これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.97〜 2013.10

ねこの王様〜陽運寺

                  陽運寺(新宿区左門町18)


新宿の左門町には二つのお岩稲荷が向かい合って存在する。
陽運寺と田宮稲荷(新宿区左門町17)である。


ネットなどで検索すると、陽運寺は鶴屋南北が著した東海道四谷怪談のお岩さまを祀っているようだ。
田宮稲荷は実在したお岩さまを祀っていて芝居や映画の四谷怪談をやる時、お祓いを受けることで知られている。
ちなみに6月に田宮稲荷を訪れた際には歌舞伎役者尾上松緑氏の参拝に出くわした。
田宮稲荷にはお狐さましかいないが陽運寺には狛犬がいる。今月はこれを紹介します。



奉納年月は昭和二十七年五月吉辰。
奉納者は四谷三丁目の「藤家具販売」の福島俊保氏、「スーパー丸正」の創業者飯塚正兵衛氏、三味線販売
「ねこや」の主人熊澤廣平氏の3人。
この拝殿前の狛犬は円丈師匠が「
素江戸コールマンヒゲ」と分類命名したものである


現在コールマンヒゲといってもほとんどの人が理解できないのではないだろうか。
辞典によれば英国人俳優のロナルド・コールマン(1891〜1958)は口の上だけに髭を生やしていたがこの髭が評判になり日本では「コールマン髭」とよばれたという。
狛犬の印象はライオンに近いが、狛犬をネコ科とイヌ科に分けて見るという人がいる。
ライオンはネコ科でしかもその頂点に立つ王様、
三味線販売「ねこや」の主人がネコ科の王ライオンに掛けての奉納であったならば面白いなーと思ったのだが。



                              
(写真・山田敏春、阿由葉 文・山田敏春)