これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.142〜 2018.9

狛犬の呼び方

                  高松八幡神社(練馬区高松1-16-2)


高松八幡神社(練馬区高松一丁目)の狛犬は円丈会長が「普通の台石に乗った大型獅子山」と分類し呼んだ。
銘は「奉納 氏子中 明治廿四辛卯年第五月吉日(1891)赤塚石工 春日吉右エ門信清」です。


獅子山とは字のごとく「獅」は親獅子でオス・メスの印を持ち、
「子」は子獅子、そしてボク石を積んだ「山」から成りますが、当社の獅はオス・メスの印はあるが、子と山がないので「
獅子山くずし」という。

山無し獅子山」は安政2年(1855)の大地震以降に造られるようになった。
溶岩石であるボク石を積んだ築山よりも従来の台石を重ねた方が地震には強いと考えられたのかもしれない。
なお獅子山に乗ったものを獅子、山無しの場合の獅子は狛犬と呼ぶことにする。
なおこの狛犬は山ではなく雲に乗っている。
「雲の輿」という仏が乗り物とする瑞雲があるという。
縁起の良い雲に乗った狛犬は「雲狛犬」と呼ぶべきか。


翌25年、石工吉エ門は埼玉県和光市下新倉3丁目に鎮座する氷川八幡神社の狛犬を手掛ける。

銘は「氏子中 豊嶋郡下赤塚 石工春日吉右衛門 明治25年10月吉日建之」で、こちらは蹲踞した狛犬ですが、やはり雲に乗っていて、さらに下部はボク石を積んだ築山になっている。

分類では「普通の台石ごと築山に乗せた狛犬」と呼ぶのだろうか。


                                    (写真・文;山田敏春)