これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.128〜 2016.9

岡崎尾下がり(江島杉山神社)

                 江島杉山神社(墨田区千歳1-8-2)


画期的な鍼灸術である官鍼法(かんしんほう)を創始した検校の杉山和一を祀った江島杉山神社(墨田区千歳)に行った。
かつては「一つ目弁天」と称していた。鍼法とは管(くだ)の中に鍼(はり)を入れ、官の先をツボに押し当ててから中の鍼を刺し入れるという方法です。
一つ目とは五代将軍綱吉を治療した際、褒美に目を欲しいといったところ一つ目と俗称されていた土地に屋敷を賜ったという。
ちなみに一つ目の語源は堅川に架かっていた最初の橋を「一ツ目の橋」と呼んだことからと言われている。


この神社には随分と前に来て、石勝が彫った岡崎狛犬の写真を撮った記憶があるが、今回来てとんでもない事に気が付いた。

前回来た時は「また岡崎狛犬か」と思って見ていたようで、肝心な物を見ていなかったのだ。
なんと岡崎狛犬の尾が江戸尾下り狛犬のように下がっている!


東京には岡崎タイプで尾が数本に分かれて背中に這い上がってついているタイプが2対ほどありましたが、それではなく完全に尾が下がって流れています。


顔は岡崎タイプ、そして下半身は江戸タイプ。
狛犬界のハイブリット(異質のものの混成物)ともいえる狛犬なのだ。


奉納したのは赤坂の井上派鍼灸術の人たち。
奉納年は昭和三十年五月十八日です。
なお五月十八日は杉山和一の命日である。

                                     (写真 / 文 山田敏春)