◆麗しきロングボディー
〜いすゞの軸距6.0m車(P-またはU-LVのQ尺車)〜


 一口に「一般路線用大型バス」と言っても、軸距や全長はまちまちで、例えば短尺・標準尺・長尺といった呼び分けがされます。
日デと日野はこの3種、三菱も3〜4種でした。それに対し、かつてのいすゞは軸距約4.7m、5.0m、5.2m、5.5m、6.0mの5種類を用意していました。
 これはBU系の途中から採用されたもので、同社ラインナップの特徴の一つになっていました。
特にLV系では型式末尾の軸距を表す記号が、K、L、M、N、Qと割り振られたため、K尺やL尺という通称を用いることがあります。
が、平成6年排ガス規制(KC-)適合車からは3種類(4.8m-型式上の記号L、5.3m-同N、5.8m-同Q)に再編成されています。

 さて、軸距6.0mというのは、路線バス用としては最大サイズのもの(連接車および貸切用シャーシを転用した車輛は除く)です。
三菱もこの軸距の車輛を製造していますが、こちらはオーバーハングが短く、エンジン配置の問題で車内の有効長は短くなっています。
従って、いすゞの6.0m車が最大サイズと言ってもよいかと思います。

 ただし、そのサイズゆえに導入例は少なく、全体的には稀少車種になると思います。
ここでは、いすゞの軸距6.0m車=(P-、U-)LVのQ尺車達を紹介します。

苫小牧市交
苫小牧市交通部 P-LV218Q

北海道は長尺車が主流ですが、いすゞの場合は5.5m(N尺)が採用された例が殆どで、
Q尺は僅かな導入例しかありません。
ここ、苫小牧市交の場合は、当時存在していた支笏湖方面への中距離路線用で使用された、
トップドアの高出力車のみがQ尺で、通常の前中引戸タイプはN尺を採用しています。

7E架装車は当型式3台のみで、その後このタイプの車輛は増備されていません。
中距離路線も廃止され、現在は一般路線で使用されています。

(2001-5 北海道苫小牧市)

新潟交通
新潟交通 P-LV314Q

新潟市内はバスが主力交通機関であり、また冬季は特に輸送需要が増大するため、
新潟交通は長尺車を主力として採用しています。
これが、市内中心部を雁行する様は迫力があります。

いすゞ車は地元の北村車体を架装していましたが、1988年を最後に大型バスへの架装を辞めたため、
1989年の増備車は富士重が採用され7E架装になりました。
しかし、1990年からはアイケーに再度変更され、U-LV以降はN尺に変更されています。
従って、Q尺+7Eはこのタイプ・この年式のみ、15台の存在です。

(2000-7 新潟県新潟市)

京浜急行
京浜急行電鉄 U-LV224Q

路線車でもこれは少々異色の存在。
羽田空港連絡バスの専用車で、以前は距離の短い系統用に、このような路線バスをベースとした車輛
(三菱 および いすゞ)を投入していました。現在は、貸切タイプの車輛が投入されています。

7E架装のQ尺車は、この型式3台のみです。なお、5EでもP-LV218Qが2台、在籍していました。

(2002-5 神奈川県川崎市)

江ノ電
江ノ島電鉄 U-LV324Q

三菱と日デが主力の当社では、いすゞ車は僅かな数しか在籍しませんが
大型は、やはり長尺車が採用されています。
鎌倉営業所の在籍で、戸塚駅や大船駅に顔を見せます。

(2001-7 神奈川県横浜市)

三重交通
三重交通 U-LV218Q

大型車はリーフサスで軸距5.0mクラスという、ノーマルな車輛を主流として揃える中で、
桑名駅と大山田団地方面を結ぶ路線には、伝統的に最大サイズの車輛が投入されています。
 7E架装の軸距6.0m車は、この型式のみ4台が在籍しています。

(1999-3 三重県桑名市)

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