司馬遼太郎は、事を成す男を描くのが非常にうまい。キャラの立て方、目の付け所が抜群。読んでいて、わくわく、ドキドキさせられる。読みはじめると司馬ワールドにグイグイ引き込まれ、止まらなくなる。
江戸時代の商人である高田屋嘉兵衛を主人公とした歴史小説。後期司馬作品の傑作。当時の船舶貿易や日本とロシアの関係が描かれている。高田屋嘉兵衛は、司馬遼太郎が長編小説で描く最後の豪傑となった。
前半は吉田松陰、後半は高杉晋作を中心に幕末を描いた作品。吉田松陰がこれほどまで過激で猪突猛進な革命家だったとは恐れ入る。だからこそ、彼に影響をうけた若者が、幕末の日本を変えていく原動力となったのかとも思う。この作品を読むと、長州藩への関心が高まる。
坂本竜馬の生涯を中心に、幕末を描いた歴史小説。とにかく面白い。名言も多い。事をなす男の姿を見事に表現している。この本を読んだほとんどの者が、竜馬の生き様にあこがれたことだろう。わくわくドキドキしながら、一気に読める。しかし、終わりが近づくと、本と別れるのが惜しくなり、いつまでも読みつづけていたいと思ってしまう。若いうちに、ぜひ読んでほしい本。
新撰組副長土方歳三の生涯を描いた作品。沖田総司と歳三の会話、七里研之助との決闘など、情景が自然と目に浮かび、どんどん物語にのめりこんでいく。かっこよすぎる土方歳三と、影の薄い近藤勇の対比が面白い。人気作。
新選組隊士達を魅力的に描く短編集。少々ページ数は多いが、読みやすく、内容も面白いので一気に読める。「燃えよ剣」とは違う面白さに魅了されるだろう。「燃えよ剣」とセットで読むことを、おすすめする。
幕末の長岡藩士、河井継之助の生き様を豪快に描く傑作。時代や己の立場に翻弄されながらも、力強く生きる継之助に感動!グッとくる名台詞も多く、全盛期の司馬ワールドを堪能できる。
近代兵制の創始者大村益次郎の生涯を描く作品。頑固なほどに合理的な益次郎の思考は、読んでいて気持ちがよく、好感が持てる。日本史上まれにみる地味な英傑。彼が暗殺されずに、陸軍を仕切っていたら、精神論で暴走する日本陸軍は生まれなかったと思う。そうすれば歴史も大きく変わったことだろう。益次郎が豆腐うを食べる描写が、妙に印象に残る。
幕末のキーマン徳川15代将軍慶喜の生涯を描いた作品。周囲の期待を集めながら、就任後わずか2年で幕府を葬ることになった将軍慶喜のドタバタぶりが見事に描かれている。慶喜だからこそ、歴史を恐れ権威に恭順したのだと改めて思う。大政奉還後のふるまいを、もうすこし詳しく書いて欲しかった。
維新後の新政府を舞台に征韓論から西南戦争までを描いた作品。西郷隆盛と大久保利通が主人公といえなくもないが、川路利良、桐野利秋、山県有朋など多数の人物が主要人物として入れ替わり登場する。全体的に暗い雰囲気の作品。西郷隆盛はどこかつかみどころがなく、司馬をもってしても、を書ききることができなかったようだ。全10巻だが、分量的には「竜馬がゆく」とほぼ同じ。
歌人の正岡子規と軍人の秋山好古・真之兄弟の3人を軸に、維新から日露戦争の勝利に至る明治日本を描く作品。膨大な資料を読み解き、軍事や世界経済を含め多角的に検証している。決して日露戦争勝利を賛美する作品ではない。明治という時代に「坂の上よりさらに高いところにある雲」を目指してひたすら登っていった日本人に感動。教科書では教えてくれない「明治」がギッシリ詰まっている。日本人必読の書。司馬遼作品の最高傑作。
及木希典の生い立ちから旅順攻略を描いた「要塞」。明治帝に殉じる晩年の乃木を描いた「腹を切るということ」の2部構成。日露戦争後、英雄とされた及木の評価は、現在では必ずしも高いといえない。司馬も、及木の詩才とストイックな生き方は認めつつも、軍人としての才能と運はなかったと言及している。「坂の上の雲」とセットで読むことを、おすすめする。
漢の初代皇帝となる劉邦が主人公。英雄とは「食糧を調達できる人物」と司馬は言う。連戦連敗の劉邦が最終的に勝者になったのはなぜか、三国志の劉備と比較して考えさせられる。「四面楚歌」、「背水の陣」などの有名故事もあり、国外史に興味のない方も一読の価値あり。
空海の生涯を随筆風に描いた作品。資料の少ない時代を、司馬の見事な想像力で書き上げた力作。唐へ渡り、最澄が登場するあたりから物語りはグッと面白くなる。空海や密教に興味がある方は必読。
前半は斉藤道三、後半は織田信長・明智光秀を中心に戦国時代の下克上を描いた作品。「マムシ」と呼ばれ、あまり良いイメージのない斉藤道三だが、この作品を読むと印象は一変するはず。若々しく、男気あふれる道三に魅了されることだろう。戦国小説の傑作。信長が「・・・であるか」と受け答えするのは、この作品が初出だと思う。
秀吉の参謀を勤めた黒田官兵衛を主人公に、秀吉が天下を統一するまでを描いた作品。自らの損得ではなく、大局的にものを考え行動する官兵衛の姿に惚れ惚れする。と同時に、そんな官兵衛に嫉妬し、足を引っ張る者たちに怒りを覚える。現代の会社でも同じようなことが多々あるが・・・「男の嫉妬は恐ろしい」。
秀吉の幼少期から、徳川家康に臣下の礼をとらせるまでを描いた作品。信長に召しかけられるまでが特に面白かった。後半は展開が早くなり、家康に臣下の礼を取らせて物語が終わってしまう。司馬の描く千利休切腹や文禄・慶長の役が読めなくて残念。
山内一豊が妻の千代の内助の功によって土佐20万石の祖となるまでを描く。一豊は信長、秀吉、家康という三代の英雄に仕えた数少ない武将。凡庸な人というイメージの一豊がなぜ大名になりえたのか。一豊は地味だが、千代が明るく、読んでいてとても楽しい作品。NHK大河ドラマの原作。ドラマより格段面白い。
主人公は石田三成。天下を欲する家康と、義に殉じようとする光成の対決を描く。裏事情や駆け引きのリアリティーさが面白い。前半の光成は男気溢れかっこいいが、後半は偏狭な正義感が目立ち始め空回りしていく。このようなキャラクターの立て方はさすが司馬遼太郎。史実に近いと思われる、関ヶ原の戦いの決定版。
大坂冬ノ陣、夏ノ陣を通して豊臣家滅亡の悲劇を描く。家康の狡猾さと、秀頼、淀殿の無能さの対比が痛々しい。どんなに部下が優秀でも、上司がバカなら浮かばれないものだと再認識させられる。
徳川家康と三河武士を描く。小牧・長久手の戦いを中心に掘り下げた内容。司馬遼太郎は徳川家康を「単純な英雄」としてはとらえていない。
司馬が直木賞を受賞した出世作。伊賀忍者の重蔵が豊臣秀吉暗殺を目指す内容。もちろん創作。読んでいて普通に面白かった。忍者同士の戦いの描写は迫力満点。初期作品のせいか、司馬にしては表現が硬い。
戦国時代、織田信長に反抗した、鈴木重秀こと雑賀孫市の生き様を痛快に描く作品。わくわく、どきどきの司馬ワールド好きには、たまらない。おすすめ。
司馬遼太郎の歴史エッセイ。太平洋戦争や権力について多く語っているのが特徴。すべての話が面白いが、戦車隊での自らの体験を振り返る「戦車・この憂鬱な乗物」は特に秀逸。
歴史小説の魅力を紹介するエッセイ。司馬遼太郎の歴史観に興味がある方には特におすすめ。
源義経、織田信長、坂本竜馬などをテーマに、海音寺潮五郎、松本清張などとTVで対談した番組を編集した作品。各人物を小説として作品化すると数冊の本になるが、ここでは一人当たり数10ページで語られており、入門書としておすすめ。
函館、札幌など北海道の道央、道南地方を中心に描く「街道をゆく」。イネは北海道では根付かなかった。「タコ部屋労働」。など、北海道の歴史を掘り下げる。司馬遼太郎的民俗学。
北海道オホーツク海沿岸の遺跡を巡り、「オホーツク人」の暮らしを考察。豊かな北の狩猟生活が浮かび上がる。司馬の考古学的視点が冴える作品。
歴史小説家としての地位を確立する前の司馬遼太郎が、純粋に書き手として面白いエッセイを提供している。「魚ぎらい」「わかって下さい 酒を飲む苦しみを…」など、自身を題材にした文章が秀逸。「司馬遼太郎が考えたこと」は巻を追うごとに内容が高尚になっていくが、第1巻は人間味があふれる司馬遼太郎が垣間見れて、非常に面白い。