空を一機の戦艦が飛んでいる。青空に似た水色の船体に、ところどころ赤色がある。

「やれやれ。ハルバードが直ったと思ったら、突然空中散歩かい」
仮面の騎士メタナイトが、飽きれた感じに言う。運転席から潜水帽をかぶったワドルディがちょっと後ろを振り向いた。
「いいじゃないッスか。直ったんだから試験兼空中散歩でもいいもんッスよ」
ワドルディの横でアックスナイトがこくこくと頷いた。メタナイトの横でソードナイトとブレードナイトが熱心に剣を磨いている。
「メタナイト様。マスターソード、磨き終わりました」
ソードナイトがメタナイトにマスターソードを渡す。メタナイトは満足そうに頷くと、さやに収めた。
「……ん?おい、ワドルディ。ちょっと機体………傾いてない?」
ジャベリンナイトがワドルディの後ろから言う。
「確かに傾いているな。トライデント、ちょっと調べて来い」」
「分かりました!」
メタナイトが言うと、トライデントナイトが敬礼して去っていく。
「メタナイト様?マジで傾いてますね」
「ああ、すごく嫌な予感がするのは気のせいか?」
その時、トライデントナイトがかなり大急ぎでドアを開けた。皆がびっくりして振り向く。
「一体どうしたトラ「メタナイト様ー!大変ですー!!」
メタナイトの声をさえぎって、トライデントナイトが大声で叫ぶ。
「左翼に傷がついています!何か当たったと思います!でもそれより、エンジンタンクからエンジン漏れてますー!」
「「「「なんだとーー!!」」」」
皆が大声をあげる。ソード、ブレード、ジャベリンが慌てて窓から翼を見ている。アックスはワドルディの隣で解決策やなんやらをパソコンから調べているが、パニック状態で文字を間違えまくっている。ワドルディは傾いた機体をなんとか戻す為に奮起している。
皆が慌てている中、メタナイトは一人冷静だった。イスに座って何かを考えている。
そしてふと思ったのか、アックスに問いかけた。
「アックス。エンジンタンクの隣にあるのはなんだ?」
「は?アイテム貯蔵庫ですが……それがなにか?………ハッ!」
アックスは何かを思いつき、冷や汗をかきはじめた。メタナイトはアックスの表情を見て、自分の思ったことが正しかったことを確信した。
「やばいです!貯蔵庫には濃縮炎ボトルが!何かのはずみでふたが抜けてエンジンタンクに触れたら即引火ですよ!!」
ワドルディが隣で叫んだ。メタナイトは冷静ながらも、窓から下を見た。
真っ青な海。このまま落っこちたら命がどうなるのかわからない。落ちるのが先か、引火するのが先かどっちかだ。
「もうだめですーー!落下ー!落下ー!もう無理ーー!」
「あー!この命捨てるなら、もうちょっとマシな捨て方したかったー!」
他の奴らが叫びまくる。メタナイトはそれでもいたって冷静。でも自分でも隠してあせっていた。
ひゅーーーーー!!
そのままハルバードは落下していった。



続く