豚とソーセージ豆知識


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黒豚

 黒豚とは、ただ単に黒い豚ではなく、足先、鼻先、しっぽの先が白い英国原産のパークシャー種(この特徴を六白と呼んでいます)を指しています。この品種の製品以外は現在黒豚の表示をする事が出来ません。なお、ソーセージなどの加工品では、原料肉の50%以上が入っていると「何とか肉使用」と言う事が出来るらしいです。ですから、黒豚の肉が50%以上入っていれば、黒豚肉使用と表示できるわけです。ただし、その場合は、その混入割合を表示しなくてはならないそうです。
 私達の製品は100%我が家産の純粋バークシャーです。

豚に与える抗生物質


 豚は、通常離乳期と肥育前半に抗生物質の混ざったエサを常に食べさせられています。この抗生物質、使う一番の表向きな理由は早く肥育する為だそうです。(本当の理由は官僚と企業の癒着の為であると私は思います。日本子孫基金編「食べ物から広がる耐性菌」によれば、この肥育促進効果は農水省の飼料ですら疑問視されているそうです)
 この抗生物質をエサに混ぜる「乱用」のせいでヨーロッパでVREと呼ばれるとても強い抗生物質の効かない耐性菌がうまれたと言われています。適度な鍛錬が人間を強くするのと同じで、菌も抗生物質が常にあると、それを乗り越える為の力を見に付けてしまうのです。
 抗生物質の基本的な使い方は、必要な時に一気に使い、病原菌をやっつけたら、すぐに使用を止めることです。

 今、抗生物質耐性菌が数多く出現し、世界が抗生物質を発見する以前の病気に対して無力だった時代に戻ろうとしています。簡単な病気で簡単に人が死ぬ時代です。一刻も早く無意味な抗生物質の乱用を止めなくてはいけません。EUは、2006年までにエサに抗生物質を入れるのを禁止するそうです。
 日本政府がどのような対応を考えているのか、全く聞こえてきません。


 現在、抗生物質の入らない豚の離乳用飼料は1つも市販されておらず、私達はやむを得ず、自分達で工夫しながら離乳食を作っています。

 治療用の抗生物質も極力使いませんが、病気の状況によりどうしようもない時は、投与します。
豚のほ乳期間
 通常の養豚経営では、21日や場合によってはもっと早く離乳しています。あまり早く離乳すると母豚の体のサイクル(出産、ほ乳、離乳、発情)がついてゆけず、ホルモン剤で強制的に発情をこさせることも多々あります。豚1頭が安いときには2万円台に落ちてしまう現実の前に、どうしても回転率を上げ多頭飼育するという「薄利多売」は至上命令になってしまうのです。
 さてこのホルモン剤、肉には残留せず、人体に影響が無いと言います。でも自然のサイクルを無視して強制的に回転させられる母豚は、早く体がダメになってしまいます。

 私達がほ乳期間を長くするもう一つの理由は、子豚の内臓の問題です。抗生物質の入らない自家製の離乳食は作るのに時間がかかりすぎるので、なるべく早く自家配合飼料に移行させたい思いがあります。
 しかし、内臓器官が出来上がらない小さい豚に配合飼料を与えると下痢を起こしてしまいます。大丈夫だと判断するまで子豚と便の様子をよく確認して、離乳時期を決定します。
しっぽきり しっぽかじり 群再編成
お互いのしっぽをかじり合う「しっぽかじり」なるものが肥育中に発生することがあります。まず、1頭かじり始めると、そのかじられた個体が別の豚のしっぽをかじり、、、、という風に連鎖してゆき、あれよこれよという間にその群全てのしっぽが食べられてしまうというモノです。しっぽかじりされた豚の内臓や骨には膿血症ができるそうです。

 これが起こる理由
その1 エサの中の必須ミネラルが不足している
その2 過剰なストレスがかかっている

 もちろん、理由その1は、エサの構成を替えることにより解決できます。

その2について・・・・
過剰なストレス。 このストレスを生む原因を3つ考えることができます。
a) 狭いスペースに多くの豚を詰め込む
b) 床が固い
c) 群を再編成する

a)は単位面積あたりの収入が変わってくるので、限られた施設で収入を上げようと思えば過密になる、という状況から生まれます。ですから解決法は施設に投資するか、頭数を減らすか、回転率を落とすかです。
b)は・・・ 豚は土を掘り起こす性質を持っている。その本能が満たされないとストレスになると思います。しかし、これは三重の農業高校で私がコンクリートの上で豚を飼っていた時、しっぽかじりが起こらなかった事から、直接的な原因にはならないような気がします。

c) 私は、群の再編成がもっとも大きなストレスの原因になるのでは、と思っています。
では、なぜ群の再編成は行わなければならないのでしょう。

<群の再編成のプラス面>
 一つの群れで豚を飼っていると、必ず大きさにバラツキがでてきます。そして、大きい豚はエサを独占。小さい豚は、少しのエサで我慢、という事態が発生します。
 そこで、ある程度の大きさになると、同程度のサイズの豚にまとめ直す。これが「群の再編成」です。似た大きさのものを集めると競争してエサを食べ、それだけ大きくなるのが早くなります。人間でも実力が拮抗して、いつも競い合っていると運動能力なり、知的能力なりが高くなるのと同じです。

<群の再編成のマイナス面>
 他の動物と同じように、豚も群れの中で力の差から緩やかにではあるけど、序列ができあがっています。
その序列は、ごく小さいときからケンカを繰り返すことによって決まります。
 一度序列が出来上がってしまうと、自分より強い個体が分かるので、大きな争いにはならず、威嚇行動だけで済むことが多くなります。しかし、群編成はせっかく決まったその序列をバラバラにして組み直すことになるので、豚達はまた一からケンカをやり直さねばなりません。
 群再編をする度に、大きなストレスがかかることになります。

<解決策>
 群再編成からくるストレスの問題を根本から直すには、経済効率を落とすしかありません。これは、1頭の価格が低い養豚業者にとっては、難しい。よって、しっぽを予め切る予防策が広く一般で行われているのです。

 群再編成をしないと、大きさにバラツキが出て回転率は下がり、エサ代が高くつくことになります。しかし、大きい豚は大きいなり、小さい豚は小さいなりに、時間は余計かかりますが、大きな争いも無く、それなりに大きくなっていきます。
 私達は、大規模薄利多売[横に広い経営]ではなく、小規模で加工まで手がける[縦に長い経営]で、豚にかかるストレス、環境にかかるストレスを減らせないか試行錯誤しています。

放牧


 放牧して育てた豚達は、運動する人がしない人より健康的であるのと全く同じはず、さらに、豚は本来的に土を掘り、土や雑草の根などを食べるものです。様々な、微量ミネラルやビタミンなどを補給できるばかりでなく、多様な酵素を身につけることにもつながり、正常な自律神経を養うことにもなります。豚達は多様な菌の中で強い肉体を持つに至っているようです。
 なるべく菌の数を減らしてゆこうという世の流れとは、反対方向ですが、人間自体が色んな菌の中で生活をしているので、色んな菌と戦ったり共存したりして、健康を獲得してきた生産物を食する方が、本当の健康に近いような気がしています。
自家配合
 市販されている豚のエサを購入すると手間もかからず安価です。しかし、表示があるにしても実際はどんな物が中に含まれているのか分からず、不安です。アメリカの圧力によって牛のBSE検査を緩和する日本政府は、2005年4月から豚と鶏のエサに肉骨粉を混ぜることを認めました。(米国では豚に牛の肉骨粉を与える事が許され、その豚肉は日本に輸入されており、さらに2004年には全農の子会社が米国産の黒豚をかごしま黒豚と偽り何年にもわたって販売していた事実が発覚-----というように、元々アメリカには緩やかで、日本の生産者には厳しい真にお粗末なBSE防止策でしたが・・・)

 また、前述の抗生物質も気にかかり、それらをあわせて考えると自家配合するのが、今の私達にはベストだと思っています。
加工に使われる薬
食肉の加工では様々な薬品が使用を許されています。
乳化安定剤--------水と油を結び付け保水性を向上し、ソーセージにプリプリ感を与えます。
PH調整剤---------微生物の増殖を抑制します。
発色剤------------肉色をきれいなピンク色に発色させます。
結着補強剤--------ソーセージ特有のプリプリ感を与えます。
酸化防止剤--------肉と脂の酸敗を防止します。
他に化学調味料などがあり、それぞれ対象食品と使用量に制限があります。


上記のように食品添加物は、製品を作ったり保存したりする上で、有用なものばかりです。
 しかし、現在食品に対して使用を許されている食品添加物は数百種類に上るとも言われ、日本人は年間に4キログラムも食べていると試算する人もいる程です。
 もちろん個々の化学物質は安全性を証明してから許可が下りるのでしょうが、1日に組み合わせの違う何十種類もの添加物を何十年も口にする私達の現在の食生活を、実験で再現するのは無理な話です。また、食物連鎖のピラミッドの上にいる動物ほど体内に化学物質が蓄積されやすいので、頂点にいる私達はどの動物より、多くの化学物質を持っているはずです。
 アトピー性皮膚炎や癌、キレる人々等の原因は複合的な要因がからみ合い、化学物質との関連性は証明されないだろうけど、可能性を指摘する人は数多くいます。
バイオベッド
 豚を飼うスペースのことを豚房といいますが、豚房の床をコンクリートやスノコにせずに、オガクズやモミ殻を微生物で発酵させたものにする方式のことです。
 以前は発酵床と呼ばれていましたが、最近ではオシャレな名前が付けられました。床が暖かく、ヒヅメに負担がかからず、豚は掘り起こすという本能を満足させられるので、ストレス対策にもなります。また、糞尿は、その発酵床で分解されてゆくので環境問題にも対応できるし、農家の省力化にもつながる優れものです。その他に有用微生物が活躍して臭いも抑えられ、豚と一つ屋根の下に暮らす我々には最適であると言えます。
 しかし、1年半、バイオベッドで豚を飼って分かったのは、発酵を助けるために床をひっかき回したり、新しい敷料を追加したりと、結構な手間がかかる事。また、発酵が上手く行かない時は臭いもするし、豚にとって良い環境ではなくなってしまう事です。要するに管理に、技術と知恵が必要なのです。

 でも、目に見えない微生物の状態を想像しながら改善してゆくのは、自然相手の仕事ならではの醍醐味でしょう。解決法も密かに考えています。雪が解けて放牧し始めたら、バイオベッドの改良に手を加えるのが楽しみです。
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