「何だ、その目は」
ショコラという村長(と信じきれないやつ)が言った。
メタナイトはこほんと咳をした。ともかく状況整理をしなければ話は出来ない。
ともかくこいつはショコラという村長。そう、村長。こいつは村長。
「村長だな。オレはメタナイト。この先の広場で乗っていた宇宙船が不時着してしまった。
さっきグロックとかいう農家の奴にここを教えてもらった。少しこの村やこの大陸のことについて教えてもらいたい」
不機嫌そうな顔をしていたショコラだったが、メタナイトが話し終えると突然笑顔になった。
「そう、それで来たのか。では話してあげよう。上がりたまえ」
少しばかり口調が柔らかくなった。突然の変わり身にメタナイトはまたがくぜんとした。


玄関を抜けてリビングに入ると、ワドルドゥが一人せかせかと掃除をしていた。
「ワドルドゥ、お客様だ」
ショコラが声をかけると、ワドルドゥは手を止めてメタナイトを見て一礼した。
メタナイトも軽く敬礼をする。
ショコラは真ん中にある座布団にメタナイトを座らせた。
「メタナイト、と言ったわね。あなた、どこの出身?」
「オレはプププランドの出身だ。他にも仲間がいるが、今は連れてきていない」
ワドルドゥがお茶を運んできて、テーブルに置く。そしてまた掃除へと取り組み始めた。
「プププランドか。ここはテクラス大陸のディオール村。のどかすぎてあまり楽しいことがない」
ショコラはお茶を一口飲む。メタナイトはちらっと外の様子をうかがった。
ブロントバードはまだ本を読んでいる。
「だがここから少し離れた王国、アポンドが少し危ない」
「何が?」
メタナイトはショコラが言い終えてからすぐに聞き返す。
「アポンドには遺跡がある。そこにはこの大陸を守ってくれている宝石と守護神がいる」
「ベタだな、宝石守ってるって」
「……続きを話してよいか?」
メタナイトはこくんと頷いた。
「しかしその宝石と守護神が奪われた。なんか変な奴だったらしい。目は一つ、マントをはおってとても悪のオーラむんむんしていたらしい」
(目は一つ、マントをはおった悪のオーラむんむん………ダークマターか!)
メタナイトはダークマターを思い出した。この頃奴を見ていなかったが、そんなことをしていたとは。
「オレはそいつを知っている。アポンドを救いに行くとしよう」
「行動が早いな。では、あるものをやろう。ワドルドゥ、こいつをあそこへ」
「分かりました」
ワドルドゥはドアを開けててこてこと歩いていった。ショコラがその後ろをついていき、メタナイトはその後ろをついていった。


外に出た後、家の横を歩いていく。着いたところは、頑丈そうなドアがついた倉庫らしきところだった。
ワドルドゥがカギを差し込む。ガチャリと小さい音だがし、ドアが開いた。
「ここは先祖から代々受け継がれている武器などが収めてある」
中に入ると、剣や盾などが置かれている。どれもほこりをかぶっていて随分使われていないが、どれも見たことのないものばかりだ。
「これとこれを貸す。くれぐれも壊さないように」
ショコラは一本の剣と一つの盾を手渡した。
剣は重量感があり、するどく研ぎ澄まされている。つかには赤い宝石が埋め込まれている。
盾は太陽を取り囲む二匹の龍の模様が彫られている。
「それを使って行け。くれぐれも無理をするな」
「分かった」
メタナイトは盾を腰につけると、そのまま去っていった。