◆丸いバンパーの8E
〜鹿児島交通(三州自動車)と宮城交通の例から〜

7Eから方向幕をなくし、天井までフロントガラスを拡大すると7Bになりますが、同様の対応を8Eに行うと8Bになります。
U-まではその程度の差でしたが、KC-になると8Bにはバンパーが丸みを持ったものが選択肢に加わり、そちらの採用事例がぐんと増えます。

●通常のバンパー(近江鉄道KC-RM211GSN)
近江鉄道KC-RM211GSN 通常のバンパー
●丸みを持った8Bのバンパー(あつまバスKC-RM211GAN)
近江鉄道KC-RM211GSN 丸みを持ったバンパー

ところが、この丸みのあるバンパーを8Eに取り付けたものが存在します。
その一つが、鹿児島交通が1998年度に発注した日デKC-RM250GANで計3台。
同社の自社発注では唯一の富士8Eであり、またRM250GANの富士8E架装というのもこれが唯一の事例となります。
鹿児島交通(三州自動車) 鹿児島交通(三州自動車)
・三州自動車 日デ KC-RM250GAN (左)2012.4 鹿児島県鹿屋市 (右)2009.4 宮崎県都城市

当時、同社で導入されていた大型の中距離路線車と同様、トップドアで、車内にはリクライニングシートが並ぶ豪華仕様となっています。
また、エンジンはサブエンジン式となっており、エンジンが高出力タイプであることとあわせ、「よく走る」のではないかと思われます。
このような仕様を考えると、8Bを架装して純粋な貸切車にしたほうがふさわしいほどで、8Bのフロントガラス周りだけを8Eに変えた・・と考えたほうがよいのかもしれません。

当初は鹿児島空港と都城を結ぶ路線に投入されていましたが、同線の廃止に伴い、現在は都城〜鹿屋などの路線で使用されています。
所属事業者も、鹿児島交通グループの再編に伴い、鹿児島交通→いわさきコーポレション→三州自動車→大隈交通ネットワーク→三州自動車と、ややこしい変遷をしています。

さて、このタイプの車両。もう一つ例があります。
宮城交通・契約輸送用
・宮城交通 日デ KC-RM211GSN 2009.10 仙台市泉区

宮城交通に在籍する契約輸送用の日デKC-RM211GSNがそれです。
とはいっても、同社の発注車ではなく、もとは受託先の発注車。
トップドアではありますが、通常出力のエンジンに、直結式クーラーと、仕様の面では鹿児島交通の車両に比べ、随分とおとなしめの印象を受けます。
なにゆえ、このバンパーが取り付けられているのかは一切不明。
1995年式が1台存在しています。

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