これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.27〜 2007.12

大山阿夫利神社 和合狛犬

大山阿夫利神社(神奈川県伊勢原市大山355)
3連休でごったがえす大山阿夫利神社へ行ってきました。
余りにも人が多いので、なんとケーブルカーには「100人乗ってもらいます」とアナウンスしています。驚きました。

大山阿夫利神社下社拝殿の右側に「大山名水入り口」の看板があり石段を下りると通路があり、中程に江戸風の先代狛犬が余生を送っています。
説明文によれば、この狛犬は「
元禄時代から平成元年まで、300年にわたって上社登拝門前に置かれていた」といいます。
また江戸名所図会の挿絵を画いた長谷川雪旦の息子の長谷川雪堤が天保14年3月に画いた「相中留恩記略 大山」にもこの狛犬は画かれています。

この狛犬は大山阿夫利神社にとって貴重なものだが別な意味でも大変貴重なものなのです。
吽像を後ろから見ると「ホゾ」を差し込む為の
「ホゾ穴」が彫ってあります
いわゆる
仕口と呼ばれるもので、二つの物を接合する為のものです。
木彫狛犬は最初からこの様な仕口があってはめ込まれますので珍しくはありませんが、
石彫狛犬として
は初めて見るもの
です。
おそらく江戸の石工が尾を造り、背中に担いできたのでしょう。
そして何日かかけて
ホゾ穴を彫り、微調整して差し込み、修復したのです。
これでもし尾の方も残っていれば超貴重なものとなったはずですが、尾の方は今は跡形も無いようです
先代狛犬とは役目を解かれて境内の隅などに置かれる狛犬を言いますが、
この狛犬は屋根の下に移り、新たに和合狛犬として再登板しています。
人間も出来ればかくありたいなと思いますね。

(写真・文 山田敏春)