私達日本人は、アフリカ人のことをほとんど知らない。アフリカ人について思い浮かぶのは、飢餓や内戦に苦しむ人々、狩で生きるマサイやブッシュマン達、苦しい大西洋横断の末新大陸で牛馬の如くこき使われたかつての黒人奴隷、等々マイナーなイメージである。
しかし今や、アフリカ人の中から国連事務総長、ノーベル賞受賞者、オリンピック金メダリスト、その他世界的能力を持つ人物が出ている。家畜同様の扱いを受けた奴隷を祖先とするアフリカ系アメリカ人の中にも、政権の中枢に食い込む人物が出てきている。
先進諸国ではもはや人口が増えないが、アフリカでは若い世代が急激に育ってきている。内戦・低保健レベルなどまだまだ解決すべき問題は残っているにせよ、社会や経済は向上し、アフリカ人はこれからますます国際社会の中で重要な地位を占めていくだろう。
そのアフリカ人を少しでも理解するため、彼らがどういう歴史を歩んできたのかを知ることが役立つと思う。ユーラシア大陸に次ぐ広さを持つこの大陸の上に、ナイル川中・上流域に栄えて古代エジプトやアラビア半島とも交流のあった文明、サハラ砂漠を横切る交易の支配権をめぐって興亡を繰り返した諸王権、ベヌエ川の辺から旅立ち森林やサバンナを横切ってたどり着いた場所で築いたバンツー人の王国など、力強い人々の息吹を感じ取ることができる。
欧米ではかつてアフリカを暗黒大陸と呼んでいたことがある。そこには文明が無く、人々は無知で原始的な生活をしているという思い込みがあったが、その考えは、アフリカを支配し、人々を搾取し、奴隷として酷使するという不正義に正当性を与えるために作られたものだ。個々の人権を尊重し、あらゆる民族が自決権を持つべきだという現代の思潮の中で、アフリカの歴史についても正しく理解されつつある。アフリカ各国の歴史学者も活躍し、ネットワークを広げつつ、各地に興亡した王国や、諸民族が大陸を移動する中で辿ったルート、事件などが明らかになりつつある。これから、アフリカ大陸に繰り広げられた栄光と苦難の人類史を辿る旅に、皆さんとともに出かけよう。
(2001年6月9日)
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