「新書」という出版形態を確立した、岩波新書。書き下ろし作品による一般啓蒙書を廉価で提供することを目的に創刊された。新書とはいえ、硬派で読みごたえのある名著が多くある。時代のニーズに的確に答え、確実に読み継がれている。
「資本論」を思想論と経済論に分けずに、マルクスが何を伝えたかったのかを考察。文章は口語調でとても分かりやすい。
日本的特質はどこにあり、何に由来するものなのか。日本の思想の体系とありかたを浮き彫りにする。1961年の書ということもあって、表現に多少の古さはあるが、簡潔で読みやすい文章。ただし、内容が高度なので、すらすら読めるという代物ではない。しかし、日本人なら、苦労してでも読むべき名著。青版岩波新書の代表作。
ことばを考察する歴史的名著。ことばを知るには文化という視点が重要と説く。平易な文章で、とても分かりやすい。日本語と日本文化のユニークさが浮き彫りになる。人称についての記述が秀逸。
中世ヨーロッパで、神の名のもとに行われた「魔女狩り」。それは、15~17世紀のルネサンス時代に行われた。密告、拷問、捏造、残虐な処刑…、目を覆いたくなるような光景が明らかにされる。この書を読むと「魔女狩り」という言葉(比喩)は、安易に使えなくなる。
音符やリズムなど、音楽の基礎的な規則を一般向けに分かりやすく解説。楽器を演奏しない人でも、音楽好きなら読んでいて楽しい。
戦争が風化していない1959年発売の書。第一次世界大戦後からの日本の昭和初期を、戦争の歴史を中心に描き出す。当時の昭和史へ対する感覚がうかがえる。やや左寄りだが、これが当時の一般的な感覚だと思う。「再びあの戦争体験を繰り返してはならない」という願いが込められている。
ノーベル賞受賞の大江健三郎の書。彼は左翼思想だという偏見を捨てて読んでほしい。原爆を投下された広島の人々姿を鋭く描く。戦後20年の時代の貴重で意義深い書。ただ、この人の文章は必要以上に難しい。正直、翻訳文のようで日本人の文章とは思えない。
沖縄戦の集団自決について軍の強制があったとの記述があり、裁判沙汰になった書。左寄りの書ではあるが、沖縄の歴史を考えると、不当な表現はしていないと思う。偏見無く読んでもらいたい書。「ヒロシマ・ノート」よりは読みやすい。
「知的生産の技術」とは、頭を働かせて、何かしら新しいことがらを、人に分かる形で提出することを指す。そのために必要な情報整理、文章の書き方などを解説し、啓発している。1969年発行の書なので、「タイプライターの使用」など今の時代になじまない記述もあるが、普遍的で参考になる内容も多い。
評論家の加藤周一が自らの生い立ちを描く。この巻は医学部時代の太平洋戦争終戦まで。以降は「続 羊の歌」に続く。激動の時代に、自らはどう感じていたか、周りの人々はどうふるまっていたかを知ることができる。俯瞰的な記述で貴重な記録でもある。
数学が楽しくなる?「数学入門」とともに読みたい。
数学について分かりやすく解説。これで数学が好きになる?
歴史を振り返りながら、民主主義とは何かを説く。「多数決イコール民主主義」などと、単純に割り切れるものではないと再認識できる。
物理学について分かりやすく解説。これで物理が好きになる?
バナナを通して、フィリピンからの搾取の歴史を明らかにする。労働者の貧苦や企業の暗躍など、安くておいしいバナナの裏に潜む問題が浮き彫りに。現在は当てはまらない記述も多いだろうが、名著であることは揺るがない。
「a」や「the」の使い方、日本人には理解しづらい英語表現などを、ユーモア溢れる例文で、分かりやすく解説。学校では教えてくれないことが満載で、英語を理解する上で必ず役に立つ。受験生にもおすすめの良書。
世界一のエビ消費国、日本。その9割を輸入に頼っている。そのエビはどこでどのように獲られているのか。背景にあるアジア諸国からの搾取を浮き彫りにする。「バナナと日本人」とセットで読みたい。
「ことばと文化」の続編的内容。日本語と外国語を比較しながら、ことばを楽しく考察する。六色の虹、黄色い太陽など具体例をあげ、日本語とは捕らえ方の違う外国語の知られざる一面を解き明かす。国際理解を深める上で必読の書。
ソ連の崩壊によって社会主義は終焉を向かえつつある。「時代遅れの思想」と切り捨てずに、社会主義の思想、運動、体制の歴史を振り返る。
「老い」「病い」「死」などについて、著名人ではなく巷に生きる人々の言葉を軸に紹介。印象的な言葉が多く、考えさせられる。重いテーマではあるが、深刻ぶらずに、そして、真摯に向き合う姿勢に引き込まれる。「往生とは死ぬことではなく往って生きること」と著者は語る。
戦後50年の節目に、天皇、戦争放棄、権力、権利と義務などを主要なテーマに、日本の憲法の現状を探る。いかに、定められた憲法と実情が乖離しているかが明らかになる。左寄りで岩波ならではといった切り口だが、テーマが憲法なだけに硬派なぐらいでちょうどよい。内容は平易。
「日本軍が100%悪」という立場の書。冷静を装うあまり、淡々としすぎている。証言をもとにした事例紹介ばかりでなく、日本軍が悪なら悪と、筆者の主張がもう少しあった方がよかったと思う。南京事件について「自虐史観」や「幻」と言って矮小化することなく向き合いたい。そのためにも、主張の異なる複数の書を読むことをおすすめする。
屠場のルポルタージュ。食肉工場の歴史、職人芸を明らかにする。差別や偏見に関する批判というより、知られざる世界を前向きに発信しているように思える。偏見無く一気に読める良書。
正しい日本語の解釈、分かりやすい文章の書き方などを解説。普段意識しない(本来意識すべきだが)「は」、「が」の使い方など、注意し敏感になるべきと説く。読んでおくと、日本語を大切にしたくなる。
複雑でわかりにくい金融の基本用語や仕組みを解説。日本の決済システムとは、銀行の役割とは、金利とは・・・。金融の入門書。
「日の丸・君が代」がなぜ問題とされているのかが分かる。どちらかといえば反対派の書。賛成派の書も読み、日本人として、この問題を真剣に考えていきたい。
パレスチナとイスラエルの対立の歴史をパレスチナ側の視点で報告。双方の言い分が決して交わることなく、流血が繰り返されている現状を生々しく伝えている。この本を読むことによって、中東、パレスチナ問題について深い関心を持つきっかけとなるであろう。そして、イスラエル寄りの本も、しっかりと読んでおきたい。
経営者の役割や必要条件を簡潔に分かりやすく解説。左がかった精神論を振りかざす内容ではない。岩波新書で経営についての良書が読めるとは以外(失礼)。経営者でなくても、一読の価値あり。
幼児期の親子のふれあいが、いかに重要であるかを説く。幼児期の子どもは、どう感じているのか。どう接するべきか。あらためて考えさせられる。これから子育てを始める方に、一読をおすすめする。
「善と悪」に客観的な基準はあるのか。自分にとっては「悪」と思える行為が、相手にとっては「善」の場合もある。普遍性をもつ「道徳原理」とは何かを考える。特に、後半の定義づけは感心する記述が多い。倫理学への入門書。
サブプライム問題が話題になっていた頃に出版された本。大富豪と貧困層、二極化するアメリカの現状を報告する。「貧困が生み出す肥満」「病気がきっかけで貧困層に転落する」など、読んでいて気持ち滅入る。行き過ぎた資本主義のはてがこの結果なのか。日本は大丈夫か?
貧困問題に警鐘を鳴らす良書。現在の日本は、一歩間違えば、ある日突然貧困層に転げ落ちてしまう社会になりつつある。貧困は「自己責任」との風潮から、社会のセーフティーネット整備が遅れていると指摘。好きで貧困なのではない。働きたくても働けない、働いてもまともな収入が得られない。こんな日本に誰がした。
砂糖の栽培、取引についての歴史を、植民地、プランテーション、奴隷制度などを織り交ぜ振り返る。砂糖という世界商品が世界史に与えた影響は絶大だと認識できる。岩波ジュニア新書という枠組みを超えた歴史的名著。
人類が生まれるためには、本当に多くの偶然が奇跡的に重なったのだと気づかされる。偶然宇宙ができて、ちょうどよい場所でちょうどよいサイズの地球ができて、ちょうどよい気候で水が存在する…。生物が活動できる環境ができたこと事態、奇跡であり神秘だ。