硬派、社会派など。これらを読むと、いろいろと考えさせられる。

ひかりごけ 【著】武田 泰淳  | おすすめ度★★★★★

 「人肉食い」がテーマの表題作を含む、4つの短編が収められている。「ひかりごけ」では、何があったのか最初に提示し、後半は戯曲の形で進行していく。人肉食いなど「言語道断」と裁判で糾弾していく描写はすさまじく、一気に読み進めてしまうことだろう。エンディングでは、思わず「えーっ!」と声がでる。

八甲田山死の彷徨 【著】新田 次郎  | おすすめ度★★★★★

 実話に基づき、明治陸軍の山岳遭難事件を描いた作品。リーダーの違いによって、一方は遭難、一方は無事帰還と明暗が分かれた。幹部の無責任な言動に憤りを覚える。管理職といわれている者はこの本を読んで、人の上に立つ者の責任の重さを再確認してほしい。

常紋トンネル 【著】小池 喜孝  | おすすめ度★★★★★

 「囚人労働」「タコ労働」は、北海道開拓の暗部である。本書は「タコ労働」について、掘り下げ、詳しく記されている。人間扱いもされず、ボロボロになるまで酷使される「タコ」の過酷な姿に、旋律をおぼえる。今の北海道があるのは、彼らのおかげでもある。

 返還後まもない沖縄諸島の民俗を美しく、悲しく描く。「芸術は、爆発だ!!」など、ぶっ飛んだイメージの強い岡本太郎だが、文章は驚くほど読みやすく、視点も鋭い。「ちゅらかさ(天然痘)」の記述が印象深い。

自動車絶望工場 【著】鎌田 慧  | おすすめ度★★★★★

 鎌田慧がトヨタ自動車の工場に季節工として潜入し、実体験を報告するルポルタージュの名著。徹底した批判的視点で、トヨタ繁栄の裏にあった暗部をえぐりだす。人間をベルトコンベアの一部のように扱う会社のふるまいには戦慄を覚える。1972年頃の話なので、内容は古いが、決して色あせてはいない。格差社会といわれる今こそ、読むべき書でもある。

 同和対策事業や部落解放運動についてのレポート。同和腐敗というタブーを洗い出し、京都市における部落行政の問題などを指摘する。部落利権とは何か。鵜呑みはできないが、具体例を詳しく知ることができる。刺激的な内容。

 「脳力」とは、「物事の本質を考え抜く力」いい言葉だ。エッセイ集だが、示唆に富んだ内容で、これからの日本や人々のあるべき姿を考えさせられる。思考と行動のヒントがある。第2巻「脱9.11への視座」もおすすめ。

 リサイクルした方が環境には悪いなど、盲目的なエコ活動に警鐘を鳴らす衝撃的な内容。すべてを鵜呑みにはできないが、こうゆう考えがあることを知っておく必要はある。

戦う石橋湛山 【著】半藤 一利  | おすすめ度★★★★☆

 後に第55代内閣総理大臣となった石橋湛山の生涯ではなく、ジャーナリスト時代の偉大な軌跡を紹介する。朝毎が世論をあおり戦争へ誘導したのとは、真逆のことを行った傑物。敢然と軍部を批判し続ける姿に感動すら覚える。

政治と情念 権力・カネ・女 【著】立花 隆  | おすすめ度★★★★☆

 田中角栄の金権政治を暴きつつ、田中真紀子のヒステリックな行動を批判する。権力、カネ、裏切り、愛、嫉妬などさまざまな政治ドラマが描かれている。闇将軍として君臨した角栄の一端を垣間見るのに最適な書。

アイヌ民族 【著】本多 勝一  | おすすめ度★★★★☆

 アイヌ民族のルポルタージュ。過去については、想像力を駆使し小説形式で描く。本多勝一アレルギーの人も普通に読める内容。アイヌの人々がどのような生活をしていたのか、くわしく書かれている。日本人とは何か考えさせられる。

先住民族アイヌの現在 【著】本多 勝一  | おすすめ度★★★★☆

 本多勝一が、かつてアイヌ民族について書いた新聞記事などを収録。評論形式のものが多い。「アイヌ民族」の続編的内容。我々は、先住民族アイヌの存在を忘れてはいけない。

 著者は食品添加物の商社の元セールスマン。食品添加物の光と影を分かりやすく解説。知らず知らずのうちに、食品添加物漬けに陥り、従来の食文化が破壊されつつある現状に警鐘を鳴らす。廃棄寸前のクズ肉も30種類の「白い粉」でミートボールに甦るという。「食文化」というものを見つめ直す必要性を強く感じた。

国家の罠 【著】佐藤 優  | おすすめ度★★★★★

 著者は元外交官。鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕。有罪判決を受けた。一連の事件を「国策捜査」だとして、真相を語る。検察とのやり取りは小説を読んでいるかのようにスリリング。国家権力の恐ろしさには戦慄を覚える。著者の主張通りに、いつの日か真実が明らかになってほしい。