オーロラの箱
オーロラ紀行

北極圏トロムソへ

02年3月、かねてから、一度は見てみたいと考えていた、オーロラ紀行にチャレンジしました。

場所は、北極圏、スカンジナビア半島の最北部近くに位置する北緯69.4度、ノルウェーのトロムソです。緯度で見れば69度は、南極の昭和基地と同じです。

トロムソは、フィヨルドに囲まれたトロムソイヤ島と呼ばれる島が中心の街です。

ここは、北極圏にもかかわらず、沿岸にはメキシコ湾流からの延長の北大西洋海流という暖流が流れ込んでいるため、海面も凍らず、高緯度の割には温暖な地域で比較的過ごしやすいところです。

したがって、オーロラの出現を待つのには、北極圏の中にある他の地域から比べれば、絶好の場所だと思います。

北極圏は、捉え方は様々あるようですが一般的には、地図上の北緯6633分以北(夏に太陽が沈まない、白夜になることがある地域)を指す、と言われています。

トロムソへの直行便は無く、途中、デンマークのコペンハーゲンにて乗り継ぎ、コペンハーゲンからノルウェーのオスロに入り、オスロから国内便でトロムソに行くことになります。

成田からスカンジナビア航空で、デンマークのコペンハーゲンまで約12時間、トランジェットしてノルウェーの首都オスロへ1時間。更にノルウェーの国内便で目的地トロムソへ2時間。待ち時間を入れておよそ19時間の長旅である。

午後0時前後に成田を発ち、現地の午後11時前後着。時差を考えなければ、11時間ですが、時差8時間のため、約19時間となります。

まもなくトロムソです。
オスロからトロムソに向かう飛行機の中では、長旅の疲れと、日本時間では夜中ということもあって皆さんはほとんど眠っていました。私も1時間程ウトウトとした後、席が後部座席の左窓側でしたので何気なく外を見ていました。

するとなにやら、はるか彼方に、ゆらゆらとカーテンがゆれる様な明るく光るものを発見しました。目を凝らして良く見ます。やはりオーロラだ!

みんな見れば良いのに!周りに知らせよう思いましたが、かなり遠くの位置だし、あと1時間ほどで、ホテルに着けばゆっくり見られる、そう思いあえて皆さんに知らせることなく、独りで見ていました。
(いま考えると、これはとてもラッキーなことでした。)

時が経ち、約19時間かかって、ようやくトロムソ空港に到着です。

オーロラは、遠くではあるが機内から、ゆらりゆらりと見られたので、到着するや直ぐにでも見られると、わくわくしながら飛行機を降ります。

ところが外には雪がちらちら舞っています。今日は見られるのかなー。ちょっと不安がよぎります。

この状況ではオーロラは現れない。雪よ止んでくれ!そう思い、ホテル行きのバスに乗り込みます。


ホテルは、スカンディック・トロムソです。

このホテルは、中心街からは、山を背にして反対側の郊外にありますで、街の明かりを避けることが出来ます。

ですので、明かりを避けるために、わざわざ別の場所に行かなくても、ホテルで直接オーロラを見ることが出来るのです。
暖かいホテルのロビーで時間制限無く、オーロラの出現を待つことが出来るのです。オプションで時間が来たら、ホテルに帰ります、などということはありませんので、気持ちに余裕が持てます。

いよいよオーロラが見られる!

長時間の疲れもなんのその。オーロラが見たい!

現地時間では午前0時過ぎ。まだ見られる可能性がある。

チェックインもそこそこに、誰が言い出すでもなく、みんなでロビーに集まります。

ツアーに参加の皆さんは交代で外の状況を見に行きます。

ところが雪は止むどころか、空港に着いた時よりさらに強くなってきてしまいました。

いくら外を眺めていても、残念ながら雪雲は取れそうにありません。

深夜2時、 頑張って雲の取れるのを待ちましたが、今夜はダメのようです。

残念だが、まだ3晩ある、そう思い、ベッドに入ることにしました。

このときは、まだ余裕でした。・・・

オーロラの話 薀蓄

オーロラは、北半球では、北極圏でしか見られません。では、北極圏ならどこでも良いか、と言うとそうではないのです。

オーロラが発生する場所は、オーロラ帯と言われるところです。オーロラ帯は北極圏を軸にして、地上から100km〜400kmの上空に、地球に指輪をはめた様なリング(帯)状になっている場所です。この帯が、時により、幅や傾きが変わるのです。ですから、北極圏でも、絶対見られると言うことは無いのです。

前述の様に、発生する場所は、地上からは100km〜400kmの高さに現われますので、地上からは、上空に雲がかかってしまうと、いくらオーロラが現れていても、見ることは出来ないのです。

ちなみに、飛行機は10km、オゾン層は40〜50kmの高さですのでオーロラは、かなりの上空に出現します。

発生原因は、なかなか難しく、簡単には表現できません。

調べて見ると、学問的にはかなり長々と説明がなされていますが、簡単に私流に解釈しますと次のように言えると思います。

太陽は、太陽風と言われるエネルギーを放出しております。

この太陽風の中には、荷電粒子(かでんりゅうし)と言われるものがあります。

この荷電粒子の構成員の一つに電子があります。

オーロラは、地球大気の粒子と太陽風に含まれる電子の衝突でできます。

次の朝です。

翌朝、と言うより当日ですが、新しい朝を迎えました。

朝食のレストランから見た、外の景色は、前夜の雪は嘘の様にほぼ快晴です。

良かった!今日は存分にオーロラが見られる。そう確信しました。

朝食の後、夜のオーロラを楽しみに、街へ観光に出かけます。

街はとても落ち着いたすばらしくきれいな都市です。

天候の方は、昼過ぎよりだんだん雲が現れるようになってきました。

まだこの時には、さほどの心配はしていませんでした。

ところが夕方になり、朝の天気は何だったのか?と思うくらい暗雲立ち込めた様相を呈してきました。

夕食を終える頃には、また雪がちらつき始めました。

雪よ止んでくれ。雲よ飛んでくれ。みんなで願います。

深夜2時まで、ロビーで出現を待つも、願いむなしく、今夜も前夜と全く同じです。

明日こそ・・・

  ホテルレストランからの眺め     拡大できます
 宿泊ホテル スカンディック・トロムソ   ホテルレストランからの眺め     拡大できます

朝はとても良い天気です。

今日はオーロラの出現が期待できるぞ。

午後になって、雲が出てきました。

ちょっと心配です。

夕方、かなり黒い雲になってきました。

暗雲立ち込め、みんなの気持ち凍り始める。

お願い、雲、飛んでいって。

願いもむなしく、この後、夜になって雪が降り始める。

今日も、ダメかー。

3日目の朝です。

今日も朝は良い天気です。

今日はたぶん大丈夫だろう。そう思い、昼間は再び街の観光に出ます。

しかしながら、またまた今日も前日と同様に、夕方から雲行きが怪しくなって来ています。

雪こそ降っていませんが、雲が取れません。早い時間帯には、夕焼けの様な状態もありましたが、時間が経つにつれ、オーロラが現れそうな時間帯になると、雲が厚くなってしまいました。

これではダメだ。・・・

みんな焦りの気持ちを持ち始めました。

でも、どうしようもありません。

ツアー参加者の中には、また来るしかない、などの諦めの声も聞かれるようになってきました。

皆の願いもむなしく、今日もダメです。

午前2時、諦めです。・・・

4日目の朝です。

今回のオーロラ紀行最後の日、明日の朝はもう帰路です。チャンスはもう1晩しかありません。

今日は朝から余り天気は良くありません。

もうダメかもしれない。だれしも、そう思い、諦めかけました。

昼間、オーロラは現れませんので、街にショッピングへ出かけます。

街には雪がちらついています。

夕方、ホテルに戻っても、雪こそ降っていないものの、空はどんより、雲がべったりです。

ダメかと思いながらも、一縷の望みをかけて、今日もビューポイントにカメラを設置します。

ロビーで待つこと数時間。

諦めて、部屋に戻る者、夜食を取りに行く者、様々です。

私は諦めきれず、屋外で空を眺め続けます。

寒空でじっと我慢をしていると、1時間ほどが経ったと思います、願いが叶ったのか、雲の合間から、ブルーグリーンの薄い明かりが、縦にスーと漏れて来たではないですか。

オーロラが現れる。確信しました。

しかし今まで、今回のツアー参加者が誰しもそうでしたが、オーロラが見たいという気持ちが勝ちすぎて、車のライトの反射光やネオンサインの明かりなどを、オーロラと見間違えることが何度もありました。

今回も妄想か?嫌な気持ちが一瞬脳裏をよぎります。

でも、皆を呼びに行こう!

私の場所からはロビーまでだいぶ離れています。行こうか行くまいか、躊躇していると、みるみる雲が切れ、オーロラが現れたではないですか。

呼びに行っている時間は無い。

急いでカメラのファインダーを覗き、向きをオーロラに合わせます。焦点距離は無限大。

シャッタースピードを開放値にしたカメラのレリーズを右手に握ります。後は、肉眼でオーロラを眺め、1、2、3、4、・・・13、14、15、数をかぞえながら、15秒でシャッターを切ります。次は1、2、3、4、・・・28、29、30、30秒です。次は・・・45秒です。1枚でも良い写真が撮りたい、逸る気持ちを抑えながら、シャッターを切りました。

やっとカメラに収めた21枚の写真です。これは一生に一度の、思いのこもった写真です。

私にとっては、どんなプロカメラマンの撮った写真よりすばらしい、作品になりました。

この間25分くらいの時間でしたが、4日間待ち続けた長い、長―い時間の中での25分でしたがほんとうに充実した時間でした。

結果が良かったから言えますが、待つことの楽しみ、長―い時間待ったからこその感激を味わえたと思います。

願いは叶いました。
オーロラ出現の瞬間です。

オーロラの写真 スライドショーで見てください。

トロムソの街並みの写真