これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.62〜 2010.11

有栖川宮の獅子

                  東郷神社(渋谷区神宮前1-5-3)


円丈師匠の狛犬コレクションに「世界一のデフォルメ招魂社系狛犬」として紹介された東郷神社(渋谷区神宮前)に居る4体の狛犬は、師匠が聞いたところによれば
  
「元々は皇族初の海軍大将有栖川宮の記念碑四隅にあったものが払い下げられて、2対にわけたもの、
   大正時代の作で獅子だ」
という。
なるほどそうかと思いつつ、もうすこし具体的な事が知りたいなあと思っていました。


そんな折、昭和3年に発刊された「偉人の俤」という銅像写真集に有栖川宮威仁(たけひと)像をみつけました。
一見、灯台を思わせるような円柱の上に有栖川宮がサーベルを携えて立っています。
台座正面は祭壇でも有るのだろうか石室になっているようです。

そして台座の四方には現在東郷神社に居る獅子が鎮座しています。


像は「故有栖川宮威仁親王御尊像」と題し、
  所在地は東京市築地海軍大学校前
  建設年月日は
大正10年12月24日
  像の原形作者は新海竹太郎
  鋳造者は海軍造兵廠
  建設者は海軍大学校卒業生有志
とデータが書かれています。


残念ながら像台工事設計者と施行者は書かれていませんが、伊東忠太の作品リストに昭和3年、有栖川宮威仁親王像台とあります。
これは大正12年の関東大震災を契機に、日本橋の魚河岸が海軍の敷地だった築地に移転する事が決まったので、かつて手掛けた像台の縮小と移転があったものと思われます。
獅子4体が何時東郷神社へ払い下げられたかは不明ですが、親王像は昭和59年福島県猪苗代町の天鏡閣に移転しまた。


【参考】

シリーズ・近代日本のモニュメント1
銅像写真集 偉人の俤 図版篇/資料篇 全2巻
揃定価60,900円(揃本体58,000円) 
刊行年月 2009年07月 復刻版(ゆまに書房)

 


                                    
(文/山田敏春、写真/阿由葉)