最近読んだ本
farm Blessed wind
最近読んだ本を紹介します!
本の名前 食品の裏側
著者名 安部 司
出版社 東洋経済新報社
発行年月日 2005.11.10
 著者は元食品添加物のセールスマン。より多くのお客さんを得るために猛勉強、実績を伸ばした彼は「歩く添加物辞典」「食品添加物の神様」と呼ばれるまでになった。しかし、彼の子供が自分の開発したミートボールを喜んで食べるのを見て、凍りついてしまう。そのミートボールは牛の骨にこびり付いた肉をこそぎ取って集めたドロドロのものに添加物をジャブジャブ投入して無理やり食品の形に整えたモノだったから。
 本来なら産業廃棄物となるべきくず肉は添加物の力で味も外見も食感も素晴らしいミートボールに変身。売値100円原価30円のこの製品は飛ぶように売れ、メーカーはこの利益だけでビルを建てたと言う。著者にとっても誇りであった。自分の子供が食べているのを見るまでは、、、。
 胸が潰れる思いで、子供からミートボールの皿を取り上げ、「売る側」ではない「食べる側」の自分に初めて気付く。
 本文より・・・たとえは適切ではないかもしれないが、軍需産業と同じだと思いました。人を殺傷する武器を売って懐を肥やす、あの「死の商人」たちと「同じ穴のむじな」ではないか---このままでは畳の上で死ねない---そう思いました。・・・
 一睡も出来ない夜を過ごした後、彼は会社を辞職した。
食品添加物のトップセールスマンとして現代の食品の裏側を知り尽くした著者が、添加物の「光」と「影」を明らかにし、便利さと引き換えに何を失っているのか考えるべきではないかと警鐘を鳴らす。
本の名前 危ない食卓
著者名 フェリシティ・ローレンス
出版社 河出書房新社
発行年月日 2005.6.30
 現代の食を健康、環境、開発、消費者の権利、労働者の権利などの多方面から問題点を洗い出すリポート。

読み始めてすぐは、風景描写や周辺の事象を細かく説明し過ぎの感もあったが、読み進んで行くうち、食品事情がとんでもない事なっているのに愕然とさせられる。しかもそれは食品のみならず様々な分野に広がっており、複雑に絡み合っているようなのだ。
本書の舞台の中心はイギリスであるが、世界中のほとんど全ての国に関係があり、地球規模での問題提起となっている。

イギリスで食の安全性が脅かされている実例をいくつか箇条書きにしてみた。

1 大手工場の安全マークが偽造され、病気を持っている鶏肉が、廃棄物リサイクルをしている工場から大手メーカーへ送られ、スーパーマーケットや学校、病院でチキン食品となっていた事件。

2 鶏肉に水分を30%注入しそれを固定させる為、今まではリン酸塩が使われていたが、新しい方法では豚や牛の安い部分からたんぱく質を取り出し、鶏肉に注入しコスト削減をしている事例。注入するたんぱく質は鶏の廃棄物からでもいいが、今は牛の廃棄物が何と言っても安いそうだ。
(各国でBSEなどに対する法律が違うので、外国から入ってきた食品に添加されたモノ全てを把握するのは、一国の食品安全機構では無理である。食品の真の安全性への責任は問われにくくなっている)

3ブロイラーの品種改良が進み生育期間が短縮できた。(当然コストが削減できる)1957年で3ヶ月だったのが、1990年代で43日、2007年には33日になる予定だという。トリ自身の健康が危ない。骨や心臓、肺が体の大きさについてゆけない。ある大学の調査によると、イギリスの90%のブロイラーに問題があり、4分の1が生きているだけで苦痛だという。


詳しくは本書を読んで戴きたいのだが、多くの問題の出発点は、消費者と生産者や加工業者の間に入っているスーパーが実質の大権力を握んでいる事である。大規模スーパーは競争を重ねる事により、より大きな強いスーパーだけが生き残っていく。国の垣根を越えたこれら超大型スーパーチェーンは、各国の政府を動かし法律をも左右する力を持っている。生産者と加工業者は自己の規模を大きくしてゆくほど、売り先を大手スーパーに頼らざるを得ないので、無理難題を押し付けられてもイヤとは言えない。
 かくして、価格破壊の負担はスーパーが負うのではなく、生産者と加工業者に回される。(消費者も健康を損ねるということで被害を受ける)そこで生じた負担は次に農作物、畜産動物、及び低賃金で非人間的扱いを受ける外国人労働者に回されてゆく。さらに、発展途上国の環境とそこに暮らす人々の生活を破壊してゆく。
 このように強い者から回されたつけはどんどん弱い物へ回され、お金を持っている者は更に持ち、貧しい者は更に貧しくなってゆく。そして、最終的に地球をも滅ぼす方向へ向かっている。

近頃の気候が、本書に書かれていることと全く一致する。
「地球温暖化により、異常気象が毎年のようにどこかで発生する。温かい空気は地表の水分蒸発を促し、干ばつを引き起こし、蒸気が冷やされると豪雨をもたらす。気温が上がると風速も増すので、台風やハリケーンの威力が激しくなる。
イギリスの科学諮問長官デヴィッド・キングは気候変動はテロよりも深刻な脅威であり、「2080年にはいまより30倍も洪水のリスクが高まり、100年に1回くらいの規模の洪水が3年に1回の割合で起こる」と言う。


20年前に地球温暖化の話を聞いた時にはまだヒトゴトのようにしか感じていなかったが、台風が何個も北海道に上陸し雨と干ばつが両極端な最近の異常気象を見ていると、地球が生物の住めない地になってゆくのを実感してしまう。
かと言って、今の石油を基本にした生活を明日から止めることも出来ない。私達も食品産業にたずさわる者で、製品をパックするナイロンや遠隔地へ輸送したり豚をと殺場へ連れてゆくガソリンを燃やさずにはいられない。

しかし、環境破壊で数々の文明が滅んでいったように地球をする訳にはイカナイ。
北欧を中心にヨーロッパ諸国で既に進んでいるごとく、価値観を大変換をさせなくては我々は生き残れない。
月並みな言葉だが、「変えられるところから変えてゆこう」と本気で思わされた。

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