心に残る名作や文学作品を集めました。死ぬまでに読んでおきたい。
カラマーゾフ家の憎愛劇を軸に思想、哲学、宗教論を展開する、ドストエフスキー傑作中の傑作。人を「ゆるす」とは何か問う。さまざまな登場人物がとにかく考え、迷いながらも、理詰めで物語は進んでいく。読んでいる側も、共に考えさせられる。推理小説としての面白さもある。万人が疑わない、世界的名著。
ロシア文学を代表する文豪ドストエフスキーの長編小説で初期の傑作。非凡人は、自分が思う正義(善行)を貫くためなら、多少の悪行はゆるされる-という未熟な思想に取り付かれた主人公の心の葛藤を描く。全編、心の描写や、会話での駆け引きによって物語りは進められていく。理詰め好きには、たまらない内容。読み始めると、時間を忘れ一気に読み進めてしまうことだろう。ひそかに「自分は優秀だ」と思っている人は、絶対に読んで、自分を見つめ直してほしい。
純粋で美しい心を持つ主人公が、翻弄されながらも、たくましく生きようとする姿を描く。恋と狂気とロシアが織り成す物語。さまざまなエゴが渦巻く世の中にあって、「白痴(ばか)」と揶揄される主人公は誰からも愛される。半面、意図せずとも周囲の者をまきこみ、振り回すことになる。せつない物語。
愚直なまでに自分の気持ちをさらけだす主人公の悲劇。普段、平凡な生活をしている人間が、悲しい場所では悲しく振舞うなどし、社会的に見て当たり前な行動をしないと異端扱いされる―という話。この書を読んだ後に、自身の行動について、自問自答してみてはどうか。
朝目覚めると巨大な虫になっていた男とその家族の悲哀を描く。設定は不条理だが、現実でも、立場が変わると、ある日突然爪弾きに会うことは多々ある。読む人によって解釈はまちまちであろうが、胸に染む悲しい物語だ。
周囲の期待に押しつぶされ、挫折していく少年を描く悲しい物語。仕事や人生で追い込まれている―と思ったときに、読み直したい書。自分が取り戻せる。
時間どろぼうと不思議な女の子の物語を通して、時間に追われる生き方に警鐘を鳴らす児童文学の歴史的名著。スリルあふれる展開が秀逸。効率化を求められる現代において、豊かな生き方とは何か考えさせられる。
ベタな内容だが面白い、恋愛悲劇。
シェイクスピア4大悲劇のひとつ。すれ違いが切ない。
見方によっては、喜劇といえるし、悲劇ともいえる作品。内容に起伏があり、とても面白い。もののたとえで引用されることの多い作品なので必読の書。
ゴーゴリのこっけいでユーモア溢れる短編2作。奇想天外なストーリーは万人が楽しめる内容。短くて読みやすい、ロシア文学の登竜門。
親友を裏切って死に追いやった過去を背負主人公の、心の中の葛藤をみごとに描く傑作。人間だからこそ、悩み、苦しむのだ。国語の教科書に掲載されるほどの歴史的名作。日本人なら読んでいて当然の書。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」という書き出しは有名。猫の視線で人間界を風刺する。漱石の、ユーモアあふれるエッセイ集的作品。
言わずと知れた超有名作。きちんとキャラが立っていて、現代でも楽しめる(笑える)内容。愉快で痛快な作品。
善となるか悪となるか、人間は追い込まれたときに、どう行動するのか。きれいごとだけでは生きていけないのか。考えさせられる「羅生門」。「鼻」は、こっけいで面白い。名著だ、しかし、芥川作品は暗い。
「自分がよければそれでいい」では、救われないという「蜘蛛の糸」。究極の選択をせまられる「杜子春」。生き方について考えさせられる。やはり、芥川作品は暗い。
生きる力を失い廃人同様になった男の手記。太宰の自伝的小説でもある。落ち込んだときに読むと、主人公のあまりもひどい落ちぶれ方に、「自分は違う。もっとポジティブに生きよう!」という気持ちになり、復活できる。太宰の最高傑作。
没落貴族の家庭を舞台に、家族それぞれが滅びゆく姿を美しく描く。「斜陽族」という言葉を生んだ太宰の代表作。
太宰が、故郷の津軽を旅行し、懐かしく回想する作品。育ての親ともいうべき「たけ」との再開は目頭が熱くなる。太宰作品にしては、それほど暗くない。
人を信じる心と友情を描く。国語の教科書に掲載されているので超有名作品。大人になってから読むとよりいっそうジーンとくる。
島崎藤村が自費出版した小説。部落出身者の主人公が、出身を隠し通せとの父の「戒」を「破る」過程が描かれている。過去には、全国水平社が「破戒」は差別性をもつと糾弾するなどし、初版本が絶版となり改訂版が出されたりした。現在の新潮文庫版は初版本版で、巻末に改訂版との比較が掲載されている。部落問題は、触らぬが得策とされる風潮がある。しかし、自分は親として、子どもたちに「差別はいけないこと」と、きちんと教えていく必要性を感じる。わが子が大きくなったら、この書を読ませたい。
学生と旅芸人の踊り子との出会いと別れを美しく描く。みずみずしさと青春と処女を感じる作品。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という冒頭は、あまりにも有名。哀しくも美しい川端文学が開花した作品。憂いに満ちた、日本語の美しさを堪能できる。不朽の名作であり、日本人必読の書。
妻を失った著者が、残された小さな子どもたちに思いを打ち明けた「小さき者へ」。私は、この短編を号泣しながら読みました。
搾取される労働者の過酷な姿を描く。肉体的な辛さは軽減されても、労働者からの搾取については似たような状況が続いている。プロレタリア文学の代表作とされている作品。
無頼派と呼ばれる坂口安吾の代表作「堕落論」を含む短編集。「日本は負け、そして武士道は亡びたが、堕落という真実の母胎によって始めて人間が誕生したのだ」と安吾は説く。生き方として「堕落せよ」と言う、しかし最後には「懸命に生きろ」というメッセージが浮かび上がる。意外に読みやすい。
「白痴」を含む短編集。舞台は戦中の日本。男と女が部屋で、ただしゃべっている物語。その会話は哲学的であり、坂口安吾ワールドが無限に広がっている。生死の捉え方、果ては墜ち方に至るまでが美しくそしてけだるく描かれている。
著者の少年時代の思い出を自伝風に語る。表現が美しい。ノスタルジックに浸れる作品。夏目漱石が未曾有の秀作として絶賛した書でもある。
原爆に被爆した主人公の手記を中心に悲劇を描く。広島に投下された原爆が原因で降った「黒い雨」。この雨を浴びたおかげで原爆病にかかり、苦しめられている人が今でも大勢いる。
短編集。表題の「山椒魚」は、体が大きくなり穴からでられなくなった山椒魚の悲哀を滑稽に描く。真面目に笑える。
キリシタン禁制の江戸時代、日本に潜入した宣教師が改宗をせまられる姿を通して、人の弱さ、苦悩を描く。目の前で苦しめられている人を救うために、「沈黙する神」を信仰すべきか否か葛藤する。強い人ばかりではない―という記述が強烈に印象に残った。倫理観を問う作品でもある。いろいろと、深く考えさせられる名著。
三島作品の中では異色ともいえる、さわやかな純愛小説。奇をてらった展開はないが、物語についつい引きこまれる。日本人として、忘れたくはない古風な恋愛が美しく描かれている。
人が狂気に走る姿を、えぐるように、徹底的に、内面描写する。読んでいる側を、どんどん引き込んでいく力が、この書にはある。