薬の副作用

「自然界における人間の位置」(著者 理学博士 森下美千代)

病気の治療に使う薬の中には、酵素の働きを阻害することによって薬効を表す一方で、酵素のその他の働きまでも阻害してしまうため副作用が出る。

例えば、高コレステロール血症の治療薬として広く使われているスタチン系の薬は、酵素(ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼ)の作用を阻害します。するとコレステロールの合成が抑制されるので血液中のコレステロールの量が減少し、高コレステロール血症の症状が緩和されます。
しかしこの酵素の反応はコレステロールを合成するためだけの反応系ではなく、途中からコエンザイムQ10やヘムaやドリコールなど、他の生体物質の合成系がいくつも枝分かれしています。そのためこの酵素を阻害してしまうと、コエンザイムQ10など他の重要な生体物質の合成も同時に抑制されてしまい、それが副作用となって現れます。
鎮痛剤としてしばしば使用されるアスピリンやインドメタシンもプロスタグランジン類やトロンボキサン類など複数の生理活性物質の合成系の分岐点よりも前のステップで働く酵素(プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ)を阻害する薬剤で、症状に対する効果もあるけれども副作用もあります