新聞社への就職を目指している人は必読。

 朝日新聞の天声人語を担当した大記者「疋田桂一郎」の記事を多数収録し、軌跡をたどる。ジャーナリズムや新聞記者としてのあるべき姿が示されている。新聞記事ではないが、「ある事件記事の間違い」など、新聞のあり方を問う考察も多く収録。このような記者がいたことを忘れてはならない。

警察(サツ)回り 【著】本田 靖春  | おすすめ度★★★★★

 人間らしく生き生きと振舞っていた古き良き時代の察回り社会部記者の姿をいきいきと描く。著者は元読売新聞社会部の警察回り記者。自己の青春回顧録であり、記者訓でもある。熱い。

 孤高のジャーナリスト本田靖春の自伝。病魔に倒れ残念ながら絶筆。昔の読売には、こんな骨のある記者がいたとは驚き(失礼)。社会部記者魂をたたきつける。新聞記者は必読。

神戸新聞の100日 【著】神戸新聞社  | おすすめ度★★★★★

 阪神大震災によって神戸新聞本社は崩壊し、製作システムは麻痺。未曾有の大災害の中から、被災者でもある社員たちが集まり新聞を発行し続けた姿を描く。地域に根ざしたジャーナリズムの熱き姿に、涙。

共同通信社会部 【著】共同通信社社会部  | おすすめ度★★★★☆

 より早く、より詳しく、正確に。日本を代表する通信社である共同通信社会部記者の仕事振りを生き生きと描く。こういう職場で働けたら楽しいだろうな―と想像しつつ、ワクワクしながら読んでほしい。

 著者は共同出身。言論の自由、不偏不党、ジャーナリズムとナショナリズムなど、考察し問題提起する。新聞・テレビはどのような思想で、何をどう伝えるかを深く考える。ジャーナリストも、それを目指す人も必読の書。

 著者は朝日新聞の編集局長。情報をインデックス化して蓄積することを提唱。情報の分析や伝え方も解説する。偏りない記述で説明も分かりやすい。記者を目指す人にとっての良書だが、それ以外の人でも役に立つ内容。

 著者は毎日出身で、新聞労連委員長経験者。毎日新聞賛美に感じる記述は愛嬌。読みやすく、タイトル通りの内容でしっかりしている。新聞の読み解き方、記者の意図などがわかるようになるだろう。新聞記者を目指している人は必読。

 著者は朝日出身。ベテラン社会部記者と、医療・介護問題に斬り込む気鋭の女性記者が、新聞記者について対談する。苦労話からライフワークまで、記者の意義と面白さを体験を交え大いに語る。若い時にこの本を読むと新聞記者を目指したくなるだろう。

 著者は朝日出身。新聞の歴史を振り返りつつ、記者のあるべき姿を問う。変質していく新聞への批判と提言。ジャーナリズムの衰退を憂う。

 誤報は根絶できないのか「松本サリン事件」などを例に考察する。ありきたりの内容だが、誤報に関する本は読んでおきたい。

 陸羯南、横山源之助、宮武外骨、斎藤茂男など、ペンによって権力と戦ったジャーナリスト達を紹介する。記者たる者は、偉大な先人たちのジャーナリズムを忘れてはならない。著者は、「自動車絶望工場」などで有名なルポルライターの鎌田慧。

 著者は朝日出身。新聞の未来を憂い、これまでの歴史を振り返りながら、生き残るための方策を模索する。

 公共放送としてのNHK、そしてジャーナリズムのあるべき姿を論ずる。体質変化の軌跡や政治との距離などを描き、問題点を指摘する。視聴者との関係なども分りやすく解説。権力から自立できないNHKなら不要だが、公共放送はなくすわけにいかないと筆者は言う。

 ニューヨーク・タイムズとは多様な意見を幅広く掲載する、バランスの取れた新聞だと力説。日本の新聞もこうあるべきとエールを送る。

 昭和11年、「聯合」と「電通」の合併から生まれた「同盟通信社」の興亡を解説。強力な発信力をもつ、国家代表通信社の必要性を問う。

報道写真家 (岩波新書) 【著】桑原 史成  | おすすめ度★★★★☆

 フリーの報道写真家「桑原史成」が、水俣、韓国、ベトナムなど、これまでの取り組みを紹介。写真も多く掲載している。一枚の写真がすべてを語りつくすこともある。

 エル・サドバレル、アフガニスタン、フィリピンなどで著者が撮影した写真を多数掲載。フォト・ジャーナリストとしてのあり方を語る。人物の表情を見事にとらえた写真が多く、心がひきつけられる。

現代の新聞 (岩波新書) 【著】桂 敬一  | おすすめ度★★★★☆

 多メディア化、技術革新にさらされている新聞は本来の役割を果たしているか。新聞ジャーナリズムの現状に、多くの問題点を提起する。内容は古いが読み応えのある書。

 マルチメディア時代の著作権について、現状と将来展望を解説。特許と著作権の違いなど、平易な文章で分かりやすく紹介する。

 スクープ、誤報、ゴシップ、ヌード・・・と、何でもありの英国タブロイド紙について書かれた本。タブロイド魂には、ほとほと頭が下がる。タブロイドが世論を動かすことも多々あり、英国紳士も読んでいるという。戦争を機に部数を伸ばすのは、英国タブロイドも日本の高級新聞も同じだそうだ。

 毎日新聞の取締役を退任した著者が明かす、新聞社の危機の実態。販売、広告など、ジャーナリズム論とは、別の切り口を分かりやすく解説している。朝日、読売に対抗するため、毎日、産経、中日が合併し「第3極」となるべきという主張は、毎日新聞が生き残っていくための方策のように聞こえが、提案としては面白い。

新聞があぶない (文春新書) 【著】本郷 美則  | おすすめ度★★★★☆

 著者は朝日出身。再販、記者クラブ、インターネットなど、新聞がかかえる問題点はひととおり押さえてある。あまり書かれることがない、販売店経営についての解説があり、勉強になる。

 著者は読売出身。「一カ月」か「一か月」か「一ヶ月」か。辞書でも分からない書き方などを、新聞を教材に日本語を学び直す。とても分かりやすく勉強になる。

 かつて日経社長を内部告発した著者が、これまでの取材を回顧しつつジャーナリズムと企業の関係を考察する、スクープ論。

ご臨終メディア (集英社新書) 【著】森 達也  | おすすめ度★★★★☆

 単なる雑談。メディアへの批判は見当違いが多い。ただし、メディア側の人間は、世間からこうゆう目で見られているんだという自覚を持つ必要はある。

 NHK勤務、議員秘書、ニューヨークタイムズ記者を経てフリーになった著者が、日本特有の「記者クラブ」制度を批判する。ニューヨークタイムスのジャーナリズム精神を体感者として語る部分は面白い。

事実とは何か 【著】本多 勝一  | おすすめ度★★★★★

 悪いのは「戦争」ではなく「侵略」。「真実」とは「事実」や「真理」を情緒的に訴えるときに有効な単語。など、「なるほど」と考えさせられる文章を多数収録。

 どうすれば新聞記者になれるかといった技術論ではなく、ジャーナリストという職業の意義を考察する。著者がこれまでに発表した原稿や、セミナーなどの講演の中で、表題に沿ったものを集めた書。

滅びゆくジャーナリズム 【著】本多 勝一  | おすすめ度★★★★★

 ジャーナリズム論について著者が執筆した原稿をまとめたもの。自分の思想が「右」か「左」かは抜きにして、新聞記者を目指す人は、必読だろう。

 著者は朝日出身。新聞労連との対話「これでいいのかジャーナリズム」など収録。示唆に富み、面白い。「発生」スクープより「掘り下げ」が重要という指摘は大いに共感。

カナダエスキモー 【著】本多 勝一  | おすすめ度★★★★★

 カナダエスキモーとともに生活し、現地から報告する。朝日新聞で連載された。とても読みやすい文章はさすが本多勝一。特有の感情的な毒づきは皆無。洞察力を発揮したルポルタージュの手本であり傑作といえる。

 朝日新聞の記者が大学生に行った講座の講義録。各記者の忌憚のない主張が面白い。広告や販売の人の話も読める。朝日の社員はさすがにレベルが高い。

 マス・コミュニケーションの特徴や、ジャーナリズム、広告、法律との関係など基本的知識を解説。数年ごとに改版している。全般的なことがコンパクトにまとめられており、入門書としておすすめ。

新聞がなくなる日 【著】歌川 令三  | おすすめ度★★★★☆

 著者は毎日出身。ITのすごさを喧伝し、紙の新聞はなくなってしまうと危機感を煽る。筆者がどの程度ITを理解しているか、正直疑問に思う記述が多々ある。この本の通りになるとも思わない。ただし、新聞社に勤める者はこの書を読み、気を引き締める必要はある。

 読売新聞、日本テレビ、巨人軍の上に君臨し、大衆の欲望を吸いつくした男、正力松太郎を描く。善悪を超越した生き様は「怪物」の名にふさわしい。「影武者」(実務を押し付けられる人)を自認する人が読むと、妙に共感を覚え泣けてくる内容。

 日本経済新聞の新聞製作電算化を軸に、朝日、読売、毎日など大手新聞社の技術革新競争や社内実情を明らかにする。役員から一般社員まで登場人物も多彩で、小説のようなノンフィクション。CTS化への歴史がわかる良書。

クライマーズ・ハイ 【著】横山 秀夫  | おすすめ度★★★★★

 警察小説のイメージが強い横山秀夫が、御巣鷹山日航機墜落事故を地方新聞社を舞台に、本格長編小説にまとめ上げた力作。著者は元新聞記者というだけあって、臨場感満点。新聞社の雰囲気を適度にデフォルメさせ、キャラも立っている。TVや映画にもなったが、原作が一番おすすめ。