岩波新書とともに、歴史ある新書。冷静な記述が多いこともあって、単調に感じることが多々ある。そして、時に難解。しかし一方で、心に残る良書も多く揃える。

太平洋戦争(上)(下) 【著】児島 襄  | おすすめ度★★★★★

 太平洋戦争に至る経緯や背景よりも、戦闘(作戦)ごとの解説に重点を置く構成。その時、何が行われていたのか、冷静な視点で淡々と記述している。軍の編成や被害状況などの資料が充実しているので、記録としての価値もある。

人間関係 【著】加藤 秀俊  | おすすめ度★★★★☆

 人をうまく使い、人からうまく使われるために人間関係をどうさばいていったらよいのか。初版が1966年と古い書だが、現代でも十分通用する真理を説く。人間関係とは、理解と誤解のからまりあい。いわば大変な悪路。その悪路にいどむ勇気のある人間だけが、人間関係の中で自らを開発する資格をもっているという。

国際政治―恐怖と希望 【著】高坂 正尭  | おすすめ度★★★★★

 平和について、国家間の力の関係、利害の関係、正義の関係のそれぞれにおいて考察する。1966年の発行なので古典的名著ともいえる位置付けだが、古臭さは感じさせず、現在でも十分通用する内容。複雑な権力闘争が繰り広げられている国際政治に関心が低い現代人こそ読むべき書。

東京裁判(上)(下) 【著】児島 襄  | おすすめ度★★★★★

 勝者が敗者を裁く「東京裁判」とは何だったのか、意義を問う。事実を調べ上げ冷静に記述しているが、裁判を疑問視する気持ちがにじみ出ている。日本人なら読んでいて辛い気持ちになるだろうが、避けては通れない歴史だと思う。東京裁判について、おおまかな流れは理解できる。入門書に最適。

知的好奇心 【著】波多野 誼余夫  | おすすめ度★★★★★

 人間は生まれつき、旺盛な知的好奇心を持ち、人間らしく生きる原動力となっていることを実証。幼児の知的教育についても言及する。人間は、ニンジンとムチがなければ何もしない怠けものではない。退屈を嫌い、知的好奇心を満たすべく、常に情報を求めている存在であると説く。

理科系の作文技術 【著】木下 是雄  | おすすめ度★★★★★

 レポート作成術の名著。論理的で簡潔に文章を記述する技術を解説。少々古い書だが、内容が普遍的なので今読んでも参考になる。やはり、5W1Hでの記述は、簡潔で分かりやすい文章の基本。理系に限らずお勧め。

 微生物の活動でなされる発酵について解説。酒やチーズのみならず、洗剤や抗生物質などの製造にも発酵の作用は欠かせないという。変わったところでは「フグの毒抜き」など世界各国の発酵文化を紹介。微生物の神秘的な活動に好奇心がくすぐられる。

儒教とは何か 【著】加地 伸行  | おすすめ度★★★★★

 儒教といえば、封建思想を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、儒教とは、「死」への恐怖を緩和するための宗教が発端であると説く。日本人の身近にある仏教は、先祖を崇拝するが、インド仏教は崇拝しない。これは、儒教の影響を受けたものであるという。儒教の入門書に最適。

ゾウの時間 ネズミの時間 【著】本川 達雄  | おすすめ度★★★★★

 動物のサイズと時間の関係、サイズとエネルギー消費量の関係、なぜ車輪動物がいないのかなど、生物の神秘を分かりやすく解説する名著。生物学に興味がなくても、話の1つ1つがとても面白いので、わくわくしながら一気に読める。超おすすめ。

「超」整理法 【著】野口 悠紀雄  | おすすめ度★★★★☆

 時間軸を基準に整理する押出しファイリングを提唱。超有名で実用的な整理法だ。古い書なのでパソコンに関する記述は時代遅れの感が否めないが、参考になる点は多い。資料処分に踏ん切りがつく。

日本の医療 【著】池上 直己、J.C. キャンベル  | おすすめ度★★★★★

 日本の医療の特色は、低コスト、平等なサービスにあるという。そして、それをささえる国民皆保険制度である。医療制度についてマクロとミクロの視点で解説する。内容は古いが、バランスの取れた記述で基礎を学ぶにはもってこい。改版が読みたい。

会議の技法 【著】吉田 新一郎  | おすすめ度★★★★☆

 チームパワーを最大限に引き出す会議の方法を説く。会議のルールを分かりやすく提示している。リーダーの能力により会議の質は決められるものだと、再確認できる。ムダな会議をしないために一読を。

戦略的思考の技術 【著】梶井 厚志  | おすすめ度★★★★☆

 戦略的思考と実践例を紹介。ゲーム理論とともに解説する。損得勘定は、きちんと戦略的思考を用いなければならないと実感できる。なんとなく物事を判断している経営者は、読んで戦略的思考を身に着けるべし。

日露戦争史 【著】横手 慎二  | おすすめ度★★★★★

 なかなか評価が定まらない日露戦争を、つとめて客観的に解説する。新書ということもあってか、深くつっこんだ記述はないが、全体像を手っ取り早く知ることができる。日露戦争については、数冊読み比べることをおすすめする。

 労働組合が抵抗勢力のように見られるようになったのはなぜか、労働組合は役に立つのか、政治との関係を絡め検証する。労働組合の定義づけがとても上手で勉強にる。組合が経済合理的な路線をとるならば、長期的利益や社会全体の利益を増進させると説く。

北方領土問題 【著】岩下 明裕  | おすすめ度★★★★★

 中国、ロシア間での領土問題解決の手法を詳しく説明。日本、ロシア間での北方領土問題解決の糸口となるかを探る。2島返還、4島返還ではなく、3島返還という選択肢(妥協点)を示唆する。北方領土問題の世論に一石を投じる書だ。

 印象に残るタイトルについて、まじめに考察。助詞を効果的に使う例、韻とリズム、古めかしい表現など、なぜ印象に残る題名なのかを丁寧に解説する。