これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.40〜 2009.1

築地魚河岸の狛犬 

魚河岸水神社遙拝所(東京都中央区築地5丁目


外国向けのガイドブックなどに紹介された築地の魚河岸では、外人観光客が多く訪れ、困った事になっているようです。
日本独特の文化である「せり」に興味があるとか…
そんな魚河岸の一角に魚河岸水神社遙拝所があります。

説明書きに依れば水神社は天正18年(1590)、徳川家康入府とともに移住してきた日本橋魚市場の開祖・森孫右衛門ら、摂津の国の佃村及び大和田村の漁師たちが大漁・海上安全と子孫繁栄を祈願する為に建立。
この頃は「
大市場公易神」と称していたようです。
当初は芝崎村(現・千代田区大手町)の神田神社内に建立、その後元和2年(1615)神田神社は現在地に移転(千代田区外神田二丁目)、水神社も移転。
明治24年に「魚河岸水神社」と改称して、明治34年(1901)神田神社内に水神社本殿を建立
その後関東大震災を期に魚河岸は日本橋より築地に移転、昭和8年に市場の建物が完成。
東京市中央卸売市場築地市場として業務を開始したのは昭和10年2月11日です。


翌昭和11年4月に「魚河岸會」によって狛犬が奉納されました。
狛犬は魚河岸ならではの光景ですが、カモメのフンを頭に浴びていささかご立腹気味のようです。
だが仕上がりは素晴らしい!
尾が立ち、双方の頭上には宝珠が乗っている。
体は「ビシャン仕上げ」で毛束の曲線も柔らかさがあり、各部のバランスも良い。
 
なおこの水神社は魚河岸の取引の終わる頃に門が閉められてしまうので、
狛犬に会いたい方は午前中に狛犬を見てからから昼食をとる様にしてください。

                                   (写真・文 山田敏春)