木版画 実践 |
6年生作品 生活の中で心に残っていることを版画で表そう |
版画は、感じたこと、想像したこと、見たことを絵(単色・多色)に表す表現活動の一つです。
○ 版画の特徴
1 版画は黒い固まりで表現します。
2 木版画は刀で彫り(描き)、表現します。
結果的に刀の彫り後で表現します。私は、このことを「刀で描く」と言っています。
3 版画は何枚も写し取ることができます。
○指導要領から
木版に表す経験や土を焼成して表す経験ができるようにすることに関する事項
この事項は,学校が児童の実態に応じて,児童に多様な材料を体験させる観点から,版に表す経験や土を焼成して表す経験について示している。
「児童が工夫して楽しめる程度」とは,児童の発達や実態を考慮した上で,児童一人一人が自分の関心のある表し方で表現を楽しみ工夫できる程度の内容を選択することを示している。「版に表す」とは,同じものを何枚も写し取ることができる,反転して写る,版ならではの表現効果があるなどの特徴をもった造形活動のことである。
例えば,身近なものを版に利用して型を押したり,凹凸のあるものを選んでこすり出したり,紙版や簡単な木版で表したりすることなどが考えられる。型紙を切り取ってその内側をスポンジのような材料で着色する,コピー機を利用して何枚も同じものをつくってそれを材料にするなども版に表す経験の一つと考えることができる。
1 黒い固まりで表現について
・真っ白い紙面上に黒い固まりで表現するところに版画のよさがあります。
・版画は、浮き彫りと線彫りがありますが、私は浮き彫りを基本と考えます。
・浮き彫りに線彫りの手法を使って自分の思いを表現していきます。
・最近は、線彫りも多いようです。
2 刀で描く
※刀の彫り後の違いや彫りの向き・強弱・長さを考慮して描きます。
・丸刀(大丸刀 小丸刀)・・・・・・柔らか味が表現できます。
・角刀(大角刀 小角刀)・・・・・・鋭さが表現できます。
子どもにとっては、使い易く、版木を気持ちよく彫れるので好んで使います。
・平刀・・・・・・地面や床面、壁面、ガラス面などの表現に適しています。
彫りすぎ防止にも使います。
・切り出し刀・・・黒の固まりの中の模様(服のしわや光り輝く様子など)を描くときに使います。
切り出し部分で、ひっかくように描くと、濃淡がよく出ます。
・錐刀(ニードル)・・・・・・細かな模様を描くときに使います。
髪のふさふさ感を表現するのに適しています。
イヌやネコなど動物の毛などを表現するのに適しています。
・彫りの基本は、線を彫るのではなく面を彫ることです。
・面の彫りは、水彩画の筆跡のように1本1本の彫り跡で面を彫り上 げます。
・彫り跡が長い分と彫り跡が交わりやすくできばえも悪くなります。
・彫り跡は、2cm位になるよう短く彫ります。
・彫りの向きは、空気の流れ、表現したいものの動き、光の当たり方などを考えて進めます。
・自分で背景をどう彫るか考えて、鉛筆で矢印を措いて堀を進めます。
・彫り跡が交わらないように彫ります。
3 木版画のできは、下絵が勝負です。
木版画のできは、下絵が40%,彫り40%,刷り20%といわれています。
日頃から、スケッチ力を養うことが肝要です。
・観察力(着眼点)を養います。
低学年時から、例えば、2つのランドセルを見比べて、同じ所や違うところなどを数多く発見する場を設け、観察力を育てましょう。
・日頃からスケッチ・デッサンを数多く経験させます。
手(ぐーやチョキなど) 筆箱 消しゴム ランドセル 体育帽 廊下などを描く
・動き 遠近 立体感 力強さ 優しさ等を表す方法を考えさせます。
線の太さ(強弱) 線の長さ 線の向き(方向・角度) 線の位置 色の濃淡
4 けがの防止
彫りを進める前に、次のことを押さえましょう。
※刀の向きと手の位置
・彫るとき、刀を自分の方に彫らない。
・刀を左手の人さし指で押さえて力を調節しながら彫る。
・彫りやすいように版木を動かす。
・平刀で刀の彫り過ぎをブロックする。
・刀を持ったまま移動しない。
5 版画指導の手順
(1)題材を選ぶ
(2)下絵を描く(版木と同じ大きさの紙面に)
(3)単色のイメージを持つ
(4)下絵を版木に写し取る(カーボン紙を使う) 下絵と刷り絵が反転することに注意
(5)下絵に墨を入れる(黒い面と白い面を意識し、刷り上がりの絵をイメージするため)
(6)版木に墨を入れる(彫る面と彫り残し面を意識させるために)
(7)刀で描く(刀の特徴を活かして)試し彫り
(8)試し刷り(模様を入れたいところはチョークで塗る 白を強調したいところは少し深く彫る)
(9)本刷り(インクを十分に伸ばしておく インクは油性が良い)
(10)ばれんで写し取る(黒の固まりを強調) プレス機を使うときは圧力に注意
(11)最低3枚は写し取る(出品用 鑑賞用 保存用)
(12)鑑賞し合う
作 品 | ||