆識」へと昇華し、人は成長していく。だから、人間は面白い。そして、「風流」の如く、さわやかに潤いを以て人生流れて行きたいものである。

安全大会の講演。
ひょっこり現われた怪しげな講師のテンションが上がれば上がるほど繰り出される関西弁マシンガントークにびっくりされたかも。
講演後、関係者の方々と談笑する。石巻支部長であるK社長が岐阜に詳しい。ますます盛り上がる。
「そろそろ、時間なので」と石巻駅へ向かおうとすると、K社長が「駅まで送るよ」と言われる。
お言葉に甘え、助手席に乗せていただく。車が動き出す。
K社長曰く、「仙台まで送っていくよ」
僕曰く、「…えっ?…そんな、ダメです、ダメです。遠いですから。」
K社長曰く、「もっと、色々話をしながら、行こう!」
さらにお言葉に甘えてしまい、仙台駅まで送っていただくこととなった。
車中、K社長のお人柄に魅入ってしまう。腹の据わった「胆識」の持ち主であり、人間的魅力たっぷりの方であった。まさに貴重な「忘年・忘形の交わり」をさせていただいた。飾らない優しさに感謝した仙台までの車旅であった。
石巻、最高である。
ホントは泊まっていきたかった。だって、日本でも有名な海の幸のメッカでっせ。新鮮なお魚くんたちに土地の旨いお酒をちびりちびり…。伊達政宗ゆかりの地。独眼竜は風流人であった。彼の五言絶句の代表的なものに「酔後口号」と題するものがある。

 酔後口号     酔後に口号す(ほろ酔いの後に、こころ思うままに吟じる)

 馬上少年過   馬上、少年過ぐ  (馬上という戦の中で少年時代を過ごした。)
 世平白髪多   世、平かにして白髪多し  (徳川の世、太平である。気がつけば白髪のみ多くなった。) 
 残軀天所赦   残軀(ざんく)、天の赦(ゆる)す所  (老残の身は、天に与えられた余生であるかな。)
 不楽是如何   楽しまざれば是を如何せん  (まぁ、しみじみゆったりと楽しまないでどうしようぞ。)

「不楽是如何」の心境に後ろ髪を引かれながら仙台駅から「はやて」で東京へ。
翌朝、岐阜で講演があるのだ。戻らねばならない。
ならばせめて、牛タン!
牛タン弁当を買い込み、東北の地を眺めながら、ちびりちびりとお酒をなめる。

 酔後口号   

 壇上中年叫   壇上、中年叫ぶ  (講演という場で、一人の中年が一所懸命話している。)
 生平頭髪薄   生、平かにして頭髪薄し (生命無事平らかなれど、気がつけば頭髪が薄くなった。)  
 心軀天所赦   心軀、天の赦(ゆる)す所 (講演行脚に努める心と身体を、天から与えられている限り)
 不楽是如何   楽しまざれば是を如何せん (その道を楽しまないでどうしようぞ。)


【平成19年6月25日】 愛知県豊田市

昨日の大雨が心配だったが、今日は曇り。

「ウム、俺はついてる」

妻を岐阜市内の所用先へ車で連れて行き、その足でそのまま豊田市へ向かう。
前林中学校での講演会。テーマは「命は宝」。

豊田ICから行こうかと迷ったが、豊田IC付近の地理に明るくないことから、どないしょうかと地図を眺めていると東名三好ICからそんなに遠くない。三好ICは何度も利用しているので、よしっ、三好だ。(カーナビも欲しいが、地図を眺め道順を考えるのは、脳トレだ!という後付のような理由でカーナビをつけていない。ホントは欲しいさ、カーナビさん!)

ということで、東名三好ICで降りる。そして、前林中学校まであと20分ぐらいかなぁというところで、コンビニで恒例の昼飯タイム。おにぎりにガッツリとかぶりつく。ガッツリかぶりつくことで、テンションが上がってくるのだ。名付けて、おにぎりモチベーション。

さぁ、ぼちぼち行こうかなと、エンジンをかける。「……プスッ」「あれ?」エンジンをかける。「……」「ま、ま、ま、まさか~」「……」
「まぁ、あわてるな。余裕を持ってここまで来てる。ちょっと、休憩して、もう1回かけたら大丈夫やろ…」
5分後、エンジンをかける。「……」もう一度。「……」
ボンネットを開けてみる。さっぱり分からん。バッテリーか?まさかスターターか?
「ま、ま、まずいんちゃうの~」
コンビニのおばさんにガソリンスタンドの場所を聞く。歩いて15分ぐらいのところにあるとのこと。
歩く、汗が出る、歩く、汗が出る。到着。
「うそやん……つぶれてるやん」と、同時に汗が出る。
もはや、JAFか、それとも取りあえずタクシーで前林中に行こうか、さぁ、あなたならどうする。
約束の時間も近づいてくる。さぁ、どうする。
こういうときに全く心臓がドキドキしない、走り出すこともしない、超のつく楽天家なのだろうと、つくづく感じた。
「取りあえず、コンビニのおばちゃんに頼んで車を置かせてもらって、タクシーで行こう」と決めていた。そして、ゆっくりとコンビニへと戻っていった、その時である。カノー自動車整備の看板が目に飛び込んできた。
「おぉ、俺はなんてついてるんだ」
「スンマセーン」「…」
「スンマセーン」「…」「スンマセーン」「……」
「スンマソーン」とモンキッキーギャグでも呼びかけてみたが、どうやら留守のようだ。
と、その時、マクドナルドの昼ごはんを脇に抱えた店のお兄さんが登場。

「ウム、俺はついてる」

お兄さんが天使に見えた。
お兄さんに無理を言って、コンビニへ。「バッテリーとは違うね。スターターかもね。ちょっと待ってて。」と車でいったん店へ戻る。数分後、天使のお兄さんが颯爽と登場。ハンマーでゴンッ、エンジンをかける。「ブーン、ブロロロ」
「おおきに、助かりました。お幾らで」
「三千円」
「ありがとうございました」と三千円を渡す。
そして、天使のお兄さんとお別れをする。お兄さんは去っていった。
ふと、思った。「俺はなんて小さい奴だ。困っているのを助けていただいたのに、もうちょっと余分に渡しとかなアカンかったんとちゃうか」と、ふと財布を見る。「……まぁ、三千円で勘弁してもらおう」

前林中に到着。
校長室へ。校長先生との楽しい談話の中で、三河人の気質である、忠や敬の心、忍耐強さなどに深く共感する。昨年、伺った安城の中学校でも、この気質を肌で感じている。

会が始まる。起立、礼から始まった。
体育館の中は、蒸し暑かったと思うのですが、生徒の皆さん、熱心にさいごまで心耳を傾けてくれました。
皆さんとの出逢いに感謝です。ありがとう!これからも頑張ってください!

帰り、心配事が一つあった。エンジンがかかるかどうか…。
奥様が沖縄のコザ(今の沖縄市)ご出身の男性の先生と沖縄話で盛り上がりながら、マイカーへ。
エンジンをかける。「ブロロロ」

「ウム、俺はついてる」


【平成19年6月22日】 滋賀県東近江市


中学生対象の講演会。朝から大雨である。
当初は、地元の公民館ホールを予定していたのですが、雨の勢い強く、急遽、体育館に変更となった。
準備された先生方、PTA役員の皆様は大変であったと思う。
講演後、雨は小雨になっており、帰路、多賀大社へ立ち寄る。
日頃世話になっている岐阜の仲間へ、交通安全のお守りを七つ購入する。
多賀大社の近くが彦根である。
一期一会のメッセージを講演始まりに述べる事が多いが、この言葉は彦根の殿様だった井伊直弼の茶道の精神から発せられたものである。(豆知識)

【平成19年6月21日】 岐阜県北方町

隣町の北方町へ。小学校での家庭教育講演会。
午前中の講演は気持ちがいい。
新しくてきれいな学校でした。入り口のオープンスペースが「どーん」とインパクトのある大空間でした。
お母さんの集まり。アットホームな雰囲気の中、漫談のような話を交えながらの90分。
途中、学校ならではのチャイムベルが鳴る。全く問題ない。
突如、全国区になったムーディーばりに「左へ受け流す」ことが出来るのだ。
和顔愛語、和気藹藹、素敵な午前の講演会であった。
皆様との出逢いに感謝です。

【平成19年6月16日】 静岡県浜松市

新幹線浜松駅へ。
サラリーマン時代、毎年2回ほど、降り立っていた駅なので、とても懐かしい。
ハウスメーカー様での安全大会。浜松駅からタクシーで会場となる会社へ向かう。
会社の1階では、家をこれから建てられる人々と担当者の方々が打合せをされている。
良い風景である。家を建てられる方々の表情は皆、笑顔である。ワクワク感が、伝わってくる。
お客さまのワクワク感とともにお仕事が出来ることはビジネスパーソンにとってのモチベーションの泉であろう。
仕事を通じて「ありがとう」と言われることや笑顔がこちらに向けられることは、仕事における自分の価値“感”を得る素敵な瞬間である。

【平成19年6月15日】 岐阜県各務原市

シルバークラブ連合会での講演。先月に続き、今日で2回目。
いやぁ~、とても盛り上がった講演となりました。
ついついアドリブが昨日以上に発射され、気付けば時間が迫っているという状態であった。
動き回りながら、身体全体で表現しながらの講演スタイルなので、汗がしたたり落ちる。
インナーのTシャツもべっしょり。パンツも少々。
この汗が気持ちいい。
麦酒が格別なものとなるのである。
気付けば、このコーナーでは麦酒という文字がたくさん登場する。
講演の中でも麦酒をネタに笑いを取る箇所がある。
これだけ登場すれば日本の麦酒会社も僕を無視するわけにはいかないであろう。
いつの日か、麦酒会社での講演が実現すると予想する。
しかし、予想(ヨソウ)とは裏を返せば、ウソヨである。
世の中、甘くないのであります。

【平成19年6月14日】 愛知県春日井市

味美中学校へ。
先日の丹陽中学校でもそうだったが、関係者の方がどこかの会場で僕の話を聞いてくださり、おもろい兄ちゃんがおるということで呼んでいただいた次第である。まさに出逢いに感謝なのである。こういうケースでの講演依頼が結構あるのです。いや、かなりあるのです。縁尋機妙。感謝であります。

武道場が会場であった。剣道の防具がズラリと並んでいる。懐かしい。剣道部出身の僕としては、防具をつけての講演も粋ではないかと思ったが、その姿をイメージしてみたがやはり異様である。

入り口である保護者の方から声をかけられる。
「この間の講演も聴いたんですよ」と先週の春日井市内の高校PTA連合会での資料を見せられた。
「ありゃりゃ…今日も同じ話ですよ」と、僕。
「そうなんですか、じゃぁ、飛んだり跳ねたりしてくださいね」と、笑って応えてくれる。楽しいお母さんだ。
武道場の畳の上で飛んだり跳ねたりは、確かに可能なので、ブルーハーツばりに跳ねながら講演しているその姿をイメージしてみたがこれまたやはり異様である。
そのお母さんを意識しながら、少しアドリブを加えてみた。
講演後、校長先生を通じて「アドリブが3箇所ありましたね。ありがとうございました。」とそのお母さんの感想を頂いた。「先週聞かれたばかりなのに、最後まできちんと聞いてくださったんだ」と感激したのでありました。

ご熱心に心耳を傾けていただき、また大いに笑っても頂いた90分間。
こころの充実感をタップリ頂いたのでありました。

恒例のおにぎり昼食だけだったので、講演で燃え尽きた僕は、帰路、吉野家で焼肉定食を貪ったのでありました。
ささやかな至福の時なり。

【平成19年6月12日】 長野県軽井沢

軽井沢にて企業講演。
「やっほー軽井沢!ええとこやなぁ!」
とは、うまくいかず、スケジュール上、短い滞在時間のため、「かるいざわ」の「か」あたりをギリギリなんとか感じる。
自身12、3年振りとなるはずであった「峠の釜飯」も売り切れていた。
「るいざわ」はまた今度!としておこう。

【平成19年6月8日】 岐阜県岐阜市~愛知県春日井市

安藤忠雄設計による国際会議場へ。安藤さんの建築を好んで、かつてはよくその作品を体感しに足を運んだものである。もう随分昔であるが、阪急電車神戸線の同じ車両に安藤さんを目撃したときは感動であった。

安全衛生大会での講演。先に午後からの講演予定があったので、大会の進行予定を僕のスケジュールに合わせて頂いたことに感謝を記さなければならない。ありがとうございます。

喉の渇きを潤しながら、春日井市へ向かう。潤しすぎて途中トイレに2度立ち寄る。
おにぎりを2つ購入する。目的地へ予想よりも早く着く。車中にておにぎりをほうばる。やきそばパン&コロッケパンにしようかと迷ったのだが、おにぎりが一番気合が入るのである。「おにぎりと日本人」などというタイトルの本があれば迷わず購入するだろう。ラジオから流れる曲が終わらぬ前にこの日のランチがあっという間に終了する。

県立高等学校PTA連合会での講演。
講演後、ケーキをいただいた。さすがに疲れと空腹感を少々感じていた時だったので、メチャクチャうれしかったっス。
瞬食、ペロリでありました。エネルギーがチャージされたのを体感する。

思った。
「まだいけるなぁ~」

一日2回講演は何度か経験しているが、3回はまだない。
でも、このとき思ったのだ。
「まだまだ、いけまっせ!」

家路につく。
雨の中、車を走らせる。
ワイパーのゆっくりとした一定のリズムが、さっきまでの気合を静めだした。
ふと思った。
「やっぱし、2回までとちゃうかぁ~」
雨がきつくなってきた。
ワイパーのリズムが早まった。
ふと思った。
「いやいや、全然いけるで。いっぺん、やってみたいなぁ」

心、コロコロ転がるものである。
ワイパーに簡単に転がされてしまう。
嗚呼、雨の日の講演旅情。

【平成19年6月7日】 愛知県一宮市

一宮市立丹陽中学校へ車で向かう。
近くに城跡があった。

玄関口に「ようこそ!………」と歓迎案内板がある。温かいお心遣いに感謝する。
校長先生と30分ほど歓談する。子どもたちへの温かい眼差しと見識に大いに学ばせていただいた。

校長先生から城跡について説明をいただいた。重吉城というその城跡は、小牧長久手の戦いにおける徳川勢の重要拠点であったそうだ。家康や本多忠勝あたりが400年ほど前にこの近くを馬上あるいは闊歩していたかと想像するだけでワクワクする。「水に撃つこと三千里、扶揺(つむじかぜ)にはばたきて上ること九万里」(荘子)の如く、こころ逍遥できる人間に備わる能力に感謝である。

講演活動を始めて2年、中学生を前にした始めての講演である。
初心に耳を澄ませたこの日、密かに自分に与えたテーマが「閃電光、撃石火!魂と魂の触発」であった。
講演を終えた僕の心、此れ清明であった。充実した時間・空間であった。
校長室にて校長先生や地域の教育振興会の役員の方々から、たくさんのありがたいお言葉をいただいた。
こういう時は、素直にお受けするのが礼儀であります。
帰り際、校舎の窓から顔を出した数名の生徒さんが声を掛けてくれた。
こういう時こそ、素直にお受けするのが礼儀であります。
そして、とても嬉しかったのであります!


【平成19年6月5日】 島根県雲南市

6月4日月曜日、新幹線で岡山へ。岡山駅にはもう何度降り立ったことだろう。
特急「やくも」に乗る。今年の3月以来だ。目的地は松江。
次の日の講演のために前日泊である。
松江駅周辺、見渡せばビジネスホテルが価格競争でしのぎを削っている。朝食夕食つきで○○○○円!の大きな広告が目に付く。僕は事前に関係者の方が予約してくれたホテルに泊まる。周辺より少し高めかな。でもそれでも安い。
島根の地酒を少したしなむ。なかなか旨い。

翌朝、JRにて松江駅から宍道駅へ。途中、宍道湖を眺める。
駅からタクシーで行くこと20分。目的地の雲南市の会場着。
地元商工会の女性部さんが合併し新たに出発される記念式典での講演である。
講演時間は2時間。久々の2時間ノンストップ講演。
長丁場にもかかわらず、皆さんご熱心に心耳を傾けていただきました。感謝・合掌。

講演前に頂戴したお弁当が最高であった。
思わず「☆!3っつ」である。山の幸、海の幸。
女性部の皆様に幸あれ!